Webサイトが完成した直後のお客様にアンケートをとる!?

投稿者:吉田 亮

2010/05/31 10:00

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『顧客満足度調査』とは

お客様が、購入した商品やサービスに対して、満足を得ているかどうかを調査する。

それ自体は、マーケティングという言葉が生まれたときから行われてきています。

調査の方法には幾つかありますが、ポピュラーなものはそれほど多くはありません。

ひとつは、「じゃらん」などの旅行系ポータルサイト、「ぐるなび」などのレストラン系ポータルサイト、「楽天市場」などのネットショッピング系のポータルサイトに見られるような、商品・サービスに対する消費者からの、ネット上での書き込み、つまり「レビュー」と呼ばれる方式。

もうひとつは、ネット上のフォーム、もしくは用紙への記入・郵送方式で行う直接的なアンケートです。


そもそも、顧客満足度を調査する目的はなんでしょうか?

本来それは、マーケティングそのものである、とことができるでしょう。では、マーケティングとは何だったでしょうか?簡潔に言えば、「企業が利益を出すための全ての活動」、と言うことができます。

つまり。

本質として、「顧客満足度調査」とは、自分が間違っていなかったことを確認するためにするものでも、自分で満足するために行うものでも、企業の宣伝活動の根拠データにするためでもない、というところが最も重要です(もちろん、その理由は含んで然り、ですが)。


『アンケート自体の在り方』


「顧客満足度100%」。

誰もが「本当か!?」と思いつつも、何故か良く見かける文言ではありますが、これ自体は、実際にアンケートを実施し、データとしての統計上、得ようと思えば得られてしまう、というのが正直なところなのではないでしょうか。

アンケートの項目そのものにマイナス要因を入れず、結果を予測して質問項目を作り、最終的な結果として「満足」に誘導して しまうように「仕組む」ことは、心理学を学んでいなくても、実際可能です。

確かにデータとしては根拠があり、虚偽ではないのかもしれませんが、操作して得た「100%の満足」に満足してしまった企業は、もしかしたら成長が止まるのかもしれません。


何故って、世界も、人間の感情も、絶対的に一律になることなど有り得ず、絶えず「動く」もの、だからです。

現実的には、全てのお客様が満足する、つまり顧客満足度100%はない、と思います。

ここで考えなければならないのは、企業にとって、一番大切なお客様からのご意見は、「悪かった点」なのだということです。

お客様から「ありがとう」をいただくのは、非常に嬉しいことです。言葉でも、メールでも、自分の仕事を認められる瞬間ですから、テンションもモチベーションも上がります。

逆に、「悪かった点」を指摘されるのは、非常に心苦しいことです。自分の仕事や成果物を否定されてしまう訳ですから、できれば聞きたくないですし、目を背けたいところ、テンションもモチベーションも激落ちします。

それでも、これからその企業がやらなければならないこと、その方向性は、「悪かった点」にこそ隠されていて、「悪かった点」を改善していくのが事業発展の一番の近道になります。

何故ならそれは、お客様のニーズ、つまり市場の需要である可能性が高いだからです(まとまったデータになっていれば)。需要に対して供給をするのがビジネスの基本だからです。

どんなに前衛的でも、需要がなければ意味がありません。


『”過程”に対するアンケートへの挑戦』

今期の5月より、私どもフリーセルCS本部では、サイトが完成し、納品したお客様に、直後である翌月から、直接的なアンケートをとるプロジェクトを開始しました。


Webサイトが完成して、そこで終わりではない。

当社が提供しているのは、WebインテグレーションとWebコンサルティングに大きく分かれますが、何よりも、Webコンサルティングを会社の方向性としての商材に据えています。つまり、運用までを考えてこそのWebサイトである、という理念です。そのために、たくさんの商材・サービスを用意しています。

そういった背景もあり、当社は、運用中のお客様にアンケートを行うことはしても、サイト完成直後に、総括的にアンケートをとる、ということはしていませんでした。

今回の顧客満足度調査では、Webサイトそのものに対する満足度もそうなのですが、過程に対してのアンケート項目を考えております。

●営業の提案時はどうだったか
●ディレクターの進め方はどうだったか
●完成したサイトに反映されているのは主に誰の意見か
●運用時に望むことは何か

などなど、大きく分けると、上記のようなコミュニケーションラインを中心にしています。

例えば「レストラン」ですと、商品そのものの飾り付けや味について、アンケート項目があります。加えて、ウェイター・ウェイトレスの接客がどうだったか、これもアンケート項目にあります。
飲食業は接客業というカテゴリーに入るため、当然のように、「接客」は、多くのポータルサイトでも、レビューする項目に配置されています。

ところが、IT業界では(と言ってしまっては語弊がありますが)、お客様の要望、予算、仕様まで異なる「Webサイト」になりますと、提供するモノが一律ではないため、一定の項目でアンケートをとることが非常に難しいと言えます。また、内容の専門性が高いため、単純な感想にも個人差が出てしまいます。それは事実でしょう。

だからと言って、マーケティングにならない、という訳でもないと思います。

既に温かいご意見も、厳しいご意見もリアルタイムでいただいています。
まだ始めたばかりですので、統計データとして参考にするには、あまりにも母数 が少ないというのが正直なところなのですが、統計は積み重ねです。

仮に、ディレクターの制作進行速度が「遅い」と大多数のお客様が感じているのであれば、理由がどうであれ、それは「悪かった点」です。仮にそれが努力では解決できない、物理的に時間短縮が不可能なことだとしても、そう思わせてしまったのであれば、「しっかりとした説明が足りなかったのだ」という結論に至ることができ、「次からは、ここの説明を詳しく行う時間や資料を作ることにしよう」という改善点を弾き出すことはできるはずです。

どうしても、作業としての制作業務に関わっていると、結果そのものや、結果への論理構造、機能の実現、納期という悪魔(ディレクターにとっては特に!)、だけで物事を考えがちになります。

しかし。

そのひとつひとつの過程には、やはり人間同士のコミュニケーションがあって、必ず感情が動きます。例えデザイン抜群・機能充実のWebサイトが結果としてできたとしても、それだけでお客様が喜ぶとは限りません。作った人間を信用できなければ、Webサイトも信じられないのが道理です。


過程も大切にしたWebサイト、Webコンサルティング、当社のサービスは、そこを目指したいと思うのです。