『リスクを負わないことがリスク』ビル・ゲイツ

投稿者:吉田 亮

2007/11/30 11:52

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リスクを負わないことがリスク。』

いわずと知れたアメリカの実業家、あのマイクロソフトの創業者の一人、ビル・ゲイツの言葉です。彼がイギリス女王から名誉騎士(名誉大英勲章ナイト・コマンダー)を授けられていることは意外と有名ですが、世界で唯一人、個人レベルで、レオナルド・ダ・ヴィンチの手稿を保有している人物であることはご存知でしょうか(とてもうらやましい限りです)。

個人単位では世界一の資産を持つ、つまり最も成功したと言える彼が放ったこの言葉の真意は何処にあるのでしょうか。少し考えてみましょう。

経営には、常にリスクがつきまといます。

これは当然の話で、これ自体、経営者であれば誰もが理解しているはずです。

「リスクを恐れるな」
「リスクあっての成功」

至極、当然のことで、今更何を言っているんだ、という話かもしれません。
しかし。

「リスクを負わないことがリスク」

とは、ニュアンスが違うのに気付くでしょうか。
ビル・ゲイツは、経営者個人レベルや、企業の判断を問うているのではなく、

企業の在り方、を問うているのです。

企業であれば、成功しなければならず、利益を出さなければならず、成長し続けなければならない。
これが彼の真意です。だから、

リスクを負わない=成長しない=企業として致命的

という図式が成り立つのでしょう。

私は、日々業務の中で、仕事を任せた人間に、「失敗するな」という言い方はしたことがありません。むしろ、「今回は失敗して来い」という言い方をします。
主にディレクター属性ですと、ノウハウはあっても初めて出会うクライアント様がほとんど、ひとつやふたつの失敗くらい、起こらない方が不思議です。この世の中に、個人個人がどう思うかは別にしても、「失敗したことがない」者は存在しないはずです。失敗した分、成長することはわかっているので、「失敗するな」と言っても始まらないのです。

私は面接時など、失敗談を良く尋ねます。
成功の過程は、実はあまり覚えていないもので、箇条書きのような返答があるくらいです。
ところが、失敗の過程は得たモノが多いほど、エピソードとして成立してしまうのです。

まさに、リスクを負わないことがリスクで、
無難に与えられた仕事だけをこなしている者は、成長の速度も無難かつ平穏で、ドラマはありません。

社員である以上、成長しなければならない。

といったところでしょうか。
少しの認識の違いですが、一歩踏み込むと次元が異なって見えるような意識問題を、

ベクトルの捉え方

と私は呼んだりしますが、少なくともひとつ上の次元で物事を捉える努力は続けたいものです。

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