ベトナム(ハノイ)視察記 ①

投稿者:木村 裕紀

2011/05/30 10:12

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こんにちは

5月22日~26日にベンチャー経営者15名程で、ハノイに視察に行ってきました。
感じたことを2回に分けて記していきます。

ベトナムホーチミンには複数の取引先があることもあり、何度か仕事で訪問しておりますが、首都のハノイは初めての滞在です。

 

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1回目は訪問日記のようになってしまいますが、お付き合い下さい。

 

初めに、今回の視察でお世話になりました全ての皆様のご厚意に、感謝申し上げます。

 

今回訪問した先は、

①日系会計企業

ベトナム・カンボジア等に進出している日系企業を中心に、300社程の顧問先を持っておられる先です。
現地法人の立ち上げ方、利点、現地でのビジネス慣習や会計、労務についてお話を伺いました。

②ハノイ工科大学

ハノイ工科大学が、産業界、政府、教育界に通用する一流のIT人材を育成することを目的にしているHEDSPIというプロジェクトがあり、その説明を受けてきました。
HEDSPIというのは、Higher Education Development Support Project on ICT
ということで、ICTを支える高度技術者を養成するプロジェクトという感じでしょうか。

特に日本語が話せて、ベトナムと日本の懸け橋となるブリッジSEを育成し、
日本からのオフショア開発を受け入れ、相互の産業育成を目的に、
日本のJICAやJBICが資金提供や、留学生の受け入れをサポートしています。

その中でも特に優秀な20名程の学生は、国費で2年間慶応大学、立命館大学に
留学をしております。

帰国した留学生の皆さんと、ランチもご一緒してきました。

ベトナムで最も優秀な層の学生たちの、将来ビジョン、今後やりたい仕事、日本で得たことなどを聞かせてもらい、ベトナムの最優秀層のエンジニアの見ている将来像に触れる時間になりました。

 

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③ベトナム国内3位のモバイルコンテンツプロバイダ

学生エンジニアを中心に開発しているにも関わらず、既に国内3位の売上規模を誇っており、将来性が高い企業でした。

そして経営陣が、CEO、COO(マーケティング担当)、CTO(技術開発担当)を明確に執行範囲を定めており、MTGでも専門の経営責任者が専門領域に回答をする姿勢が印象的でした。

ベトナムの若手経営者の企業は、欧米、日本での留学、MBA経験などを通じて、先進国の効率的な経営の在り方、ビジネスモデルを理解し、成長著しい自国市場に対して最適なローカライゼーションを図っていると感じます。

これは、外資の中小、ベンチャー企業が内需マーケットに参入した際の、大きな参入障壁というか、ライバルの強みになることだと感じます。

売上1億にも達していないのですが、現在のベトナムの市場規模、日本との経済格差、国の平均年齢27歳、携帯の普及率を考えると、将来的に更に大きく成長する可能性を感じる企業様でした。

現在の日本でも、モバイル、スマホのSNS、ゲーム市場は熾烈な競争となっていますが、
ベトナムでも大きなビジネスチャンスとなりつつあるようです。

④設立10年のソフトウェア開発、システムインテグレーション会社

日本からのオフショア開発の状況、ベトナム国内のSI市場、今後成長するであろうAndroidアプリの開発の話を伺いました。
また、設立10年平均年齢27歳というと、当社と同じようなベンチャー企業であり、
若手スタッフのモチベーションの源泉や、マネジメントについてもお話を伺いました。

 

 

⑤ベトナム最大のICT上場企業の子会社

日本のNTTのような会社の子会社に訪問して参りました。
子会社で社員数2,700名 売上規模45億程
連結社員数12,000名程 売上規模130億くらい
ベトナムのGDP規模が現在10兆円超くらいと考えると、国内GDPの1%以上を
この会社が創出していることになります。

 

今後GDPが成長すれば相対的に当該企業のシェアは下がりますが、新興国のメガ企業の影響力の強さや、国の発展に大きく寄与している面積の広さなど、驚嘆しました。

 

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子会社顧客の5%しかベトナム企業はなく、58%が日本、欧米で23%とと聞き、
今後のベトナムの市場の成長に合わせて更に巨大化していくことが良く理解できました。

会社紹介VTRなども拝見させて頂きましたが、ベンチャースピリット溢れる内容でした。

スローガンが 
民主 団結 イノベーション 挑戦
を掲げており、

なぜ当社が選ばれるか?
①活気と意欲のある人材
②世界基準プロセス
③グローバルリーダーからの信頼
④費用効率
⑤グローバル展開

と明確なマーケットメッセージを送っていることも印象的でした。

ソフトウェア、システム開発の会社ですが、人の品質の高さ、組織カルチャーを高める企業プラットフォームがあり、それを明確に強みとして発信している明快さや簡潔さに、USPの打ち出し方の妙味を感じました。

企業カルチャーをプラットフォームに、ヒトを成長させ、活性化してイノベーションをしているメガベンチャーのGoogle、Appleに近い「自責、自律、自由」を感じました。

また、フライト中に「ザッポス伝説」を読んでいましたが、やはり近しい企業文化を感じました。

 

⑥日系SI会社の合弁現地企業

この会社では、日本のSIの受託をしており、人材の質が非常に高いようです。

採用力×育成力⇒競争力

ですが、採用面においてはハノイ工科大の学生を大量採用しており、彼らがモチベーション高く仕事をする為の環境作り、マネジメントの在り方などを学ばせて頂きました。

また、こちらの会社の若手と交流会をさせて頂きましたが、ハングリーさ、活力、素直さ、感性、
エネルギーはすさまじく、日本からの受託が積み上がれば積み上がるほど、組織とビジネスがどんどん大きくなる源泉のマグマのようなエナジーを感じました。

日本の企業の飲み会では考えられないような、ソウルフルな熱い会でした。

⑦世界一の真珠の養殖工場

ビジネスプロセス

原材料発掘 ⇒ 原材料調達 ⇒ 加工 ⇒ 製品化 ⇒ マーケティング ⇒ 販売 ⇒ 流通 ⇒ アフターサポート

通常の製造業は

原材料調達 ~ 販売 迄が中心だと思いますが、このプロセス全てを抑えて
のビジネスモデルに、まずは感嘆しました。

*自動車産業が、最大に雇用とGDPを創出するビジネスなのは、このプロセスの帯が
長いからですね。

Webマーケティングですと、
製品化 ⇒ マーケティング ⇒ 販売 ⇒ アフターサポート

マーケティング ⇒ 販売 ⇒ 製品化 ⇒ アフターサポート
などが中心です。

工場というと、加工、製品化を低コストで請け負っているイメージですが、
この会社は、原材料を生み出すところから始まっていました。

 

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究極の0⇒1ビジネスを拝見させて頂き、その製造プロセス、人材登用において、
自然の原理原則といいますが、淘汰と再生の法則が活用されており、
「適者生存」のダーウィンの進化論をひとつのビジネスプロセスの中で実現していました。

次回のコラムでは、今回の滞在で感じた
事業、商品、サービスの競争力の源泉と、ヒトの質の競争力について
書いてみたいと思います。

長文で分かりずらい点もあったかと思います。
最後までお付き合い下さり、ありがとうございました。

平成23年 5月30日   木村 裕紀