吉田 亮(Webマーケティング部長)
5,000サイトを超える制作実績を誇るWebディレクターの総指揮官
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5,000サイトを超える制作実績を誇るWebディレクター陣を総括指揮。マーケティングの基礎となる3C・4P・SWOT分析はもちろん、ユーザービリティ、ユーザーシナリオのために人間工学を取り入れ、ヒアリングから要件定義、情報設計までを行える専門シート「Web戦略カルテ」を開発。あらゆる角度から、あらゆる企業に、斬新かつ最適なプロモーションサイトを提供している。
WebディレクションWebマーケティング
拝啓 スティーブ・ジョブズ氏
貴方が此の世から去り、一ヶ月が経とうとしています。
まだまだ世界は革新に溢れ、停滞してはおりません。
貴方が最も危惧していたかもしれない世界の停止は見られず、
語弊を恐れずに言わせてもらえば、
むしろ、貴方を失った事を、前向きに捉えているように感じます。
・・・知っていますか?
貴方の功績を称えて行われた追悼式典の三時間、
全員のApple社員が式典の生中継を見られるようにと、
全世界のApple Storeが閉店していた事を。
・・・知っていますか?
iPhoneアプリの制作者達が、
販売する為に心血を注いだであろう己のアプリを、
自発的に無償提供していた事を。
何かせずにはいられないという感情をヒトに与える力を、
確かに貴方は持っていたのだと、そう思わずにはいられません。
『海軍に入るよりは、海賊になった方がマシだ!』
まだMacが存在しなかったその時代、
業績が落ち、傾きかけていたAppleに戻って来た貴方は、
そう叫んだと聞いています。
『製品を作るのにマーケティングは必要ない』
売れる製品のために不可欠のはずのマーケティングに頼らず、
これはそういうものなんだ、という理屈で開発を進めていた、
そうも聞いています。
しかしその裏側には、
やはり挫折と混沌が、数多くあったことも聞いています。
Appleがもし比類無き成功を収めていなければ、
恐らく貴方は稀代のカリスマとは呼ばれず、
逆説を生業とした暴君として、名を馳せていたかもしれません。
誰かの伝記を読む時、歴史を知る時、
いつも私はとても申し訳ない気持ちになります。
何故、今なのかと。
もっと前に、知っておくべきだったのではないかと。
御多分に漏れず、
此のタイミングで、私は貴方の多くを知る事になりました。
去りし者を悪く言う者は殆どいません。
しかし貴方は、
巧妙な冠詞に彩られた絶大な功績に対する称賛を浴びる一方で、
なかなかどうして、雑言も未だに絶えていないのです。
其れは決して、貴方を否定するものではないように思います。
時代を作る為の犠牲、という言葉に纏めてしまえばそれまでですが、
何かを生み出す時の痛みも、何かを変える時の痛みも、
本気の貴方にとっては、些末なことだったのかもしれません。
いえ、本当は、全てを理解していたのかもしれません。
私達は、大義を抱えるべきこの業界に従事する者として、
貴方の描いてきた戦略やコンセプト、ビジネスモデル以上に、
鮮烈な覚悟そのものを学び取る必要があるような気がします。
丁度、社内で立ち上げ時だったプロジェクトが、
JobS
と命名されました。
そう名付けた事で何かが生まれる訳でも、
其れで貴方に何かを伝えられる訳でもないのですが、
2011年10月6日という日は、
何かせずにはいられない、そんな日だったのです。
敬具
この記事に関連するテーマ
『ジョブス氏、辞任。』
そんな文字が紙面に躍った昨今。
この世界で知らない人はいないであろうApple社のCEOが
病気療養のため辞任という形をとりました。
どうなるApple?というところも、非常に心配しつつも興味があるのですが、
プロモーション力、はともかく、
今のAppleのコンセプトは、そう簡単に揺らぐものでもないでしょう。
Simple is best.
個人的には、デザイン美よりも機能美を重視する方ですが、
最近のAppleの製品は、
『こうしたら、たぶんこうなる』
というのを、実に的確に体現している気がします。
タッチパネルという手法は昔からけっこう好きなのですが、
如何せん、店頭販売で置かれていた端末達の反応は、
自分の感覚とはほど遠く、操作に確実性が乏しいのであればと、
なかなか手を出さずにいました。
手を出したのは、
『iphone4』の『予想通りのレスポンス』に出会ったときです。
10数年も付き合ってきた携帯を、一瞬で切り替えてしまいました。
ついでと言っては何ですが、
先日、ノートパソコンも買い替えの時期であったので、
私物だったこともあり、単純なノリで『Mac Book Air』にしてみました。
本当はタッチパネルのiPadが良かったのですが、
Officeはどうしても必要で、ここはタッチパネルを諦めた訳です。
iphoneにしたのすら最近で、それまで一切、
Appleの製品を使ったことはなかった訳ですが。
ここ数か月で、
予想だにしなかった弊害に出会うことになりました。
Windowsのノートパソコンが、まともに使えなくなってしまったのです。
デスクトップの方は、
業務的にはまだまだWindowsの方が使いやすいですが、
ノートになると、どうしても、
本能的に指が『Mac Book Air』の動作をしてしまうのです。
お客様先や取引先の前でこれをやると、微妙な空気が流れます。
例えば、
・スクロール=2本指で下に流す。
・Webページを戻す=3本指で横に流す。
・デスクトップを表示=4本指で下に流す
・使用中のアプリを表示=4本指で上に流す
『Mac Book Air』はタッチパネルではないのですが、
特にこのあたりは、説明書を読んだ訳でもなく、
当たり前のように直感で動かしていたので、
クセのように出てしまうようになりました。
『Macに慣れた』、というのはおそらく正解ではなく、
本来、ずっと自分の操作イメージはこうだった、
のだと思います。
そこを焦点にしたのは、さすがだなと。
Appleのデザインやコンセプトが好きな方もいれば、
Windowsの汎用性と拡張性を好む方もいるでしょうが、
直感、というものに限れば、
個人によってそれほど差異が出るものでもないと思います。
最も早く、行動の根拠になるもの。
それは確実に自分の感覚、つまり直感です。
これはプロモーションにも同じことが言えますが、
懸命にマニュアルを読まなければ使いこなせないような商品やサービスは、
徐々に淘汰されていく気がします。
原点回帰と言いますか、一周したと言いますか、
最近、技術力の向かうべきところが、少し見えたような気がするのです。
私としては、
使いやすくてストレスがなければ、どちらでもいい話であり、
そこに信念みたいなものはありません。
とはいえ、こういったツールやインフラの変遷を、
Web屋として考えない訳にはいきません。
Webは、外部環境に大きく左右されるものです。
『インフラに左右される』、と言っても過言ではないでしょう。
その昔、回線速度の問題から、Webに動画を組み込む、というのは、
非常に手間がかかるものでした。
動画のファイルは『激重』で『超遅く』、
パソコンをそのままフリーズさせることなど当たり前でした。
それが今や、ファイルの圧縮技術と光回線の普及により、
さほどの苦労もなく、多くの家庭で見られるようになり、
立派にWebの1コンテンツになっています。
スマートフォンが台頭すれば、
もちろん新しいサービスも無数に生まれるのですが、
現在のWebサイトも、それで見れるようになる必要が出てきます。
今の流れを考えると、タッチパネルの技術も各社で進んでおり、
そのうち、端末のほとんどが、
直感系のタッチパネルや、より現実を超えたホログラムなどに入れ替わったとき、
Webサイトの構造自体が変わる、のはもはや必然ですので、
私たちは、そこまで予測しておかなければなりません。
Webサイトが『クリックするもの』から『タッチするもの』になる、
(もしかしたら、それはもうWebと呼ばれていないかもしれませんが)、
とすると、根本的にWebの構造を考え直す必要が出てきます。
そして次には、『タッチ』よりも、さらに直感に近づく道があり、
『思考』そのものでの動作、思考連動型の商品が・・・・
脱線しそうですのでこれくらいにしておきたいと思いますが、
Web自体がそうであったように、
ひとつのコンセプトが、世界を変えることは稀ではありません。
伝統や既成概念をぶち破って、ひとつの商品・サービスが、
過去を全て塗りつぶすほどの圧倒的な威力を持つ。
それがまた、周囲にあったあらゆるものを変化させる。
こんなことが頻繁に起こるのはWebの世界くらいですので、
本当に面白い業界にいるもんだと、しみじみしながらも、
直感的な操作でこの記事を書いています。
でも、やっぱりキーボードだけは、まだまだ直感的ではないんですよね。。。。
『ロゴス(論理)とパトス(情熱)の共存』
ここまでは、『講座』と銘打っているくらいですので、
考え方、手順、技術、ツール、注意点などなど。。。
非常に論理的な内容を示してきたと思います。
これはロゴス(論理)です。
もちろん当社には、ディレクションをする上で必要な、
既に用意されているフォーマットがあり、ツールがあり、管理方法があり、
いわゆるロゴス的な体制があります。
それは長年の月日を経て、研磨され、幾度も改訂されてきたものですので、
現状という意味では、
当然、それまでで最高のレベルに達しているはずです。
しかし。
それだけでは足りません。
それだけでは、決して未来に価値を生むWebサイトにはならないのです。
ここに足さなければならないもの。
それがパトス(情熱)です。
繁雑な状態のものを仕組み化すると、『効率的』になります。
仕事が速くなり、楽になり、ミスが減り、早く家に帰れるようになり、
いいことづくめで、皆が嬉しいのは当たり前です。
しかし。
この仕組みに心酔し、しがみついてしまうと、
あっという間に、最高だったはずの仕組みが、足枷に変わります。
気付いたときには、致命的な疾患に変わっていることさえあります。
理由は簡単で、その仕組みの中にいる限り、
絶対に、それ以上にはならないからです。
戦略という先読みをするのがWebディレクターの仕事と仮定するならば、
ディレクターは決して仕組みに呑み込まれてはなりません。
利用することはあっても、仕組みの内側に入ってはならないのです。
予測という行為が内包されている以上、
ちょっとだけでも、常にはみ出していなければならないからです。
はみ出すために必要なモノ。
それがパトス(情熱)です。
私がディレクターのチームを見るようになった以前から、
ディレクター用の提案資料や解析ツール、ヒアリングシートなど、
幾つものツールが開発され、時には立ち消え、改編され続けてきました。
その中で私は、長い間、
何とかそれらのツールを平準化・統一化しようと躍起になっていました。
何をどう統一しても、ディレクターごとに次々と亜種が生まれ、
いつの間にかオリジナルな状態になってしまうのです。
勝手なことしやがって!と叫びたいのをこらえつつ、
解決策を模索し続けていました。
管理するには、あまりにも宜しくない状態、だった訳です。
ところが、それがマイナスではないと気付いたのは1年くらい前でしょうか。
独自の進化を遂げたツールを良く見てみると、
基本ラインからそれほど逸脱している訳ではなく、
細かいところでの追加、修正、試しがほとんどで、
(時には、前衛的すぎるものもありましたが)
それは創意工夫の足跡、とでも呼ぶべきものでした。
そしてそれは、ほとんどがプラスに働いていると言うことができました。
それを紐解くと、要するに、
もっと効率的にならないか
もっとお客様のためにならないか
もっといい資料にならないか
もっといいサイトにならないか
もっと付加価値をつけることはできないか
もっと自分はできるはずだ
という、
ディレクター個人個人の前進する『想い』そのものだった、
という訳です。
これこそがパトス(情熱)です。
そしてそれこそが、常なる改編・改定の要因となり、
推進力そのものになっている、と思うことができました。
むしろ、
統一されたものの中に埋没してしまうようなメンバーがほぼいなかった、
ことに感謝せねばと思ったくらいです。
仕組み化しないと管理できないなんて、管理者の言訳に過ぎない、
そのはみ出した部分も管理できるように考えるのがお前らの仕事だろ、
と、そんな風にさえ言われているような気がします。
ですので私は、完全統一の優先順位を極端に下げ、
ノウハウを活かせる基本ラインの概念部分と、
一部のツールの使用のみは残し、
パトスを注ぐことになりそうな、特にサイト上で可変しそうなところに関しては、
ディレクター個人に任せられるようなツールにすべきと、
考え方をシフトチェンジしています。
物事を仕組み化・工場化するのは、管理者からすれば、非常に楽です。
生産ラインという考え方であれば、
きっと、それが正解であることの方が多いでしょう。
ただ、
ロゴスだけでは未来に橋が架かることはない、
点ではクリアできても、線ではクリアできない、
ような気がしてなりません。
如何にして、
ロゴス(論理)とパトス(情熱)を共存させるか。
私は、立場上、
はみ出した行為をたしなめ、ルールを守れと口では言わなければなりませんが、
内容が致命的ではない限り、心の中では、
「そのまま突っ走れや!」と叫んで・・・・・・・いるとかいないとか。




















