小川 悟(取締役CS本部長)
CS本部が取り組むWebサイトの品質管理(生産管理のQCDS)のご紹介(一部) ~米Appleスティーブ・ジョブズCEO退任のニュースで連想したこと~
2011年09月18日 02:17 PM
投稿者 小川 悟
フィールディングのCS向上への取り組みは、当初「障害半減」や「サイクルタイムの短縮」をテーマに始まった。そして、第二段階に入ったとき、「CSマインドの向上」を正面からテーマに掲げ、「サービス窓口における接客」や「電話応対」を重視するに至っている。
/『サービス品質革命 「顧客とともに、CSを超えて」NECフィールディングの挑戦!』(高橋安弘著)
先月8月24日の米Apple社スティーブ・ジョブズ氏のCEO退任のニュースは、日本でも様々なメディアで採り上げられましたね。
直前のニューヨーク株式市場で、米Apple社の時価総額は一時3430億ドルに達し、エクソンモービル社を抜いて世界一の企業になった矢先のことでした(ジョブズ氏退任のニュースで下落しましたが)。また、Apple社の現金残高は、米国政府よりも多く所有していたと言います。
まだApple社の業績が悪かった1996年のApple社復帰後から僅か15年で世界一の企業にまで押し上げてきた、言うまでもなく後世に名を残す凄腕経営者の一人だと思います。
cf.
・アップル、日米の96年度業績を発表(「PC Watch」,1996年10月17日)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/961017/apple.htm
・Appleは米国政府より“金持ち” 現金残高が上回る(「ITmedia ニュース」,2011年7月29日)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1107/29/news058.html
スティーブ・ジョブズ氏は、以前も軽く触れましたが、マイクロソフト会長のビル・ゲイツ氏や、Google会長のエリック・シュミット氏、「World Wide Web」(WWW)の仕組みを考案したティム・バーナーズ=リー氏などと同じ1955年生まれですが、この年は今になって思えば、PC/インターネット業界に大きな影響を及ぼすこととなる偉人を多く輩出した年だったのだなと思います。
Apple社が近年リリースしてきた製品群を振り返ってみても、インターネット業界の垣根を越えて、市場に対して大きな影響を及ぼしてきたと感じます。
cf.スティーブ・ジョブズが生み出したアップル製品を振り返る(「ギズモード・ジャパン」,2011年8月30日)
http://www.gizmodo.jp/2011/08/masterpieces-of-jobs.html
私も以前、このコラムの中で、iPhoneを購入したときに期待した体験について3点挙げたものでした。
1. クラウド(コンピューティング)への理解のための入門機としてのスマートフォン体験
2. UI (User Interface) 、UX(User Experience)、インタラクションデザイン等の理解のための体験
3. メディア(特に、広告媒体として)の可能性について消費者としての体験
小難しく書いてしまったかもしれませんが、これらおそらく多くの消費者がイメージするユーザー体験に対する期待は、(iPhoneやiPadなどが他のApple社の製品コンセプトと異なり全く新しい概念・設計で作られたものであったとしても、)それまでのApple社が意識してきた「カスタマー・エクスペリエンス(顧客経験価値)」によって育てられてきた消費者の感性を刺激した結果の所産とも言えるかもしれません。
分かりやすく言い換えれば、消費者が購入前に「なんだかよく分からないけど、きっとすごいものに違いない」と感じている状態とでもなりましょうか。
そんなApple社、すごいのは業績や製品ラインナップだけではありません。
実は、「ACSI (American Customer Satisfaction Index: 米国顧客満足度指数)」という米ミシガン大学ビジネススクールが開発した顧客満足度調査の、2010年のブランド別顧客満足度調査(パソコン分野)ではApple社が過去最高値を記録し、7年連続で1位となっています。
私も以前にApple製品を購入した際にサポート窓口を利用したことがありますが、勉強になる対応が多かったと記憶しています。米Apple社だけでなく、日本の窓口対応も素晴らしいと感じました。
このように、Apple社というのは、(一口で語れるものではないですが)製品に対してもサービスに対しても追求をし続けてきた企業なのだなという印象を受けます。
改めて、スティーブ・ジョブズ氏が生み出してきた付加価値のスケールの大きさには圧倒されるばかりですが、もちろんいくらワンマン経営だったとしても、一人で何もかもを作り上げてきたとは考えにくいですね。
トヨタ自動車で言えば大野耐一氏、松下電器産業(現パナソニック)で言えば中尾哲二郎氏、ソニーで言えば黒木靖夫氏といったように、経営者を陰で支えた技術者やデザイナーというのは、その分野を専門としている人以外からはなかなか見えにくかったりするものです。
Apple社の場合はどうでしょうか?
切り取る断面によって想起される人物は変わってくると思うのですが、ここではアラン・ケイ氏とドナルド・ノーマン氏を挙げてみます。
アラン・ケイ氏は、通称「パソコンの父」と呼ばれていて、1970年代に現在のiPadに近い「Dynabook」という構想を描いた学者で、これが後にスティーブ・ジョブズ氏がMacintoshを生み出すきっかけとなったと言われています。ちなみに東芝の「ダイナブック」は、これを由来としています。
一方、ドナルド・ノーマン氏は、著書『誰のためのデザイン? 認知科学者のデザイン原論』などで有名な認知科学者で、Webサイトのユーザビリティ研究者として有名な、ヤコブ・ニールセン氏(cf.「ニールセン博士のAlertbox」/株式会社イード運営)と共にニールセン・ノーマン・グループという会社を設立しました。
このご両名には、一時、米Apple社でフェロー(特別研究員)として働いていたという共通点があります。
さて、前置きが長くなりましたが、ここで当社で提供しているWebサイトの品質管理の一部をご紹介させて頂きます。
あることをしたのに一見なんの結果も起こらないと、その行為がなんの効果ももたなかったかのように結論しがちだ。そこで、もう一度やってしまう。
/『誰のためのデザイン? 認知科学者のデザイン原論』(D.A.ノーマン著)
これは先に紹介した本からの引用ですが、こういった経験ってたまにありませんか?
Webサイトで例えると、だいぶ昔からよくある問題ですが、メールフォームの送信ボタンや、ECサイトの購入(決済)ボタンを2回押してしまう行為等です。画面が切り替わるのが遅かったり、送信中であるという何かしらの表現が表示されないと、ユーザーは「きちんとボタンが押されて(クリックできて)いなかったのかな?」と勘違いして再度押してしまう。そうすることで、2通同じメールがいってしまったり、場合によっては重複決済されてしまったりしてしまうというものです。
こうしたWebサイトのコンバージョン(成約)に直結するような重要かつ、ヒューリスティックなアプローチで解決できることに関しては早くから整備をおこないました。広義で言えば、「情報デザイン」、「インタラクションデザイン」、「ユーザーエクスペリエンスデザイン」に括られる分野の話なのかもしれませんが、狭義で言えば、例えば「EFO(Entry Form Optimization=エントリーフォーム最適化」といった施策があります。
以下、当社の公式サイトのお問い合わせフォームをご覧ください。
https://www.freesale.co.jp/inquiry/form01/fmail.cgi
最初の設問のチェックボックス部はクリックすると背景と色差のある色を表示させてクリックされたかどうかを分かりやすくしてあります(iPhone版も同様)。フリガナも情報として頂きますが、ご担当者名を入力するとフリガナが自動反映されるようになっており、極力入力される方のストレスを減らすようにしています。半角数字で入力頂きたいところは、本来IMEコントロールを行い自動的に半角数字モードに切り替えたいところですが、様々なブラウザに対応させるために、カーソルを外すと全角数字で入力したものでも半角数字に自動変換されるようにしています。入力漏れがあった際にも分かりやすいようにしてあります。
他にも、見た目には分かりませんが、制作者視点で工夫がしてあります。例えば、メールフォーム上で実際に表示されている設問項目名と、メールが送られた際に管理者に届くメール内の項目名とが一致するようにシステム化しているので、制作者のミスで不一致となるようなことはありません。
皆さんの会社のWebサイトのメールフォームはどうなっていますか?
そのメールフォームを使用する人が、どれくらいインターネット利用に熟練した方が主となるのか分かりませんが、なるべく手間や疑問は与えたくないですよね。
当社ではこのメールフォームを「Fmail」と名付けて自社開発しました。
毎月100サイト近くのWebサイトを制作・納品しておりますが、その影響を考えると、他社が配布しているメールフォームプログラムの企業ライセンスを取得して提供したり等他社依存となったり、Webサイトの制作者に個人依存した設計となっていると、お客様に対してより良いものが提供できない可能性があるからです。
また事故が増えるということはそれだけ対応に要する時間がかかるということで、結局は当社側に負担があるのはもちろんのこと、巡り巡って既存のお客様に提供でき得る時間を削ってしまうことになるので、予測できる事故(不良)が出ないような仕組みにすることは大変重要だと考えています。
お客様のITシステムで故障が起きた場合、速く解決して怒るお客様はいない。そして、コスト面からは、早く修復すればサービスにかかるコストはそれだけ安くなる。CSの向上と業績の向上は、両立するというよりも、ダイレクトにリンクしているのである。キーワードは「スピード」である。
/『サービス品質革命 「顧客とともに、CSを超えて」NECフィールディングの挑戦!』(高橋安弘著)
もちろん、納品前には機能面でエラーがないかどうかチェックをする専門工程を設けています。
上記はCS本部内の暗黙知を共有するための社内向けポータルサイトのキャプチャーです。
以前にこのコラムで書いた、リクルート社の「ナレパラ」に想を得て開発・運用を開始したものです。
ここで紹介しているページの内容ですが、納品前チェックの工程で、QC(Quality Control=品質管理)チームの専属スタッフが、決まった項目を検査していくのと同時に修正を行います。検査合格したWebサイトは、お客様への納品時に送付されるWebサイトデータが入ったCD-Rジャケット部に添付されるチェックシートにチェックが入る流れとなっています。
・ヒューリスティック評価法の99%は間違っている? /HCD-Net通信 #15(「Web担当者Forum」,2009年8月19日)
http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2009/08/19/6058
提供するWebサイトの規模や予算の都合もあって、一般のユーザーに設計上の問題を指摘してもらうユーザーテストまではおこなっていませんが、上記のように定期的に品質管理チームからWebディレクター側へフィードバックを返すことで、同じミスを繰り返さないような工夫をしています。
他にもいろいろ書きたいことはあったのですが、長くなってしまうので、この辺で終えたいと思います。
このようにして、当社CS本部では、「生産管理のQCD」として、ISO9000やプロジェクトマネジメントの考え方の基本(cf.「PMBOK(Project Management Body Of Knowledge)」)などにもあるように、製造業とは異なるものの、QCD――、すなわち、品質 (Quality)、コスト (Cost)、納期 (Delivery)が回るように各担当責任者がしっかり管理するという方針をとっています。
また、冒頭でもApple社を引用しましたが、Webサイトも製品とすれば上記のような品質管理基準があるのは当然かもしれませんが、Webサイトが難しいのはその後の運用があるということです。
もちろん、例えばiPhoneや、Webシステムのように、納品後も保守や瑕疵担保責任が発生することはありますが、当社の場合はその後も長くお付き合いをしてゆく前提でご契約頂くため、お客様がそのWebサイトから何かしらのベネフィットを得て頂かないとメリットを感じて頂けません。
乱暴な言い方をすれば、通常の製品を購入してうまく使いこなせなかったり飽きてしまった場合、高額なものなら我慢して使い続けたりするでしょうし、安価なものならそのままにしておいてしまうと思います。
企業のWebサイトとなり、保守・運用も費用対価を頂いて提供してゆくとなると、初期出荷状況が良ければそれで良いということにはならず、その後も市場変化に応じて様々なアドバイス、改善提案を続けていくことが求められてきます。
「QCD」だけ徹底していても解決されないため、CS本部ではそれらに加えて「S」についても注力してゆくこととしました。
この「S」は、製造業等で言えば「安全(Safety)」になるのですが、当社の場合は「サービス(Service)」と定義付けました。「サービス」分野についても他の業種にまで目を配れば、十分に管理、科学、イノベーションされたものが存在します。
Web業界でも採用できるスキームがあれば、当社では積極的に採用してきました。まだまだ発展途上の部分もありますが、「S」部分の紹介についてはまた機会を得た際にでも。今回のコラムはこの辺で。
企業にとって、消費者や顧客との関係を強化し、その関係を長期間にわたって維持することは、その企業と長い間取引をしてくれる消費者や顧客を増やすことでもあるので、極めて重要なことであることは言を待たない。では、企業が消費者や顧客との関係を強化したり、長期間維持したりするにはどうすればいいのだろうか。これには、企業が消費者や顧客との間で、常にリレーションシップを図る以外に方法はない。そして、企業がこの重要なリレーションシップを図る方法の一つが、電話の機能を利用したコールセンターの設置なのである。すなわち、コールセンターとは、電話を使って消費者や顧客の開拓や接触を行う専門の集中化された機能を持つ組織のことである。かくして、コールセンターは、消費者や顧客が必要なときに、気軽に問い合わせをしたり、相談したりできる機能と、企業側で任意に選んだ消費者や顧客に対して、見込み客を開拓するためのアプローチができる機能の二つの機能が統合されていることが必要であるとともに、大量にかかってくる電話に対する迅速な処理能力と消費者や顧客のいろいろな相談ごとや要求に対応していける高度な業務処理スキルを持った担当者の配置とコンピュータによる情報処理能力を備えていることが必要条件となる。
/『「顧客の声」を天の声にする会社―売りっぱなしは許されない! 花王の「消費者相談窓口支援システム」に学ぶ』(小西一生,禰津時男共著)
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「歯科専門Webコンサルティング」開設にあたり ~「いい歯の日」、「明眸皓歯」や「唇歯輔車」など歯に関する言葉について調べてみました~
2010年11月13日 06:54 PM
投稿者 小川 悟
成果をあげるには、人の強みを生かさなければならない。弱みからは何も生まれない。結果を生むには、利用できるかぎりの強み、すなわち同僚の強み、上司の強み、自らの強みを総動員しなければならない。
/『ドラッカー名著集1 経営者の条件』(P.F. ドラッカー著)
先日11月8日は、日本歯科医師会が制定している記念日「いい歯の日」でした。また、併せて同主催の「ベストスマイル・オブ・ザ・イヤー2010」の受賞者も決定したようです。
特段それに絡めたわけではないのですが、当社も今月1日に、歯科医院様へ向けた、当社Webコンサルティングの紹介をおこなう専門サイト、「歯科専門Webコンサルティング」を開設しましたので、この場を借りて告知させて頂きたいと思います。
cf.「歯科医院に特化したWebコンサルティングサービス紹介サイトを開設」(当社公式サイトニュースリリース,2010年11月10日)
http://www.freesale.co.jp/news/release/shikaweb.html
当サイトの特徴や、制作秘話のようなものは、CS本部制作部長の紀井が書いているので(cf.「歯科医院のWebコンサルティングに特化したご提案」)、私はこの専門サイトの開設を機に、今後、歯科界とどのように関わりを深めていきたいと考えているか、歯科医院にとっての"身近な言葉"を用いて、多少言葉遊びも交えてお話していこうと思います。
先の日本歯科医師会が提唱しているものに、「8020運動」と呼ばれるものがあります。これは満80歳で20本以上の天然歯を残すことを推進する運動です。通常、成人の永久歯の本数は32本(親しらず含む)なので、個人差はあっても、予防や治療をしっかりとおこなっていれば可能な本数であると思われます。この「8020運動」を推進してゆくための団体が、財団法人8020推進財団です。この、財団法人8020推進財団の公式サイトに、面白いコンテンツがあります。
■歯にまつわる格言・ことわざ
http://www.8020zaidan.or.jp/knowlegde/proverb.html
ここにある言葉の内、幾つかピックアップしてみることにします。まず、一つ目の言葉として「明眸皓歯(めいぼうこうし)」。
馴染みの薄い方にとっては咄嗟に意味が分かりにくい言葉ですよね。字を紐解くと、「明るい眸(ひとみ)皓(しろい)歯」というようになります。字面だけで言えば美しい人を例えたものですが、語源は一般的には、中国の文学史上最高の詩人、「詩聖」と謳われた杜甫が使った言葉とされています。古代中国四大美人、世界三大美女の一人と呼ばれた唐代きっての絶世の美女、楊貴妃が非業の死を遂げたことを悼んで詠んだとされる『哀江頭』という長詩の中に、楊貴妃を指した「明眸皓歯今何在」という一節があります。そういう言われを聞くと、途端にあやかりたくなってしまうのは私だけでしょうか(笑)。
さらにこの言葉の起源をさかのぼってみると、他にも説があることが分かります。杜甫が詩を詠んだ時代からさかのぼること約500年。三国時代の中国(魏)にて曹操が曹丕を跡継ぎにした頃、袁紹の次男である袁熙の妻の甄氏(しんし)を奪って自分の妻にしますが、末弟の曹植も密かに好きになってしまいます。ところが甄氏は亡くなり、その死を哀しんだ曹植が『洛神の賦』という賦を作って作中の女神のモデルにしたという学説があるそうですが、その中で「明眸」と「皓歯」という単語が分けて使用されているそうです。
cf.『四字熟語で愉しむ中国史』(塚本青史著)を参考。
その昔、「芸能人は歯が命」というコピーが流行したことがありました。今からもう15年も前のことです。
cf.アパガードの誕生秘話とその変遷 芸能人は歯が命:TVCMで「美白歯みがき」の市場誕生(株式会社サンギ)
http://www.apagard.com/contents/history/cpn_050801_01.html
このコピーは、私の就職活動期にも流行が続いており、3年くらい前に同僚と訪れた、宣伝会議主催の「コピージアム」で見かけ、懐かしく感じたことを覚えています。
cf.広告コピー展「コピージアム」会場レポート(宣伝会議)
http://www.sendenkaigi.com/headline/post_14.html
確かに芸能人など、見た目も商売道具である職業の方はもちろんのこと、CMに出演されていた東幹久氏を抜いて、日本歯科医師会がおこなったアンケート「歯がキレイだと思う有名人」では新庄剛志氏が1位を取るなどスポーツの世界でも、つまり見た目の審美性やステイタスの一環というだけでなく、機能美としても歯が大切な役割を果たしていることが世の中に強くアピールされ始めた頃の話でした。
「明眸皓歯」――、この言葉にはそんな深い意味があったのですね。
私も数年前まで頻繁に歯科医院様にお伺いする仕事をしておりましたが、歯科医院によってはこの言葉を額に入れて待合室や診療室、院長室などに飾られている先生もいらっしゃって、意味をろくに把握していなかったときには取材時に珍しがってよく写真を撮っていたことを思い出しますが、「明るい瞳に、白い歯」と現代風に書き直してみると、心身ともに健全な像が浮かんできます。そういう容貌を目指したいものです。
さて、余談が長くなりましたが、2つ目の言葉に「唇歯輔車(しんしほしゃ)」というものがあります。
こちらもあまり聞き慣れない印象がありますが、文字通り「唇と歯、車の両輪と輔(じく)」の関係を指した言葉で、そこから転じて「輔」は頬骨、「車」は歯ぐきを言うことがあるそうです。つまり、どちらか一方がダメになると両方ダメになってしまう相互関係のことを指して言う言葉だそうです。
この言葉も、先の『四字熟語で愉しむ中国史』(塚本青史著)に説明があります。隣り合わせにある国を他国が攻め入ろうとした際に、優秀な臣下から「隣国とは唇と歯の関係だ、車の両輪と輔の関係だ」と忠告されるものの、そのまま他国軍を通過させてしまったことで、結局その国も後々他国に攻め入れられて滅んでしまったという逸話です。
このように相互関係をうまく保っていることで、相互補完し合って全体最適に繋がることは他のケースでも当てはまることは多いかと思います。
ところで、この「唇歯輔車」を、昨今の時事ネタでも使ってみたいと思います。
今日13日から横浜でAPEC首脳会議が開かれますが、渋谷周辺もデモを警戒してか警備が物々しい感じでした。尖閣問題の映像流出の是非は差し置いても、タイミング的に言えば国民感情を煽った格好となり、デモの参加者も増えたのではないかと想像します。他の領土問題や普天間基地移設問題などを含めると、対中だけでなく、対ロ、対米においても難しい課題に直面している日本は、まさに内憂外患だと感じてやみません。 尖閣問題について他意なく言えば、過去の歴史上、西太后の時代にアロー号事件のように戦争の火種となったケースもあります。事実確認と認識のための話し合いは重要なのではないかと感じました。
折しも、NHKでは現在「蒼穹の昴」(原作:浅田次郎氏)という西太后をモデルとしたドラマが放映されています。西太后と言えば、単純に生まれた年代で切ってみると、坂本龍馬、岩崎弥太郎、篤姫といった昨今人気の大河ドラマの主人公たちとほぼ同年代生まれの人物ですね。このようなドラマが今の時期に放映されることで、アジア周辺諸国はもちろんのこと、欧米諸国も含めて今後日本が諸外国とどのような外交を行い関係修復・構築をしてゆくのかといったことをも連想しました。日本国内だけでも意見が分かれるのだから、全世界中で利害の一致を求めるのは難しいことであり、一概に唇歯輔車の関係にと言っても、そう簡単にはいかないのだろうなと感じました。
さて、一転当社に視点を戻させて頂きますと、今年は創業時のビジネスであった歯科医院検索・予約のポータルサイト「歯科タウン」を開設して丸9年。その間に手掛けてきた2,000サイト以上のWebサイト制作実績・ノウハウを元に、セミナー開催なども始めて歯科医院様とは良好な関係が築けてきたのではないかと感じています。
患者様を増やして売上を上げたい先生、SEOやリスティング広告などに明るく、運用の良きビジネスパートナーを探している先生、医療技術の習得・向上に注力して集患に手が回らない先生、優秀な歯科衛生士さんや受付スタッフの方を求人募集したいとお考えの先生など、今まで実に多くの、いろいろなお考えを持った先生とお会いさせて頂きましたが、冒頭でご紹介した「歯科専門Webコンサルティング」は、そういった多様性の本質を理解しつつ、同時に第三者的なWebマーケッターやWebコンサルタントの視点と患者様の目線とで、歯科医院の「困った」「欲しい(したい)」を解決してゆくための媒体としてオープンしました。
コンテンツには、歯科医院様にご理解頂きやすいよう、先に述べたような当社の強みをまとめています。Webコンサルティングを提供する際にお客様企業の強みにスポットを当てるのと同様、当社でも専門スタッフや組織体制、各種フレームワークやツール、Webコンサルティング成功事例、セミナー情報等、強みを明確に打ち出すようにしています。このサイトを通じて、少しでも多くの歯科医院様の経営課題クリアのためのお手伝いをしていきたいと思います。引き続き宜しくお願い致します。
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「どの価値観を大切にするのか」の明言が、人を支える
/『サイバーエージェント流 成長するしかけ』(曽山哲人著, 藤田晋監修)
今月4日、自社の2011年新卒採用向け専用サイトを開設しました。
※2011年新卒採用サイトを開設しました(2010年3月8日,ニュースリリース,株式会社フリーセル)
http://www.freesale.co.jp/company/news/news/2011recruit.html
当社が新卒採用を始めたのは、2006年4月の第6期からでしたが、このように専用サイトを立ち上げたのは今回が初めてのことになります。冒頭で掲げた書籍にも登場する言葉――、サイバーエージェント社のミッションステートメントの一節をお借りして言えば、まさに「採用には全力をつくす」、そのような思いで役員や人事担当者以下、制作スタッフが中心となって立ち上げました。
元々弊社代表の木村が常々「企業は人なり」と口にしており、採用活動や社員教育・人財育成、組織風土形成などにはかなり注力してきてはおり、在籍スタッフからしてみればまったく違和感のない流れではありますが、対外的にメッセージ性をともなって情報発信するものとしては久しぶりのアウトプットとなったかもしれません。
それにしても昨今の就職状況ですが、先日のニュースを見ていても、大学生の就職内定率は、朝日新聞が1996年に調査を開始してから過去最低の73.1%だったそうで、近年長引く不況を投影したかのような状況が伺えます。
また、昨今では苦労して就職しても、就職した会社が不景気に見舞われて予期せぬ事態になったりと、就職できたからと言って必ずしも安泰とは言えなくなってきた風潮もあるため、学生の職場選びも慎重になっているのではないでしょうか。大学によっては「希望留年制度」といったものを設けるところさえ出てきていると聞きます。
cf.
・大学生の就職内定率、過去最低73.1% 下げ幅も最大(2010年1月15日,「asahi.com」)
http://www.asahi.com/national/update/0115/TKY201001140477.html
・希望留年制度:大学公認、「新卒」で就活に再チャレンジ(2010年3月14日,「毎日.jp」)
http://mainichi.jp/select/today/news/20100315k0000m040049000c.html
かくいう私も、いわゆる「就職氷河期」に就職活動をおこなっており、第一志望の企業(基本的には新卒採用しかおこなっていなかった)に落ちた際、留年(いわゆる「就職浪人」)したいと親に嘆願し、猛反対をくらって泣く泣く大学を卒業したクチではあります。
それから、やはり希望の会社に就職しても、思うように人間関係が築けなかったり、希望の仕事に就けないで早々に自分ブランドの形成や、周囲との関係構築を諦めて会社を去ってしまう若者も多いと聞きます。何とか会社に残っても、モチベーションが上がらないまま仕事をしている人も中にはいると言います。
まさにそんな矢先、弊社スタッフ宛にお客様からWebサイトの修正依頼や改善案のご相談の電話があった際、余談でご相談を受けたそうなのですが、「不況期だが、注力したい事業もある。やる気のあるスタッフに任せたいが給与は一度上げると下げられないし、賞与に反映させても一過性のもので終わってしまうことが多い。御社(フリーセル)ではスタッフのモチベーションを上げるために、どのような制度を導入したり、工夫したりしているのか?」といった内容のご相談だったそうです。もちろん、HRM(Human Resource Management)や人材活用のコンサルティングは当社の本業ではありませんが、このような悩みを持たれている中小・ベンチャー企業の経営者様は多いのではないでしょうか。
当社でお取引させて頂いている中小・ベンチャー企業様も4000社を超え、スタッフによっては懇意にさせて頂いているお客様から、「余談だけど――、」と言って当社の人事制度などに興味を持ってご質問頂くこともあるそうです。当社を参考にしようとして頂いているというだけでも大変嬉しく思いました。
話を採用サイトに戻しますが、私の見るCS本部の制作部スタッフたちが、役員の方針や人事部門で掲げているルール等をヒアリングしながら制作を進めてゆく過程を見て、自社理解が進んでいることや、自社スタッフを「みなし顧客」としてニーズの本質把握に努めようとするスタンスが形成されていっていることがひと目に分かり、相乗効果だとも感じました。
折しもそのような時期に、以下のような記事を見つけて興味深く目を通していました。
■育成すべき社員は「能力」ではなく「○○○」で選ぶ? / 人が育つすごいしかけ(2010年2月10日,「japan.internet.com コラム」,トーマツイノベーション株式会社 玉川治宏氏)
http://japan.internet.com/column/busnews/20100210/6.html
こちらには、「育成すべき社員を「能力」ではなく「価値観」で選ぶ、ということです。これは採用でも同様です」、「「こだわり」を明文化していますか?」といったことが書かれています。
だから、というわけでもありませんが、私たちも自社の理念に対する「共感型採用」を軸に、当社価値感に理解をして頂いた方に入社頂きたいと考え、当社メッセージを言語化・映像化して参りました。2011年新卒採用サイト内に、当社代表がおこなった、「第1回社長セミナー・会社説明会」の様子をダイジェストでまとめた動画をアップしておりますので、是非一度ご覧下さい。
採用サイトを開設するにあたり、まさに「百聞は一見にしかず」とも言いますが、当社の「こだわり」は文字情報だけでは表現しきれません。さらにこうした映像も見てもらって、その上で共感頂いた方に説明会に来てもらえれば、より一層良い出会いに繋がると思います。
私たちは、このように「自社に合った、活躍してくれる人財を採用したい」といった強い要望をお持ちの中小・ベンチャー企業様を支援するために、以下のようなサービスを提供しています。
■採用サイト制作コンサルティング
http://web-consultants.jp/saiyo/
※リクルーティングムービーの実績等につきましては、こちらのページ(「リクルーティング 映像制作」,Webコンサルタント.jp)をご覧下さい。
新卒・中途含めて、採用活動は企業にとっても重要な経営戦略であると思います。正規社員を一人採用すれば、年間で500万円程のコストはかかるでしょう。採用枠で2名コミットしていれば、年間1,000万円の投資をコミットしているのと同じだと思います。当たり前の話ですが、売り上げで1,000万円あっても自由になるお金が1,000万円あるわけではありません。大手企業ならまだしも、中小・ベンチャー企業にとっての1,000万円は大変大きな額だと思います。これから採用する人が、やがては数千万円を稼ぎ出すことを信じて採用に踏み切る決断をされているのです。就職活動している方も大変だと思いますが、大手企業で大規模なリストラなどが起こるような不況期の今、少しずつでも業績を伸ばしながら、新たに雇用を検討している企業様は同じかそれ以上にもっと大変な思いで採用活動をおこなっているものと想像します。そうした両者がお互いに「ベストな出会いだった」という採用を行うためには、やはり採用する側からのアサーティブな情報発信、表現が必須になってくると思うのです。
私たちは、そういった中小・ベンチャー企業様に対し、私たちが過去におこなってきてうまくいったものをご提案することで、「自社に合った、活躍してくれる人財を採用したい」というニーズを満たせるように頑張っていきたいと思います。
たとえ自社にブランド力がなくても、取材で強みを引き出し、分かりやすく情報を加工・編集し、本質がブレないように正しく理解しアウトプットをおこなって、よりコミュニケーションロス(情報伝達のロス)が少なくなるように、文字情報に加えて映像による表現などもご提案していきたいと考えています。
各種求人媒体など利用される企業様も多いと思いますが、もしもその出稿に合わせて、ゆくゆくは自社媒体にも採用力を付けていきたい、今の内に自社でも採用専用のWebサイトを構築しておきたい、とお考えの経営者様、採用ご担当者様、Web担当者様がいらっしゃいましたら、以下のバナーからお気軽にご相談下さい。
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誤解を恐れずに言えば、僕は今、世の中にあるほとんどの問題が、「コミュニケーション障害」からくるものだと思っています。
/『NHK 知る楽 仕事学のすすめ 人を動かすデザイン力』
12月に入りました。先週3日(木)、NHK「知る楽」では、アートディレクター佐藤可士和氏の特集が組まれていました。このコラムでも、ちょうど先月、ユニクロ、楽天と採り上げてきたタイミングですし、今回は両社をはじめ、数々のロゴデザインやブランディングをおこなってきた佐藤可士和氏の仕事の一端を見て、今の仕事に当てはめつつ感じたことを書きたいと思います。
はじめに、改めて自己紹介を兼ねて少しお話したいと思います。私は社会人1年目の頃、広告代理店に少しの間所属していたことがあるのですが、元々「広告」だとか「コピー」だとか、「販売促進」、「ブランディング」、「マーケティング」といった文字を書店で見かけたりすると、ついつい手に取ってしまうタイプの人間でした。
ですから、佐藤可士和氏に興味を抱く前は、佐藤雅彦氏に始まり、糸井重里氏、小林亜星氏、三木鶏郎氏とさかのぼって記載のある書籍を読んだことがありました。同時にエディトリアル・デザインにも興味があった時期で、雑誌「an・an」「BRUTUS」「POPEYE」の創刊当時、ロゴや紙面構成を手掛けられていた堀内誠一氏の『雑誌づくりの決定的瞬間 堀内誠一の仕事』などを愛読したり、「堀内誠一 雑誌と絵本の世界展」(99/08/21~99/10/03)という展覧会が平塚市美術館で開催された際は足を運んだりしたものでした。
私が社会に出てすぐの頃は、元電通の岡康道氏がTUGBOATという広告会社を立ち上げて独立し、「日本初のクリエイティブエージェンシー」と称されていました。私は「クリエイティブエージェンシーってなんだろう?かっこいい響きだな」くらいにしか思っていなかったのですが、その後、(後年『会社は誰のものか』を上梓される)吉田望氏との対談形式で書かれた『ブランド』という本が出たので読んだところますます興味を持ってしまい、既に別業界(インターネット業界)に転職していたにも関わらず、結局そのままタグボートの作品集『TUGBOAT 1999.07~2002.05』まで購入することになったものでした(笑)。
cf.広告戦略の成功は 企業の課題分析力に宿る ~TAGBOAT 代表 岡康道氏インタビュー(2006年4月20日,ソフトバンク ビジネス+IT)
http://www.sbbit.jp/article/212/
また、折しも当時の電通は汐留に新社屋を立てた頃で、ジャン・ヌーベルによる建築であったこともあって話題になっていたので見に行ったものでしたが、併せるように開館した企業ミュージアム「アド・ミュージアム東京」へはその後、何度か足を運びました。それから、昨年1月にはライティング課課長の松岡を誘って、宣伝会議コピーライター養成講座50周年を記念して行われた「コピージアム」という展覧会を見に東京ミッドタウンまで行ったものでしたが、そこでも「そうだ 京都、行こう。」とか「バザールでござーる」「きれいなおねえさんは、好きですか。」「愛だろ、愛っ。」「イチロ、ニッサン」「Yonda?」「私、脱いでもすごいんです。」「芸能人は歯が命」など展示されていたコピーを見ては、「うわー懐かしい!ちょうど就活期のだよ、暗記したよー、これ(笑)」などとテンションを上げながら巡ったことを記憶しています。
さて、閑話休題。佐藤可士和氏の話に戻しますが、ちょうど楽天が「楽天市場」などのロゴを今のロゴに刷新した際、私は元々、大手企業が企業のロゴやCIを変更するという背景には「大きな意味や決断がある」という先入観を持っていたので興味深く記事を読んだものでしたが、このときデザインに関わったのが佐藤可士和氏であると読んでいろいろなことが頭の中で結び付いたような気がしていました。
cf.
・楽天市場がロゴ一新(2005年6月2日,ITmediaニュース)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0506/02/news019.html
・故黒木靖夫氏と"クリエイティブ"に対する私の思い(2007年10月29日,Webコンサルティング表象文化論)
http://www.web-consultants.jp/column/ogawa/2007/10/post.html
この前後の頃からメディアへの露出が増えたように感じていました。雑誌で言えば、私が好きだったシリーズなのですが、「BRURUS」の「大人の会社見学」、「TITLE」だと「こんな会社で働きたい!」シリーズ、「Pen」だと「1冊まるごと佐藤可士和。」のときは購入しましたし、テレビで言えば、NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』、テレビ東京『ソロモン流』で特集されたときも見たものでした。佐藤可士和氏の思考の本質は当時から一貫して変わらず、「アートディレクターは医師 デザインは処方せん」(cf.「コミュニケーション・ドクター」)というものです。
クライアントとの打ち合わせにおける「ヒアリング」を、医師の「問診」に例えて言われることもよくあります。「知る楽」では、『ユニクロ思考術』にも書かれてある柳井正氏とのエピソードが描写されていました。
当時のユニクロは、ブランドの輪郭がややあいまいになっていたように思います。一〇年ほど前にブレイクしたときは、リベラルなコンセプトを世の中に明快に打ち出していました。(中略)ところが、急成長していくとともに商品も店舗も膨れ上がり、いろいろな方向性を模索するようになりました。
/『佐藤可士和の超整理術』(佐藤可士和著)
特に現代のような、物や情報で溢れている社会では、企業がはっきりとした存在感や輪郭を伝えていくことが、非常に重要となっている。(中略)つまり、企業と社会のコミュニケーションが上手に取れていることが求められるわけですが、「言いたいことが伝わっていない」というのは、コミュニケーションが潤滑に流れていないということなんですね。
/『NHK 知る楽 仕事学のすすめ 人を動かすデザイン力』
私たちの仕事であるWebコンサルティングも、佐藤可士和氏の手掛ける対象規模や範囲とは違うものの、本質は似ています。付け加えて言いますと、私たちのお客様である中小・ベンチャー企業の場合は大手企業と比べると一層、「ビジョン」や「(社会や消費者に)伝えたいこと」が不明瞭であるケースが多いです。以前、このコラムで『コンサルタントの質問力』の一節を引用したことがありましたが、私たちで言うところの「ヒアリング」や「情報整理」の精度を向上させることで、そうしたものを明確にしていけないかと常々考えています。
お客様とのお打ち合わせにおいては、少しでもコミュニケーションを潤滑にして、本質を引き出し、本当に伝えたいことを把握し、社会との接点を探りながら、双方でデザインやコンテンツ、構成決めをおこなってゆく、「ビジョンを形にしていく」ような協働作業であると考えて取り組んでいます。伝言ゲームと同じで、ここでつまづけば、姿の見えない消費者に伝えることは難しくなってしまいます。
そして、本当に伝えたいことを把握するために心掛けている習慣が、「相手の立場に立って考える」ことでしょうか。佐藤可士和氏は先の著書の中で、「他人事を自分事にする」、「常に客観的な視点を持つ」、「思考を整理して言語化する」というようなことを言及されています。この考え方は私たちが推進するWebコンサルティングにおいても非常に重要な考え方であると感じたので、これからも意識して仕事に取り組んでいきたいと思いました。
僕はよく「デザインというのはビジョンを形にする作業だ」と言っています。クライアントが、「こうしたい、ああしたい」という思いを、見えたり、触れたり、実感できる形にすることがデザインなのです。
/『NHK 知る楽 仕事学のすすめ 人を動かすデザイン力』
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「楽天Webディレクション&デザイン2009」に参加して ~「坂の上の雲」をつかむように、自社の明るい未来を想像した一日~
2009年11月28日 11:36 PM
投稿者 小川 悟
文明は変わっても、人間の中身は何も変わっていないということなのだろう。
江戸時代まで遡らなくても、ちょっと後ろを振り返るだけで、自分が現在越えようとしている壁を乗り越える方法の、少なくともヒントくらいはいくらでも見つかる。そういう目で見れば、歴史は人間の数限りない試行錯誤の保管所のようなものなのだ。
/『成功の法則92ヶ条』(三木谷浩史著)
今日は、会社の休みを利用して、楽天本社のある品川シーサイド楽天タワーで行われた「楽天Webディレクション&デザイン2009|教科書では教えてくれないウェブサイト作り」(RWDD2009)に行ってきました。まさに、先日発売された「週刊ダイヤモンド」では、「百貨店、コンビニを抜いた通販&ネット販売の魔力」として、「勝ち残るのはどこか? 楽天 VS アマゾン VS ヤフー」ネット通販3強比較などを特集していた時期だったので、ますます興味が高まっていたところでした。
同じCS本部の松谷と待ち合わせたのですが、現地で他のスタッフ数名にも出くわし、皆、自己啓発に勤しんでいるなと感じたものでした。今回のコラムでは、このイベントの感想と、そこで得た気付きを備忘録がてらまとめてみることにしたいと思います。松谷は昨日・一昨日に開催された「宣伝会議 プロモーション&メディアフォーラム2010」にも出向いているのと、今回のセミナーでも私とは別のプログラムを聴講しているので後々共有をもらおうと思っています。
このイベントは、今の楽天が創業後12年を経て、実際に「成功」までたどり着いた軌跡を実例をもって公開するという主旨のもので、お昼過ぎの13時からは楽天の取締役常務執行役員を務められる元スクウェア社長の鈴木尚氏を進行役として、代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏と、ドワンゴ取締役で楽天技術研究所フェローを兼任される夏野剛氏とのトークセッションで幕を開けました。楽天が「創業以来、初めて行う」と言うくらい、"競合他社"を含む不特定多数の企業・個人に向けたオープンなイベントにあって、幸い私はこの対談をかなり前列で拝聴することができました。
この場ではあまり詳しくは書けませんが、かつてNTTドコモで史上最年少執行役員になった「iモード」の立役者、夏野剛氏の軽快、かつユーモア(毒舌!?)溢れるトークに思わず吹き出すのを抑えきれず笑い声を漏らす聴講者も多くいらっしゃいました。
cf.iモード10周年、ビジョン達成に向けた不断の努力こそが市場開拓・顧客創出を実現する成長エンジン ~第8期末社員総会を終え、今期を総括する~
http://www.web-consultants.jp/column/ogawa/2009/03/post-28.html
他にも、最近「Edy」の運用会社ビットワレットを買収し、いわゆる「楽天経済圏」を構成する47の事業の中から数名の現役社員の方が講演を行うプログラムと、少し前に募集のあったバナーのデザイン案とWebページの改善案を募集したアワードの表彰式、それから最後には13Fのカフェテリアで行われた懇親会と、盛りだくさんのイベントでした。
懇親会では楽天執行役員の方が気さくに話しかけてきてくれたり、偶然私たちがいたテーブルには、この業界にいれば誰もが知っている株式会社アイレップSEM研究所の渡辺隆広氏や辻正浩氏がいらっしゃってご挨拶させて頂いたり、はたまたパートナー企業の方とバッタリ出会ったり、懇親会後も寒空の下で様々な会社の方々とお話ができ、大変充実した一日を過ごすことができました。このような機会を与えて頂いた楽天の社員の皆様方に、この場を借りて御礼申し上げたいと思います。
せっかくですので、備忘録を兼ねて、私が聴講させて頂いたプログラムを列挙させて頂きたいと思います。
1. 14:05~ 【前】「楽天トラベル」つぶやきながら見えてきたTwitter活用3つのポイント、【後】楽天グループ、RIA表現への取り組み
2. 14:40~ 月間50億PV、社内ユーザー1,000人のアクセス解析で分かったこと
3. 15:20~ 楽天証券Webサイトフルリニューアル成功事例
4. 15:55~ 「楽天ブックス」ユーザー中心設計アプローチの実践と商品検索UIの改善
5. 16:45~ 楽天、動画メディアへの取り組み「動画共有とショッピング」
6. 17:20~ 常に改善、常に前進 変わり続ける楽天市場トップページ!
プログラムのタイトルだけ見返してみても、各プログラムの講演時間は短いながら、楽天の内部でタイムリーに行われている施策をオープンにしようと試みた講演だったかがご想像できるかと思います。
1つ目の講演では、昨今書店などでも関連書籍が並んでいる「Twitter」を用いた楽天トラベル運営スタッフの活用術の紹介。聴講している方々がタイムリーにその様子を「ツイート」(つぶやき)したりする場面も見られました。面白いなと感じたのは、iPhoneユーザーの比率の高さ。街中では見られないくらいの所有率で、こうしたイベントに参加される方々の情報感度の高さに驚きました。私も同僚が使いこなしているのを見て、最近でこそ携帯電話からの新規ユーザー登録の対応を果たしたTwitterですが、UI(User Interface)やインタラクティブな操作性といった部分ではiPhoneの方が勝っていると感じました。Twitter普及の背景には諸々有名なエピソードもありますが、iPhoneのようなUX(ユーザーエクスペリエンス)を意識した、また、(もはや死語になりかけていますが)いつでもどこでも情報の受発信を可能とした「ユビキタス」なハード機器が与える影響も少なくないと感じました。まさに、これから年末年始商戦に突入する時期です。消費者を引き寄せる力を持った都市部などで、一体どれだけの企業や店舗がTwitterを活用した販売促進(タイムセール等)を手掛けるのか、個人的に楽しみだったりします。
他にも楽天が、今まで自社提供サイト(サービス)のアクセス解析を行うにあたり試行錯誤してきた――、市場に多く出回っているアクセス解析ツールの中から自社に必要なツールがどれであるのかを見極め全社導入まで至っているのかといった――エピソードが聞けたり、47という複数の事業を持つ楽天が(アクセス解析における)「標準化」と「情報共有」を課題としていたり、「サービスに応じたKPIを設定する必要性」を感じて動いてきた経緯があったり、今後目指すフェーズとして「解析の底上げ(事業やサービスによって解析パターンを作り、共有・教育する)」を検討していたりと、意外と身近な悩みがあったことが印象的でした。もちろん、当社と比べれば規模も精度も技術力も雲泥の差だとは思うのですが、講演を聴く前までは、全く想像もできない難解なプロセスをたどってきて今のような巨大な産業が形成されていたのかと思っていたので、ふとそのように思いました。このようにアクセス解析に力を入れている、あるいは別な角度から見て"力を入れざるを得ない"楽天の動きに気を配ることで、私たちのサービスもストレッチされる部分もあるのではないかと思いました。
その他、Webサイト改善の現場にあっては、サブテーマにもありましたが「教科書では教えてくれない」ことが多々あるようで、楽天側も、常に地道な「テスト」の繰り返しの結果が今の(最良の)状態であるというようなことをおっしゃっていました。
6.の講演で話されていましたが、現在「楽天市場」の契約企業数は約10万社、出品中の商品点数は約4600万点にのぼります。月次流通額は600億円、年間注文件数は8900万件という市場規模だそうです。講師の方がおっしゃっていましたが、この8900万という数字、平均して0.3秒に1回の注文がある件数となります。私たちではとても想像がつかない流通量ですが、現在のトップページは月間490万PVあるそうで、このトップページの改善を専属で担当するスタッフが5名もいらっしゃるとのことでした。
「え、トップページの改善担当だけで5人もいるの!?」と思った瞬間、すぐに説明がありました。小さな改善も含めて、地道な改善活動を続けた結果、13億円相当の改善ができたそうです。年間で13億円の付加価値を生み出せるのなら専属担当が5人くらいいても当然、というわけです。
冒頭で書いた、三木谷氏と夏野氏のトークセッションの中でも、三木谷氏は「特別なことは何もしてきていない」、ABテストなど地道にPDCAを繰り返しながら、改善のための努力をしてきただけとおっしゃっていました。裏を返せば、私たちなどであれば尚更のこと、こうしたプロセスをすっ飛ばして「いきなり成功」などとはいかないのだなと痛感させられました。
一通り講演を聴いた後で、先述した「RWDD2009 アワード」の表彰式を見ながら、表彰された方々に対して寄せられた選考理由を聴くときになってようやく、当イベントの大きな主旨というか意義のようなものに気が付いたような気がしました。そこには奇を衒った技術やセンスなどはありません、あるのは「楽天市場」創設当時からのコンセプトを受け継いだ精神で、加盟する店舗さんの売上をいかにしてあげるか?ということを意識して作られたバナーだったり、改善案を出された方が表彰されているのです。そういった意味で、このアワードがプログラムの中にしっかりと設けられていたことには、主催者側の意志の一貫性を読み取ることができたように思いました。
アワードの後は、例の懇親会でした。おいしいお酒と食事を、無料でこんなにして頂いてよいのだろうか――、と感じながらも、多くの方とお話させて頂き、スタートからラストまですっかり楽しませて頂きました(汗)。
最後になりますが、以前書いたコラムを幾つか、改めて再掲させて頂きたいと思います。
■クロニクル「インターネット業界10年史」 ~まるでビッグバンのように、超高圧な一点の意志からその広大無辺な市場は生まれた~
http://www.web-consultants.jp/column/ogawa/2008/02/10.html
■ インターネットがもたらす第三の開国の夜明け前 ~2009年、横浜開港150周年~
http://www.web-consultants.jp/column/ogawa/2008/07/post-12.html
■iモード10周年、ビジョン達成に向けた不断の努力こそが市場開拓・顧客創出を実現する成長エンジン ~第8期末社員総会を終え、今期を総括する~
http://www.web-consultants.jp/column/ogawa/2009/03/post-28.html
10年と少し前までは、インターネットという"市場"は、まだ極小さな一点のわだかまり程度に過ぎなかったように思い返します。その何もなかった"土地"(WWW)に鍬を入れ、現在のように後発の企業が無数に参入してくるような大きな市場を開拓してくれた方々の中のお二人が、まさに冒頭で書いた三木谷氏と夏野氏であったのではないかと思います。そして、10数年を経た現在でも、現場は常に改善、ムダを省いて利益を生み出す不断の努力を続けられています。私企業ですから、一口にムダを省きたいといって「事業仕分け」をしてもらうわけにはいきません。場合によって外部のコンサルティングを導入することはあっても、すべて自社で解決していかなくてはならないのです。そして、今ではより大きな市場を目指して世界に目を向けられています。
根本的な問題はTWAが赤字を継続していることではなかった。困難な現状の事態にもかかわらず、航空会社は、適正に経営されれば利益をあげることもできる五億ドル相当の資産だった。
/『ハワード・ヒューズ』(ジョン・キーツ著)
そして二番目のコラムでとりあげた「第三の開国」――、つまりインターネットの日本上陸は、情報開国元年と呼ばれた1994年から15年の時を経て、ほぼ日本のどこにいてもインターネットで繋がってさえいれば、通信を介した「購買」という消費行為を行うことができるようになりました。
明日はまさに、前宣伝ばかりで期待を膨らませるだけ膨らませ、首を長くして待ちわびたNHKのスペシャルドラマ「坂の上の雲」が放映開始となりますね(iPhoneをビジネスにも活用する企業導入事例が増えてきていることから、「iPhone」=「クラウド・コンピューティング」!?の図式にかけてみたり)。
三木谷氏が「楽天市場」を、夏野氏が「iモード」を、まさに「坂の上の雲」をつかむようにして築き上げてきたある種の"近代"を、今度は私たちの世代がつかめるように努力してゆく必要があるのだなと思えました。
cf.「第6章 iPhoneが企業のクラウド化を加速する - iPhoneショック2」(2009年8月20日,ITpro)
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20090810/335418/
※「米国では中小企業の1割がiPhoneを採用!?」といった記事が読めます。
以前、「社員総会を終えて今期ゴールビジョンを共有する ~古典に学ぶ、現代社会を生き抜くための知識・見識・胆識~」のコラムで土方歳三を引き合いに出しましたが、今年から来年にかけても、「龍馬伝」など、多くのビジネスマンにとっては今まで以上に楽しみな大河モノのドラマが待ち受けていますね。折しも雑誌「プレジデント」の特集は、「心の雲が晴れる!司馬遼太郎と幕末・明治の人物学」 でした。
今回の「楽天Webディレクション&デザイン2009」も含め、過去に日本を切り開いてきた先人たちの思いや築き上げてきたものに触れることで、後続する私たちも大きな力を手にすることができるように感じることができた一日となりました。
この場をお借りして主催関係者の方々、及びお名刺を交換させて頂きました皆様方に改めて御礼申し上げるとともに、本コラムを締めくくりたいと思います。
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事実上、どんな場合でも、ウェブサイトは「セルフサービス」製品だ。あらかじめ読んでおく取扱説明書もないし、トレーニングセミナーもない。サイトでユーザーを案内してくれる顧客サービスもない。ユーザー自身が、勘と経験を頼りにサイトと直面するしかないのだ。
/『ウェブ戦略としての「ユーザーエクスペリエンス」 5つの段階で考えるユーザー中心デザイン』(Jasse James Garrett著,ソシオメディア株式会社訳)
最近肌寒い日などもあり、ようやく秋めいて?きたように思います。
秋は「芸術の秋」とも言われますが、毎年秋になると個人的に楽しみにしているイベントがあります。まず一つが「東京デザイナーズウィーク」です。公式サイトから抜粋しますと、「国内外から1,000を超える企業・学校・大使館・デザイナー・ショップなどが参加し、最新のデザインを紹介する、今年で24年目を迎えるインターナショナルなデザインイベント」ということで、メイン会場である明治神宮外苑とその周辺を巡るだけでも十分楽しめるイベントだと思います。普段は意識していないがために目に留まらなかった「デザイン」を発見したりということもあります。他にも、場所を六本木に移せば「DESIGNTIDE TOKYO」が開催されますし、神田・神保町なら今年で第50回を迎える「神田古本まつり」が開催されます。さらに今年・今月に限って言えば、(自分はまだ行けていないのですが)ビッグニュースなのが、千鳥ヶ淵から広尾に移転後リニューアルした日本画専門の「山種美術館」と、南青山と西麻布のちょうど間くらい、閑静な街並みの中でひっそりと建つ「根津美術館」の三年半越しのリニューアルオープンでしょう。後者の建築を手掛けたのは、現在のサントリー美術館を設計した隈研吾氏ということで、建物を見るだけでも楽しめそうです。私が以前訪れたのは、リニューアル直前の2005年10月頃でしたでしょうか、ちょうど尾形光琳作の国宝「燕子花図屏風」が公開されていたときでした。本作品は、いわゆる「琳派」の中では、俵屋宗達の「松島図屏風」と並ぶ有名作品です。この二つの美術館の開館によって、17世紀中期から後期にかけて、まだ三井家など企業体のパトロンが登場する以前の、江戸の職人・工芸文化が華やいだ時代の日本の芸術作品に触れることができる秋になりそうですね。
――と、秋到来に気分が高揚してのっけから自分の趣味の話題になってしまいましたが、もう少し続けさせて下さい。先の琳派を代表する二人の画家、俵屋宗達や尾形光琳の生きた時代――、その後、前代の桃山文化を継承し、寛永、元禄、化政と、文化芸術が華やいだ江戸文化が台頭する時代に突入していきますが、この時代にもやはり現代に名を残す著名人が現れました。その一人が松尾芭蕉です。
cf.財団法人 江東区地域振興会 芭蕉記念館
松尾芭蕉と言えば、紀行文の『奥の細道』が有名ですが、今年2009年は松尾芭蕉が弟子の曾良を連れて江戸を発ってから320年と言われています。少し前に発売された雑誌「一個人」の特集は『「奥の細道」を旅する』でしたが、私も今から5、6年ほど前に、夏季休暇を利用して当社専務と「奥の細道」の軌跡(の一部)を辿る旅行をしたことがありました。飯坂温泉駅前の芭蕉像の前で記念撮影したり、芭蕉も旅の疲れを癒したと言われる飯坂温泉周辺の「鯖湖湯」に立ち寄ったものの湯温が熱過ぎて入れなかったこと、松島の遊覧船でカモメが飛びながらエサを食べる器用さに驚いたこと、最上川を舟下りした際に船頭さんが話してくれた「おしん」の話、出羽三山の一つ羽黒山にあった三神合祭殿の造り(茅葺屋根の厚さや総漆塗りの内部)に圧巻されたこと、山寺(立石寺)で蝉の声に耳を澄ませたことなど、今でも新鮮に思い出されます――。
そんな芭蕉が言ったとされる有名な言葉・考え方に、「不易流行」(cf.「不易流行 - Yahoo!百科事典」)というものがあります。簡単に言えば、「不易」が時代を経てもその価値が変わらないもので、「流行」は時代と共に変わってゆくもののことを表現していますが、芭蕉はこれら二つは表裏一体のもので、統合されるものと考えていたそうです。これと一緒にしてはいけないのかもしれませんが、ふと、私たちが携わっているWebコンサルティングやWebマーケティング、Webデザインなどの世界においても言い当てていることがあるのではないかと感じたことを書いていきたいと思います。
ここでようやくタイトルにある「Webサイトにおける横幅サイズ最適解」の話になります。先に書いておきますと、結論として未来永劫これがベストだという横幅サイズはありません。なぜこのようなことを言うかと言いますと、まずは下の図をご覧下さい。
これは、当社が提供する、歯科医院の検索・予約ができるポータルサイト「歯科タウン」をモデルケースとして、実際に訪れたユーザーがどのくらいのサイズの表示域でブラウザを開いているかを調査したものとなります。当社クリエイターが試験的に行ったものなので、サンプル数は多くありません。左の数値は横幅サイズを降順で並べたもの(上位一部)で、右のグラフが一定の範囲ごとに集計した統計となります。
意外だったのが、多くのユーザーが予想以上に高解像度のブラウザで閲覧されていることでした。また、画面を最大化(中にはブックマークなどのサイドバーを表示)して見られている方が多いようです。ここで「解像度」と言うと語弊もあるので、今回のコラムでは「画面解像度」(cf.「画面解像度 - Wikipedia」)のことを指して言うことにします。閲覧したユーザーが使用しているディスプレイの解像度だけを調べたいのであれば、Google Analyticsなどのアクセス解析ツールにある「画面の解像度」を見れば分かります。今回は、実際利用されているディスプレイが表示している解像度の画面の中で、ユーザーが具体的にどのくらいの大きさにしてWebサイトを閲覧されているかを知りたかったと当社クリエイターが言っていました。クリエイターも自己満足でWebサイトを制作しているわけではないので、納品したお客様からだけでなく、実際にもっと多くのアクセスをされてくるお客様のお客様(エンドユーザー)からどのような見られ方をされているのかが気になるようです。
このアクセスのあったディスプレイの解像度、及び実際の表示サイズから想像される現在のトレンドは、およそ以下の順となりました。
1.1280×1024(SXGA,5:4)
2.1024×768(XGA,4:3)
3.1280×800(WXGA,16:10)
4.1680×1050(WSXGA+,16:10)
5.1440×900(WXGA+,16:10)
※6以降省略。左から、「ピクセル数」、「通称名」、「縦横比」となります。
通常Webサイト制作は、この「ピクセル」(cf.「ピクセル - Wikipedia」)(または%)を単位として構築されます。例えば、ディスプレイの表示を100%から変更しないで閲覧している前提で、1.の1280を例にすると、画面横幅いっぱいのサイズが1280ピクセルということになります。ですから、横幅400ピクセルはどのくらいの大きさになるかというと、画面の横幅の約3分の1くらいの大きさということになります。しかし、この大きさの画像を4.の1680サイズのディスプレイで閲覧すると、画面の横幅の4分の1よりも小さく見えます。
10月22日午前0時、先代の「Windows Vista」発売から2年9ヶ月、その前の「Windows XP」発売からちょうど8年を経て、新OS「Windows7」が発売されました。多機能・高機能化が進み、同時に大型ディスプレイの低価格化が進んだことで一般家庭まで普及し、文字通り「デスクトップ」画面はオフィスや家庭における「机上」と同意となり、様々なタスク(作業)を同じ平面上で行うことができるようになってきました。上記にある「16:10」は一般的なワイドディスプレイの規格ですが、この普及は家庭でパソコンを通じてテレビやDVDの閲覧をされる方が増えてきたことを示しているのかもしれません。ディスプレイサイズは、置き場所や使用者との距離の都合限界があると思いますが、近い将来、このくらいのサイズのディスプレイが今以上に普及してくるかもしれません。このくらいのサイズになると、画面の初期設定の横幅は最低でも1280くらいにはなっていると思います。
これらのトレンドの遷移とWebサイト制作がどう関係してくるのかと言いますと、ユーザーが実際に開いている解像度以上の横幅サイズでWebサイトを制作すると、横スクロール用のバーが表示されてしまうことになります。この横スクロールはWebサイトのユーザビリティを著しく損なうと以前から言われてきました。かと言って、小さめ小さめに構築(特に左寄せのレイアウト)すると、高解像度のディスプレイで表示した際に貧弱な印象を与えてしまいます。場合によっては「リキッドレイアウト」(ウィンドウの幅に合わせてレイアウトの最大幅が変わるように、ピクセルではなく%で設計する方法)で組んだ方が良いと言われることもあります。つまり、時代の流れに合わせて、ベストな横幅サイズは微妙に遷移していくのではないか?といった仮説を立てることができます。
この「Webサイトの横幅についての議論」は、今に始まったことではありません。ネット上でも多くの企業が試行錯誤していたり、Webデザイナーがブログで持論を展開していたりしています。例えば、私たちが「やはり、現状の社内の制作ガイドラインを疑い、そろそろ考えていくべきだ」と話題になったきっかけとなった以下の記事があります。
cf.So-net、トップページを4月1日よりリニューアル(japan.internet.com,2008年4月1日)
http://japan.internet.com/busnews/20080401/3.html
ここでは、「ユーザーの利用環境に合わせ画面サイズの横幅を拡張することで、情報を一覧で表示」と書いてあります。他にも、各社ポータルサイトなどで一斉にリニューアルが行われたのもこの時期でした。
cf.
・リニューアル続出!ポータルサイトに何が起きたのか?その異変に迫る(MarkeZine,2008年4月21日)
http://markezine.jp/article/detail/3340
・総務省報道資料 総務省ホームページのリニューアルについて(2008年4月21日)
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/2008/080421_2.html
こうした一連の記事に目を通すに、私たちが意識しなくてはならなかったことが、Webデザインおいても、「時代とともに変わるトレンド」、「ユーザーのニーズ」、「対象となるサイトの利用目的」など、マーケティングの観点から変えてゆく必要があるものがあることと、冒頭にも引用した『ウェブ戦略としての「ユーザーエクスペリエンス」 5つの段階で考えるユーザー中心デザイン』にもあるように、「常に利用者のことを意識して設計する」という不変的な考え方を持ってWeb制作に取り組む姿勢が必要だということです。
ブランドはサイトのデザインで作られるわけではなく、あくまで企業やそのサイトが顧客に約束した「価値」で作られる。ウェブサイトだからといって突飛なデザインにすることなく、企業として、サイトとして顧客にどんな価値を約束するのかといった上位の概念からデザインの方向性を検討する。
/『ユーザ中心ウェブサイト戦略 仮説検証アプローチによるユーザビリティサイエンスの実践』(株式会社ビービット,武井由紀子/遠藤直紀著)
最後に、冒頭の方でご紹介した「東京デザイナーズウィーク」の話をして終わりにしたいと思います。メイン会場では、企業もそうですが、美術系の学校や専門学校に在学中の方が自作の作品を展示されています。「これはどういう意図で創られたんですか?」と聞くと、ほとんどの方がその「制作意図、根拠」をしっかりと説明してくれます。これがWebサイト制作で言うところの「コンセプト」にあたります。専門課程でしっかり学ばれている学生さんの知識やわだかまりのない意思は、私も大変刺激を受けることがあります。
「情報デザイン」と言うと専門的な話になりやすいですが、大概デザインは情報を有しています。海外旅行に出掛けた際にたとえ外国語の知識がなくても、トイレで男女の区別がつかなくて困るというケースは少ないと思います。また、雨の日にお店の軒先に傘立てが置いてあれば、誰しもが迷うことなく傘を差しますよね?まさか店員さんに「これはなんですか?」と聞くことはないと思います。D.A.ノーマンの『誰のためのデザイン? 認知科学者のデザイン原論』になぞらえて言えば、「傘立ては傘を立てることをアフォードする」とでもなりますでしょうか(cf.「アフォーダンス - Wikipedia」)。
cf.情報検定:J検 情報デザイン試験/(財)専修学校教育振興会 検定試験センター
http://jken.sgec.or.jp/guide/jdesign.html
「情報デザイン」については、当社が加入している日本ウェブ協会の理事長を務められる森川眞行氏(cf.「森川眞行 - Wikipedia」)が専門ですので、専門外の私がご説明差し上げるのも誤った解釈があっては良くないのでこの辺にさせて頂きたいと思いますが(汗)。
以上、私が見るCS本部は、改めてのご説明となりますが、Webサイトの設計を行うWebマーケティング部と、実際に構築を行う制作部とに分かれます。分業することで専門性を高める機能別組織(「ファンクショナル組織」/F.W.テイラー)となっていますが、今以上に品質を高めていく必要があるため、双方の組織にはもっと横串を通すべきだと考えています。もちろん今でも意識の側面では連携はうまく取れていますが、知識や技術といった実務的側面ではまだ課題が残ります。
こうしたギャップを埋めるため、現在、日本ウェブ協会主催の勉強会、『「ウェブ開発プロセス」への理解』へ部員が何名かお世話になっています。今後もこうした仮説検証と学習、実践によって個々人の能力を高め、お客様へより高付加価値のサービスが提供できるよう努力していきたいと思います。
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観光が19世紀後半に発展する契機の一つは、イギリスのトーマス・クック(Thomas Cook)の旅行業の創設であった。
/『観光学入門』(岡本伸之著)
9月24日、自民党の麻生太郎総裁が首相に就任されることになりました。今月初めの福田前首相の突然の退任劇では驚いた人も多かったことと思います。何しろ国のトップが、それも2代も続けてきちんとした前準備や説明責任も果たさぬまま突然辞意を表明したわけですから、普通に会社に置き換えて考えてみると、単に呆れるとか不安や憤りといった感情だけでなく、日本国民として自信喪失にも繋がりかねません。自分が率いる部隊の士気を上げるリーダーであれば良いですが、不安を感じさせるのは良くないですね。
思わず対照的に連想してしまったのが、第32代合衆国大統領フランクリン・ルーズベルトです。以前、「インターネットがもたらす第三の開国の夜明け前 ~2009年、横浜開港150周年~」(cf.「歴史まちづくり法(地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律)」)のエントリーでも氏の政策エピソードについて少し触れましたが、世界大恐慌の煽りを受けて全ての銀行が業務を停止した1933年、氏は大統領に就任します。その後、アメリカ史上で唯一4選された大統領として、第二次世界大戦終戦間近の1945年4月に急死するまでの12年間、多くの難しい政治課題を解決してきました。そんな氏がビジネスシーンでもっとも引き合いに出されるエピソードが次のものでしょう。
大統領に就任する以前から急性灰白髄炎により下半身不随となって車椅子常用者であったにも関わらず、マスコミの前などでも車椅子姿を見られるのを嫌い、当時の米国民のほとんどは氏が障害を持つことを知らなかったそうですが、こういった不屈の精神に、強いリーダーシップを発揮して国民からの信頼を得たという見方ができます。
ところで先週の連休は、私は同僚の結婚式に参列するため、京都へ行って参りました。余った時間は観光に充てました。京都へ行くのは小学生のとき以来であるため、ほとんど初めて訪れた土地であるかのように新鮮に感じました。今年2008年は、紫式部の『源氏物語』が編まれたとされる1008年からちょうど1000年ということで、京都を中心として様々な関連イベントが縁の地で行われており、私も横浜美術館の展示は見に行って参りました。
cf.
・源氏物語千年紀委員会
http://www.2008genji.jp/
・宇治市源氏物語ミュージアム
http://www.uji-genji.jp/
・「源氏物語の1000年-あこがれの王朝ロマン-」(横浜美術館)
http://genji1000.jp/
「そうだ 京都、行こう。」のキャッチコピーが誕生したのは今からもう10年以上も前のことですが、今でも色褪せずにしっかりと消費者の中に生きている言葉として心が惹かれますね。このコピーが生んだ経済波及効果は計り知れません。
cf.『そうだ京都、行こう。』(淡交社)
鴨川沿いの、川床(納涼床)のあるお店で京料理を楽しんでいたとき、隣席にいた外国人グループに声を掛けられました。外国人の方からすれば、京都はとても興味深い都市に違いないと想像しました。
さて、そんな外国人観光客の訪日機会を増やすため、国の方でも今までに多くの試みが行われてきています。最近では国土交通省がメールマガジンの発行を始めたり、来月1日にはいよいよ国土交通省の外局として、「観光庁」の設置も予定されています。
cf.
・国土交通省総合政策局観光部門:観光庁の設置
http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/kanko/tyou.html
・VISIT JAPAN CAMPAIGN
http://www.jnto.go.jp/vjc/
・関東で「観光まちづくりコンサルティング事業」実施へ(国土交通省)|日本商工会議所
http://www.jcci.or.jp/cgi-news/jcci/news.pl?3%2020060213164503
・地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律(歴史まちづくり法)
http://www.mlit.go.jp/crd/rekimachi/rekimati_low.html
・観光集客地における顧客満足度(CS)の活用に関する調査研究報告書について(METI/経済産業省)
http://www.meti.go.jp/press/20080701006/20080701006.html
・日本政府観光局(JNTO)
http://www.jnto.go.jp/jpn/
・社団法人 日本観光協会
http://www.nihon-kankou.or.jp/home/
外国人観光客の訪日機会が増えれば、経済効果も得られることでしょう。また、口コミで評判を上げてゆくには、ホスト側としての対応が迫られます。真の観光立国を目指すのであれば、交通機関やホテルなどフロント側だけではなくて、地域の観光案内所や観光名所、飲食店まで含め、それなりの準備が必要かと思います。元々外国人観光客が多く訪れる京都の場合、飲食店のメニュー表などには英語表記が多かったのが印象的でした。場合によってはWebサイトもきれいに洗練されたものとなっていて、さらに英語版まで用意されているお店もありました。
いうまでもなくヴィトンは、十九世紀後半からの旅行ブームとともに社名を築きあげた、世界一名高いトランク商である。
/『ブランドの世紀』(山田登世子著)
政治や経済、社会の動向といった環境変化に対して、新たに生まれいずる経営課題や、また同時に商機などもあるかと思います。そういったときに押さえておきたいのが、自社の「USP(Unique Selling Proposition)」です。つまり独自の強みですね。
上記の例で言えば、従来旅行はお金がかかるのでなかなか行けなかったが、トーマス・クックによって団体旅行(今でいうパッケージツアー)の概念が登場すると、人々は安価で旅行へ行けるようになりました。そうして訪れた「グラン・トゥール(=グランド・ツアー、大旅行=バックパッカーズの観光形態)」(cf.『酒場の文化史』/海野弘著)の時代に、ルイ・ヴィトンは頑丈で容量のあるトランクを開発し、事業を軌道に乗せていったのです。
インターネットが普及した現在では、目的買いの消費者もだいぶ増えてきました。それが情報過多時代になり、自分に一番合った商品やサービスを探そうと、一層吟味して購入するようになりました。そうした中、企業の持つUSPは消費者から求められる要素となり、必然的に情報提供者であるべき企業側は、情報発信を余儀なくされてきたのかと思います。ところが、まだまだそうしたUSPをしっかりと謳っている企業ばかりではありません。特に比較的規模の小さな企業では取り組みが遅れているところもあり、アーリーアダプター(初期採用者)として先行導入している大手企業と比べるとどうしても遅れをとってしまいます。しかし、規模の小さな企業だからこそ小回りが利くことが多いので、そういった面では大手企業より有利な場合もあるかもしれません。
USP――、自社の強みは何か?
「土・日営業」、「深夜営業,24時間営業」、「配達可能」、「配達エリアが広い」、「特許技術を有する」、「著名な権威者の監修がある」、「立地が良い」、「スタッフが多い」、「隠れ家」、「おいしい」、「他ではあまり手に入らない商品を取り扱っている、品数が多い」etc...
仮にこうしたUSPを理解していても、それをWebサイトで表現し、狙ったターゲット層にピンポイントで情報配信をする技術や知識となるとまた別のものとなります。そこで私たちWebコンサルタントたちが、そういう現場でお客様との二人三脚でUSPを浮き彫りにしていきます。さらにそれを情報設計し、そのときどきのトレンドに合わせてSEO施策を行ったり、Webサイト改変のご提案をしていこうというのが当社の基本的なスタンスです。まだ一部発展途上なサービスもありますが、よりお客様の求められている品質に近づけられるように努力して参ります。
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/M&M研究所 三石玲子氏のコラム(2000年10月)より。
5月30日、「迷惑メール法(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律)」の改正案が、参議院本会議にて全会一致で可決されたそうですね。
昨今日増しに増えてくる迷惑メール、スパムメールには目に余るものがあります。適切なソリューションの導入なしでは、削除に要する手間もバカになりません。本案の現行案では、ユーザーの承諾を得ずに広告メールを送る際にメールの件名には「未承諾広告※」を入れる、また、以降のメールを受信をしないよう解除手続きができる措置(オプトアウト方式)を図る等が義務付けられていましたが、改正後は、送信前にユーザーから承諾を得る「オプトイン方式」が採用され、ユーザーから事前承諾を得ていない広告メールの送信は違法になるとのことです。ですから、「未承諾広告※」という広告メール自体が禁止となります。罰金額も、最高100万円から3,000万円に引き上げられています。本改正の最大の目的は悪質な業者に対する取締り強化が主なようですが、企業に課せられた社会的責任を考慮するのならば頭の片隅にでも入れておいた方が良いニュースだと感じました。
迷惑メールに関する問題は今に始まったわけではなく、オンラインショッピングやダイレクトマーケティング、データベースマーケティング、Eメールマーケティング等が流行し始めてくる1995年以降、インターネット利用者の増加に伴って法改正も何度か行われてきました。今に至るまで自己利益の追求、あるいは他者の不利益のために法の合間をくぐり抜ける者と、それを規制する法律との間のいたちごっこは延々に繰り返されてきました。
cf.
・cf.「特定電子メール法の平成20年改正について」(「特定電子メール等送信適正化業務」/総務省)
http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/d_syohi/h20kaisei.html
・総務・経産省、「!広告!」マークを「未承諾広告」に改定へ(「japan.internet.com」,2002年6月6日)
http://japan.internet.com/public/news/20020606/1.html
ところで、私は前職時代に中小企業のネットショップ構築を支援する仕事に携わっていました。ちょうど2000年頃の話ですが、2000年というと「楽天市場」開設3年が経ち、「Amazon.co.jp」がサービスを開始した頃です。「ブロードバンド」以前の時代で、大半の企業のWebサイトがまだテキストベースで構築されていました。私の主な仕事内容は、ネットショップの構築をするためのASP(Application Service Provider)サービスの利用方法のレクチャーのための訪問業務とコールセンター業務でした。今と同じように、直接会話をするのが中小・ベンチャー企業の社長様かWeb担当社様がほとんどでしたので、電子商取引(Eコマース)のみならず商取引そのものについて多くのことを学ばせて頂いたような気がします。
とは言いながら、当時の私はEコマースどころかインターネットやパソコンの操作そのものがまだ初心者でしたので、お客様から質問を受けた内容を解決できずにいろいろ苦心していました。手がかりとなるキーワードを得た後はネットや書籍で調べて何とか相手が理解できるように説明できるようになり、そうした経験を繰り返す内に少しずつ自分の知識となっていったように記憶しています。さらに私は忘れやすいタイプでしたので、仕事で覚えた内容を備忘録代わりに自宅のパソコンにメールで送るなどしていました。
また、お客様から「さすがプロですね、よく知ってますね」と言われることに悦びを覚え、逆に「プロなのにそんなことも知らないの?」と言われることを極端に恐れるあまり、その後メールマガジンやPC専門誌の定期購読を始めたり、IT系のニュースサイトを定期的に巡回したり、オンラインブックマークサービスやブログの開設、Webサイト制作やMovable Type構築の練習用としてプライベートで独自ドメインを取得し自身のWebサイトを構築、後年はRSS配信やSNSの利用など、ありとあるWeb上のサービスを活用しようとしていました。
そうした動きの中、当時の同僚が自分にもニュースを送って欲しいと言ってきたため、前日のネットサーフィンで見つけた仕事に役立ちそうな業界ニュースのリンクを仕事の合間に送っていました。やがて、自分の勉強のための自宅パソコンへのメール配信は、社内のナレッジ・マネジメントを活性化させるための社内向けメールマガジンの配信へと発展していったのですが、同僚や上司、役員を含む最高100人を超える購読者を対象に退職間際の429回目の配信号まで、最初は日刊、途中から週刊でニュースを編集して配信していました。仕事とは別に毎日ネタを探さなくてはなりませんから、その日以降、社内外のニュースにはますます敏感になっていき、記号やアスキーアートを利用したひな型の作成や、試験的にフリーのJavaアプレット素材を用いたHTMLメールなども実際に作成して配信しました。学生時代から興味を持っていた「編集・執筆」、「広告」、「広報(社内報も兼ねていたため)」を行うことができていました。また、「情報収集」と「情報発信」というビジネス上のコミュニケーションの基礎をそのとき学んだような気もします。
その頃、購読していたメールマガジンに「週刊e-Report」というものがあり(現在も配信されています)、毎月第2木曜日に配信されていた連載企画「三石玲子が注目する3つのECニュース」のコーナーが好きで、今も自宅のパソコンには受信していたメールのバックアップデータが入っています(Web上にもバックナンバーがあります)。
三石玲子氏と言えば、先に触れた2000年には、『Eメールマーケティング―顧客は価値ある情報を待っている』の翻訳や『中小・中堅企業のためのインターネットビジネス戦略』などを刊行され、Webマーケティング業界でもとても著名な方でした。残念ながら2003年7月4日にまだ若くしてお亡くなりになられて随分と話題になったものですが、当時は私もその訃報に衝撃を受けたものでした。
■M&M研究所(三石玲子氏主宰)
http://www.m-m.co.jp/
cf.
・eメールマーケティングは両刃の剣(「japan.internet.com」,2000年11月10日)
http://www.japan.internet.com/wmnews/20001110/print5.html
・eメールの名文を書く(「japan.internet.com」,2001年12月28日)
http://www.japan.internet.com/wmnews/20011228/print1.html
三石氏の説くEMM(Eメールマーケティング)は、今もWeb上に生き続けています。法改正などにより、現在では適用されない内容も一部含まれているかもしれませんが、原理原則は何も変わっていません。
重要なことは、「顧客と適切なコミュニケーション活動を行う」ことです。一方的にメッセージを伝えるだけでは適切なコミュニケーションとは言えませんね。顔の見えない同士で商取引を行うわけですし、ましてやEメールを介しての商行為は、コンバージョン(成約)にも絡む重要な接点です。こうした法改正の影響は、インターネットに詳しい詳しくないは関係なく適用されます。また、それ以前にユーザー心理に立って考えればどのような措置を取るのが望ましいかはある程度は知ることができます。
私たちも「Webコンサルタント.jp」という媒体を介したメールを通して、未来のお客様とのコミュニケーションを図ることがあります。Webコンサルティングを掲げる企業として、まだ至らない点も多くあるかと思います。本件のような環境変化課題に対して今後もより一層柔軟に対応し、制作ガイドラインの整備を急ぐ等、私たちが提供するWebコンサルティングの領域においても、ご利用されるお客様の知識や習慣にとらわれない提案型のソリューションを構築していけるように努力していきたいと思います。
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モーパッサンは、自分が少しも好きではないエッフェル塔のレストランで、しばしば食事をした。だってここは、私がパリで塔を見ないですむ唯一の場所だからさ、と言いながら……。
/『エッフェル塔』(ロラン・バルト著)
前回のコラムでは、本質を知ることや「3S」(単純化・標準化・専門化)の重要性について述べました。今回はタイトルにも書いた「ユーザ中心」の考え方について気付きを得たことを書いて参ります。
◆相手の立場になって考えるということ
本書監修にあたり、発行元である幻冬舎メディアコンサルティング(以下、幻冬舎MC)様から何度か取材を受けている内に、気が付けばああして欲しい、こうして欲しいと我侭を言いながらも、「具体的にはどうすれば良いですか?」と聞かれると具体的な指示出しが出来ていないことに気が付く場面が大変多かったと反省しています。
私たちは普段、WebディレクションやWebサイトの制作業務を遂行するにあたり、クライアントへ取材してヒアリング及びご提案をさせて頂き、漠然としたニーズから本質を引き出してゴールを明確化し、実現可能な明確な指標と手法について提示するのが仕事の筈です。ですから、今回のように書籍の監修を行う際にも、そうした経験から少しでも事がスムーズに運ぶよう進められても良かったかと思います。しかし、実際は自分たちの行っている業務を誰にでも分かる言葉で、誰もが納得するように論理性を持って説明することが大変難しかったのです。
本書は当社のビジネススタイルを文書化したものではなく、「Webコンサルタント」という職業にスポットを当てた汎用的な内容として書かれることになるとのことでしたので、それだけに責任の重みを感じ、自分に「YES,NO」の判断を迫られると思わず返答に言葉を選んでしまうこともしばしばありました。言葉に窮したときに決まって口にしてしまうのは、「その辺の表現については私たちは詳しくありませんので、プロである御社にお任せするとして――」といった逃げ口上です。
自身の能力を超える判断を迫られた際、どうしても判断する責任から逃れたい、あるいは免罪符の代わりとして相手に連帯責任を求めたくなる心理です。これは職場でもよくあります。自分で判断しなくてはならない場面なのにあえて上司に許可を取ったり、事後報告で済む内容も事前にメールでCC回付したりといった行為です。あたかもそうすることで、何か事故が起こった際に「上司に確認を取ったのですが・・・」といった免責(担保)となることに救いを求めているかのような――。
このことをよくよく考えてみると、普段私たちがクライアントと接している際と同様のケースに陥っていることが分かります。私たちのクライアントの多くは、インターネットやWebに関してすごく詳しいということはありません。しかし、各クライアントもその道ではプロとして経営されている方ばかりです。両社にとってWin-Winとなる関係を築いてゆくためには、両社の職域と職責を明確に切り分けた上で、主張するところはしっかり主張するというアサーティブなコミュニケーションが必要とされてくるのかと思います。そのためには相互に相手の立場や考え方を尊重し合う姿勢が重要だと考えています。
そう言えば、私たちも普段Webサイトの制作業務を受託する立場でありますが、工程の一部をアウトソーシングすることもあります。「どうすれば品質を維持したまま、もっと効率化が図れるのか」といったことについて両社間で歩み寄りをしていかなくては良い物は作れませんから、協力会社様に必ずお伝えしているのは、互いに言いたいことははっきり言い合いましょう、また厚かましい限りですが両社のスタッフ一人単位で評価をし合う仕組みを構築しましょうということにしています。
書籍を監修する行為の中で、今まで以上に、クライアントとその先にいるユーザのことを考え、クライアントが今どんなことで悩んでいるのか、何を伝えようとしているのかを汲み取り、それを踏まえた上でのヒアリング・提案ができるような姿勢を強化していきたいと改めて考えさせられました。
◆"ユーザ中心"という考え方
ここ数年、Web業界においても、「UCD(User Centered Design:ユーザー中心設計)」という用語が流行しているように思います。「ユーザー・エクスペリエンス」や「ペルソナ・マーケティング」などもそうした流れの中で出てきた言葉かもしれません。もっと過去にさかのぼってみると、ユーザビリティ、アクセシビリティ、バリアフリー、ユニバーサルデザインetc...と、Webの枠を飛び出して「デザイン」を語ろうとすると大変奥が深いです。ファシリティ・マネジメントなどを推進するコクヨなどは、ユニバーサルデザインで有名です。
cf.
・ユーザー・エクスペリエンス ? (IT情報マネジメント用語事典)
http://www.atmarkit.co.jp/aig/04biz/userexperience.html
・「ペルソナ」マーケティングを知っていますか?(ITpro)
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20071029/285663/
・ユニバーサルデザインとは|ユニバーサルデザイン(コクヨ)
http://www.kokuyo.co.jp/eco_ud/ud/aboutud/
・Googleのデザイン10か条(B3 Annex)
http://toshio.typepad.com/b3_annex/2008/03/google10.html
・U-Site〔「Jakob Nielsen博士のAlertbox」邦訳〕(イード)
http://www.usability.gr.jp/
・Webアクセシビリティとは?(インフォアクシア)
http://www.infoaxia.com/awareness/accessibility/
本書を監修するにあたり版元である幻冬舎MC様の意向としては、想定したターゲットにおいては、利用イメージを明確に定義された上で編集されていたようです。実際に手元に置いておき、Web構築を外部委託する際に、さらりと目を通す。発注する側としてある程度不安を払拭した上で、対等なお付き合いをするために最低限の知識武装をする、そんなイメージがあったのかと思います。
私たちもクライアントの意向を汲み取るために、今以上にスタッフ教育を強化していかなくてはならないと考えています。「クライアントの意向を汲み取るようにヒアリングしなさい」とだけ教えても、教えられた方は「この人は何をしたいと考えているのだろう?」とクライアントを直視するばかり。本質を伝えるためには、ティーチングの限界を感じます。そうではなく、「クライアントの見えているものが何か、クライアントの見ている方向はどこか?について理解をしようと努めよう」と説いています。お互いに相手を向き合っていてもゴールへは近づきません。相手と同じ方向を見るべきです。また、この考え方は、初めて大勢の部下を持つことになったマネージャーにも持っていてもらいたいと考えています。
個人的にはこのケースを、恋愛と結婚の違いのように考えています。恋愛は互いに見つめ合うことで、結婚とは互いに同じ方向を向くのが理想と思っています。クライアントと懇意になることは多いのですが、クライアントを望むべき方向に導いてゆくのが仕事ですから、ただ仲が良いだけでなくて相互にハッピーになれたらと思うのです。
こうした相手の立場になって考えるとか、ユーザ中心的に考えるといった思考プロセスはマーケティングの基本かと思います。当社の手掛けるWebマーケティングにおいても、こうした考えを積極的に採用していきたいと考えています。
以上、仕事や人生において重要なことを教えてくれた今回の書籍監修という仕事の機会を与えて下さいました幻冬舎MC様にはこの場を借りてお礼申し上げたいと思います。
さて、4月、当社は第8期目に突入してきたわけですが、今年も新卒が12名入社致しました。昨今、景気回復等で雇用機会が増えていると耳にすることが増えてきましたが、あえてベンチャースピリットを掲げる当社への入社を決断されたわけですから、しっかり仕事や勉強をして、ビジネスマンとしても社会における一人の人間としても大きく成長していってもらいたいと思います。当社の利点は、こうした多くの気付きを得られる機会が多いことです。当社にはリクルート創業者である江副浩正氏の掲げた理念、「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」に共感している者が多いですが、成果を上げて、心から望めば、重要な仕事が権限委譲され、それを自分のミッションとすることが可能な会社です。現状に甘んじることなく、常に上昇志向をキープできるような仕組みづくりをしていきたいと思いました。今期も一生懸命頑張って参りますので、引き続きどうぞ宜しくお願い致します。
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複雑なものを、たくさんの部品を使って複雑に作るのは、実は簡単なのだ!複雑なものを、少ない部品で簡単な仕組みで作るほうがはるかに難しい。部品数が増えれば増えるほど、故障も増えるのだ。 何ごとであれ、シンプルであることが一番大切だ!私は常にその一点に挑戦している。
/『BRUTUS(2006年3/1号) 特集 "天才たちに学べ!"』(天才時計師フランク・ミュラー「オレのすべてを見せてやる!」)より。
私事で恐縮ですが、12日で33歳になりました。社会人10年目突入です。社会的に見ればまだまだ若輩者なのかもしれませんが、先日入社した新卒入社者を含め全社員で200人近くいる当社の中では、年齢的な面から見ればトップテンにランクインしてしまいます。気をしっかり持って今年も臨みたいと思いますので、どうぞ宜しくお願い致します。
さて、3月27日、当社が監修をおこなった書籍、『「Webコンサルタント」という選択』が発売されました。
発売後は、当社の社名が書籍という形で通常の出版流通に乗るのは初めてのことであり、社員全員に1冊ずつ配られたものですから、社内的にも大きく話題となりました。書籍刊行にあたり当社へ取材に来て頂いたのは、発行元の幻冬舎メディアコンサルティング(以下、幻冬舎MC)様。
昨年9月頃、本書籍の監修をおこなうにあたり臨時で発足した社内プロジェクトへアサインされました。月曜日の夕方からを基本として定例MTGを開催、 幻冬舎MC様側からも頻繁に取材に訪れて頂きました。半年後の本書刊行までの間に20回以上はご来社頂いたのではないでしょうか。
本書の構成に関して先方から提示された草案に意見を求められたり、Webコンサルティングの事例として当社クライアントを取材したいと言われ、ブッキングや取材立会いのための社内調整をおこなったり、その都度、当社見解をまとめるために社内で臨時でMTGを開催したり、あるいは、タイトル決定、数回に渡る文書校正や表紙デザイン確認、発売後もプレスリリース発行、見本誌発送、取材依頼・対応、広告制作・出稿、当社公式サイトや「Webコンサルタント.jp」といった自社サイトのコンテンツ更新と検索連動型広告へのキーワード追加等々、書籍刊行に付き物の作業が通常業務の合間を縫って発生し、大変慌しい半年間でした。
しかも、何もかもが自分にとっては初めての仕事内容でしたので、気を遣うことも多く苦労しました。それだけに、無事刊行されたことが非常に感慨深いです。当初は何もない、アイデアの段階から始まり、気が付けば「書籍」として全国の書店に平積みで置かれ、Amazonをはじめとするオンラインショップでも購入できるようになっているのを見るに、生みの苦しみを一気に忘れさせてくれるような「生みの感動」を覚えました。
3月は当社決算期末にあたり、本書発売に加え、3日の名古屋営業所開設、29日~30日の社員旅行兼社員総会と、大きなイベントが立て続けにあり、4月の新卒受け入れ準備もあいまって、全社的に慌しい期末期初となりました。
この「書籍の監修」という仕事ですが、先述した一連の行為の中で気が付いたことや学んだことも大変多かったイベントでもありました。本コラムでは、備忘録を兼ねて、そのとき感じたことを前編・後編に分けて書いておこうと思います。
◆「無知の知」、本質と向き合うということ
まず、本書のタイトルにも使用されている「Webコンサルタント」の定義について、当社では、「中小・ベンチャー企業の抱える経営課題の中でも最重要とされる”売れる仕組み” づくりを行う者、多々の困難に対して当事者意識と問題解決思考を持って臨む者、Web上での最適な表現手法を提案して企画・制作・運営までワンストップでサービス提供できる者」と謳っています。また、本書で述べられている「Webマーケティング」にしても、「SEO」、「SEM」にしても言えることなのですが、いざ「御社ではどのように捉えているか説明して下さい」と言われると、途端に答えに窮してしまうことがありました。
Web業界には実に多くの用語が溢れかえっています。しかし、その定義、正しい意味や遣い方で説明をできる人がどれだけいるでしょうか?
cf.全体の8割近くが、「意味不明な用語は“メタバース”」(japan.internet.com デイリーリサーチ)
http://japan.internet.com/research/20071112/1.html
試しに自身の中でいろいろと問答を繰り返してみると、意味を知らない、説明できない用語が無数にあることに気が付きます。人は少なからず、今までの学習による「暗黙知(経験知)」を元とした先入観やバイアスを持って物事を認識していると思います。ですから、突然に任意の用語「P」について説明を求められても、「○○などは"P"と言えます」と事例を挙げて説明するだけで、「"P”とは○○です」といった、全てに共通して言える特徴、普遍的な尺度として言い表すことが出来なかったりします。まるでソクラテスの有名な問答のように、語の持つ"本質"を探求しようと試みる中で、自身の中で明確になっていなかったものは何かについてを整理して考えることができました。"本質"として身に付いていないものは「知識」ではないし、まして他人に教えることなどできはしない、と思いました。
◆難しいことを分かりやすく表現するということ
本書を読んで頂ければすぐにお分かりになるかと思いますが、書かれてある内容自体や、文章の遣い方に関しても大変易しいものとなっています。これは、本書のターゲット層が、経営課題に取り組む中でWebサイトの重要性や必要性を感じてはいるが今まで成功した試しがない、Webに関して興味はあってもそれほど詳しくない、どういうものかは大体分かっているが方法論については検討中、多忙過ぎて読書には時間が割けない、といったような事情を抱える中小・ベンチャー企業の経営者やWeb担当者様であるからです。
インターネットの世界は古くから「ドッグイヤー」「マウスイヤー」などと表現されてきましたが、新技術が次々と現れ、流行の変遷も激しく、消費者の趣味嗜好やライフスタイルも大きく移り変わってきました。時代に合わせたマーケティングを行ってゆくためには、広範な知識と成功法則に基づいた経営戦略が必要となってくるのかと思いますが、Webサイトに関わる業務を本業以外とする先ほどのような層の方にしてみれば、それは本業である事業ドメインの成長を阻害する要因ともなってくるでしょう。「餅は餅屋」と言うくらいですので、そうしたある種の"リスク"は外部へ委託するという選択肢もあるのでないかと考えます。
そうした背景の中で、想定したターゲット層に受け入れて頂くためには、まずはこの「どうしたって難しいWeb」に関することを分かりやすく表現することが求められました。しかし、いざ実践しようとすると、それがまた難しいのです。難しいことを難しく説明するのは誰でにも出来ますが、難しいことを分かりやすく説明することの難しさに気が付かされました。
一般的に「コンサルタント」と言えば、企業経営に関わる種々の問題に対して診断・助言・指導を行う人、問題解決のためのアドバイスをする人を指して言うかと思います。そもそも企業の抱える問題・経営課題とは、諸々の大小の問題が複合的に入り組んだ結果、絡まった糸のような状態となっているわけですから難しくて当然です。そうした問題解決に向けて、複雑化してしまったものを単純化する行為は、私たちが「Webコンサルタント」というイメージを抱きながら、それに近づいてゆく過程の中で大変重要な考え方となっています。
オペレーション合理化や生産性向上のための考え方の一つに「3S」と呼ばれるものがあります。これは、「単純化(simplification)」、「標準化(standardization)」、「専門化(specialization)」の各頭文字を取ったものです。FC(フランチャイズ)関係の企業や、コストセンターである工場、生産管理に関する部門などでは採り入れられていることがある考え方かと思います。自社で取り扱っている製品、サービス、あるいは組織自体や生産ラインにこうした仕組みを導入してゆくことで、生産性を上げようとするものです。当社でも今期、仕組み化が全社的に叫ばれています。そのために意識していたい考え方だと思います。
◆相手の立場になって考えるということ
この項に関しては、後編でお話したいと思います。
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このような版元の意識にあるのは、一〇〇パーセント商品としての書籍であって、内容の思想性や藝術性は、商品の価値を尺度としてしか考えられない。タイトルのように、著者の表現行為と商品としてのネーミングが衝突する場所では、商品としてのあり方が優先されなければならないことは言うまでもない、というわけである。
/『タイトルの魔力』(佐々木健一著)
昨年2007年1月21日、東京都港区に「国立新美術館」がオープンしました。日本の国立美術館としては、大阪の国立国際美術館以来、30年ぶりの開館でした。2003年10月18日に開館した「森美術館」(六本木ヒルズ森タワービル)、2007年3月30日に移転、再オープンした「サントリー美術館」(東京ミッドタウン)と共に「六本木アート・トライアングル」を形成すると言われて、各館を結ぶバスが走ったりなど一時期話題となりました。
また、それぞれ設計・建築を手掛けた方も有名な方ばかりで、国立新美術館は昨年お亡くなりになられた黒川紀章氏、森美術館はニューヨーク近代美術館内「MoMA Design & Book Store」を手掛けたリチャード・グラックマン氏、サントリー美術館は雲をモティーフとした現在の渋谷駅のファサードを手掛けた隈研吾氏、ちなみにサントリー美術館と時期を同じくして東京ミッドタウン開業に併せて開館した「21_21 DESIGN SIGHT」は安藤忠雄氏による建築・設計です。
その時期あたりを境として、世界的にも美術館ブームが起こっていると言われています。2006年末には、台北の國立故宮博物院がリニューアル。2007年にはニューヨークで、金沢21世紀美術館を設計したSANAA(妹島和世氏と西沢立衛氏)により「ニューミュージアム」が新築、2009年には同じくSANNAによる「ルーヴル美術館分館」も予定されており、今年から2012年にかけてはロンドンの「テート・モダン」の増築を、プラダブティック青山店や北京オリンピックの会場となるオリンピックスタジアムを手掛けるヘルツォーク&ド・ムーロン氏が担当するなど、美術館ブームに重ねて有名建築家による建築物としての美とのコラボレーションからも目が離せません。
こうした、美術館のみに限らず、博物館や水族館、植物園、プラネタリウム等を広義に包括する意味で「ミュージアム」という言葉を使用してみますが、昨今のミュージアムブームは、ミュージアムが本来有する"メディア"としての機能・役割が、現代になって見直されてきた現れなのかもしれません。
先の六本木ヒルズや表参道ヒルズなど、森ビルの掲げる都市構想――「文化都心」や「都市のルネサンス」などをコンセプトとした街づくりの一環の動きの中に、私たちは心理学者アブラハム・マズロー氏の唱える「ミュージアム経験」を連想することもあるでしょう。
マーケティングの大家であるフィリップ・コトラー氏は、このマズローの「ミュージアム経験」に基づき、著書の中で以下のように述べています。
本書では、ミュージアムを訪れることで得られる「ミュージアム経験」というコンセプト――とりわけ学ぶ経験、祝う経験、レクリエーションと社交、美に接する悦び、充実感などに着目する。またミュージアムのコンセプトや役割の進化、すなわち重要な文化的資産の収集と保存から、経験を提供し意義を伝える「情報と教育の場」への進化についても検討する。
/『ミュージアム・マーケティング』(フィリップ・コトラー、ニール・コトラー著)
かつてヴァルター・ベンヤミンの著書『複製技術時代の芸術作品』の中で、芸術作品が礼拝的価値から展示的価値に移行した経緯について、あるいはルドルフ2世治世下において「ヴンダー・カンマー」(驚異の部屋)と呼ばれる蒐集家によるコレクションの展示室が点在したマニエリスム芸術の絶頂期の遺産を、後にナポレオンが略奪して美術館に並べ直した経緯についてを説明したものを読んだ日から、今私たちが利用している現代のミュージアムの果たすべき役割について深く考えさせられるようになりました。
前置きが長くなりました。そんなミュージアムに足を運ぶとまず目に入るのが作品ですが、同時に作品の横に掲示されているプレートが目に飛び込んできます。プレートには作品名、作品の描かれた年、作者名、作者生没、または作品紹介がされているものもあります。皆さんはミュージアムで作品を鑑賞する際、作品とプレートとどちらを先に見ますか? 冒頭でご紹介している『タイトルの魔力』の中で著者の佐々木健一氏は、作品から見る人を「審美派」、プレートから見る人を「教養派」と呼んで区別しています。
私はどちらが先と決めて鑑賞しているつもりはないのですが、必ずと言っていいほどこのプレートを参照します。絵画であればその限られたスペースの中に、画家が何を描こうとしたのか、その意図を知りたいからだと思います。また、その意図との一致や、まったく違ったインスピレーションが沸き起こる感覚を楽しんでいるのかもしれません。学芸員の方などから説明を受けたことはないですが、そのプレートには、おそらく「タイトル」が書かれているのだろうという先入観に基づいて視線は自然とプレートに向かいます。これはもうアリストテレスの時代からの宿命かもしれません。そして、通常私たちは頭や心に認知・認識したものを言葉として表現したいと考えているし、言葉の持つ意味に関しても他者と共有したいと考えている筈です。ですから、この場合のように作品のタイトルを参照したいという欲求は、自ずと発生するものなのだと思っています。
そうした欲求を弄ばれたかのような作品があります。20世紀に活躍したベルギーの画家、ルネ・マグリット(1898年-1967年)の、その名も『イメージの裏切り(これはパイプではない)』という作品がそれです。誰が見てもその絵はパイプにしか見えないのですが、画家自身は作品中に「Ceci n'est pas une pipe(これはパイプではない)」と描いています。何のことかとプレートを見ると、「パイプの絵であって、"パイプ"ではない」といったような説明があります。「そりゃそうだ、単なる謎掛けか?」と思えばそれまでですが、ここに作品とタイトルとを繋ぐ「イメージ」の揺らぎ、不信を感じたものでした。プレートにある説明内容に全てを依存している自分がいたのです。
cf.『これはパイプではない』(ミシェル・フーコー著)
また同時期に活躍したフランスの画家、マルセル・デュシャン(1887年-1968年)にも似たような印象を受ける作品があります。『泉』と名付けられた作品は、男子用小便器です。この作風の作品は、俗に「レディ・メイド(既製品)」と呼ばれていて、現代美術の始まりと言われることもあります。こちらも普通に考えれば作者の意図によって命名されただけの作品のように思ってしまいますが、デュシャンがこの作品を展覧会に出品しようとした際、主催側から拒否されたことに対して「たとえ既製品でも、タイトルを付ければ芸術作品になり得る」と抗議文を出したというエピソードを知り、なるほどと思いました。おそらくデュシャン以降の芸術家たちは視界が拡がったことでしょうし、それが今の現代美術を形成する一つの因子となっているのかもしれないと感じました。
cf. 「タイトル」の語源について
伝説に名高いアレクサンドリアの図書館は、紀元前四七年の火災で大被害を受けたが、その頃七〇万巻の書籍を所蔵していた。そのそれぞれの巻物には、小さなカードが付けられていた。内容を見分けるための手だてで、これが「ティトゥルス(titulus)」と呼ばれた。タイトルという語の起源である。
/『タイトルの魔力』(佐々木健一著)
こういった画家たちの試みは、文章作品に例えるとある種の「レトリック(修辞学)」のようにも思えてきます。
しかし、いざ商用利用するとなると、奇抜なコピーライティングの発想などの場合を除いては、こうした発想はあまり採り入れたくはないものです。できれば、「タイトル」と「内容」はできるだけ一致させたいものです。それは、政治家のマニフェストや企業のIR、ビジネスマンのコミットメントなどと同様に、「言っていることとやっていることが同じ状況」を作らないと、第三者からの信頼が得られないからです。ビジネスの世界では、貨幣経済が信用取引で成立している構造上、まず「信頼」や「信用」を得ていかないことには始まりません。
この「言っていることとやっていることが同じ状況」(言行一致)は、インターネット、とりわけSEO施策や、また、リスティング広告の分野でも必要とされてくる概念です。有名検索エンジンのアルゴリズムの基本としては、この状況、つまり「タイトルと内容の一致」が重要視されてきます。検索エンジンを能動的利用する私たちとしては、タイトルに騙されて不要な情報を得たくないわけですから、そうしたユーザーからの信用が欲しい検索エンジン提供側としては、ユーザーの期待に応えるべく、「タイトルと内容の一致」がされていないWebサイトの評価を落とします。そうして、情報を求めるユーザーと、情報を提供したいと考えている情報提供者とをマッチングさせることを命題としている筈です。
そういった重要な「タイトル」ですが、それがシビアに求められてくるのは、巨大メディアのニュースの見出しかもしれません。タイトルだけで興味を惹かせてクリックさせ、さらにユーザーが期待した通りの内容である必要があります。
限られたスペース、そして限られた文字数。まさにニュースの見出しこそ、ビジネスシーンにおける「タイトルの"修辞学"」の実践かもしれませんね。最後に興味深い取材記事がありましたのでご紹介致します。
cf. MarkeZine:◎Yahoo!ニュース トピックスが13文字である理由
http://markezine.jp/a/article/aid/2224.aspx
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