「Web戦略立案シート」のご紹介 ~管理者合宿研修を終えて、情報共有(ナレッジ・マネジメント)の社内推進を心に決める~

投稿者:小川 悟

2008/09/08 00:50

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職場から生まれた知を、事業部全体で使えるような資源にしていくという、ナレッジマネジメントを本気で実現していくためには、一つのシステムを、いままである業務フローののなかにぽんと置けばよい、というものでは全然ない。事業のフロー自体を再構築して、ナレッジが無理なく共有され蓄積されていく組織風土をつくっていかなくてはいけない。それが私たちの得た結論です。システムというのは、結局、そのフローのなかで使いこなされる一つの道具だと思うんです。
/『リクルートのナレッジマネジメント―1998~2000年の実験』(リクルートナレッジマネジメントグループ著)

 ――「やっぱり、”ありがとう”って言われるのって、うれしいよね。最近そういうことって、ちょっと忘れられてない?」

  かつて、そんな会話がやり取りされる職場がありました。

 これは冒頭のエピグラムでもご紹介した、リクルートのナレッジマネジメント―1998~2000年の実験で語られる、元祖ベンチャー企業、リクルートの主任以下の社員たちが、独自の社内情報共有システム「ナレパラ(ナレッジ・パラダイス)」を必需によって生み出し、運用にまで至るエピソード中に出てくる登場人物たちの会話の一つです。今からもう、10年も前の出来事ですね。

 「リクルートはもともと営業の強い会社なんですよ。役員や本部のE職たちもみんな営業現場からのたたきあげ。それも人並み以上の業績をあげてきたから今日の立場があるわけで、目に見えないところに大きな顧客の不満やアンチ・リクルートの芽があることなど実感がなかったのです」といったくだりもあり、私の前職時代、ちょうど社会人になって間もない頃の環境と酷似していたこともあり、バイブルのように読んでいた本です。

 仕事のモチベーションは「契約と報酬」という関係だけでなく、「ボランティアと感謝」みたいなものも存在する。と登場人物たちが言います。リクルート出身で、現在、株式会社リンク アンド モチベーションの代表取締役社長を務められる小笹芳央氏は、これを発展させた、「経済的報酬」ではない「意味的報酬」といった概念で説明されています。社員一人一人のモチベーションを会社のモチベーションとして置き換えたとき、もちろん売上を上げて利益を残し、次への投資と充てることは企業活動の全うすべき使命だとは思いますが、この意味的報酬に対するモチベーションを全く感じなくなってしまってはいけないと常々考えていました。 

 社会人になってしばらくして、仕事に慣れてくる頃になり、担当顧客数や社員数が増え、売上が伸び、ステークホルダーが拡大し、仕事が複雑化してくると直面する問題に対し、何かと救いを求めるのが「システム化」でした。しかし、システムや論理的思考には今以上に疎かった当時の私は、業務フローに対する理解もないまま、それが全てを解決してくれるものだとずっと思い込んでいました。そんな折、本書で出会った言葉、「システムは一つの道具」――、当時の私はその言葉を反芻しながら、それが何を意味しているのか、少ない社会人経験の中で思い当たる節を探そうとしていたのかもしれません。

 

 さて、話は変わりますが、先週の土・日は、当社創業以来初の合宿形式のセミナーがありました。取引先であるコンサルティング企業様から講師をお招きし、管理職を対象に実施されたものでした。管理者向け研修と言うと、今までにも何度か参加させて頂いたものですが、合宿形式というのは初めてのことでした。参加したメンバーは、皆一様に楽しかったと感想を述べ、週明け月曜日から早速実践に活かそうとして、習いたての言葉や行動習慣を実務に持ち込んでいました。

 今回の合宿では、各部門で様々な自部署の課題を見つけることができ、各部門ごとに課題と解決策の発表を行いましたが、共通していた一つが、この「情報共有」でした。その重要性については誰もが理解しているのに、どうしても思うようにいかない。高度な組織力が求められていることを、何となく認識されられていました。

 

 セミナーでは、デーヴィッド・A・ナドラーの組織論の説明から始まり、「3C分析」「SWOT分析」などで自社や自部署の方針の確認をして「顧客」や「顧客の顧客」の理解をしました。そして後半は部門ごとに分かれて、自部署の掲げる今期のゴールビジョンに合わせた取るべき方針と優先順位付け、そして具体的なアクションプランについて話し合いました。

 私たちCS部は、自社で展開するWebコンサルティングサービスのソリューションの提供にあたり、進化論の過程のように「必要とされてきた組織」を形成してきました。

1、営業(プロデューサー)
2、Webディレクター
3、ライター
4、デザイナー
5、コーダー
6、QC
7、SEO
8、コンタクトセンター

 上記の2以降の組織をCS部でカバーしています。まさにお客様へ納品する成果物の品質を決定付ける組織である必要があり、求められるレベルのクォリティを満たすためにある程度分業化(専門化)をする必要がありました。各部門ごとにポリシー(方針)を決定し、当社独自のガイドラインの整備に勤しみ、品質保証のでき得るクォリティを達成する必要がありました。

 これが私たちCS部の生命線でもある独自の生産ラインです。ところが、各部門がプロフェッショナルの仕事を全うしてくれるのは良いのですが、営業や管理部門など、各部門の連携が図れていなければせっかくの生産ラインも単なる意思疎通が難しくなった非効率な組織でしかありません。

 そこで生まれたのが、当社がWebコンサルティングサービスを提供し始めた3年程前に考案され、今も社内全体で運用されている品質管理のためのツール、「Web戦略立案シート」です。

Web戦略立案シート.jpg

 お客様への提案時に準備する、お作りする予定のWebサイトのラフ案(ワイヤーフレーム)サイトマップ(ディレクトリマップ)制作スケジュール(ガントチャート)以外に用いる社内専用の情報共有ツールの一つです。

 先ほども挙げたCS部の生産ラインは、実に1クライアントにつき7部門に渡ります。言わば駅伝のように、各自持ち前の区間を全力疾走するのは良いのですが、タスキ(バトン)にあたるものがなければ、次の走者に情報を伝達することができないというのがボトルネックとなっていました。そもそも、こうした分業制の仕事において、初期の指示や方針を納品まで徹頭徹尾遵守するためには、ディレクターの存在も大きいですが、一貫した方針がなければ要件がぶれてしまいます。

 そこで登場したのが、この「Web戦略立案シート」です。お客様との打ち合わせの際に用いることのあるヒアリングシートを元に、営業やディレクターがこのシートを埋めていきます。各工程でこのシートを確認しながら制作にあたるので、たとえ伝言ゲームのようになった情報伝達経路においても、初期の要件から外れた成果物を制作しないようにすることができると考えたのでした。

 

 当社の行動指針には、「常に約束(顧客・仲間・社会)を守り続けます」というものがあります。
 当たり前のことのようでありながら、昨今では社会との約束を守れない企業が多くニュースで報道されています。社会との約束が守れないような企業は、もちろん顧客との約束も守れないでしょうし、仲間との約束も守れないのだと思います。私たちは、これらステークホルダーは三位一体のものであり、すべてのステークホルダーとの約束を守ってこそ自身の品質方針を貫けるものだと考えています。

 一つ一つの約束を守り、それを継続してゆくことが、やがて信頼に繋がり「商(あきない)」に繋がる――。これが商売の鉄則だと思います。今回は、当社で使用している「Web戦略立案シート」を一例として挙げましたが、私たちの考える「情報共有(ナレッジ・マネジメント)」の究極の目的は、もちろん社内の業務効率化などもありますが、お客様との約束を守るため、そして顧客満足度の追求のための一貫だということをお伝えできればと考えます。

 正直、まだまだ改善の余地は十二分にあると思っています。顧客満足度向上のための取り組みは果てなく続けていきます。これが当社CS部のミッションステートメントに掲げた方針の一つであり、最優先に考えている取組み方針です。