ビジネスマナー研修に参加して、仕事における「守破離」を考えた ~仕事ができる人は基礎がしっかりできている~

投稿者:小川 悟

2009/12/23 16:17

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「世界中のサッカー少年がペレになりたがっている。だから私には、サッカー選手がどういうものかだけでなく、大人がどういうものかを示す責任がある」(ペレ)

/『写真で読む世界の戦後60年』(エリック・ゴドー著)

いよいよ、私としては2009年最後のコラムとなります。今年、新年明けてすぐに、個人的なテーマとして「学習と成長の視点を持つこと」というものを挙げておりました。正直いろいろなことがあって100点とは言いにくいですが、ある程度は取り組め、それなりの結果は出せた部分もあったのではないかと思っています。

先週末の土曜日は、朝一番から研修がありました。「学習と成長の視点を持つこと」に基づいて、今期期初から始めた「フリーセル大学」(cf.「「フリーセル大学」4月開校! ~”学習する組織”確立のための企業内大学設立に向けて~」)の一環としての目的もあって、当社のお客様であるKEE’S様を講師としてお招きし、夜の7時過ぎまで当社スタッフを数十名向けにみっちりと研修をおこなって頂きました。KEE’S様が派遣される講師の方の条件としては、公式サイトから抜粋すると「元局アナ・局契約アナで、現在もアナウンサーとして活動している人材」に限定されており、今回もアナウンサー直伝の、話し方や発声、敬語、その他一般的なビジネスマナーについて網羅的に学ばせて頂きました。

■当社内で行われた研修前の事前説明風景

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当社社長の木村からの助言もあって今回の研修実施に至ったのですが、今のような時期だからこそ、こうした基礎を学ぶことは重要だと実施後改めて思いました。当社は今、「中小・ベンチャー企業向けWebコンサルティングの分野でNo.1になること」を目指しています。そうした中、プロフェッショナルとしてのWebコンサルタントの輩出は責務となります。ビジネスシーン以外の場所で「コンサルタント」についての印象を尋ねると、いまだに「かっこいい」「怪しい」と意見が割れたりすることもありますが、それだけ結果ありき、そして個人に依存した属人的な職業と言えるでしょう。まして「Webコンサルタント」となれば比較的新しい概念ですし、より正確な意味を包括した定義が確立するまでは今しばらくの時間がかかると思われますが、少なくとも現時点で私がイメージする「Webコンサルタント」は文理双方に明るくポジティブな問題解決思考があり、コミュニケーションスキルに長けた、人間として魅力的な人であってほしいと考えています。

Webコンサルティングの仕事は、特性上、クライアントとの中長期的なお付き合いは必須になると思います。その中で個人的に仲良くなって、気さくにお話をするようになることも多々あります。が、「親しき仲にも礼儀あり」という言葉もあるくらいで、ビジネスマナーのような基礎の型が根底にあってその上でのお付き合いを心掛けたいものです。

当社には新卒入社者もそうですが、中途入社者で言えば前職で大手ISPでコールセンター業務をしていた者、他にも男性スタッフで趣味で茶道やお能を学んでいる者等、接客業や礼儀作法を体系的に経験した者も比較的多くおります。しかし、どの会社でもそうかと思いますが、だからと言って会社全体の電話の応対品質が高くなったり、礼儀作法がしっかりするということはありません。研修をおこなうだけでもダメで、今回おこなって頂いた研修に参加したスタッフ自らがインフルエンサーとなって率先垂範し、自分なりの言葉で後進のスタッフに熱く伝えてゆくことが重要であると思います。

 

ところで、マナーと聞いて思い出す本が、ベストセラーとなった『女性の品格』(cf.「読書の秋、ビジネス書・自己啓発本ハンティングのススメ ~圧縮された情報を解凍後、インストールさせるイメージで読み漁る~」)でしょうか。

その中に、「日本の伝統芸能ではまず型を習い、それを身に付けた上で自分の個性を花開かせます」という一節があります。これはスポーツでも職人の世界でも、物事を学ぶ上で本質であるように感じたものでした。これを言い換えた言葉に「守・破・離」というものがあるかと思います。この考え方については非常に難解なので、以下の記事を参考にされると良いと思います。

■cf.『守破離の思想』藤原稜三 松岡正剛の千夜千冊・遊蕩篇

http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya1252.html

私の好きな作家である松岡正剛氏が書かれた書評です。別件ですが、氏は以前「千夜千冊」という破天荒な企画を行いました。これは、「同じ著者の本は2冊以上取り上げない、同じジャンルは続けない、最新の書物も取り上げる」という独自に課したルールに基づいて、ほぼ毎日のごとく書評をアップしてゆくというもので、2004年7月の達成時、原宿クエストホールでおこなわれたイベント「松岡正剛千夜千冊達成記念ブックパーティー これでだめなら、日本は闇よ。」には私もひとり足を運んだものでした。日本文化の方法の伝承に注力されている氏の主宰するイシス編集学校では氏の唱える編集術が学べますが、そこでは「編集稽古」と銘打って各コースの冠にはそれぞれ「守・破・離」と設けています。

 

この「守・破・離」に基づいて言えば、ビジネスマナーは「守」の一部か、その前段階とも言えます。先に挙げた茶道やお能、武術やスポーツにおいても、プロフェショナルな人というのは「型」がしっかりしているから美しいし、結果も出しているかと思います。

社会に出た途端に結果をすぐに求められることが多いでしょうし、若い人の中には積極的で成長意欲が強かったり、転職してまもない人であれば期待にすぐに応えたいという側面も手伝って、ついついこの「守」がじれったくなって疎かにしてしまう人が多いかもしれません。しかしながら基礎を飛び越えて応用を身に付けようとしても、結局はその後の完成度や成長スピードに影響を与え、遠回りになってしまうことがあるのではないでしょうか。そういった視点で、ビジネスマナーはもちろんのこと、所属する組織で決まっているルールや置かれた立場を深く理解して、その上で本来求められている結果を出すことに今一度照準を合わせていきたいと感じました。

単にスキルを磨き、専門知識をもつ有能な職業人になることだけを目指さず、厳しい経済社会のなかで品格をもって生きていくにはどうすればよいか。単にお金や、出世のためだけでなく、人間として社会人として信頼されるように生きていくためにはどうすればよいか。(中略)しっかりとした識見をもち一目置かれるような社会人として生きていくためにはどうしたらよいか。この本でいろいろな角度から考えてみました。

/『女性の品格』(坂東眞理子著) 

さて、最後となりますが、今年も残すところあと僅か。2009年を振り返ってみると、世の中的には、全体的に明るいニュースは少なかったかもしれませんが、私個人としては、今月で言えば今回挙げた研修などのような仕事以外の面でも、お取引先様とキャンプに行ったり、当社が加入する日本ウェブ協会主催の忘年会に参加したりなど、忙しい中でも充実した月となりました。

研修をおこなって頂いたKEE’S様、お客様も含めさせて頂いて、関わった全ての皆様に、今年一年いろいろとありがとうございました。来年度もどうぞ宜しくお願い申し上げます。