改正特商法から学ぶ「リーガルチェックの重要性」|Webライティングにおけるコンプライアンス領域

投稿者:コンテンツ編集課

2009/12/24 21:55

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12月1日の改正特商法の施行により、Webサイトにおける免責事項などの「運営に係わる法律の記載」の重要性にスポットが当たっています。こうしたいわゆる「コンプライアンスコンテンツ」の記載における品質管理は、間違いなく今後重要度が増していく要素であり、Webライティングの領域で確実にフォローする必要があると言えます。

ところが、リーガルチェックに対するアプローチは、コンテンツ制作の重要なポイントでありながら、Web制作会社のウィークポイントとも言える分野ではないでしょうか? 当社では、Webライティングにおける品質管理の重要項目として専門チームを設置していますので、今回はその「リーガルチェックの手法」の一部をご紹介しながら考えてみたいと思います。

またひとつ付け加えると、単に法的なチェックを入れて免責事項を含めた「コンプライアンスコンテンツ」を設置すれば良いというわけではありません。つまり、ユーザーの購買心理を踏まえた記載である必要があり、担当者が法律に精通していれば万事OKとはいかないのです。ユーザビリティとコンプライアンスが両立することで初めてコンテンツの効果を発揮するということを忘れてはいけません。法務部門ではなくライティング部門が品質を管理することに意味があるのです。

特定の法務知識だけでなく、トレンドを踏まえたキャッチアップやビジネスとしての成果を鑑みたライティング、つまり、法的なリスク要素を押さえながら、Webライティングの本質に徹底的にこだわることで、Webサイトの最終目的を達成できると考えます。

法的な観点から商品の強みを表現
http://www.web-consultants.jp/cs/write02.html

【ネット通販にクーリング・オフ適用】本当に得するのは誰?|改正特商法が12月1日施行へ


まずリーガルチェックの前提として、どういった法規がWebサイトに関連し、どういったカテゴリに分ければいいのか。そしてそのカテゴリごとに何をチェックするべきで、そのためにどういった品質管理体制を築くべきなのか。これらを考慮してコンテンツを制作することになりますが、当社の場合、まずコンプライアンスコンテンツを制作する上で関連する法規を大きく2つに分類しています。

(1)運用に係わる「コンプライアンスコンテンツ」

サイトを運用して行く上で必要になるコンテンツで、いわゆる「免責事項」を中心としたものです。免責事項とは、シンプルに言うとサイトの運営者やサービスの提供者が責任を免れるための事項です。通販においては先般改正された「特定商取引法」「特定電子メール法」などが筆頭に挙がるでしょう。

運用に係わる「コンプライアンスコンテンツ」は、ユーザーに合意を促す必要性があるため、設置する場所や記載内容をいかに伝えるかがポイント。各法規に対する知識はもちろんのこと、確実に伝えるためにどうすればいいかという観点で品質管理(チェックシートを作成)することが重要です。

この「伝わりやすさ」というポイントは、先般改正された特商法の規制事項でも強調されていました。免責事項などは、サイト最下部のフッター部分にリンクが張ってあるだけのケースが多く、サイト閲覧前にユーザーが目を通すことは考えにくい設計になりがちです。そういった場合、免責事項についての合意性は非常に低いと判断される可能性があります。

会員ページを設けて、登録前に合意を促したり、サイト閲覧前に合意を促すような配慮や仕組みが必要でしょう。改正特商法の返品特約の規定やガイドラインにも「明示する」「分かりやすく」といった文言で強調されていましたが、免責事項の存在をユーザーに認知させて初めて過失を指摘できるというわけです。

Webサイトを介したビジネスは、商品やサービスの実態が把握しづらいため、極めてクレームが発生しやすいジャンルだと言えます。こうしたクレーム等の防衛策は、確実に免責事項やポリシー等を表示すること以外ありません。今回の特商法の改正内容にもそうした要素が色濃く表れています。

Webサイト運用に係わる表的な関連法規としては、「特定商取引法」「個人情報保護法」「特定電子メール法」「プロバイダ責任制限法」「著作権法」「商標法」「特許法」「古物営業法」「電子署名法」「各種免責事項(サイト利用時の免責等)」などがあります。

 


(2)表現に係わる「コンプライアンスコンテンツ」

一方、表現に係わる「コンプライアンスコンテンツ」は、業種や分野ごとに異なるのが特徴です。Webライティングでは特に高度な知識や表現スキルを要する分野で、業界のトレンドや法的な動向をキャッチアップする情報収集を行えるか、また行うための体制を敷いているかどうかがポイントになります。表現方法と密接に係わることから、原稿執筆にあたるライターに必要な知識・能力だと言えます。

特商法とも関連しますが、最近規制強化の傾向にある化粧品や健康食品、美容関連器具などヘルスケアの分野では、リーガルチェックとユーザー視点でのWebライティングを両立させることが、最終的な成果を上げるために極めて重要になるでしょう。

代表的な関連法規として、「薬事法」「医師法」「景品表示法」「健康増進法」などが挙げられます。

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中小・ベンチャー企業などで法務部門(リーガルチェックが可能な部門)が存在しない場合はもちろん、存在していてもWebライティングの領域でフォローできる組織がない場合などは、それこそ当社のようなWebコンサルティング会社に発注する価値があります。業者選定において、ひとつ重要な指標として捉えておくことをお薦めします。

時代背景を踏まえて、当社ではリーガルチェックを含めたWebライティングのサービスや既存Webサイトの改善提案、リスティング広告を絡めた文言チェック、定期訪問によるコンプライアンスの提案などをご提供できます。実務ベースでのコンプライアンスチェックの重要性は高まる一方ですので、この機会に自社のWebサイトを改めて見直してみてはいかがでしょうか?

 

【編集担当:松岡】

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