【ベトナム現地法人経営秘話】LCC元年、海外視察出張はビジネス成長のための投資機会に!? ~カンボジア・プノンペン視察出張覚書~

投稿者:小川 悟

2012/07/21 16:04

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私は毎年海外へベンチマークをしに行きます。ラスベガスの例でもわかる通り、アメリカでは「変化について」学ぶことができるからです。(中略)そこで私は「変化しない社会」を学ぶためにヨーロッパへ行くわけです。(中略)どうせ現場を見に行くなら、「変化する社会」と「変化しない社会」の両方を見ることが大切です。

/『人を信じても、仕事は信じるな!』(小山昇著)

 

先月6月初旬、機会があってカンボジアの首都プノンペンへ行ってきました。

株式会社ヘッドウォータース篠田会長の主催されたベトナム・カンボジア視察ツアーでしたが、私はホーチミン市内のご案内を半日お任せ頂いた後、そのまま以降の行程に参加させて頂いたのでした。非常に気付きの多い視察出張となり、本当に良い機会を与えて頂いたと感謝しております。

 

■視察ツアーに参加されたベンチャー企業経営者の方々がフリーセルベトナム(以下、FVN)にご来社頂いた際に、FVNの事業内容や進出目的などについてプレゼンテーションさせて頂きました。

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本件につきましては、篠田会長、及び当社代表の木村がコラムで触れておりますので、以下、ご参考下さい。

■株式会社ヘッドウォータース オフィシャルブログ「JCIT」(2012年06月21日)
http://www.headwaters.co.jp/blog/shinoda/2012/06/post_490.html
■木村 裕紀│コンサルタントコラム│Webコンサルタントjp 「リーダーの条件 構想実現力」(2012年06月28日)
http://www.web-consultants.jp/column/kimura/2012/06/post-41.html

今回のコラムでは、カンボジア出張の報告というよりは、海外視察出張に対する一般的な位置付けの変化と、昨今のLCC(=Low-Cost Carrier,格安航空会社)台頭を重ね合わせて私の思うところを書いていきたいと考えています。

今までカンボジアへはプライベートで行ったことはあったものの、出張で行くというのは初めてのことでした。
当然ながら同じ見聞は見聞でも、目的や行先、同行者も異なるため、得られるものも全く変わってきます。

民間企業のオフィスや仕事風景の視察にはじまり、上院議員からのお話、プノンペン大学でのお話、JETROでのお話、また今年4月に設立したばかりのカンボジア証券取引所(CSX)、及びCSXへの上場第1号企業となった国営プノンペン上水道公社をIPOさせたTongYang証券でのお話など、2泊3日とは思えないほど充実した視察出張となりました。
なかでも、視察ツアーにご参加されていたベンチャー企業経営者二十名近くの方々と交わす会話自体が何よりの収穫でした。

cf.
■熱いぜカンボジア! 4月18日に株式市場がスタート(「ザイスポ!|ザイ・オンライン」,2012年4月17日)
http://diamond.jp/articles/-/17295
■カンボジア証券市場、海外投資流出 待たれる第2、第3の銘柄上場(「SankeiBiz」,2012年6月6日)
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/120606/mcb1206060501004-n1.htm
■プノンペン 全家庭にテレビ PCは3割、フェイスブックも人気(「SankeiBiz」,2012年6月13日)
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/120613/mcb1206130501006-n1.htm

 

■TongYang証券(TONGYANG Securities Inc.)にて。韓国資本の企業。韓国はカンボジア証券取引所(CSX)の設立や運営にも協力しています。

 

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話は一旦横道にそれますが、奇しくも今年2012年は、まさに「LCC元年」と言えるでしょう。

LCC自体は日本でも以前から就航していますが、昨年より日本国内の既存航空会社が資本提携を進め、本格始動してきたのは今年に入ってからのように思います。2012年3月1日にピーチ・アビエーションが、7月3日にはジェットスター・ジャパンが国内線でそれぞれ初就航、来月8月1日にはエアアジア・ジャパンもいよいよ初就航が予定されています。
昨今続く円高に加え、LCCの便数が増えてくれば、多くの方の目が海外に向くことは想像できますが、これはビジネス面へも多少なりとも影響が出てくるのではないでしょうか?

■2011年は東南アジアへの旅行が急増。「韓国」渡航率は過去4年間で最高に(「マイナビニュース」,2012年6月20日)
http://news.mynavi.jp/news/2012/06/20/114/
■日航VS全日空の「代理戦争」激化 LCC同士の値下げ競争過熱(「SankeiBiz」,2012年7月4日)
http://www.sankeibiz.jp/business/news/120704/bsd1207040502005-n1.htm
■日本企業におけるビジネス・トラベルの実態と課題 — 「ジャパン・ビジネス・トラベル・フォーラム」で調査結果を発表 -(「インターネットコム」,2012年7月13日)
http://japan.internet.com/busnews/20120713/2.html

 

今まで、私たち中小企業にとっては特にかと思いますが、海外出張というと少々敷居の高いものでした。ところが、時代は今まさに大きな転換期を迎えているように感じています。

昨今の日本では、ニュースを見れば「グローバル化」「海外進出セミナー」の文字が目に入ってきます。
しかし、ホーチミンで半年間駐在している間に、現地で政府・大学関係者、多くの経営者の方とお会いしましたが、「グローバル化が重要だ」という話を聞いたことがありません。ただ、ビジネスイベントに呼ばれて行ってみれば、ベトナム企業と韓国企業のビジネスマッチングの場であったり、マレーシアの企業の視察団との懇親会の場であったり、そういったことが日常的に起こっています。

また、FVN宛てのお問い合わせでは、ベトナム国内からはもとより、東南アジア以外の国からお問い合わせがあったり、中国市場向けのWebサイトを作りたいといったお問い合わせが増えてきています。さらに相見積もりを取っている他の企業も、日本やベトナム以外の国の企業であることもあります。日本にいたときには考えられなかった現象です。

そして、ほぼ全ての企業からのご要望で共通しているのが、ベトナム語版以外に英語版ページも作るというものです。これは、日本市場との決定的な違いだと痛切に感じたものでした。ベトナムの現地企業にとって、英語版ページを制作する(多言語に対応させる)ことは「グローバル化」でも何でもなく極一般的な商習慣だったということです。

cf.上場企業のウェブサイトの中国語化は、英語化の2倍近い伸び率 調査レポート『上場企業コーポレートサイト 多言語対応状況調査報告2011』発表(アークコミュニケーションズ,2011年6月21日)
http://www.value-press.com/pressrelease/79829

余談ですが、ホーチミンの観光名所として旅行客がよく訪れるベンタン市場では、ほとんどの店の店員が日本語で話し掛けてきます(欧米人に対しては英語)。当然このくらいのことは他のアジア諸国でもよくある話ですが、こうしたベトナムの市井の人々も同様に、観光立国を目指す途上の日本と比べ商魂逞しく外国人に日々販売活動をし続けている方が多いのが実情です。
これらのようなことは事前に分かってはいたことですが、実際に体感してみると結構な衝撃です。

先に引用した「日本企業におけるビジネス・トラベルの実態と課題」の記事内に「出張経費は増加傾向、”出張は投資”と捉える企業が増加」とあります。

私も今回のカンボジア出張で多くのヒントを得ることができました。詳しくは機会を得て書こうと考えていますが、実際に自身の目で、見聞き感じることが重要だったと思っています。海外ビジネスの情報として、ノウハウ本などは日本でも多く発売されており、簡単に入手することができます。当然私も幾つかを事前に読み、また持参してもいますが、実際に必要に迫られて見聞き感じたことの方が、自身の課題やビジネスに取り組む場合に限っては参考になることが多いと感じています。

そうした海外出張については、LCC台頭も一つの契機になるかもしれません。安全性や欠航の確率など懸念はあるものの、LCC側の方針を理解して事前に対応していれば上手に使いこなせるようになると考えています。

今から100年ほど前に、詩人の萩原朔太郎が「ふらんすへ行きたしと思へども ふらんすはあまりに遠し」で始まる詩を書きましたが、当時の交通インフラと現代のそれとを比べたら、時間(=距離)も費用も、今の私たちにとって海外はぐっと身近な場所になりました。

例えば、カンボジアの首都プノンペンへは日本からの直行便はまだないものの、ベトナム・ホーチミンからだと僅か40分、費用はせいぜい往復15,000円程度(陸路だとバスで6時間、国境までは2時間、費用は1,000円程度)です。
よく「アジアの中心はシンガポール」と言われますが、各国へのアクセスに限って言えばホーチミンでも良い方だと思います。

さて、まもなくこのコラムも終えたいと思いますが、5月末には、株式会社幕末様の主催されたアジア視察ツアーのご一行様にもFVNにお立ち寄り頂き様々な情報交換をさせて頂きました。現地法人を持たない企業の中でホーチミンに視察に来られる企業の目的は、情報収集段階、本格的に進出を検討、アウトソーシング先の選定のどれかであることがほとんどです。

私の個人的経験で言えば、私たちのような中小企業にとって、自分の目や耳で現地を体験・確認することや、既に進出している企業の方から直接話を聞くことは貴重な機会になると思います。

ITのオフショア開発拠点として捉えるならば人材力はどうか、電力は確保できるのか?とか、市場として捉えるならばGDPや購買力の成長率はどうなのか?といった統計が気になることもあるかもしれませんが、そのどれもがベトナム全体と都市部とで平均値や事情が大きく異なります。大手流通業や工場を作るといった規模でない限りはそこまで重要な指標になるとは思えません。そういった意味でもまず一度現地を視察していろいろな方とお話しする方が理解が早いと考えています。

普段懇意にさせて頂いているホーチミンの企業様の幾つかも、親会社の社員旅行先をベトナムにしたと言って、日本から大勢の社員の方が来越されてベトナム側のスタッフたちに交じってコミュニケーションを図っている様子が、Facebookなどにも続々とアップされています。

 

そういえば、まだ正式にご紹介していませんでしたが、FVNのオフィシャルFacebookページもあります。

 

■Freesale Vietnam Co.,LTD.

https://www.facebook.com/freesale.vietnam

 

ベトナム語での投稿が多いですが、ときどき日本語でも書いています。もしよろしければ「いいね!」をクリックして頂き、今後最新情報をご覧下さい。

 

このコラムを読んで頂いている方の中で、海外視察出張の意義に疑問を感じられている方もいらっしゃるかもしれませんが、せっかくここまで良くも悪くも、大きな時代の転換期にビジネスができているのですから、今までの考え方を捨ててというよりは、加えてもう一つの考え方、やり方を実践することも検討してみてはいかがでしょうか?

当社のWebコンサルティングをご利用頂いているお客様の1社も、当社より少し早くホーチミンに進出されており、どんどん結果を出されていっているようにお見受けしております。今の私の土地勘や人脈は、まだまだの部分がありますが、もしもお客様や今後お客様になられる企業様がご進出される際、ホーチミン視察のきっかけになれたら良いなと感じています。日本はもちろんのこと、ホーチミンでのWebサイト制作や保守業務についても是非お任せ頂ければと思います。

それでは、今後ともどうぞ宜しくお願い致します。