「第1回ホーチミンIT飲み会」に参加してきました ~「タイムマシン経営」は日本中心の発想から離れて考える~

投稿者:小川 悟

2011/12/31 10:46

この記事は約13分で読むことができます。

長年、日本は経済大国として優位なポジションに位置し、有利にビジネス交渉を進めることができた。今後は、どのような友好な手段で相手とウイン・ウイン(双方にとって望ましい結果を得られる)な関係になれるか、相互利益を考えなければならない。(中略)国内で日本人が考える、日本を中心軸とする思考は偏りが大きい。グローバルには、このような偏った考え方が弊害になる。

/『海外勤務を命じられたら読む本』(白藤香著)

 

早いもので、いよいよ2011年も最終日。

今年1年、お客様、お取引先様と関係各位には大変お世話になりました。この場を借りてお礼申し上げます。

 

さて、今年1月に以下のコラムを書きました。

 

映画『ソーシャル・ネットワーク』を観て視野を拡げる ~2011年「辛卯」の年、当社設立10周年を迎える年は明るい年に!~

 

当社にとっては設立10年を迎えた節目の年でした。「明るい年に」という点で言うと、震災や洪水などもあって決して明るい年とは言えませんでしたが、当社だけで言えば総体的には明るいニュースが多かったように振り返ります。

 

IT関連の話でいけば、1月に映画『ソーシャル・ネットワーク』が公開されたとき、Facebookユーザー数が全世界で6億人に迫ると言っていたのに、いまや8億人に迫る勢いです。まさに今年2011年はソーシャルメディアが台頭し、政治活動や企業のプロモーションから友人や家族とのコミュニケーションツールといった使い方まで、一般大衆にまで浸透した年になったと言えるかと思います。

 

それから、上記のような新しい特性を持ったメディアの浸透に合わせて、スマートフォンや「iPad」をはじめとするタブレット端末、電子書籍といったデジタルツール等もまた、数年前までは一部のイノベーターやギークの専用アイテムだったものも、いまでは老若男女を問わない生活家電の一つとなり始めました。

 

当社も例に漏れず、Twitterアカウント開設に次いで、Facebookアカウント開設、各種公式サイトのスマートフォン対応を完了させ、関連セミナーなども多くおこなってきました。

 

現在6000社を超える当社お客様である中小企業様の間でも、自社の公式サイト以外にこうしたソーシャルメディアのアカウントを開設されたり、スマートフォン対応化させたりと、ビジネスに活用し成果を上げられているところが出てこられました。

 

既存のお客様向けにクローズドで配信しているメールマガジンがあるのですが、その中の一つのコーナーで、成功事例を採りあげてご紹介するという内容もあり、引き続き成功事例を集めていきたいと考えております。

 

基本的に当社が提供しているような「Webコンサルティング」をアウトソーシングとして利用されようとしている中小企業様は、インターネット上のこうした新しい潮流にも敏感で活用意向が高いように思われますが、まだ導入されていなかったり、うまく活用しきれていない企業様も多くいらっしゃいますので、これから出会うことになる企業様も含めて、しっかりとサービス提供できるように体制を固めていきたいと思います。

 

 

そんな今年の年末も例年同様にニュースのダイジェスト、検索キーワードランキング、「今年の漢字」など、一年をまとめに入るコンテンツがいろいろと公開されました。

 

この中に、「社長が選ぶ 今年の社長」というのがあり、1位に孫正義氏が選ばれていました。

 

cf.社長が選ぶ今年の社長2011|調査報告書|学校法人産業能率大学

http://www.sanno.ac.jp/research/president2011.html

 

孫正義氏は昨年に引き続き2年連続で1位とのことです。確かに、震災時も孫正義氏が「個人で100億円を寄付」というニュースがあって、大変驚いたものでした。

 

その孫氏が90年代後半に提唱したとされる「タイムマシン経営」という考え方があります。今となってはもう陳腐化されてしまったのか、よく話題にのぼる言葉ではなくなっています。

 

当時、IT分野で最先端と言われていた米国シリコンバレーを中心として、流行していた技術やサービスを日本に輸入して、まだ流行を迎えていない日本で展開すれば儲かる筈だというビジネス投資の在り方のことで、先進する米国を「未来」、遅れていた日本を「現在」として、時差を活用して収益を上げるというビジネスモデルをタイムマシンになぞらえて孫氏がそのように呼んだと言われています。

 

この呼称や考え方の是非はさておき、結果としてこのようなモデルで事業をおこなってきた企業は業界問わず多いと思いますし、先進している国にリサーチに行って日本で展開するビジネスのヒントを探ろうとされている方は今でも多くいらっしゃいます。孫氏が日本で初めて開発・創造したビジネスモデルというわけではないと思います。

 

しかし、当時から孫氏の経営手法は多くの経営者や若手起業家たちの注目の的となり、ヤフー株式会社の筆頭株主であるとか、ボーダフォン買収だとか、iPhone独占販売だとか、あるいはブログが流行し始めたり、「mixi」や「GREE」がリリースされたりとニュースを賑わす度に時折「タイムマシン経営」なる言葉が再燃することがあったのでした。

 

つまり、企業が利益追求や理念の実現のために常にニーズなりシーズなりを追求して、何もないところに市場を生み出そうとする限り、新たに創造するか、「ある」ところから「ない」ところへ持ってくるかしかなく、またそれは企業の経済活動上必然であるということなのかと思います。

 

 

さて、これより表題の、「第1回ホーチミンIT飲み会」の感想を簡単にご報告したいと思います。

 

cf.ホーチミンIT飲み会 – IT飲み会 公式サイト

http://www.it-nomikai.jp/hochiminh

 

「第1回ホーチミンIT飲み会」は12月2日に、Pizza4P’sで開催されました。会場となった「Pizza4P’s」はホーチミンでは説明不要の有名店ですね。

私はこの時期、ちょうどホーチミンにいたため、参加することができました。総勢80名以上が参加したと言われていますが、実態としては延べ100名くらいの方がベトナム国内外より来られていたように思います。

 

母体は、株式会社 EC studio様と株式会社サムシングファン様が主催となって立ち上げられた「IT飲み会」で、「売上を上げるための情報交換」「売上を上げるための人脈作り」「飲み会中に売上を上げる」という3つの目的を掲げ、日本全国に各支部(幹事企業)を置いて定期的にイベントを開催されています。IT系の展示会に「IT飲み会」名義でご出展されていたこともあったので、ご存知の方も多いかもしれません。

2008年より活動を開始して、2011年にはついに、サンフランシスコで初の海外開催がおこなわれ、今回のホーチミンはグローバル第2弾ということでした。

 

普段ですと1社30秒程度のプレゼンタイムがあるのですが、今回は2社が代表してプレゼンをおこないました。

株式会社ビーコンエヌシー藤井悠夏氏による「ベトナムにおける結婚ポータルサイトの立ち上げについて」は大変興味深かったです。

 

藤井さんとは「第1回ホーチミンIT飲み会」の少し前に食事の席でご一緒させて頂く機会に恵まれ、オフィスも見学させて頂いたことがあるのですが、ご自身のキャリアの中で蓄積したノウハウを、まだあまり市場が生まれていないベトナムで展開され支持を受けています。

 

日本にいて日本人の目で「タイムマシン経営」をおこなおうとすると、「もう出尽くしたかな?」と思えるようなことも、例えばベトナムに来て日本から輸入したことをおこなうことで時差を利用したビジネス展開というのも可能そうです。

 

「タイムマシン経営」を語源のままに「米国(未来)」と「日本(現在)」という相関関係でしか見ることができないと、こういった発想はなかなか出て来ないですね。そもそも、語源的な「タイムマシン経営」も、「日本(現在)」しか見れていなかったら成立しない概念ですしね。

 

藤井さんは海外でお生まれになり外国で生活された期間も長いようですので、このような固定観念がないのかもしれないと感じました。

 

なにやら来年はテレビ番組で特集されるとのことで、機会があれば是非拝見させて頂きたいと思いました。

 

cf.NHK アジアで花咲け!なでしこたち|2012年2月7日(火)BS1でスタート

http://www.nhk.or.jp/asia-nadeshiko/


 

よく日本人が外の世界を知らないたとえに使われるのが、「オーストラリアの世界地図」ですね。日本で売られている世界地図はもちろん日本が中心に描かれていますが、アメリカで売られている世界地図はアメリカが中心に描かれています。そして、オーストラリアで売られている地図の中には、なんと、天地が逆になったものがあるという話です。もちろんこれは公式の地図ではありませんが、日本人が見ると異様なものに見えます。私たちは「世界地図」と聞くとどうしても日本が中心にあるデザインのものをイメージしてしまうのです。

 

同様にテレビなどで、世界の国々で日本に対する印象を街頭インタビューすると「サムライ」、「ゲイシャ」などと言っている人がクローズアップされて映像編集され、それを見て私たちは「いまだに日本を知らない国もあるのだな」と一つのネタのように感じることがあるかと思いますが、その逆――つまり、外国のテレビ番組で日本人にインタビューをして検討違いの印象を述べてしまう番組を見たことがないこともあって、私たち日本人も同様に世界を知らないという認識が少なかったりします。

 

例えば、南アフリカ共和国を例に出してみます。「2010 FIFAワールドカップ」でも記憶に新しいと思いますが、この国に対して一般的にどのような印象を持ちますか?もちろん人によって違うとは思いますが、先の「サムライ」、「ゲイシャ」と大差ない発想をしてしまう人もいるかもしれません。

 

人口5,000万人、インターネット普及率ではまだ10%超えといったところですが、携帯電話の普及率は100%を超え、既に非接触ICカードも普及していたことから、直近ではモバイルペイメントによるショッピングが当たり前のようにおこなわれていくだろうと言われています。

 

cf.世界で2番目に大きな携帯電話市場となったアフリカ / 成長スピードがすごい!(「ロケットニュース24(β)」,2011年11月16日)

http://rocketnews24.com/2011/11/16/152125/

 

また、いわゆる「国際都市」という言葉がありますが、東南アジアの幾つかを見て回るとそれに該当する都市があります。その多くで様々な国の人が街を往来し、店先では時折英語や日本語での会話がやり取りされといった光景が見られますが、日本ではむしろ東京の主要な繁華街に行っても、お土産屋さんに外国人が大勢集まって店員さんが日本語と英語を使い分けて話しかけているという光景はあまり見られません。

 

東南アジア、とりわけ新興国では特に、「英語や日本語が話せる」というステータスがあることで待遇の良い職場で働けたり、ビジネスチャンスを生んだりすることが多いから話せる人が多いのかもしれません。

 

そういう点でも、個人所得や国力の上では日本から海外に行く方が楽だったり、マスメディアやインターネット普及率の面で見ても、日本にいる方が情報を多く仕入れやすい筈の私たち日本人にも知らないことは多いように感じました。

 

他にも感じることは多々あります。これは異論反論あると思うのですが、韓流ブームのさなか、ある人と話していて「なぜ韓国は国をあげて日本にプロモーションを仕掛けてくるのだろう」と言われたのですが、「日本に」というより「日本にも」「各国に」という方がしっくりくるように感じていました。

 

例えば、やはりベトナムを例に出しますと、ベトナムで一番高いビルはホーチミンにある「Bitexco Financial Tower」ですが、施工は韓国のヒュンダイ・エンジニアリング・アンド・コンストラクション(以下、ヒュンダイE&C)ですし、現在構想中といわれる100階建てのビルの建築プロジェクトにも韓国系企業が参画していると聞きます。

日本が原子力発電所の誘致で支援するとなれば、ヒュンダイE&C社は火力発電所を担当しています。

 

ちなみに、JETROが発行する「ベトナム・ホーチミン近郊ビジネス情報2011」によれば、世界からの直接投資の推移(2010年までの累計額)を見ると、1位が台湾、2位が韓国、3位がシンガポール、そして4位が我が国日本となっています。額の上では、日本よりも韓国の方が投資をおこなっているということです。

 

これもまた「日本人による、日本中心の発想が生むバイアス(偏見)」と言えるのかもしれません。

 

人というのはいくら不偏不党であると自称していても、どうしても先入観や偏見を持って物事を見たり価値を判断してしまうものとは思います。かくいう私も同様ですが、先のような「日本中心」の発想というのは日本国内では通用するとは思いますが、一度日本を出ると通用しないことも多いと感じることが増えてきました。

 

これからのグローバル社会で、日本が再び(引き続き)アジアをリードする国であり続けるためには、あえて「日本中心の発想」から離れていかないといけないのではないか、という気にさえなってきます。

 

cf.図録▽経済成長率の推移(各国比較)(出所:社会実情データ図録)
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/4500.html

 

 

「第1回ホーチミンIT飲み会」に参加された方々は、既にベトナムへ投資・進出されている企業の方、もしくはこれから進出をご検討されている方がほとんどでした。

もちろん参加されていた企業は、主にIT関連企業が多いのと、全ての企業が参加されているわけではなく既に十数年前から進出されている企業様もベトナムには多くあります。

 

私が見たのはそうした企業の一部ではあるのですが、その熱気(文字通りの意味以外に、ビジネスの可能性の感じられ方等も含め)はすごかったです。

この熱気も、日本にいると分かりにくいですよね。もちろん私も実際に参加していなければその熱気は感じることができなかったわけですが、私自身ももし日本にいながらこの話を聞いても、また公式サイトのレポートや誰かのブログなどでいくらその熱気を伝えられても、実際に目の当たりにしないと正確には伝わらなかったろうと思います。

 

主観・直感も大切だと思いますが、それは自身の経験値を上げた上での主観・直感でありたいと思いましたし、今後も出来るだけ客観的事実を把握した上で自身の意見を持ちたいと感じました。

 

今後、ベトナムをはじめ、東南アジアや欧米諸国に進出される中小・ベンチャー企業様も増えてくるかもしれません。もし、ベトナムへご進出のご予定がある企業様で、日本やベトナムでのWeb戦略についてお困りのことや、実施したい施策などがあるという方は是非一度ご相談下さい。

 

それでは来年もどうぞ宜しくお願い致します。