カントリーリスクを踏まえ、ベトナム投資・進出時にチェックしておきたい工業団地、ハイテクパーク、ソフトウェアシティのご紹介 ~上半期総会を終え、「自己成長のためには新たな環境に自ら身を置くことが一番早い!」と感じた海外出張記~

投稿者:小川 悟

2011/10/31 19:58

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考えてみてください。人としてあなたはどのように成長していますか。プロフェッショナルとしてあなたはどのように成長していますか。昨日より 今日のほうが人として進歩していますか。同僚や直属の部下をどのように仕事で成長させていますか。あなたはどのようにチャレンジし、自分の能力を伸ばしていますか。毎日何か学んでいますか。あなたが目指すビジョンはどのようなものですか。会社全体をどのように成長させようとしていますか。会社の成長を促すためにあなたができるあらゆることをしながら、また同時にほかの人が成長について理解できるように手助けしていますか。あなたは会社のビジョンを理解していますか。

/『顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説―アマゾンを震撼させたサービスはいかに生まれたか』(トニー・シェイ著)

 

10月に入り、当社も第11期下半期に突入致しました。

15日には、震災以降おこなえていなかった社員総会が約1年ぶりに開かれ、各拠点のスタッフとも久し振りの再会を果たせました。また、12年卒の内定者に向けた内定式もその中でおこないましたが、第二部の懇親パーティーでは若々しい雰囲気ですっかり溶け込んでいたようですので、早く一緒に仕事をできると良いなと感じました。

 

総会では、恒例の半期業績発表がありました。このような時期ではございますが、9月度の売上は過去最高、営業利益も10%超えができました。スタッフ一同で労い合うとともに、当社収益のほとんどがお客様から頂くお金で成り立っていることからも、改めて感謝の気持ちを全社200名超のスタッフ同士で共有することができた明るい総会になったように思います。

各部門ごとの進捗発表や表彰時、また、新規事業プランコンテストの発表時も、当社の今期経営テーマ「全員アドベンチャー」に沿ったポジティブな発言が多くみられました。

 

それから、9月末にはビジネス誌『ベンチャー通信 vol.44』(株式会社幕末様)に取材頂いていた記事が掲載され、私の見るCS本部を大きく採り上げて頂きました。

 

cf.『ベンチャー通信』(2011年10月号 Vol.44)に当社記事が掲載されました

http://www.freesale.co.jp/news/media/2011venture.html

 

CS本部はWebサイトのディレクターやクリエイター、SEO対策やアクセス解析、保守・改修作業を含めた納品後のサポート部門など、全社で90名以上のスタッフが所属しております。

ところが、創業以来、新規営業が強い会社と称して頂いたことはあってもCS部門が前面に出ることはなかなかなく、(私たちCS部門も、営業部門に負けじと切磋琢磨、協働関係を構築し続けてきた自負もありますので、)是非、これを機会に多くの経営者様に知って頂けたら幸いと考えております。

 

 

さて、今回のコラムの本題に移らせて頂きます。

9月末に引き続き、10月中旬にもベトナム・ホーチミンへ視察のため出張に行って参りました。今回の出張でも学び、視野が広がったことが多かったので、是非皆様にも共有させて頂きたく思います。

 

今回の出張時には、ご縁があって、ホーチミン市を代表するハイテクパークのSAIGON HI TECH PARK」(SHTP)、同様にソフトウェアパークのQUANG TRUNG SOFTWARE CITY」(QTSC)を訪れました。

 

両社ともに日系企業向け誘致については積極的であるのに、日本語版ページをお持ちでなかったため、当社の方で制作をさせて頂くことになりました。

ホーチミン市の産業集積エリアとして有名なところとしては、他にもe.townや、12の工業団地を含め、全部で18か所の輸出加工/工業集積地帯があります。ホーチミン市以外、ベトナム北部や中部の工業団地の情報については、以下に詳しいと思います。

 

cf. ベトナム北部・中部工業団地データ集(2011年6月)(「ジェトロ」)

http://www.jetro.go.jp/world/asia/reports/07000252

 

それから、13日には千代田区・ホテルニューオータニで「ホーチミン市における裾野産業・IT産業・ソフトウェア産業の投資促進セミナー」が開催され、ベトナムに1号店を開業されたイオンをはじめとした日系企業への投資ライセンスの授与式がおこなわれていたようです。

私は翌14日に目黒・八芳園で開催された「日越IT企業交流会」にお招き頂き、アットホームな雰囲気の中で、SHTP/QTSCの各社会長をはじめ、ホーチミン市副市長、ホーチミン市コンピュータ協会会長、ホーチミン市計画投資局ご担当者様、FPTジャパンご担当者様とお話しする機会に恵まれました。そこで、現状のホーチミン市の掲げている目標やIT産業の現況についてのご説明があり、質疑応答の時間も含め理解が増し、大変有意義な時間を過ごすことができました。この場を借りて、QTSC・Duputy CEOのLONG氏に厚くお礼申し上げます。

 

■日本勢誘致、中小に狙い カンボジア、ベトナムが優遇策(2011年10月18日,「Yahoo!ニュース」)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111017-00000000-fsi-bus_all

■ベトナム最新インターネット事情 2011年 ~人口8000万人、生産拠点としても市場としても注目を浴びるベトナム(2011年10月31日,「INTERNET Watch」)
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/special/20111031_487635.html

 

 

一方で今私が気になっていることは、先日NHKで放送された「クローズアップ現代」で語られた内容です。24日放送分のタイトルは「タイ大洪水 苦悩する日系企業」でした。まずは、お亡くなりになられた方、被災に遭われた方々、ご関係者にお悔やみ申し上げます。

 

東南アジア地域における水害自体は珍しいことではないと思うのですが、今回は50年に1度の規模の被害をもたらした大洪水と言われているのを聞き、私もタイには過去5回ほど旅行したことがあり、多くのタイ人の方に親切にして頂いたことを思い出しながら大変心配に感じています。とにかく、一刻も早い事態の収拾を願っております。

 

■【楽天株式会社】社会貢献活動│楽天クラッチ募金

http://corp.rakuten.co.jp/csr/contribution/

※東日本、タイ、トルコの災害支援の受付をおこなっているページ。

 

また、この番組をNHKオンデマンドの配信で見ながら、ふと、同番組先月5日放送分の特集「超円高に立ち向かえ ~海外進出の新戦略~」の内容を思い返していました。

 

20日時点でタイの工業団地7つが浸水、日系企業460社が操業停止に追い込まれたと言います。震災・円高の影響で海外進出を余儀なくされ、もしくは商機と捉えてアジア進出を決断した中小企業――、タイに進出した企業もあった筈です。

日本にいて自身の仕事だけに追われていると、いくらテレビや新聞などに目を移しても、こうした衝撃的な事実もなかなかリアルに伝わって来ないきらいがあります。

私が偶然にも業務の中でベトナム出張を重ねる中で、ほんの一端ではありますが、俗に「カントリーリスク」と呼ばれている事象に対する意識が芽生えたことで、今まで意識しなかったことについても強く意識するようになりました。

 

タイは日系企業進出の歴史も古く、特に製造業の分野では技術力の高い優秀な人材が多くいて、生産体制・ノウハウも蓄積されていると聞きます。

例えば、自動車メーカーで言えば、日本を代表するトヨタ、日産、ホンダ、マツダ、いすゞはもとより、世界中の自動車メーカーが集積しており、90年代後半に起こったアジア通貨危機以降、タイ政府が優遇税制等を推進して海外からの直接投資を増やし、その結果、部品メーカーの進出なども増えて一層の集積化が進んだことで、結果自動車の生産量も増え「東洋のデトロイト(アジアのデトロイト)」と呼ばれるくらいになっています。

 

cf. 知っておきたいASEAN事情(1):再び注目を集める生産拠点としてのASEAN(2011年5月19日,「@IT MONOist」)

http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1105/19/news004.html

 

そうした実績の積み重ねもあることから、日本でも東北で被災した工場の移転先としてや、円高により大幅なコスト削減を強いられての進出先として、あるいはお取引先様の進出に併せたやむなき選択肢として、一部中小企業の間でも進出を検討されたり、既に進出されていた企業もあったことと思います。

実際、番組内で公開された統計を見ても、震災以降は日本からの投資額が急増し、工業団地の用地も地価が急騰したようです。大手企業への打撃もさることながら、このような状況下で進出された中小企業にとっては経営を大きく左右しかねない事態ではないかと察しました。まして、製造業だけで言っても、このような番組には出てこない層の会社も無数にあると思いますし、まだまだ予断を許さない状況でしょう。

 

番組内では、タイでの洪水の影響が様々なことに及んでいるということについて言及していました。先述の自動車メーカーであれば、単に被災した自動車メーカーや、メーカーへ部品を納品する中小企業だけでなく、そこがボトルネックとなるが故に、被災していない企業への発注も停滞するという、サプライチェーン全体に損失が出るといいます。さらに、現代のようなグローバル経済においては周辺国にも影響が及ぶと言われています。日本で言えば、デジカメの発売延期、メガネのレンズの出荷遅れ、食品の減産による原価高騰etc…、対応に追われるスタッフの方々が映し出されていましたが、とても他人事には思えませんでした。

 

この世の中で起こっていることは巡りめぐって、少なからず自身にも影響を与えているようにも感じられてきます。まだまだ見聞を深めるというフェーズまではいっておりませんが、いつもと違った意識や目的を持って、いつもと違った仕事に関わると、辛く感じることも多いのですが、その分今まで見えていなかった世界が眼前に広がってゆくような感じがします。

同時に、おそらく「会社」というモノも、それ自体は「人」ではないので誰か個人の集合であると思うのですが、「なかの人」が新たな環境に身を置いてチャレンジを続けていく中で、「会社」自体がノウハウを蓄積し、強くなっていくのかもしれないと感じました。

 

私たちは、中小企業向けWebコンサルティングを提供し、その商品・サービス力の強化を推進しています。その中で、ふと強く思うことがありますが、Webサイト制作やWebマーケティングというのはひとつの手段であって、それ自体は目的にはなり得ません。

やはり、自身できるだけ多くの学びや体験をし、中小・ベンチャー企業経営者様の状況をより深く理解し、「Webというツール」を使って課題解決に向かって協働作業を生み出していくような仕事でなければならないと感じています。

 

そういえば、当社リードナーチャリングの一環として、既存のお客様向けにアンケートを実施させて頂いたことがあるのですが、直近では「インターネット系の企業に対してどのような印象をお持ちですか?」というご質問をさせて頂いておりました。

中小企業経営者様が普段どのように感じられているのか漫然と把握したかったのでオープンクエスチョン形式でご質問させて頂いておりましたが、10年来この業界におります私の感覚から致しますと、ポジティブな感想を持たれる経営者様が増えてきたことはもちろんですが、自社のビジネスと直結させて具体的な課題解決方法を模索されておられる方が増えてきているように感じました。

 

そうした中で、9月にGoogle社が以下のような内容のリリースを発表し、一部で話題となりました。

 

■グーグル、中小企業をITで支援する「みんなのビジネスオンライン」開始(2011年9月13日,「INTERNET Watch」)

http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20110913_477135.html

cf. Google有馬社長「インターネット産業こそが日本の経済を押し上げていく」(2011年10月20日,「INTERNET Watch」)

http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20111020_484909.html

 

普段、私たちがお客様から相当額を頂いて構築しているWebサイトを、「無料で簡単に作成できる」という触れ込みで登場させたのですから最初は驚きました。しかし、リリースや他の記事をよく読んでみることで、なんとなくの意図の本質は理解できたような気がします。

それは、当社にとって脅威となるサービスであるというよりは、むしろ、記事中にもありますが、「ITで日本経済を支える中小企業を元気に」というコンセプトで始動したものであり、当社と全く同じ目的というわけでもないとは思いますが、Google社と同じ方向を向いてやっていけるんだ!という気持ちになったものでした。

 

cf. 『中小企業白書2011 ~第2部 経済社会を支える中小企業~』(PDF)

 

最後になりますが、改めて「中小・ベンチャー企業向けのWebコンサルティング」と一口に言っても本当に深い仕事だと思います。だからこそ、有意義なものであるとも思いますし、お客様も巻き込んでそうあらなくてはならない――、まさにそうした時代に突入してきたようにさえ思います。

 

下半期もより一層、いろいろなことにチャレンジし、まだ出会えていない多くの方との出会いを通じ、成長していきたいと思っております。それでは引き続き、宜しくお願い致します。