Google Adwordsのエンハンストキャンペーンとは?

投稿者:セールスマーケティング部

2013/03/06 15:09

この記事は約7分で読むことができます。

今回は、Googleが2月7日に発表したエンハンストキャンペーンに関して、ご紹介をさせて頂きます。

参照:AdWords Enhanced Campaigns
http://www.google.co.jp/intl/ALL_jp/adwords/enhancedcampaigns/

 

エンハンストキャンペーンとは、Google曰く『ユーザーが様々なデバイスやスクリーンを通じて
オンラインへアクセスする環境を捉えた、マーケティングをサポートするAdWordsの新しい機能』
ということですが、一体これはどういうことなのでしょうか?

スマートフォンユーザーが急増した昨今、検索を行うデバイスはもはやPCだけではなく、場所や
シーンによって、PC、スマートフォン、タブレットを使い分けることが当たり前となってきて
おります。
例えば、数年前であればクーポンはPCで印刷をして持っていくものでしたが、
今はスマートフォンでクーポン画面ををかざす方が多いのではないかと思います。
こうした様に、一人のユーザーが複数のデバイスを使用している状況があるので、広告の掲載に
関してもそうしたユーザーの動向に合わせて最適化を行いましょう、ということが
エンハンストキャンペーンの狙いであると言えると思います。

実際に、エンハンストキャンペーンでは以下の3つの特徴が挙げられております。


1. マルチスクリーン時代を捉えたマーケティング

2. コンテキストに合ったターゲティング
3. さまざまなニーズに対応するレポーティング

 

まずはそれぞれに合わせた仕様の変更を見ていきたいと思います。

 

1. マルチスクリーン時代を捉えたマーケティング
今回の機能変更で、PC、タブレット、モバイルと1つのキャンペーンで管理を行うことが出来る
ようになりました。
また、端末、場所、時間などの様々な要素に合わせた入札管理が出来るようになり、
ユーザーの利用するシーンに応じて、広告配信の強弱をつけることが簡単に出来るように
なります。

例えば、飲食店で実店舗での販売を行っている場合に

・2キロ圏内からの検索には20%強く配信を行う。
・ランチタイムでの配信では30%強く配信を行う
・スマートフォンからの検索では50%強く配信を行う

などの設定を、1つのキャンペーンで行うことが出来るようになります。

 

2. コンテキストに合ったターゲティング
前述の様に、1つのキャンペーンで様々なデバイスへの広告配信を行うことが出来るようになった
ために検索するシーンに応じて広告を出しわけることが可能になります。
例えば、同じキーワードで検索があった場合にも、検索するデバイスが違えば検索者の意図も違う
可能性があります。

Googleの開催した説明会でも事例として説明がありましたが

■ピザの販売を行う実店舗とオンラインショッピングのサイトを持っている場合

・スマートフォンで「ピザ」を検索しているユーザーは実店舗の検索を意図している可能性が高い

⇒モバイル広告の広告設定オプションで、住所指定オプション、電話番号表示オプションを設定し、
実店舗への誘導を強化する

・PCで「ピザ」を検索しているユーザーはピザのデリバリーの検索を意図している可能性が高い

⇒オンラインショッピングへのリンク先設定を行い、ショッピングサイトへの誘導を強化する

といった設定を、1つのキャンペーンで行うことが出来るようになります。

 

3. さまざまなニーズに対応するレポーティング
現時点でのリリースはありませんが、6月末までにクロスデバイスでのトラッキングも可能に
なります。
この変更では、文字どおりにユーザーがどんなデバイスで遷移して行動を行ってもしっかりと
その動きに合わせたマーケティングを展開することが出来るようになります。
また、こちらは海外での先行開始予定との発表にとどまっておりますが、通話コンバージョン
トラッキングも可能になっていくとのことです。

 

次に、今回のエンハンストキャンペーンで、以前の仕様と比較して出来なくなったことを
挙げていきたいと思います。

 

1. スマートフォン、タブレットのみの指定が不可能
この変更が、恐らく今回のエンハンストキャンペーンでの変更で一番大きな部分かと思います。
スマートフォンのみへ配信したい、という場合であっても、設定自体が出来ませんので強制的に
PCへの広告掲載も行わなければなりません。
実際には、PCでの入札価格を極力弱めて、スマートフォンの入札価格を300%に強める、などの
対応を行うことで、極力、スマートフォンでの広告掲載をメインに管理していくことは可能ですが
完全にPCへ配信しない、ということは機能的に不可能になっています。
これは、今回の変更の意図として、「マルチスクリーン、様々なコンテキストに対応」ということが
大きなテーマとしてありますので、恐らく今後も設定可能になることはないのではないかと思って
おります。

なお、PCとタブレットのみの配信は事実上、設定によって可能になっています。
モバイルへの入札価格を-100%に設定をすることで、モバイル(スマートフォン)への配信が
行われなくなります。

 

2. OSのターゲティングが不可能
検索ネットワークに関しては、OSでのターゲティングは不可能になります。

ただし、ディスプレイネットワークに関してはClick to Download広告であれば、iOS、Androidに
対応してターゲティングを行って広告掲載することが可能になっています。

 

3. デバイスごとのスケジュール設定が不可能
スケジュール設定が、キャンペーンレベルのみで可能となっていますので、例えばモバイルのみを
曜日指定、時間指定で設定を行うことが出来ません。

PCのみの場合は、前述の様にモバイル(スマートフォン)の入札価格を-100%設定することで
指定可能となりますが、スマートフォンのみで設定をどうしても行いたい場合には、スケジュール
ごとにキャンペーンを切り分けて構成してPCでの入札価格を極力弱めてモバイル(スマートフォン)
での入札価格を300%などに強めることで、近しい設定を行うことが出来るようです。

 

これまでに挙げさせて頂いた内容は、いずれも大きな変化があった部分となっておりまして、
詳細な内容は書ききれないほどに変更があり、まだ全容がわかっていない状況かと思います。
しかしながら、6月末には全てのアカウントで強制的にエンハンストキャンペーンへの移行は
行われますのでその前にしっかりと、今回の変更の目的や、変更した内容を踏まえて、
もう一度アカウントの設計から見直すことが大切です。
またその際に、改めて基本に立ち返って、よりユーザーの考え・行動をよく考えて見直しを
行うことが最も重要なポイントになるかと思います。

 

また、ヤフープロモーション広告においても、Google Adwordsのエンハンストキャンペーンと
同様の機能に仕様変更するという発表が3月6日にありました。
こちらの変更日程は2013年の夏頃が現在の予定となっているようです。

今回の変更で、新たに出来ること、出来なくなったこと、様々なことがありますが
両社ともに一貫しているのは、『ユーザーに対して最適な情報を届ける』という
軸だと思います。

その中で、昨今の検索事情を鑑みた変更であると思いますので、広告主様の広告が、
どうすればマッチするユーザーにしっかりと届くのかということを改めて考え直す
いい機会かもしれませんね。

【編集担当:志茂 和彰】

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