観光産業のWeb戦略への取り組みはどう変われるか? ~10月1日、国土交通省「観光庁」発足~

投稿者:小川 悟

2008/09/24 02:38

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観光が19世紀後半に発展する契機の一つは、イギリスのトーマス・クック(Thomas Cook)の旅行業の創設であった。

/『観光学入門』(岡本伸之著)

9月24日、自民党の麻生太郎総裁が首相に就任されることになりました。今月初めの福田前首相の突然の退任劇では驚いた人も多かったことと思います。何しろ国のトップが、それも2代も続けてきちんとした前準備や説明責任も果たさぬまま突然辞意を表明したわけですから、普通に会社に置き換えて考えてみると、単に呆れるとか不安や憤りといった感情だけでなく、日本国民として自信喪失にも繋がりかねません。自分が率いる部隊の士気を上げるリーダーであれば良いですが、不安を感じさせるのは良くないですね。

思わず対照的に連想してしまったのが、第32代合衆国大統領フランクリン・ルーズベルトです。以前、「インターネットがもたらす第三の開国の夜明け前 ~2009年、横浜開港150周年~」(cf.「歴史まちづくり法(地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律)」)のエントリーでも氏の政策エピソードについて少し触れましたが、世界大恐慌の煽りを受けて全ての銀行が業務を停止した1933年、氏は大統領に就任します。その後、アメリカ史上で唯一4選された大統領として、第二次世界大戦終戦間近の1945年4月に急死するまでの12年間、多くの難しい政治課題を解決してきました。そんな氏がビジネスシーンでもっとも引き合いに出されるエピソードが次のものでしょう。

大統領に就任する以前から急性灰白髄炎により下半身不随となって車椅子常用者であったにも関わらず、マスコミの前などでも車椅子姿を見られるのを嫌い、当時の米国民のほとんどは氏が障害を持つことを知らなかったそうですが、こういった不屈の精神に、強いリーダーシップを発揮して国民からの信頼を得たという見方ができます。

 

ところで先週の連休は、私は同僚の結婚式に参列するため、京都へ行って参りました。余った時間は観光に充てました。京都へ行くのは小学生のとき以来であるため、ほとんど初めて訪れた土地であるかのように新鮮に感じました。今年2008年は、紫式部の『源氏物語』が編まれたとされる1008年からちょうど1000年ということで、京都を中心として様々な関連イベントが縁の地で行われており、私も横浜美術館の展示は見に行って参りました。

cf.
・源氏物語千年紀委員会
http://www.2008genji.jp/
・宇治市源氏物語ミュージアム
http://www.uji-genji.jp/
・「源氏物語の1000年-あこがれの王朝ロマン-」(横浜美術館)
http://genji1000.jp/

「そうだ 京都、行こう。」のキャッチコピーが誕生したのは今からもう10年以上も前のことですが、今でも色褪せずにしっかりと消費者の中に生きている言葉として心が惹かれますね。このコピーが生んだ経済波及効果は計り知れません。

cf.『そうだ京都、行こう。』(淡交社)

鴨川沿いの、川床(納涼床)のあるお店で京料理を楽しんでいたとき、隣席にいた外国人グループに声を掛けられました。外国人の方からすれば、京都はとても興味深い都市に違いないと想像しました。

 

さて、そんな外国人観光客の訪日機会を増やすため、国の方でも今までに多くの試みが行われてきています。最近では国土交通省がメールマガジンの発行を始めたり、来月1日にはいよいよ国土交通省の外局として、観光庁の設置も予定されています。

cf.
・国土交通省総合政策局観光部門:観光庁の設置
http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/kanko/tyou.html
・VISIT JAPAN CAMPAIGN
http://www.jnto.go.jp/vjc/
・関東で「観光まちづくりコンサルティング事業」実施へ(国土交通省)|日本商工会議所
http://www.jcci.or.jp/cgi-news/jcci/news.pl?3%2020060213164503
・地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律(歴史まちづくり法)
http://www.mlit.go.jp/crd/rekimachi/rekimati_low.html
・観光集客地における顧客満足度(CS)の活用に関する調査研究報告書について(METI/経済産業省)
http://www.meti.go.jp/press/20080701006/20080701006.html
・日本政府観光局(JNTO)
http://www.jnto.go.jp/jpn/
・社団法人 日本観光協会
http://www.nihon-kankou.or.jp/home/

外国人観光客の訪日機会が増えれば、経済効果も得られることでしょう。また、口コミで評判を上げてゆくには、ホスト側としての対応が迫られます。真の観光立国を目指すのであれば、交通機関やホテルなどフロント側だけではなくて、地域の観光案内所や観光名所、飲食店まで含め、それなりの準備が必要かと思います。元々外国人観光客が多く訪れる京都の場合、飲食店のメニュー表などには英語表記が多かったのが印象的でした。場合によってはWebサイトもきれいに洗練されたものとなっていて、さらに英語版まで用意されているお店もありました。

いうまでもなくヴィトンは、十九世紀後半からの旅行ブームとともに社名を築きあげた、世界一名高いトランク商である。

/『ブランドの世紀』(山田登世子著)

政治や経済、社会の動向といった環境変化に対して、新たに生まれいずる経営課題や、また同時に商機などもあるかと思います。そういったときに押さえておきたいのが、自社の「USP(Unique Selling Proposition)」です。つまり独自の強みですね。

上記の例で言えば、従来旅行はお金がかかるのでなかなか行けなかったが、トーマス・クックによって団体旅行(今でいうパッケージツアー)の概念が登場すると、人々は安価で旅行へ行けるようになりました。そうして訪れた「グラン・トゥール(=グランド・ツアー、大旅行=バックパッカーズの観光形態)」(cf.『酒場の文化史』/海野弘著)の時代に、ルイ・ヴィトンは頑丈で容量のあるトランクを開発し、事業を軌道に乗せていったのです。

インターネットが普及した現在では、目的買いの消費者もだいぶ増えてきました。それが情報過多時代になり、自分に一番合った商品やサービスを探そうと、一層吟味して購入するようになりました。そうした中、企業の持つUSPは消費者から求められる要素となり、必然的に情報提供者であるべき企業側は、情報発信を余儀なくされてきたのかと思います。ところが、まだまだそうしたUSPをしっかりと謳っている企業ばかりではありません。特に比較的規模の小さな企業では取り組みが遅れているところもあり、アーリーアダプター(初期採用者)として先行導入している大手企業と比べるとどうしても遅れをとってしまいます。しかし、規模の小さな企業だからこそ小回りが利くことが多いので、そういった面では大手企業より有利な場合もあるかもしれません。

 

USP――、自社の強みは何か?
「土・日営業」、「深夜営業,24時間営業」、「配達可能」、「配達エリアが広い」、「特許技術を有する」、「著名な権威者の監修がある」、「立地が良い」、「スタッフが多い」、「隠れ家」、「おいしい」、「他ではあまり手に入らない商品を取り扱っている、品数が多い」etc…

仮にこうしたUSPを理解していても、それをWebサイトで表現し、狙ったターゲット層にピンポイントで情報配信をする技術や知識となるとまた別のものとなります。そこで私たちWebコンサルタントたちが、そういう現場でお客様との二人三脚でUSPを浮き彫りにしていきます。さらにそれを情報設計し、そのときどきのトレンドに合わせてSEO施策を行ったり、Webサイト改変のご提案をしていこうというのが当社の基本的なスタンスです。まだ一部発展途上なサービスもありますが、よりお客様の求められている品質に近づけられるように努力して参ります。