小川 悟(取締役CS本部長)
小惑星探査機「はやぶさ」関連映画で改めて学ばされるリーダーシップ ~失敗を繰り返さないための「成果」を「進歩」に繋げるマネジメント~
2012年01月31日 01:23 PM
投稿者 小川 悟
But Professor Itokawa never spoke of failure, only of “results”.
We've made progress thanks to those results.
/映画『はやぶさ HAYABUSA』(堤幸彦監督)
現在私はベトナム最大の都市、ホーチミン市に駐在しています。
ベトナムでは中国暦をベースとして旧暦(陰暦)を採用しており、今年は1月23日から4日間が旧正月(テト)期間にあたり、どこもかしこも一斉に休業となってしまうため、その期間を含む1週間だけ日本に一時帰国して本社に出勤しておりました。
旧正月が明けた30日の夜のフライトでベトナムに戻ったのですが、暗い機内で読書にも疲れたので映画でも見ようと番組表を見てみると、『はやぶさ HAYABUSA』(堤幸彦監督)があったので見てみました。
この「はやぶさ」が多くの人に感動を与えたと同時に、ビジネスシーンでも多く転用されていることについて感じたことを今回書きたいと思います。
「はやぶさ」と言えば一昨年6月に、60億km、7年に渡る宇宙の旅から無事にミッションを終えて地球に帰還、カプセルを届けたことで「宇宙史に残る偉業」と称され、昨年はギネス・ワールド・レコーズに「世界で初めて小惑星から物質を持ち帰った探査機」として認定もされ、それ以前まで「平成大不況」だとか「失われた20年」などと言われ、事業仕分けが行われて「挑戦」「創造」「付加価値創出」よりも「コスト削減」を強いられるような風潮に社会が覆われ、どのメディアも日本ブランドが振るわないと書き立て、私たち市民でさえもどこか閉塞感や自信喪失、モチベーションダウンを感じてしまうような肩身の狭い思いでいたさなかの出来事で、「絶対諦めない」とか「希望」といった強い思いを奮い立たせてくれた明るいニュースだったことを思い出します。
私もその年、DVDで『HAYABUSA -BACK TO THE EARTH-』(帰還バージョン発売前に焦って購入)を観ていたのですが、「はやぶさ」帰還後にビジネス誌やネット上のビジネス関連のコラムなどでもよく引用されていたので、映画でどのように表現されるのか見ておきたかったですし、2月、3月にも別会社からの公開を控えており(もともと提案は8社からあったそうです)、第1弾映画がどのようなものだったのかも気になっていたところでした。
■全天周映像 HAYABUSA -BACK TO THE EARTH-(「はやぶさ」大型映像制作委員会によるドキュメンタリー作品)
http://www.live-net.co.jp/hayabusa-movie/
■はやぶさ HAYABUSA(20世紀フォックス,11年10月公開)
http://movies.foxjapan.com/hayabusa/
■はやぶさ 遥かなる帰還(東映,12年2月公開)
http://www.hayabusa2012.jp/
■おかえり、はやぶさ(松竹,12年3月公開)
http://hayabusa3d.jp/
冒頭に挙げた一節は、『はやぶさ HAYABUSA』中に出てくる脚本の一部ですが、私の見たものが英語の字幕スーパーだったためにこのような引用となってしまいました。
確か「(糸川教授は)決して“失敗”という言葉は使わなかった。その代わりに“成果”という言葉を使った。成果があったからこそ進歩があった」というような一節でした。
「失敗は成功の母」という言葉もありますが、つまりは「失敗」という単なる結果(状態)を示すだけの言葉は責任逃れのエクスキューズであって、失敗をしたことで得られた反省材料なども含めて「成果」であるから、それを次回に生かすことで進歩に繋がるといった考え方です。
奇しくも、最新号の『日経情報ストラテジー』の特集は「失敗を生かす組織」というものでしたが、ここにも「はやぶさ」の名前を見つけることができました。原発事故などを引き合いに「日本人は失敗に向き合う姿勢が不十分」、「失敗と向き合い、共存することは、競争力の源泉ともなり得る」という内容が書かれています。「はやぶさ」については、「はやぶさ」の観測機器を製造していた明星電気という会社の特集が組まれていました。
cf.失敗体験を通して創造力を生み出すために ~アポロ月面着陸40年、世界天文年2009~
http://www.web-consultants.jp/column/ogawa/2009/05/post-31.html
以前書いた上記コラムを見返して、「アポロ13」が“輝かしい失敗”なら、「はやぶさ」は“輝かしい成功”だろうと感じていました。
ここで引用した「JST失敗知識データベース(独立行政法人 科学技術振興機構)」は事業仕分けの一環でか畑村創造工学研究所へ移管されてしまいましたが、日本人である私たちは、今のような時代、改めて失敗にしっかりと向き合って、「不必要な失敗」をしない方法を選択していく必要に迫られているのですね。
今のような時代――、スイスで25日に開会し、昨日29日で閉会した世界経済フォーラム年次総会「ダボス会議」で、俳優の渡辺謙さんが日本人俳優で初のスピーチをおこなったとのことで興味を持って目を通してみました。渡辺謙さんは、先の『はやぶさ 遥かなる帰還』で主演を務められますね。
cf.渡辺謙さん、ダボス会議スピーチ全文(「東京新聞」,2012年1月26日)
http://www.tokyo-np.co.jp/feature/news/davos.html
昨今の欧州財政危機や国家間の緊張関係悪化等のニュースを見ていて、昨年世界各地で起こった大地震や洪水等の天変地異に加え、より一層不安材料が増えたかのようにも感じていた中、一筋の光明とも感じられる内容で元気を頂けたような気がしました。
ところが、まさにそのダボス会議の裏で進められていた「世界最悪企業2012(Worst company of the year 2012)」の投票結果が同タイミングで出ており、ノミネート時に2位だったブラジルのVale社以下の企業を突き放して1位を争っていた東京電力が、辛くも800票の僅差で2位に逃げ切ったニュースが報じられました。
原発事故の際にずさんな管理と言われただけでなく、その後の情報操作や隠ぺい工作などが世界からの目に悪く映ったとのことです。実際、「世界終末時計」で禁断の針を進めてしまった要因にも挙げられました。
cf.世界終末時計、1分進んで「残り5分」に 日本の原発事故も要因
http://www.cnn.co.jp/world/30005222.html
「Worst company of the year」は、スイスのNGOが世界経済フォーラムに合わせて創設した賞で、企業の社会的責任(CSR=Corporate Social Responsibility)を果たしていない「世界最悪企業」を投票で決めてフォーラム内で表彰することで社会的責任を果たすように働きかけるという目的でおこなわれているものです。
「想定外の事故」だったにせよ、その後の言動がより注目されることは周知の事実であった筈で、国際社会の一員としての信頼を低下させただけでなく、誠意の見えにくい対応によって日本の観光産業に与えたダメージが必要以上に大きくなった点も否めないでしょうし、東北周辺の住民を中心に国民に対して与えたストレスも計り知れません。「社会的責任を果たしていない」という評価を「失敗」と捉えるならば、そこから何を得たのか、せめてそうした見解は知りたいですよね。
また、成人の日には「新成人の9割が日本の将来に不安」などといったアンケート結果が報じられ、新成人へのインタビューで「総理大臣がコロコロ変わる」、「メディアが暗い話ばかりしているから世間も右肩下がりになる」、「国会でけんかするのはやめてほしい、切なくなる」といった声も報道されました。ステレオタイプな意見とも取れなくもないですが、国民の総意を代表したものとも思える声、もしくはニュース編集でした。
政治だけでなく、先の東電のケースもそうですし、他の一部私企業でも「企業の社会的責任」が欠落したために、「日本、大丈夫なのかな?」と国民を不安にさせたり、悪いことをすることへの抵抗感や罪悪感を引き下げる要因を作ってしまっているようなケースがあるかもしれません。
cf.マクロミル モニタサイト 公開調査データ 「2012年新成人に関する調査」
http://monitor.macromill.com/researchdata/20120105shinseijin/
会社に置き換えて考えるのは比較するものが違いますが、確かに一つのプロジェクトになぞらえても、上層部同士が揉めているだけだったり、プロジェクトリーダーのすげ替えばかりがおこなわれて遅々として進まず、ビジョンが示されずに状況が改善されないことが続けば、オペレーションに当たっている者からすれば不安しか感じません。リーダーには、このような状態を引き起こしてしまうような状況にしないような采配と、環境改善の力も求められると思います。
また、そういったことが常態化した組織に居続けることも個々人の価値観形成上で悪影響を及ぼしそうな印象を受けます。
以前、社内勉強会「フリーセル大学」の一環で、いつも共に頑張って仕事している現部課長向けに研修をしたことがありましたが、そこで『子どもが育つ魔法の言葉』(PHP研究所,Dorothy Law Nolte/Rachel Harris共著,石井千春訳)という書籍を共有したことがありました。著者が1954年に書いた詩と言われる『子は親の鏡』に書かれてある内容が、当時の組織構築フェーズにおいて特に重要な事象であると思っていました。内容の詳細については下記ご参照下さい。
cf.あの ドロシー・ロー・ノルト 博士の 『子どもが育つ魔法の言葉』 シリーズ(PHP研究所)
http://www.php.co.jp/bookstore/dr.html
そういう点で、私たち国民が今のような「印象」を受け続けてしまうことは良くないと感じているので何とか理解して頂きたい部分でもありますね。今は問題解決で手一杯で、ビジョン策定や周囲への気遣いが難しい時期なのかもしれませんが、まだまだ私たちの民度も自分たちを守ることで手一杯で逆にそこを気遣う程は人間が出来ておりません、といったところでしょうか。
今年2012年は辰年、干支で言えば「壬辰(みずのえたつ)」、運勢としては吉凶賛否が分かれています。
「リーダー」という観点で見ると、世界的には、ロシア、フランス、アメリカ、韓国で大統領選挙が行われ、中国でも指導部交代があると言われている年です。
cf.世界のリーダー特集 - NHK クローズアップ現代
http://www.nhk.or.jp/gendai/special/08_leader.html
世界のリーダーがどう共存関係を構築していくのか。私たち国民一人ひとりがその動向に注目しつつ、自身を取り巻く環境の中でベストを続けていかなくてはなりませんね。
また、仕事の上では、顧客満足創出のためにも会社を盛り立てるリーダーとしても、「成果」を「進歩」に繋げていける年にしたいです。
この「成果」の中には成功体験も失敗体験もいっぱい詰まっています。さらに世の中を見回せば、自分自身の成功・失敗体験以外にも多くの見本があることに気が付きます。そういったものも糧にして、今年1年頑張って参りますので、引き続きどうぞ宜しくお願い致します。
長年、日本は経済大国として優位なポジションに位置し、有利にビジネス交渉を進めることができた。今後は、どのような友好な手段で相手とウイン・ウイン(双方にとって望ましい結果を得られる)な関係になれるか、相互利益を考えなければならない。(中略)国内で日本人が考える、日本を中心軸とする思考は偏りが大きい。グローバルには、このような偏った考え方が弊害になる。
/『海外勤務を命じられたら読む本』(白藤香著)
早いもので、いよいよ2011年も最終日。
今年1年、お客様、お取引先様と関係各位には大変お世話になりました。この場を借りてお礼申し上げます。
さて、今年1月に以下のコラムを書きました。
「映画『ソーシャル・ネットワーク』を観て視野を拡げる ~2011年「辛卯」の年、当社設立10周年を迎える年は明るい年に!~」
当社にとっては設立10年を迎えた節目の年でした。「明るい年に」という点で言うと、震災や洪水などもあって決して明るい年とは言えませんでしたが、当社だけで言えば総体的には明るいニュースが多かったように振り返ります。
IT関連の話でいけば、1月に映画『ソーシャル・ネットワーク』が公開されたとき、Facebookユーザー数が全世界で6億人に迫ると言っていたのに、いまや8億人に迫る勢いです。まさに今年2011年はソーシャルメディアが台頭し、政治活動や企業のプロモーションから友人や家族とのコミュニケーションツールといった使い方まで、一般大衆にまで浸透した年になったと言えるかと思います。
それから、上記のような新しい特性を持ったメディアの浸透に合わせて、スマートフォンや「iPad」をはじめとするタブレット端末、電子書籍といったデジタルツール等もまた、数年前までは一部のイノベーターやギークの専用アイテムだったものも、いまでは老若男女を問わない生活家電の一つとなり始めました。
当社も例に漏れず、Twitterアカウント開設に次いで、Facebookアカウント開設、各種公式サイトのスマートフォン対応を完了させ、関連セミナーなども多くおこなってきました。
現在6000社を超える当社お客様である中小企業様の間でも、自社の公式サイト以外にこうしたソーシャルメディアのアカウントを開設されたり、スマートフォン対応化させたりと、ビジネスに活用し成果を上げられているところが出てこられました。
既存のお客様向けにクローズドで配信しているメールマガジンがあるのですが、その中の一つのコーナーで、成功事例を採りあげてご紹介するという内容もあり、引き続き成功事例を集めていきたいと考えております。
基本的に当社が提供しているような「Webコンサルティング」をアウトソーシングとして利用されようとしている中小企業様は、インターネット上のこうした新しい潮流にも敏感で活用意向が高いように思われますが、まだ導入されていなかったり、うまく活用しきれていない企業様も多くいらっしゃいますので、これから出会うことになる企業様も含めて、しっかりとサービス提供できるように体制を固めていきたいと思います。
そんな今年の年末も例年同様にニュースのダイジェスト、検索キーワードランキング、「今年の漢字」など、一年をまとめに入るコンテンツがいろいろと公開されました。
この中に、「社長が選ぶ 今年の社長」というのがあり、1位に孫正義氏が選ばれていました。
cf.社長が選ぶ今年の社長2011|調査報告書|学校法人産業能率大学
http://www.sanno.ac.jp/research/president2011.html
孫正義氏は昨年に引き続き2年連続で1位とのことです。確かに、震災時も孫正義氏が「個人で100億円を寄付」というニュースがあって、大変驚いたものでした。
その孫氏が90年代後半に提唱したとされる「タイムマシン経営」という考え方があります。今となってはもう陳腐化されてしまったのか、よく話題にのぼる言葉ではなくなっています。
当時、IT分野で最先端と言われていた米国シリコンバレーを中心として、流行していた技術やサービスを日本に輸入して、まだ流行を迎えていない日本で展開すれば儲かる筈だというビジネス投資の在り方のことで、先進する米国を「未来」、遅れていた日本を「現在」として、時差を活用して収益を上げるというビジネスモデルをタイムマシンになぞらえて孫氏がそのように呼んだと言われています。
この呼称や考え方の是非はさておき、結果としてこのようなモデルで事業をおこなってきた企業は業界問わず多いと思いますし、先進している国にリサーチに行って日本で展開するビジネスのヒントを探ろうとされている方は今でも多くいらっしゃいます。孫氏が日本で初めて開発・創造したビジネスモデルというわけではないと思います。
しかし、当時から孫氏の経営手法は多くの経営者や若手起業家たちの注目の的となり、ヤフー株式会社の筆頭株主であるとか、ボーダフォン買収だとか、iPhone独占販売だとか、あるいはブログが流行し始めたり、「mixi」や「GREE」がリリースされたりとニュースを賑わす度に時折「タイムマシン経営」なる言葉が再燃することがあったのでした。
つまり、企業が利益追求や理念の実現のために常にニーズなりシーズなりを追求して、何もないところに市場を生み出そうとする限り、新たに創造するか、「ある」ところから「ない」ところへ持ってくるかしかなく、またそれは企業の経済活動上必然であるということなのかと思います。
さて、これより表題の、「第1回ホーチミンIT飲み会」の感想を簡単にご報告したいと思います。
cf.ホーチミンIT飲み会 - IT飲み会 公式サイト
http://www.it-nomikai.jp/hochiminh
「第1回ホーチミンIT飲み会」は12月2日に、「Pizza4P's」で開催されました。会場となった「Pizza4P's」はホーチミンでは説明不要の有名店ですね。
私はこの時期、ちょうどホーチミンにいたため、参加することができました。総勢80名以上が参加したと言われていますが、実態としては延べ100名くらいの方がベトナム国内外より来られていたように思います。
母体は、株式会社 EC studio様と株式会社サムシングファン様が主催となって立ち上げられた「IT飲み会」で、「売上を上げるための情報交換」「売上を上げるための人脈作り」「飲み会中に売上を上げる」という3つの目的を掲げ、日本全国に各支部(幹事企業)を置いて定期的にイベントを開催されています。IT系の展示会に「IT飲み会」名義でご出展されていたこともあったので、ご存知の方も多いかもしれません。
2008年より活動を開始して、2011年にはついに、サンフランシスコで初の海外開催がおこなわれ、今回のホーチミンはグローバル第2弾ということでした。
普段ですと1社30秒程度のプレゼンタイムがあるのですが、今回は2社が代表してプレゼンをおこないました。
株式会社ビーコンエヌシー藤井悠夏氏による「ベトナムにおける結婚ポータルサイトの立ち上げについて」は大変興味深かったです。
藤井さんとは「第1回ホーチミンIT飲み会」の少し前に食事の席でご一緒させて頂く機会に恵まれ、オフィスも見学させて頂いたことがあるのですが、ご自身のキャリアの中で蓄積したノウハウを、まだあまり市場が生まれていないベトナムで展開され支持を受けています。
日本にいて日本人の目で「タイムマシン経営」をおこなおうとすると、「もう出尽くしたかな?」と思えるようなことも、例えばベトナムに来て日本から輸入したことをおこなうことで時差を利用したビジネス展開というのも可能そうです。
「タイムマシン経営」を語源のままに「米国(未来)」と「日本(現在)」という相関関係でしか見ることができないと、こういった発想はなかなか出て来ないですね。そもそも、語源的な「タイムマシン経営」も、「日本(現在)」しか見れていなかったら成立しない概念ですしね。
藤井さんは海外でお生まれになり外国で生活された期間も長いようですので、このような固定観念がないのかもしれないと感じました。
なにやら来年はテレビ番組で特集されるとのことで、機会があれば是非拝見させて頂きたいと思いました。
cf.NHK アジアで花咲け!なでしこたち|2012年2月7日(火)BS1でスタート
http://www.nhk.or.jp/asia-nadeshiko/
よく日本人が外の世界を知らないたとえに使われるのが、「オーストラリアの世界地図」ですね。日本で売られている世界地図はもちろん日本が中心に描かれていますが、アメリカで売られている世界地図はアメリカが中心に描かれています。そして、オーストラリアで売られている地図の中には、なんと、天地が逆になったものがあるという話です。もちろんこれは公式の地図ではありませんが、日本人が見ると異様なものに見えます。私たちは「世界地図」と聞くとどうしても日本が中心にあるデザインのものをイメージしてしまうのです。
同様にテレビなどで、世界の国々で日本に対する印象を街頭インタビューすると「サムライ」、「ゲイシャ」などと言っている人がクローズアップされて映像編集され、それを見て私たちは「いまだに日本を知らない国もあるのだな」と一つのネタのように感じることがあるかと思いますが、その逆――つまり、外国のテレビ番組で日本人にインタビューをして検討違いの印象を述べてしまう番組を見たことがないこともあって、私たち日本人も同様に世界を知らないという認識が少なかったりします。
例えば、南アフリカ共和国を例に出してみます。「2010 FIFAワールドカップ」でも記憶に新しいと思いますが、この国に対して一般的にどのような印象を持ちますか?もちろん人によって違うとは思いますが、先の「サムライ」、「ゲイシャ」と大差ない発想をしてしまう人もいるかもしれません。
人口5,000万人、インターネット普及率ではまだ10%超えといったところですが、携帯電話の普及率は100%を超え、既に非接触ICカードも普及していたことから、直近ではモバイルペイメントによるショッピングが当たり前のようにおこなわれていくだろうと言われています。
cf.世界で2番目に大きな携帯電話市場となったアフリカ / 成長スピードがすごい!(「ロケットニュース24(β)」,2011年11月16日)
http://rocketnews24.com/2011/11/16/152125/
また、いわゆる「国際都市」という言葉がありますが、東南アジアの幾つかを見て回るとそれに該当する都市があります。その多くで様々な国の人が街を往来し、店先では時折英語や日本語での会話がやり取りされといった光景が見られますが、日本ではむしろ東京の主要な繁華街に行っても、お土産屋さんに外国人が大勢集まって店員さんが日本語と英語を使い分けて話しかけているという光景はあまり見られません。
東南アジア、とりわけ新興国では特に、「英語や日本語が話せる」というステータスがあることで待遇の良い職場で働けたり、ビジネスチャンスを生んだりすることが多いから話せる人が多いのかもしれません。
そういう点でも、個人所得や国力の上では日本から海外に行く方が楽だったり、マスメディアやインターネット普及率の面で見ても、日本にいる方が情報を多く仕入れやすい筈の私たち日本人にも知らないことは多いように感じました。
他にも感じることは多々あります。これは異論反論あると思うのですが、韓流ブームのさなか、ある人と話していて「なぜ韓国は国をあげて日本にプロモーションを仕掛けてくるのだろう」と言われたのですが、「日本に」というより「日本にも」「各国に」という方がしっくりくるように感じていました。
例えば、やはりベトナムを例に出しますと、ベトナムで一番高いビルはホーチミンにある「Bitexco Financial Tower」ですが、施工は韓国のヒュンダイ・エンジニアリング・アンド・コンストラクション(以下、ヒュンダイE&C)ですし、現在構想中といわれる100階建てのビルの建築プロジェクトにも韓国系企業が参画していると聞きます。
日本が原子力発電所の誘致で支援するとなれば、ヒュンダイE&C社は火力発電所を担当しています。
ちなみに、JETROが発行する「ベトナム・ホーチミン近郊ビジネス情報2011」によれば、世界からの直接投資の推移(2010年までの累計額)を見ると、1位が台湾、2位が韓国、3位がシンガポール、そして4位が我が国日本となっています。額の上では、日本よりも韓国の方が投資をおこなっているということです。
これもまた「日本人による、日本中心の発想が生むバイアス(偏見)」と言えるのかもしれません。
人というのはいくら不偏不党であると自称していても、どうしても先入観や偏見を持って物事を見たり価値を判断してしまうものとは思います。かくいう私も同様ですが、先のような「日本中心」の発想というのは日本国内では通用するとは思いますが、一度日本を出ると通用しないことも多いと感じることが増えてきました。
これからのグローバル社会で、日本が再び(引き続き)アジアをリードする国であり続けるためには、あえて「日本中心の発想」から離れていかないといけないのではないか、という気にさえなってきます。
cf.図録▽経済成長率の推移(各国比較)(出所:社会実情データ図録)
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/4500.html
「第1回ホーチミンIT飲み会」に参加された方々は、既にベトナムへ投資・進出されている企業の方、もしくはこれから進出をご検討されている方がほとんどでした。
もちろん参加されていた企業は、主にIT関連企業が多いのと、全ての企業が参加されているわけではなく既に十数年前から進出されている企業様もベトナムには多くあります。
私が見たのはそうした企業の一部ではあるのですが、その熱気(文字通りの意味以外に、ビジネスの可能性の感じられ方等も含め)はすごかったです。
この熱気も、日本にいると分かりにくいですよね。もちろん私も実際に参加していなければその熱気は感じることができなかったわけですが、私自身ももし日本にいながらこの話を聞いても、また公式サイトのレポートや誰かのブログなどでいくらその熱気を伝えられても、実際に目の当たりにしないと正確には伝わらなかったろうと思います。
主観・直感も大切だと思いますが、それは自身の経験値を上げた上での主観・直感でありたいと思いましたし、今後も出来るだけ客観的事実を把握した上で自身の意見を持ちたいと感じました。
今後、ベトナムをはじめ、東南アジアや欧米諸国に進出される中小・ベンチャー企業様も増えてくるかもしれません。もし、ベトナムへご進出のご予定がある企業様で、日本やベトナムでのWeb戦略についてお困りのことや、実施したい施策などがあるという方は是非一度ご相談下さい。
それでは来年もどうぞ宜しくお願い致します。
「渋谷に西武が出てきた役割というのは、単一資本の街づくりが陥りがちなワンパターン化傾向に対して、他資本がアンチテーゼを出していく、絶えず刺激を与えていくということにより、街を活性化していく」
/『SEEDレボリューション 西武セゾングループのファッション潮流への挑戦と実験』(西武百貨店文化教育事業部編)
本日、11月3日は文化の日ですね。
私たちの仕事は、中小・ベンチャー企業向けWebコンサルティングということで、当然ながら日々の仕事にパソコンは付き物で、特に私のような内勤がメインの仕事となると帰宅後も含めて毎日10時間以上、パソコンの画面を見ていることもしばしばです。
やはり、こういう業界にいると、こんな日くらいはパソコンから離れて読書でも、と思いたくなります。森信三氏は読書を「心の食物」と表現(cf.『修身教授録』/森信三著)されましたが、日本国憲法に「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」という件もあります。
このような時期、待っていて必ずしも享受できるものとも限りませんので、自ら摂りにいくといった次第です(笑)。身体への気遣いは多くの人が自発的に実践されていると思いますが、心の方も同様にセルフケアを実践するといった意味で、私にとっては読書はその一つになるのかもしれません。
それから、極めて私事ではありますが、先般、事情により6年近く住んだ渋谷の地を離れることとなりました。今回のコラムでは、ビジネス的な話から少し離れ、当社本社のある渋谷へ対する個人的、感傷的な思いも織り交ぜつつ(笑)、文化の日ということでもあるので、表題にあります私が学生時代より興味を持ち続けている岡本太郎氏、石津謙介氏、花森安治氏という同じ1911年生まれの3人の文化人について書こうと思います(cf.『マーシャル・マクルーハン生誕百年、「メディアはメッセージである」 ~4月、当社第11期スタート、当社公式サイトスマートフォン対応化完了~』)。
まず、岡本太郎氏について。
忘れもしない2008年11月18日、当社本社のある渋谷に、氏の巨大作品「明日の神話」が誘致されました。JR改札から渋谷マークシティに抜けた吹き抜けの壁面を利用してぴったりフィットしています。この作品の招致合戦にはいろいろあったことと思いますが、渋谷在住の私にとっては目の当りにする機会が増えたので嬉しい限りでした。
氏を知らない人でも「芸術は爆発だ」という言葉はよく知られていると思います。普通は、何か荒々しいことを連想し、風変りな人だという印象を持ちそうです(風変りであったとは思いますが)。しかし、氏の養女として長年付き添った故岡本敏子氏によれば、この「爆発」は、自身の内から沸き起こるもっと静かな閃き――換言すればインスピレーションのようなものを言っているそうです(cf.『芸術は爆発だ!―岡本太郎痛快語録』/岡本敏子氏)。
岡本敏子氏がお亡くなりになられてすぐの2005年5月27日、『たけしの誰でもピカソ』というテレビ番組で『“せつなくも うれしく 恋しい人” 敏子が愛した岡本太郎』という特集が組まれたことがありました。この番組内で先の「明日の神話」のエピソードが登場するのですが、実はこの作品、諸事情により長らく行方不明になっていて、2003年にメキシコ国内で発見されるのですが、岡本敏子氏が30年来探し続けたと言われる稀少な作品であったのです。まるで、この作品を探し出すことが自身の使命と言わんばかりに、ようやく日本に持ち帰れるかどうかというときにお亡くなりになってしまいました。
東京・青山にある「岡本太郎記念館」は、岡本太郎氏が生前に自宅兼アトリエとして使用しており、没後に敏子氏が館長を務める記念館となりました。岡本太郎記念館は、表参道駅から根津美術館の方向に歩いていく道すがらの閑静な住宅街の中にあり、私もブルーノート東京のライブに行く前に、少し早めに出て岡本太郎記念館でコーヒーを飲んで逸る気持ちを落ち着けることが時々あったのですが(笑)、岡本敏子氏が生前の頃はよく顔を出されていて、満面の笑顔で訪れた人たちに気さくに声を掛けられる様子が印象的でした。
今年2011年は、岡本太郎生誕100年ということでドラマ化されたり、岡本太郎記念館をはじめ各地でイベントが行われていましたが、私も東京国立近代美術館や渋谷パルコで開催された展覧会を訪れたものでした。
さて、この岡本太郎氏、芸術家としての顔の他に、先の「芸術は爆発だ」にも見られるように、独特な考え方や言葉も有名で、後日語録なども多く刊行されました。その中に、『強く生きる言葉』や『壁を破る言葉』というものがあります。
挑戦した不成功者には再挑戦者としての新しい輝きが約束されるだろうが、挑戦を避けたままオリてしまったやつには新しい人生などはない。
/『強く生きる言葉』(岡本太郎,岡本敏子著)
現代のような、困難な時代に立ち向かう際に勇気を与えてくれるということで、昨今再評価を受けることがある氏だそうですが、この2冊を読んで片鱗に触れるだけでも元気になれることと思いますので、機会があれば是非手に取ってみて下さい。
続いて、石津謙介氏について。
「駅前には広場があって、その光景は地方都市のどこにでも見られるようなものと変わらない。そして岡山名物のふたつの立像が距離を隔てて建てられている。ひとつは岡山といえば桃太郎というくらい有名な、その桃太郎が犬と雉と猿を引き連れている立像、もうひとつはバンカラ・スタイルの弊衣破帽の学生像である。」
/『VANストーリーズ―石津謙介とアイビーの時代』
2007年に私用で直島を訪れたことがありましたが、後日上記の本を読んだ際、途中立ち寄った岡山駅舎前で「ここが石津謙介氏の生まれ故郷か」と感じたことを思い出していました。
氏は、「VAN」ブランドで知られる、株式会社ヴァンヂャケット(前身は「石津商店」)の創業者で、先の岡本敏子氏がお亡くなりになられた約1か月後の2005年5月24日にお亡くなりになられてしまいました。
「VAN」ブランドは割と好きな方で、ファッションに疎い私も、VANの赤いスウィングトップや、絶版本の『VANグラフィティ アイビーが青春だった』等の関連書籍などは所有しています。
ファッション界で「アイビー」と言えば、いわゆる「アイビーファッション」、「アイビールック」と呼ばれる、アメリカの「アイビー・リーグ」からとられて流行したスタイルの一つですが、50年代、60年代頃に日本で最初に紹介をしたのが氏です。
雑誌「平凡パンチ」が創刊された60年代、東京・銀座のみゆき通りに、当時にしては変わったファッション――、この「平凡パンチ」を片手に持って、女性はロングスカートに大きな紙袋、男性はコットンパンツかバミューダショーツといった格好をして集まる若者がいて俗に「みゆき族」と呼ばれていたそうですが、彼らの着ていたのがVANであり、持っていた紙袋こそがVANのロゴが入った紙袋でありました。
あまりに多くの若者が通りを占拠するため、現地警察が動き、石津謙介氏に何とかするように依頼したことがあるそうです。そのエピソードから誕生した氏の有名な言葉が、「僕は消えて行く流行ではなく、日本に定着する風俗を創ろうとしたのだ」というものです。
そんなVANブランドも、皮肉なことに時代の波か、賛否問われる経営手腕のためか、1978年4月6日、当時にして500億円の負債総額を抱えて倒産してしまいました。戦後、アパレル業界最大の大型倒産と、当時のファッション界で話題になったニュースだったようです。
cf.「墜ちた“中国ビジネスのカリスマ”女社長 その華麗な半生の虚実」(2011年11月3日,「MSN産経west」)
昨今もアパレル業界で大型倒産がありましたが、そういったものとは全く性質を違え、巨額の負債を抱えても復活を望む人々の声が消えず、多くのファンの期待に応えて見事再生を遂げたのが先の株式会社ヴァンヂャケットでした。
もちろん、75年生まれ世代の私にとってはタイムリーに知らない話ばかりですが、実は氏の遺したDNAは至るところで見つけることができます。
『MEN’S CLUB』(ハースト婦人画報社)というファッション誌があるかと思います。2004年に創刊50周年を迎えた老舗雑誌ですが、前身を『男の服飾』(『婦人画報』の男性版に当たる)と言いました。63年に『MEN’S CLUB』と誌名を変えた頃、本誌は「VAN」のPR誌と言われるほど特集を組むなどしていたようですが、そこに氏が動いていたと言われています。
私の世代以前の方には馴染みもあると思われる、雑誌『POPEYE』(マガジンハウス)や『Hot-Dog PRESS』(講談社)などの雑誌でも、かつて「アイビー」に関する特集が組まれていたことがあるようです。『Hot-Dog PRESS』で「アイビー」の特集が組まれた頃の話については、『アイビーは、永遠に眠らない 石津謙介の知られざる功績』に詳しいです。著者は、『Hot-Dog PRESS』の創刊プロデューサーで、79年の創刊から88年までの間、同誌のエディトリアル・ディレクター、ファッション・ディレクターを務めた花房孝典氏です。
他にも男性ビジネスマンなら少なくとも1着は持っていると思われる「ボタンダウンシャツ」、これをトラッド/カジュアルシーンに登場させたのはブルックス・ブラザーズが発祥と言われていますが、そのBDシャツを日本で定着させたのが氏と言われています。
また、今でもJR渋谷駅から渋谷マークシティに入り、道玄坂に抜ける手前にある「メーカーズシャツ鎌倉」、鎌倉本店をはじめ全国各地に店舗があります。「上質のシャツを、4900円で販売する」というコンセプトで、利用されるビジネスマンの方も多いのではないかと思いますが、ここでシャツなどを買うと「石津謙介」という手書きの文字が入ったカードが一緒に入ってきます。
そこには、「私の門下生、貞末君夫妻がシャツショップを始めるという――」で始まる文章が書かれていますが、ここで「貞末君」と書かれているのが「メーカーズシャツ鎌倉」の創業者であり、一般社団法人日本メンズファッション協会(MFU)理事の貞末良雄氏です。貞末氏は、元ヴァンヂャケットの社員だったのです。
以上、こんなところにまでという印象もあると思いますが、そのようにして「VAN」のDNAは現代にも受け継がれているのだと思います。
大阪のアメリカ村は「VAN」発祥の地ですが、現在、株式会社ヴァンヂャケット本社が置かれるのは東京・青山です。そこから歩いてすぐ近くにある表参道交差点にある山陽堂書店では、今月7日まで氏に関する簡単な展示をおこなっており私も訪れました。
まだ数日ありますので、今も昔も一部男性諸氏を虜にしたファッション界のカリスマ、石津謙介氏にご興味があれば是非訪れてみて下さい。
最後に、花森安治氏について。
氏は、1948年9月、東京・銀座にて、生活誌『暮しの手帖』を、現暮しの手帖社社主の大橋鎮子氏とともに創刊した編集長です。先述のヴァンヂャケット社が倒産する少し前の、1978年1月にお亡くなりになられています。
2008年2月、主婦の友社刊の婦人誌・生活誌の『主婦の友』が休刊し、91年の歴史に幕を閉じたニュースは、出版不況の代名詞のように伝わったものでしたが、そうした中で私は、根強く特定の読者層を抱えるこの雑誌に興味を持っていたことがありました。
一番興味を持ったのは、この雑誌の最大の特徴でもある、「創刊以来、一切広告を載せていない雑誌」であるという点でした。学生時代の私が考える雑誌というのは、雑誌の販売売上もありますが、多くは広告収入で成り立っているビジネスモデルだという認識があったので、「なぜ広告を載せない雑誌が、こんなに長い間、発行され続けているのだろう」という単純ですが、強い疑問があり、それが興味の対象になっていったのを記憶しています。
広告を掲載しない理由は、氏が広告嫌いだったのではなく、自社広告は載せています。自身でミリ単位まで気を使ってレイアウトした誌面に他社の純広告が割って入るのを嫌っただけで、新聞広告は自身で作り、誌名のロゴも毎号新しく書かれていたそうですが、氏の手書き文字によるコピーやデザインにはユニークなものが多いです。
この「広告がない」ということにも関連するのですが、もう一点有名な特徴として挙げられるのが本誌の一コーナー「商品テスト」です。
これは、生活者視点に立ち、当時市場に出ていた家電製品や石油ストーブ、靴下から鉛筆に至るまで、本当に安全で良い製品なのかどうかを編集部でテストして、誌面上で公開するというコンテンツでした。
売手市場であった高度成長期、有名メーカーの製品にケチでも付けようものなら、広告出稿が止まってしまうことなど簡単に起こった筈ですが、本誌は創刊以来というもの広告は一切掲載しない方針であるため、そういった商業的なリスクヘッジは不要ということで、徹底的に商品をテストします。
氏の考え方としては「商品テストは消費者のためではない。メーカーのためだ」(cf.『花森安治の編集室』/唐澤平吉著)というものでした。
<商品テスト>は、消費者のためにあるのではない――このことを、はじめに、はっきりとさせておかねばならない。
(中略)メーカーに主義主張はない。売れるものを作るだけである。よい商品を作れば売れる、となれば、一生けんめいよい商品を作る。
/『暮しの手帖 保存版III 花森安治』(暮しの手帖社発行)
結果論としてかもしれませんが、広告主に媚びるのではなく逆に徹底的に生活者(消費者)に寄る、こうしたユニークな方針が本誌の強みとなって、今日に見られるような特定の名声を稼いだのでしょう。一万部から始まり、一時は九十万部まで発行部数を伸ばした雑誌のようです。
この「商品テスト」がどれだけメーカーに響いたかは分かりませんが、その後、日本のものづくり界は品質を高めていき、世界トップクラスの品質基準で検品作業をおこなう国にまでなりました。
cf.煙を嗅ぎながら延焼を体感「死に様試験」/日立アプライアンス(2011年10月24日,「日経情報ストラテジー」)
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20111017/370918/
昨今、日本のものづくりが振るわないという暗いニュースも多いですが、品質が良いという部分では世界でも秀でていると感じます。「良いモノを作る」という気持ちは、引き続き作り手として強く持ち続けていたいと改めて感じました。
以上、今年もまもなく終わりに近づいていますが、今年生誕百年になる3人の文化人について挙げてみました。
いずれの方も辿られた人生を今振り返ってみて、困難や壁に当たらず楽に生きてきた方はいなそうです。つまり、今現在が最も困難な時代であるかのように感じてしまうこともあるのかもしれませんが、もしかすると、困難の絶対性で言えば今も昔も変わらず、今を生きる当事者が皆、常々感じる共通感覚なだけなのかもしれない、とふと思いました。
また、常に挑戦できる目標や競争相手があるからこそ「挑戦」できるし、その過程を経て自身や自社が成長するのであって、逆に見ればしっかりと目標に向かって突き進む以上は、そうした目標や相手に引っ張り上げてもらえているということになるのかもしれませんね。
要は心の持ち様だということで、文化の日、2011年秋の収穫として得たものを書くことで、本コラムを締めさせて頂きます。
本田宗一郎没後20年、当社設立10周年の今年に挑戦したいこと ~「チャレンジして失敗を恐れるよりも、何もしないことを恐れろ」~
2011年08月28日 03:19 PM
投稿者 小川 悟
私の過去などは、現在を成功というならまさに失敗の連続で、失敗の土台の上に現在がのっかっているようなものである。
/『俺の考え』(本田宗一郎著)
今月、8月5日は、本田技研工業株式会社の創業者、本田宗一郎の没後20年にあたる日でした。
Gaba こどもマンツーマン英会話が7月におこなった「子どもの教育に関する保護者の意識調査」によると、今年の夏休みに子どもに読んでほしい有名人の自伝・自叙伝を聞いたところ、本田宗一郎の『夢を力に』が1位になったそうです(Gabaマンツーマン英会話調べ)。
『夢を力に』は、本田宗一郎の自叙伝(日経新聞「私の履歴書」に連載した内容)と、語録(社内報等に寄せた文章)、年譜などがコンパクトにまとまっているので偉大な経営者の遺した軌跡をざっくり振り返ることができ、かつ、ご本人の書かれた言葉がそのまま読めるということで、どこか身近に感じることもできる本ですね。
今は日本の自動車メーカーも、若者の車離れだとか円高等の影響もあって、世界を相手に競争するには苦戦する側面もあるのかと思いますが、日本のものづくりが世界を牽引し高度成長を果たした時代に崇高な思いを掲げて時代を切り拓いていった経営者たちの遺した言葉は、現在の日本のように世界中から品定めを受けるような時代になって深い含蓄をともなって聞こえてくることがあります。
先日は、ベトナム出張時のことなどについて触れましたが、ホーチミンの街をタクシーで移動していると、平日の朝や夕方などは特に、道を行き交うバイクの群れに圧倒されることは度々ですが、そのバイクの多くが"HONDA"であることも気になってはいました。
ベトナムは昨今の経済成長を見ていて不思議に感じることもあるのですが、いまだに地下鉄が走っていないためにか(現在、日本のODAで工事着工し、2016年運用開始で進められているそうです)、交通手段はバイクがメインであることもあって、自動二輪車に強いホンダが主流になっていることに合点はいきます。殊ベトナム国内にあって、市場調査会社の発表する統計で言えば、有名ブランド調査で「HONDA」が全業種中で1位の座をキープしています。また、ベトナム以外の新興国でも「HONDA」ブランドは人気があるそうです。一時代に比べ、「MADE IN JAPAN」の持つブランド力が弱くなってきていると言われる中、消費者から信頼されるものづくりを続けているのはすごいことだと思います。
さて、8月、お陰様で当社は設立10周年を迎えました。
5日には、社内イベントですが、10月に予定している社員総会に先駆けて、まずは管理職だけで記念パーティーが催され、数年来ともに仕事をしている同志らと祝い合いました。
今期の経営テーマは「全員アドベンチャー」。「挑戦」がキーになってきます。
今後迎える新しいフェーズも今まで以上に飛躍していけるように、現在課題となっていることを克服してゆくことと同時に、新しいことにも挑戦していきたいと思います。失敗を恐れていては、いつまで経っても「自身が出来る範囲の仕事」しか経験を積めません。
冒頭で触れた『夢を力に』の中で、本田宗一郎語録の「三つの喜び」というのが書かれています。
「作って喜び、売って喜び、買って喜ぶ」というものですが、当社も車やバイクではないですが、Webサイトを作り、売って、買って頂くというスキームは同じですから、没後20年の年、CS本部でも改めて意識を高く持ってサービス品質の抜本的な向上に挑戦していきたいと強く感じました。
あるメーカーの自動車は、二十年来ジョイントがガチャガチャいっている。そこには優秀な技術屋もたくさんいるはずだ。そしてその音を聞いている。それなのに直らない。どうして直らないかといえば、僕は道徳の欠如だと思う。こんな品物を出して申訳ないという道徳的な気持ちが少しでもあれば、シロウトでも直るはずだ。(『ざっくばらん』より)
(中略)いくら九九パーセントよい商品がつくれても、自慢にもなんにもならない。もし、一パーセントでも悪い車ができたら、その車にあたったお客さんにとっては、一〇〇パーセント悪いことになるのだから、「工場というのは、最低一〇〇パーセント、理想的にいえば一二〇パーセント合格しないと話にならない」
/『わが友 本田宗一郎』(井深大著)
アイデアこそが広告に精神と生命を吹きこむ。広告制作者がその手腕を発揮する上で、これより大切なものはない。
(序文より、Doyle Dane Bernbach社社長、William Bernbach氏)
/『アイデアのつくり方』(ジェームス W.ヤング著)
昨日20日は、仕事が終わった後に、「Web&モバイル マーケティング EXPO【春】(Web-Mo 春) 」の当社出展プロジェクトメンバーの打ち上げに参加してきました。
先週末で終了した、この「Web・モバイルマーケティングに関するソリューションが一堂に集まる日本最大級の専門展」に当社が出展するのは今年で4回目でした。今回は時代を反映して、今年で第2回となった「クラウドコンピューティングEXPO」に続いて、「第1回 スマートフォン&モバイルEXPO」が併催されるなどした関係か、5/16時点の来場者数速報値を見ると、3日間で124,000人以上の人が来場される程盛り上がったことが分かります。
まずは当社ブースまでわざわざお越し下さいました企業ご担当者様、お客様、お取引先様、皆さま、誠にありがとうございました。この場をお借りして御礼申し上げます。
さて、本題に入ります。今年に入ってからのこのコラムの中で、今年の干支である「辛卯」(かのとう、しんぼう)について少し触れたことがありましたが、ポジティブな側面でとらえ直し、今年が「新しく芽が生じる年」になるとすれば、当社にとっては当たり年になるかもしれません。
――と言いますのも、今期第11期に当社で掲げられた経営テーマは、「全員アドベンチャー」で、この詳細については、当社代表の木村のコラムを参照頂きたいのですが、新たな価値を生み出したり、既存サービスのカイゼンや、イノベーションがテーマになっている期となっているからです。
今期、大きなインパクトのある事業が誕生するのが理想ではありますが、一見小さなものでも、そのカイゼンによって、お客様に喜んで頂く割合、回数、度合が向上するのであれば、巡り巡って社内スタッフのモチベーションも向上するため、そうやって良質なスパイラルを生み出すだけでも、お客様・当社の両者にとってベネフィットに繋がると考えています。
以前もこのコラムでご紹介した、当社が既存のお客様向けに実施している「顧客満足度調査」ですが、先般、第10期(2010年4月~3月)に納品が完了したお客様の内、アンケート回答にご協力頂きました350社のお客様から頂いたご意見の集計が完了しました。
「不満足」をなくすことには至りませんでしたが「満足」が5%伸びました。前回は半期分で総数が今の半分以下であったので、下半期で一層のカイゼンが進められたと自己評価しております。もちろん厳しいご意見もありましたが、どちらかと言うと「思ったより全体的に品質が悪い」というご意見は極まれで、大体が「まだ始まったばかり、これからが本番」といった期待感・ご要望に近いものであると感じました。
■顧客満足度調査結果
http://www.freesale.co.jp/service/customer.html
そのため、上記ページ下段の方をご覧頂けるとお分かり頂けるかと思うのですが、組織再編を行い、中小・ベンチャー企業のWeb戦略をサポートする上で、最も多くの、そして強いニーズがある、納品後の運用体制を強化して、今期スタートを切りました。
これらは恒常的なカイゼン業務ですが、新規事業開発支援、及び事業推進のためにも、既に当社では相応の制度が走りました。スタッフからの新規事業提案をフォローする仕組みです。「挑戦」することに尻込みしてしまうスタッフも、こうした仕組みでカバーされるのではないかと感じています。このように社内制度化することで、推進力を得ようとする企業様は多いですよね!
「じんつく」というサイトは、眺め見ているだけでも「へぇ~」という気分になります。
cf.じんつく-みんなで作る人事制度図鑑-
上記にもあるかもしれませんが、こうした社内ベンチャー設立支援、新規事業・商品開発の支援制度の類で直感的に想起するのは、リクルート社の「New-RING」、セプテーニ社の「ひねらん課」、GMOインターネット社の「夢手帳立候補制度」、サイバーエージェント社の 「ジギョつく」、他にもちょっと系統が異なりますが、ミクシィ社の 「One Day Free(ODF)」や、グーグル社の「20%ルール」等々でしょうか。このような「しくみ(社内制度等)」が、多くのユーザーに愛される商品・サービスを生み出してきた事実もあるのでしょうね。
ただ、いくら「しくみ」(社内制度等)が整備されても、そのしくみを活用するのはやはり「人」です。本質的な理解が求められることはもちろん、そもそもの知識や情動のようなものがなければ、良いアイデアも出てこないかもしれません。
孫正義氏がかつて「Bit Style」という会合でおこなったスピーチの内容について、過去私もこのコラム(cf.「クロニクル「インターネット業界10年史」 ~まるでビッグバンのように、超高圧な一点の意志からその広大無辺な市場は生まれた~」)の中で引き合いに出したことがありましたが、そこで孫氏が、ビジネスを成功させるために必要な条件を4つ挙げて未来の起業家たちにエールを贈ったエピソードが有名です。
その4つとは、「志」、「アイデア」、「仲間」、「資金」でした。この内、今回は「アイデア」について少し掘り下げて考えてみたいと思います。
冒頭に、ジェームス W.ヤング氏の『アイデアのつくり方』の一節を引用しました。発想法に関する古典的作品と言われています。著者自身、広告業界の人ですし、序文を寄せたウィリアム・バーンバック氏も同じく広告業界の人です。広告業界では研修時に発想法について学ぶ機会もあると聞いたことがありますので、読まれる方も多いのかと想像します。
著者は、アイデアをどのようにして発想し得るか、その方法について、公式化したり、発想する技術があるのではないか?といった仮説を立てます。そして、「アイデアは新しい組み合わせである」という見地に達します。この原理は今の時代でも、識者によって語り継がれています。
何かを考えるときには、まず既存のアイデアが自分の頭に入ってきて、それが組み合わさって「新しい」アイデアになり、そして企画という実現可能なカタチになる。この流れで知的作業が進んでいくようです。
/『考具』(加藤昌治著)
新しいアイデアは、世界のアイデアとあなたのアイデアをかけあわせた(×)ところから生まれます。あなたが<アイデアのかけ算>の達人になれますように!
/『アイデア×アイデア』(田口元著)
そういった意味で、ヤング氏も書かれていますが、原理原則に気付くことが重要なのだと感じました。「アイデア」ベースのネットサービスはこの10年間でも実に多くリリースされてきたと思います。最近の日本でも話題に出ることの多い、Facebookやザッポスの前身サービスも「アイデア」ベースでした。日本でも例えば「美人時計」(cf.「美人天気」)などがあると思います。こちらも、「美人」(男女共に興味対象)+「時計(天気)」(日常的に利用されるもの)という既にあるものの組み合わせとなっていますね。
『世界が恋した美人時計 大ヒットサービスが生まれたヒミツ』(中屋 優大,橋本竜著)という書籍に、サービスの成立背景が書かれています。
「美人時計は、思いつけば誰でもできた」
「流行ったのはまぐれだよ、運がよかったね」
そう耳にタコができるくらいに言われました。確かに運には恵まれていましたが、運は流行るところに訪れるもの。その運に気づくことができるか?摑まえられるか?摑まえて活かした結果が、よくみんなが口にしている運が良かったということ。
/『世界が恋した美人時計 大ヒットサービスが生まれたヒミツ』(中屋 優大,橋本竜著)
確かに、自分では思いつきそうで思いつかなかった、もしくは思いついたが実行に移せなかった、結果を出せなかったサービスで他者に先を越されたとき、一瞬悔しいと思う感覚は誰しもにあると思いました。
しかし、イケダハヤト氏の『実行スピードが価値になる時代』というコラムに目を通して、万が一悔しいと思うことがあっても、これは納得するなと思いました。「アイデア自体にもはや価値はない」という考え方です。10年くらい前に、「情報(化)社会」と言われて「情報がお金になる」時代がありましたが、今では情報自体は無料が増えて価値が薄くなったようなパラダイムシフトが、今目の前で起こっているのですね。アイデア出しのフェーズで悔しがっている余裕はない筈です。
先の、『アイデアのつくり方』の中で、ヤング氏はアイデア生産の過程、もしくは方法を5段階に分けました。その5番目のフェーズ、「現実の有用性に合致させるために最終的にアイデアを具体化し、展開させる段階」について書かれた以下の記述は、アイデアを形にする仕事を遂行する上で重要な考え方だと思いました。
ほとんどすべてのアイデアがそうだが、そのアイデアを、それが実際に力を発揮しなければならない場である現実の過酷な条件とかせちがらさといったものに適合させるためには忍耐づよく種々たくさんな手をそれに加える必要がある。
/『アイデアのつくり方』(ジェームス W.ヤング著)
アイデアを思いついて披露し、それで満足して留まってしまっては、形にすることができずに、いわゆる「ジャストアイデア」(思いつき)で終わってしまいます。
そう考えると、せっかくヒット商品、市場に受け入れられるサービスの原案になったかもしれないのに、上司に一度ダメ出しされたからとか、周囲の協力を求められなかったり、用途をプレゼンしきれなかったり、スピード感を持って動けなかったり、まさに「仏作って魂入れず」ではありませんが、最後の仕上げの部分で挫折してしまって世に出なかった幻のサービスなどもあるのかもしれませんね。
「アイデアを新たに生み出す」という創造行為には、当事者意識や目的意識、使命感などの基本的なマインドはもちろんのこと、アイデアの数自体もそうですが、一見無理そうなところにも突破口を見出して思考停止に陥らない、ブレイクスルーの思考が求められているのだと感じました。
特に管理職以上になると、「常に結果を出すこと」を求められることが増えるかと思いますが、それは、「壁にぶつかる=突破しなければならない」機会が増えることと同じことかとも思いますので、管理職にとっては問題解決思考やしくみ化と同じくらい、スピリチュアルな要素も重要になってくるのかもしれません。
今期第11期、8月には、当社設立10周年を迎えます。お客様を含め、市場から求められてくる内容は一層難しいものになっていくと思うのですが、今期当社の経営テーマ、「全員アドベンチャー」によって挑戦するスタンスを磨きながら、サービス・イノベーションを起こせるようなアイデアを全スタッフで出し合い、結果を生み出していけるような組織を目指します。
マーシャル・マクルーハン生誕百年、「メディアはメッセージである」 ~4月、当社第11期スタート、当社公式サイトスマートフォン対応化完了~
2011年04月10日 09:03 PM
投稿者 小川 悟
「ニュースはテレビの視聴者にとっては自動的に現実世界となる。それは現実と置き換わるのではなくそれ自体が直接的現実なのだ」ということになる。換言すれば「私たちは私たちがメディア(テレビであれインターネットであれ)を通じて見た(認識し、知覚した)そのものになる」ということだ。
/『マクルーハン 生誕100年、メディア(論)の可能性を問う』~『メディアの理解(メディア論―人間の拡張の諸相),有馬哲夫氏』(河出書房新社)
当社は4月1日から第11期に突入致しました。新たな経営テーマ、ゴールビジョンの元、年間の行動計画を立て、各部門各自がやる気に満ち溢れる時期となりました。
当社では早速、4月1日、当社公式サイト群(公式サイト、新卒採用サイト、中途採用サイト)のモバイル向けサイトをリニューアル致しました。
リニューアルに際しては、当社子会社の株式会社ファインズが提供する、携帯Flashサイト構築システム「SUNNY」を導入致しました。
■ガラケー(フィーチャーフォン)Ver.の表示画面
■スマートフォンVer.の表示画面
※以下QRコードをバーコードリーダーで読み取り頂くか、URLをメールで転送してアクセスして下さい。
URL: http://m.freesale.co.jp/
■QRコード
cf.iPhone,Andoroid機種向け、QRコード読み取りオススメ無料アプリ
・アドレス交換 Lite 【iPhone/iPod用】
・QRコードスキャナー 【Andoroid機種用】
※QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。
ガラケーVer.は「SUNNY」の特徴であるFlashコンテンツを活用することで、コンテンツ量の多いケータイサイトにありがちな縦長スクロールのストレスがないUI(User Interface)にし、スマホVer.はフリック操作時のストレスを最小限に抑えるために、画面サイズに適したナビゲーションアイコンを設置、直感的な操作で目的のコンテンツへ到達しやすくなるよう「使いやすさ」に配慮した設計を意識しました。いずれも、通信速度を考慮した浅い階層構造を心掛けました。
昨今のマルチデバイス時代、TwitterやFacebook、mixiやGREE、Ameba等の人気SNS、ネットサービスのスマホ対応化もどんどんと進んでおり、中小・ベンチャー企業、店舗様のコーポレートサイトにおきましても、よりシームレスな各種サービス間のページ遷移が、今後ますます求められてくることになると考えられます。今後とも当社提供のWebサイト、ファインズ提供の「SUNNY」をどうぞ宜しくお願い致します。
さて、今回は第11期一本目のコラムとして、先のように、当社公式サイトのリニューアルをお知らせさせて頂きました。
今年2011年は、『メディア論』などで有名な、マーシャル・マクルーハンの生誕100年の年だそうです。マクルーハンは、私たちが通常「メディア」と称する際に「内容(コンテンツ)」そのものを言うことが多いと思いますが、マクルーハンはメディアそのものが情報を持った「内容」であるというようなことを主張しました。
昨今のように、PCやガラケーはもとより、iPhoneやiPad、デジタル・サイネージ、電子書籍リーダーなど、情報をアウトプットする"スクリーン"は多種多様となった、まさに「マルチデバイス時代」、また、先月のコラムでも触れましたが、中東の革命や、震災時の緊急連絡手段として、各種SNSや最新ネットサービスが活用されたりされるなど、折しも今年はマクルーハン生誕100年ということで、「メディア」や「マクルーハン」について一般の関心が高まりそうな予感がしています。
期初のコラムとして、話を続けたいと思います。
東日本大震災から明日で1か月――、まだまだ未曽有の災害が残した爪痕は各地に残り、復興に向けて取り組まれている方の心労も絶えない時期かと思います。大変な時代ではありますが、一歩一歩、復興に向けて皆で取り組んでいければと考えております。
今日10日は統一地方選挙の投開票日であり、私も足を運んで参りました。今、社会的関心の高い被災地の復興、原発措置を含めた災害対策についてはもちろんのこと、そもそもの課題であった経済政策などに改めて当事者意識を持って対峙してゆく意味もありました。
昨今のニュースで、福島第一原発の電源喪失事故について「想定外」としていた過去の認識に甘さがあったという保安院・安全委からの発表があって、いわゆる「原発の安全神話」が大きく揺らぎ、反原発・脱原発のムードが高まっているところも見受けられます。過去、反原発を歌ったロック・ミュージシャンたちの映像などは、動画共有サイトで再生回数が今もどんどんと伸びていっています。
冷静になって考えてみると、なぜ日本のような地震大国、かつ国土の狭い国にあって、(建設中・計画中のものも含め)アメリカに次いで世界第2位の原発保有国となったのか。震災の特番などを見ていると、何やら、製造業の生産性と電力量との間に相関関係もあるといったことが説明されたりもして、日本の高度経済成長期に「多くの電力が必要になっていった経緯」があったことを想像させられます。今までそんなことは考えたこともありませんでしたが、確かに疑問に感じました。
今までの経緯や背景を窺い知るために、堺屋太一氏がオイルショック発生から2年後の75年に執筆された"予測小説"、『団塊の世代』を思い出して目を通してみました。本書は四話の短編小説の構成で、一話目が80年代前半、二話目が80年代後半、三話目が90年代中葉、四話目が00年の世界を想定し、主人公も舞台も独立した内容ながら、主人公が皆「団塊の世代」という共通項で統一された断章形式による未来予測小説という体裁になっている作品でした。
ここでは第四話「民族の秋」を引用してみます。
一九七〇年代の中頃から、欧米諸国は石油に替るエネルギー源の開発・利用に全力を上げた。全ての国々が、乱暴に思えるほどの勢いで原子力発電所を増設し、石炭の利用を拡大した。太陽熱や地熱、海洋エネルギー、風力エネルギーを利用する技術の開発にも、巨大な資金と多数の人材を投入して来た。だが、日本はそれに立ち遅れてしまったのだ。
理由はいろいろあった。(中略)最大の要因は、国民の間にエネルギーに対する危機感が乏しかったことだ。あるいは、国民大衆に対して、納得のいく説明を十分にしなかった関係者の努力と技倆の不足に責任があったのかも知れない。日本では、エネルギー問題の重要性を説く論調よりも、原子力発電所や石炭公害の危険を主張する論評の方が、はるかにマスコミに受けていたのである。
/『団塊の世代』(堺屋太一著)
念のため改めて断っておきますと、上記はあくまでも「予測小説」であって、「現実を描いた小説」ではありません。著書が75年に00年の日本、あるいは団塊の世代が活躍、悩むビジネスシーンを想像して書いた小説で、本文もその一節です。それでも、当時のムードを窺い知る材料にはなりました。
なるほど、確かにマスメディアにおいては――、これはかつて、このコラム(cf.「タイトルだけでクリックさせる ~タイトルの"修辞学"~」)の中でも触れたように、タイトル、もしくは記事の見出しは重要です。――私たちの業界では活用されるケースはそこまで多くはないですが、「フィア・アピール」はマーケティング、あるいは特定業種の販売手法では常套手段の一つではあるし、昨今「放射能がくる」とか某誌の見出しが問題になったりしたこともあったかと思いますが、「読んでおかないと身が危険になりますよ」とでも言わんばかりの打ち出し方のメディアは多く散見されるような気もします。
関連して言えば、他にも改めて今、未来予測として読むべき本があるとすれば、アルビン・トフラーのものなどでしょうか。
cf.未来学者アルビン・トフラーが予測する今後の40年を左右する「40の変化」(「ダイヤモンド・オンライン」,2010年12月29日)
http://diamond.jp/articles/-/10609
私の世代ではこうした過去の経緯は同時代人として実感が少なかったですが、これらを読む限り生活者は、目にするメディアによって多分の影響を受けてきていたことが今さらながら痛感します。確かに、日本が世界に誇る科学技術についての功績や抱えている諸問題よりも、起こった事故や政治家の汚職・失脚などのニュースの方が印象深く残っています。
また、太陽光発電についても、「チャレンジ25」、「チーム・マイナス6%」の頃から、ドイツの成功事例を横目に日本は国土が狭いし余計にコストもかかるため難しいといった議論がありましたが、直近は世論として自然エネルギーに傾倒してゆく可能性も考えられそうです。「原発(そのもの)が危険」という科学技術に対する不信というよりも、管理する側がリスクを予見しきれない、トラブルを対処しきれないということしか生活者には映らないだろうからです。もっと考えを巡らせると生活者は、エネルギー政策(国内供給はもとより、世界に対する技術提供含め)そのものよりも、脱原発に関心が高まっているということが想像できます。
そうなった際に難しいのは、どのように必要なエネルギーを調達するかということでしょうね。生活者の目からは、オール電化の家に住まなくてもやっていける、パチンコ店のネオンは過剰過ぎではないか?と生活者なりの節電に対する意識はそれはそれで重要かと思うのですが、企業の事情となると別で考えなくてはならなそうですね。
当社も本社では多くの企業様同様に節電を心掛けています。インターネット、Web業界で働く私たちにとって、電力は主に照明やPCの電源 となり、一番の留意点はサーバを止めないということになると思いますが、企業によっては、例えば半導体製造など「電気」そのものが生産性に関わるという ところも多いと思います。週刊ダイヤモンドの最新号の特集も「電力喪失」でしたが、今後の政府や電力会社の方針決定は、国民の安全を大きく左右することはもとより、日本経済復興にも繋がる意思決定となってくるでしょう。中長期的視点で見ても貴重な電力ですし、本質的な復興のためにも、こういった対策も同時に進めて頂きたいですね。
他にも、夜道が暗いという不便もあります。不便なだけでなく、実際に物騒な事件もニュースで散見され、治安面においても今までコンビニや店舗の看板などのありがたみを知ることになりました。
余談となりますが、学生時代に「(歴史の中の)照明」(象徴として、あるいはマクルーハン的に言えば「メディア」として)に興味を持った時期があって読んだ本がありました。『闇をひらく光 19世紀における照明の歴史』というものですが、以下に一部引用したいと思います。
ランタンは秩序を具現するものだったので、そこに加えられた攻撃は、いかなるものであれ、秩序へのささやかな反抗を意味した。したがってそれ相応の罰が与えられた。パリでは、街灯破壊が秩序違反(con-travention aux ordonnances)ではなく、刑事上の犯罪行為、それもほとんど不敬罪として扱われた。
/『闇をひらく光 19世紀における照明の歴史』(ヴォルフガング・シヴェルブシュ著,小川さくえ訳)
つまり、照明(光)の社会的役割として、単に周囲を照らすというだけでなく、防犯上の意味合いが、近代的な「照明」が発明されてすぐに生じていたということを示していると感じたものでした。何を節電して、何を節電しないのか、その辺の判断も難しいところであると感じました。
先述した保安院・安全委からの発表に先立ち、3月末、昨年の事業仕分けでひっそりと国の管理から外れたサービスがありました。私もこのコラムでかつて採り上げたことのある、科学技術振興機構の「失敗知識データベース」がそれです。
cf.失敗体験を通して創造力を生み出すために ~アポロ月面着陸40年、世界天文年2009~
http://www.web-consultants.jp/column/ogawa/2009/05/post-31.html
「失敗知識データベース」は2005年から運営されており、過去の失敗事例をデータベース化し、同じ失敗を繰り返さないように体系化してまとめられていたものでした。今では、失敗学会理事長を務められている畑村洋太郎氏の主宰する畑村創造工学研究所の管理下に移されています。
この中の「電力・ガス」のカテゴリの中に、過去の原発関連の事故も収められています。
cf.「失敗知識データベース」失敗事例 「電力・ガス」
http://www.sozogaku.com/fkd/lis/cat007.html
今回の「想定外」の事故と全く同様のケースはないので、仮にこれを畑村氏の提唱する失敗のヒエラルキーの中で「未知への遭遇」に分類するにしても、国の管理下から離れたとはいえ、是非、今稼働中の他の全ての原発を含め、同じ失敗は当然のこととして、想定されるリスクを繰り返さない対策をとって欲しいと願うばかりです。
最後になりますが、私たち一企業人として節電に対する意識など、もちろん局所的に最重要な問題ではありますが、中長期的に見ると、まだまだ考えなくてはいけないことは多いなと感じたことを表すために、先の『団塊の世代』(第四話「民族の秋」)後半の、主人公たちの会話部のみを引用してみます。
「僕らはむしろ責任者だと思いますよ。あの高度成長時代、いやそれに続く七〇年代・八〇年代の、まだまだ日本に力があった頃を無為無策に過して来たことの……」
「無為無策だったかね……」
「そうですよ。だから今、僕たちはエネルギー問題や財政問題で苦労してるんじゃないですか」
「先のことを考えないで、福祉だとかレジャーだとかで民族のバイタリティーをことごとくその日の消費に使ってしまった責任世代なんですよ」
「民族のバイタリティーというのは、時代の産物ですからねえ……」
「そうですよ。日本民族の春と夏は短かったんですよ」
「そうか、今は民族の秋か……」
<冬の準備を急がねばならん……>
/『団塊の世代』(堺屋太一著)
――となるのですが、今を生きる私たちは、まさに歴史の真っただ中にいるのであって、過去のことや、上の世代に責任転嫁していても何の解決も生まないということを感じました。
これはそのまま、私たちの仕事にも当てはまりそうです。後々どのような問題を孕んでいるのか、勝っているときだからこそ、潜在的に秘めているリスクも意識しつつ、今期はより一層、皆が当事者意識を強く持って、飛躍できる期にしていきたいと思います。
長くなりましたが、引き続きどうぞ宜しくお願い致します。
As I can.――もし、私にできるならば、という言葉があります。
/『生活の芸術化 ラスキン、モリスと現代』(池上惇著)
まずはじめに、この度2011年3月11日(金)に発生した東日本大震災により、亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された方々、並びに関係者の方々に対しまして、心よりお見舞い申し上げます。一日も早い復旧・復興をお祈り申し上げます。
宮城県三陸沖を震源地として起こったマグニチュード9.0の巨大地震は、当初M8.4と報道され、夕方にM8.8に修正され、13日午後にはM9.0と気象庁から発表がありました。
11日当日私は、東京都渋谷区にある本社の入るビルでいつも通り仕事をしていました。突然襲った地震でしたが、今までこんなに揺れたことはないというくらいに揺れ、しばらくすると屋外退去の指示があり外に出ました。目の前の国道にはパトカーが走り交通整理を行っていましたが、アナウンスが殺気立っていて、尋常な雰囲気ではありませんでした。
しかし、家族に連絡を入れようにも携帯電話が繋がりませんし、会社内でテレビが映らないので情報が全く入ってきません。近隣のビルの社員の方と話したり、TwitterやFacebookで断片的に入ってくる情報を頼りに、揺れが収まるのを待ってオフィスに戻りました。その日は交通機関が混乱・麻痺していることもあり早めの退社が促され、職場への宿泊も認められました。
その後、ネットニュースやUstreamで情報を集めている内に、被害の全容が段々に分かってきて、その日以降、地震や津波に端を発した原発問題などの二次災害、他にも計画停電措置の発表や、大規模な節電の呼び掛け、首都圏では多く起こった生活必需品の買い占め騒動など、今まで多くの人たちが経験したこともない事態が起こり、誰もがどうするべきか判断できない状況下で、ネット上では多くのデマや不確かな情報が飛び交い、それによって増幅された不安が引き起こした集団パニックの光景が、さらに人々の不安を最大限に募らせていったのは説明するまでもありません。
当社スタッフの中には、打ち合わせのために、地震発生の時間帯にお客様先に訪問していた者も多かったのですが、その内の数名に確認すると、訪問先の会社の社長様が陣頭指揮をとって、スタッフさんに的確に指示を出し、迅速に防災グッズを手配し、避難誘導までを大きな声でされていたようで、「大変ありがたいと思ったし、このような誰も経験したことのない規模の地震で緊迫した事態にあって、冷静且つ、統率の利いたビシッとした安全配慮ができていたものだから、不謹慎かもしれないがそのような状況下にありながら感心してしまった」と申しておりました。一例ではありますが、他に当社スタッフがもお世話になったケースは多いかと思いますが、この場を借りてお礼申し上げます。
当社では全スタッフの安否の確認を取った後、実家が福島県や宮城県、茨城県にあり、家族としばらく連絡がとれないという状況が長く続いたスタッフも多くいました。また、リリース(「東北エリアの当社代理店、株式会社エントラスト(仙台市)の対応について」)も出しましたが、代理店様の本社事務所が仙台にあり、当日は連絡が付かず当社関係スタッフが安否を気にしておりました。幸いに無事は確認できましたが、オフィス内は物が散乱しており、ライフラインが断絶されており、営業活動は停止せざるを得ない状況とのことでした。
当社では、週が明けた14日も、不安と慌ただしさの混在した中で何とか通常業務を続けることができました。被災地の方のために私たちにすぐできることは、私たち自身が精神的不安に苛まされることなく、冷静になって今の仕事を頑張ることしか即座に考えられませんでした。
担当しているお客様の安否確認の電話をするスタッフ、当社各拠点長と連絡を取り合って協力体制を迅速に築こうとするスタッフ、お客様のWebサイトデータを扱う提携先企業様へ連絡を取って計画停電に対する影響範囲を調査するスタッフ、計画停電の影響で出社困難となったスタッフから納期が近づいている業務を巻き取っていつもより遅い時間まで働いたスタッフ、いつもなら軽い小競り合いがあってもいいようなやり取りの中にも、そうした不満は一切なく、お互いが事情を察しながら仕事に取り組めたのは不幸中の幸いであったかもしれません。
私たちは既存のお客様に対して月に1度メールマガジンを配信しておりました。社長様に限らず、ご希望される社員の方にも配信しているため、購読者数は4000人以上となっております。そうした中で、メールマガジン編集担当スタッフが、「私たち一スタッフが会社の決裁を待たずにすぐにできることをご案内しよう」と各部門とネゴシエーションを取って実施したのが、ご提供中のWebサイトへ告知する文章の見本を提案し、修正業務を受け付けるというもの。それから、有益な情報を展開することも意識しました。
■東北地方太平洋沖地震にWeb/携帯から募金する方法まとめ(「nanapi」より)
■Yahoo!地図 計画停電MAP
上記などはその一例です。当然と言えば当然の対応かもしれませんが、当社スタッフも全員が出揃っている状況ではない中、まずは当社から先にご一報を入れたく、そのようにした次第でした。また、代理店様が営業休止となった関係で、代理店のお客様へ対するフォロー電話などもお手伝いさせて頂きました。お客様も、お客様のお客様や消費者対応に追われる中、せめて私たちも自社内の問題から枠をはみ出て考える必要があると感じていました。
被災地や関係する方々にとって、今回の災害による問題が解決したわけではありませんし課題は山積みであると思います。首都圏も計画停電の影響があったり、原発や余震・誘発地震のリスクに対する不安が完全に収まったわけでもありませんが、当社はまだまだ健全で動ける立場にある筈です。もちろん普段とは状況も異なり、やりにくいことが発生したり、できていたことができなくなったりしたこともあります。また、少なからず精神的なダメージもあった震災ではありますが、そういうときだからこそスタッフ一人ひとりが相手を思いやり、今自分に何ができるか?を一番に考えて行動していけるように強く意識することが重要になってくるのかと思います。
最後になりますが、SBIホールディングス株式会社の代表取締役執行役員CEOである北尾吉孝氏が今年の年頭所感で以下のようなことを書かれていました。
■『年頭所感』|北尾吉孝日記(SBIホールディングス株式会社運営)
http://www.sbi-com.jp/kitao_diary/archives/201101042379.html
「辛卯の年」の言われについては私もコラム(cf.「映画『ソーシャル・ネットワーク』を観て視野を拡げる ~2011年「辛卯」の年、当社設立10周年を迎える年は明るい年に!~」)で採り上げ、他にも多くの方が採り上げていたかと思います。私は特段この記載に先見性や共時性、もしくは迷信――、古くからの言われを盲信して言うわけではないことは事前に断らせて頂きつつ言うならば、悪い方の言われが当たってしまった以上、もう一つの良い方の意味合いも当たってほしいと願うばかりです。
日本の東北沿岸部から房総沖一帯という地域は、沖に日本海溝がある関係で、今までにも地震や津波の脅威に多く晒されており、そのために防波堤などはかなりの強度で造られていたと言われます。先述の代理店の社長は震災の起こる前から断続的に続いていた規模の大きな地震について、ご自身のブログやSNSに懸念を示されていた矢先のことでした。
今回の災害では、そうした防波堤さえも決壊するほどの破壊力の津波が襲いました。まさに未曾有の自然災害であり、完全な復旧・復興までは数年がかかると思いますが、今の今はただ、少しでも多くの被災者の方の無事が確認でき、ライフラインを断たれた被災地で不便を強いられている多くの方が普通の生活を一刻も早く取り戻せるようになることを、心よりお祈り申し上げたく思います。
この記事に関連するテーマ
独裁政治では、一人が決める。貴族政治では、数名が決める。民主政治では、誰も決められない!
/『理性の限界 不可能性・不確定性・不完全性』(高橋昌一郎著)
いよいよ2010年も残すところ僅かとなってきました。
この時期となりますと、インターネット上の記事を見ても、テレビや雑誌を見ても、「流行語大賞」や「今年の漢字」、「10大ニュース」など、2010年を振り返る恒例の総集編企画の内容のものが増えてきて、改めていよいよ年の瀬を感じる今日この頃です。
今日のコラムでは、私も本年最後のコラムとなりますので、2010年の出来事を社内外織り交ぜながら、お世話になりましたお客様・お取引先様へ感謝の気持ちを込めつつ、来年の抱負などについてお話できればと思います。
一年を社内外のニュース、公私織り交ぜながら振り返る試みで、ともすると、とりとめのない話が続くかと思いますが、どうぞ最後までお付き合い下さい(汗)。
今年1月のコラム(「2010年、フリーセル創業10年目という節目、お客様に感謝の気持ちと原点回帰の想い」)を振り返ってみますと、そういえば、2009年は横浜開港150年、2010年は韓国併合100年の年にあたり、NHK大河ドラマや人気の歴史/時代小説のドラマ化でも関連してか『坂の上の雲』、『龍馬伝』、『蒼穹の昴』といったように、それぞれ主人公たちは異なるものの、いずれもほぼ時を同じくして動乱の世の中を駆け抜け、時代に名を残した人物たちが織りなすドラマが立て続けに放映され、私も改めて幕末・開国期の日本に興味を抱いたものでした(cf.「インターネットがもたらす第三の開国の夜明け前 ~2009年、横浜開港150周年~」)。
先月のコラムでも少し触れましたが、尖閣問題に揺れる内憂外患の状況下、11月のAPEC首脳会議での首脳宣言「横浜ビジョン」においては「平成の開国」が唱えられ、週刊ダイヤモンドの最新号(特集「総予測2011」)表紙の見出しには、それに呼応するかのように「開国か鎖国か」というコピーが踊りました。まさに開国か鎖国か、政局に頼るだけでなく、私たちで何かできることはないかと深慮することの多かった1年でもありました。
全地球規模の話で言えば、京都議定書の延長問題を含む地球温暖化問題や(cf.「チャレンジ25」)、国連が2010年を「国際生物多様性年」と宣言し(cf.「国際生物多様性年×COP10」)、10月に名古屋で開かれた国際会議にて名古屋議定書が採択されたニュース等、環境問題やCSR、グローバリズム(あるいは、グローバリゼーション)に対する一般の人々の関心が高まった年でもあったかと思います。その「生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)」名誉大使には、アーティストのMISIAさんが選ばれました。
私事ではありますが、それに関連したお話をしますと、MISIAさんが歌われたテーマソング「LIFE IN HARMONY」をプロデュースしたのは、世界的な音楽プロデューサーのデヴィッド・フォスター氏でしたが、幸いにも私は10月に行われた「DAVID FOSTER & FRIENDS JAPAN TOUR 2010」にて、サプライズゲストとして招かれたMISIAさんが歌う「LIFE IN HARMONY」を生で聴く機会に恵まれました。
デヴィッド・フォスター氏の来日は、日本武道館で行われた「JT SUPER PRODUCERS '94」以来16年ぶりのことで、16年前と言うと私が大学1年のときで、その来日公演には残念ながら行くことができませんでした。当時はまだギターに明け暮れていた頃ですが、氏の良き相棒とも言うべきギタリスト、ジェイ・グレイドンに憧れて後日私も購入することになる、氏が使用していたValley Arts社(1992年にサミック社傘下、2002年にギブソン社傘下へ移る)製のギターを、毎日のように御茶ノ水の楽器店に見に行っていた頃で、そういうところからも大変楽しみにしていた公演でした。
cf.「COP10名誉大使MISIA就任メッセージ」(YouTube,「環境省動画チャンネル」)
閑話休題、後半でも延べますが、暗いニュースが多い中で明るいニュースも多かった一年でした。ワールドカップでは世界の16強に残り、当社でもその後、フットサルの社内公式大会が開かれるに至るほどでした。
また、「今年の漢字」で選ばれた「暑」で言えば、小惑星探査機「はやぶさ」の偉業も含められていました。私も思わず、多くのプラネタリウムで上映されていた、DVD『HAYABUSA BACK TO THE EARTH』を購入してしまった程です。アポロ13のときは「輝かしい失敗」(cf.「失敗体験を通して創造力を生み出すために ~アポロ月面着陸40年、世界天文年2009~」)などと言われましたが、「はやぶさ」は、まだ調査は残っているものの、れっきとした「大成功」でしたね。地球へ帰還し機体が燃え尽きて消えてしまう様は多くの人々の感動を誘いました。また、事業仕分けの影響で予算が削られた中、日本の科学技術力や製造業の底力を見ることができて勇気づけられました。ノーベル賞も、化学賞で鈴木章氏と根岸英一氏によるダブル受賞で湧いていましたね。
そういえば、中国で開催された上海万博で思い出したように『日本万国博 《40周年記念》』というDVDのセットを購入したものでした。日本万国博覧会――、通称「大阪万博」は、今からちょうど40年前の1970年に、国際博覧会史上アジアで初めて開催された日本で最初の国際博覧会でしたが、アメリカ館では、前年にアポロ11号が持ち帰った月の石を展示し、話題になった万博でもありました。
期間入場者数累計6400万人(1日あたり最多入場者数83万人)を記録、退場は深夜になっても終わらず、ついに5000人程が会場内に取り残され、一晩を明かすことになったエピソードで有名です。
その時代の日本はちょうど、翌年のニクソン・ショックやオイルショックを前にして、第二次高度成長期末期に差し掛かっていた時期で、万博会期中には大きなハイジャック・シージャック事件が、会期後には三島由紀夫が自決する等の政治・思想的な騒動もありながら、一つの時代の節目、変わり目にあった時代でもありました。
丹下健三がプロデュースに関わり、モニュメントには岡本太郎の「太陽の塔」があしらわれ、開会式では昭和天皇や佐藤栄作元首相が祝辞を述べ、テーマソングとして三波春夫の「世界の国からこんにちは」が流れていた時代です。大阪万博以降の生まれの私にとっては、残念ながらその熱狂的なカオス、アウラを感じることは出来ませんが、経済成長を遂げてきた時代の日本を振り返れることができ、これにもまた元気をわけてもらうことができました。
今の時代は、当時の日本と同じくらい経済成長を遂げている新興国の方が元気があるようですね。BRICS5全体での時価総額は70年代の頃の日本と同規模と言われますが、BRICsやNEXT11のような昨今経済成長が著しい国々の動向を横目に、日本もこんなところで負けていられないと今一度奮起したいところです。
また、この時期はビジネスシーンにおいても、例えば電通、博報堂、野村総研といった大手広告代理店やシンクタンクからも、消費者動向に関する各種レポートが発表される時期でもあります。
cf.
■電通総研 『消費気分調査』レポートVol.8(電通)
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2010/pdf/2010124-1222.pdf
■「世の中」と「身の回り」の経済状況についての意識調査 経済気分2011(博報堂)
http://www.hakuhodo.co.jp/pdf/2010/20101222.pdf
■2015年度までのIT主要市場の規模とトレンドを展望(1)、(2)(野村総合研究所)
http://www.nri.co.jp/news/2010/101217.html
http://www.nri.co.jp/news/2010/101220.html
平成大不況に追い打ちをかけるように2008年に起こったリーマンショック以降、大手企業を中心に緩やかに回復基調にあるものの、10月1日時点での新卒者の就職内定率は全国平均で57.6%と過去最低記録を更新し、市況に比例して雇用不安が拡がった年でもありました。ちなみに、私の就活期は戦後最大の負債総額3兆円と言われた山一証券の自主廃業などがあった年で、その年よりも厳しいと言われる今の状況はとても深刻に感じたものです。そういった意味でも、私たち中小・ベンチャー企業にとっては、まだまだ予断を許さない時期が続いているのも事実でしょう。
それから、インターネットやデジタルマーケティング絡みの時事で言えば、電子書籍元年、デジタルサイネージ元年と呼ばれたり(cf.「電子書籍元年、Web社内報に推薦図書コーナーを設置 ~人財力・組織力向上に向けて、自己投資としての読書を推進~」)、スマートフォンの隆盛があったりと人々のライフスタイルも様変わりしかけている最中で、Yahoo!JapanがGoogleの検索エンジンを採用したり、ソーシャルゲーム課金という「フリーミアム」なビジネスモデルで莫大な利益を稼いだDeNA、GREE、mixiを中心としたSNS(Social Network Service)や、そのSNSやスマートフォンといったプラットフォーム上で提供されるゲームアプリ、TwitterやFacebookなどのインターネットサービスが一層の隆盛を極めた年でもありました。当社もTwitter公式アカウント( http://twitter.com/freesale )を開設、公開したものでした。
cf.映画『ソーシャル・ネットワーク』予告編
http://www.youtube.com/watch?v=exQjAXAQk1A
そうした中、直近の私の身の回りの出来事で言いますと、11月に、株式会社リンクアンドモチベーション主催の経営セミナー『変化を生み出すモチベーションマネジメント』 『成長するしかけを会社に創る』 を聴講しに行って参りました。前者を同社代表取締役社長の小笹芳央氏が、後者を株式会社サイバーエージェント取締役人事本部長の曽山哲人氏がされていました。私は小笹氏の著書数冊、曽山氏の著書2冊を拝読させて頂いておりましたので大変興味深く聴講させて頂きました。他に参加された方々ともお話させて頂きましたが、経営者の方も多く、一般的にどこの企業様においても人材育成に対する関心が高いことが窺い知れました。
セミナーの本題からはそれるのですが、私が興味を持ったのは、小笹氏の講演の中で引用された「パウロスの全員当選モデル」でした。
私がセミナー後に参考にしたのは、冒頭にも挙げた『理性の限界 不可能性・不確定性・不完全性』(高橋昌一郎著)です。民主主義の基本原則として多数決による意思決定があると言われます。確かに私たちの暮らす日常社会において、何かを決める場面には幾度も遭遇します。社会的なもので言えば選挙やオリンピックの開催地決定など、身近なところで言えば、本書にも出てきますが、友人間で行きたい旅行先を決定する場合など。
実は何かを決める際の方法に、(本書によれば)「単記投票方式」、「上位二者決戦投票方式」、「勝ち抜き決戦投票方式」、「複数記名方式」、「順位評点方式」などがあって、パウロスの全員当選モデルを説明した項では、立候補者5名がそれぞれの採択方式を主張することで、全員が「私が選ばれるべきだ」と主張できる状況になってしまうケースを紹介していました。「真に公平な選出方法は存在するのか?」と考え込んでしまいます。
セミナーでも類似したケースでグループディスカッションが行われましたが、グループによって解答や解の導き方が異なりました。これだけの小集団であっても、考え方次第で意見が分かれることを目の当たりにしました。しかもどれも誤った考え方ではなく、正当な選出方法であったにも関わらずです。
これと同じような議論が、別方面で話題になっています。『これからの「正義」の話をしよう』で今年一躍有名になった、ハーバード大学教授のマイケル・サンデル氏の講義がそれです。
cf.【NHKオンデマンド】ハーバード白熱教室パック 全12回
http://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2010600391PA000/
講義の模様は上記で見ることができますが、私も東京大学行われた「ハーバード白熱教室」の回はテレビで見ていました。サンデル教授の巧みな話術とファシリテーションをベースとしたディスカッション形式で進行してゆく風変りな講義スタイルでしたが、氏が次々に投げ掛ける質問のすべてが、いろんな人の意見を耳にする内にどちらが正しいのか分からなくなってしまうような難問ばかりで、日本の最高学府である東京大学の学生の間だけでも意見が割れることが多かったです。最終的にサンデル教授は講義の中で言いますが、各自の立場や主義で正しいことが何なのか異なる場合があるが、そのときに重要なのが哲学とディベートであるとのことでした。
いろいろな立場の人やいろいろなことが複雑に絡み合い、難問ばかりが積み重なった現代社会において、そのメッセージは羅針盤のように正しい考え方を育んでくれそうで、どんな問題に直面しても、しっかりと考え、話し合いを重ねることで解決していこうという気持ちが芽生えてきます。
思い返せば、私の就活期にも今と同じように哲学や自己啓発系の書籍が売れた記憶があります。私のときで言うと『ソフィーの世界―哲学者からの不思議な手紙』(ヨースタイン・ゴルデル著)などがあったでしょうか。こうした本は、周囲の事象がものすごい勢いで変化して、自分自身が環境適応できずに自分自身の座標を見失って、どこに向かうべきなのか、そもそも自分はどこにいるのか?といった気持ちになったときに、ゆっくりと自分自身を見つめ直す自己考察の時間と、正しい方向性を示す羅針盤を求めて思わず購入したくなるのでしょうね。
『これからの「正義」の話をしよう』も『ソフィーの世界―哲学者からの不思議な手紙』もベストセラーとなりましたが、関連して言えば、何と言っても今年一番のベストセラーとなったビジネス書は、「もしドラ」――『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』(岩崎夏海著)でしょう。ダイヤモンド社創業97年目にして初めてのミリオンセラーと言われていますが、ミリオンセラーどころか累計発行部数は既に200万部を超える勢いと言われていますね。トーハンの発表した内容によれば、単行本、新書などを合わせた年間のベストセラーで総合1位だそうです。
奇しくも2009年はドラッカー生誕100年の年でしたが(cf.「「経営コンサルタント」誕生から五十余年 ~ピーター・F・ドラッカー生誕百年、「マネジメント」を再考する~」)、こんなところからも、やはり今の時代というのは、しっかりとマネジメントができるリーダーが渇望されているのかと感じたものでした。
さて、まもなく終わりにしたいと思いますが、皆様にとっての2010年はどんな年でしたでしょうか?難問が多く、決めにくいようなことも多かったことと思います。しっかりと決断を繰り返して今に至るという方もいるでしょうし、問題を先送りにしてしまい来年に引きずってしまうという方もいるかもしれません。
私たちも仕事柄、自分自身が悩むこともありますが、お客様である中小・ベンチャー企業の経営者様でも、大いに悩まれている方も多い時代であるとも言えるかもしれません。今年度より始めた顧客満足度調査の定期実施により、お客様の生の声を幾つも頂戴することができ、中には厳しい意見もございましたが、多くのお客様に喜んで頂けていた事実を知ることができ随分と励みになったのと同時に、課題も明確になりましたので、今後は重点的に業務改善を行い、早期にお客様へフィードバックが行える体制を築いていきます。
2011年は創業丸10年を迎える節目の年でもあります。私たちが自社の強みとするWebコンサルティングは、お客様にとって経営戦略の一部かもしれませんが、その分野ではより一層の強い介在価値を発揮して成果をあげていけるように来年度も邁進したいと思います。
現在お付き合い頂いている数十社のパートナー企業様からも、当社企業理念をご理解頂き、かつてないほどに目的意識を一つにした体制が築けてきています。来年もどうぞ宜しくお願い致します。
最後に冒頭のエピグラムを受け、結びに変えて。
アダム・スミスは言った
最良の結果は――、
グループ全員が自分の利益を追求すると
得られる
間違いだ
最良の結果は――、
全員が自分とグループ全体の利益を求めると
得られる
/ジョン・ナッシュ、映画『ビューティフル・マインド』より。
不況期の「Web戦略アウトソーシング」のすすめ ~「SoftBank Days 2010~iPadが変えるワークスタイル~」等の外部セミナーを聴講して~
2010年10月23日 05:51 PM
投稿者 小川 悟
日本企業というのはどんどん海外進出しています。それは、安い労働力で安く作らないと負けるから海外に進出しているわけです。私に言わせれば、そうではない。安く作らないと売れないというのはアイディアの不足なんです。だから、日本国内で作っても高く売れるだけのアイディアを考えたらいいじゃないかというのが私の意見です。それは決して難しいことをしなくても、実に他愛もないことで実現できるのです。
/『ゲームの父・横井軍平伝 任天堂のDNAを創造した男』 (牧野武文著)
『不況期の「Web戦略アウトソーシング」のすすめ』と題しましたが、「情報革命」が起きている現在、Web戦略にはどの企業様も注力されていることと思いますが、当社のメインのお客様層である中小・ベンチャー企業様に至っては、このような不況期に新規でWeb担当者一人を専属で雇用し、成果を上げるまで教育してゆくといったことが困難であるという企業様も多くあるかもしれません。当社は、そのような場合にも、是非一度ご相談頂きたいと考えている企業です。
今回のコラムでは、今月私が参加した2つのセミナーを通じて得た感想を交えながら、これをお読み頂いている中小・ベンチャー企業の経営者様やWeb担当者様に、「このような不況期だが、最近手を入れていない自社公式サイトを見直したい」、「勝負に出たい事業があり、専用のサイトを立ち上げて新たな市場を獲得していきたい」といったニーズにお応えする「Web戦略アウトソーシング」をご活用頂くメリットをお伝えできればと考えております。
1つ目のセミナーは、「MCMフォーラム2010」(トランスコスモス株式会社主催)というもので、知人よりお誘いを受け、参加致しました。
基調講演として、株式会社セブン銀行代表取締役会長、安斎隆氏による「方向感なき世界経済」と題し、世界の経済情勢をはじめ、マクロ環境の説明を中心にお話されていました。
その後は、トランスコスモス社の提供する「戦略的アウトソーシング」の紹介がありました。基調講演のメインテーマを受けて、マクロ環境の説明から入り、市場からの戦略的アウトソーシング活用による売上拡大・コスト削減のニーズが高まってきているという前提の説明がありました。
ところで、トランスコスモス社と言えば、当社と関連したところで言えば、まずイメージするのが「日本最大級のWebインテグレーター」ということでしょう。当社とはもちろんターゲットとしている層も違えば、扱っている分野も多岐に渡られますが、殊「Webインテグレーション」の市場シェアだけで言えば、日本一の売上高を誇る企業です。私たちも、中小・ベンチャー企業向けWebコンサルティングの市場ではNo.1を目指して企業努力を続けてきているので、参考にできる部分はしたいと感じながら聴講しておりました。
説明の途中で、お客様企業の動向として「今後5年間に重視する取組み」というものがありました。そこでは、「顧客により近づく」、「人材・スキルの向上」、「情報分析力の向上」といったものが掲げられていましたが、ターゲットとするお客様層や扱う商品や規模は違えども、「戦略的アウトソーシング」の観点で言えば当社でも今でも必要とされてくる要素ですので、今後もより強めていきたいと感じました。
また、トランスコスモス社は、 ヤフーが提携した中国のEC市場4億2000万人(普及率約35%)のシェア8割を有するとも言われる巨大ECモール、「淘宝網(タオバオ)」と日本で唯一の戦略的BPO(Business Process Outsourcing)を組んだことでも知られています(コールセンター業務をはじめとしたCRM関連業務全般を提供)。
先日は、楽天が百度(バイドゥ)との合弁で「楽酷天(らくてん)」をオープンするなど、昨今だけで言っても尖閣問題をはじめとした種々のチャイナリスクを承知の上で、EC/ポータルサイト運営の2大企業はリスクを取って中国に進出を果たしました。
昨日帝国データバンクが発表した内容では、帝国データバンクのデータベースに登録されている企業だけでも、既に日本から1万社以上の企業が中国へ進出済みであると言います。また、今年2010年、中国のEC市場は4兆元(約48兆円)を超えるとも試算されています。リスクを取ってでも進出するということは、それだけ魅力があるか、現況に危機感を感じているかが考えられるでしょう。私たちに分かることとしては、それを何かしらのシグナルと感じることくらいであるかもしれませんが、新たに市場を開拓するパイオニア企業があって形成される市場もあるわけですから、動向だけは興味を持ってチェックするのも仕事の内であると感じました。
余談となりますが、ビジネス用語に「Comfort Zone(快適ゾーン)」と呼ばれるものがあります。個人でも自分の担当する業務に慣れてくると、常に確実に仕事をやり遂げられる分、外部からの評価が高かったり、自身でも楽しかったりするので、そのまま新しいことにチャレンジせず、今以上に職域・職責を拡げたりしない状態に陥ることがあります。その居心地の良い安住なポジションをそのように呼びます。多くのケースでそのまま放置していると成長が止まると言われています。ヤフーや楽天も、今のままでも日本の市場はほぼ独占していたわけですから、あえてここまでリスクを取らなくても、と感じる疑問に対するヒントがここにあるのかもしれません。
さて、当社でも、日本国内でECサイトをお持ちのお客様を対象に、リスティング広告の出稿・運用をお手伝いさせて頂いております。
ECサイト運営は、本腰を入れてやろうとすると、結構なリソースを必要とするものです。その際、リスティング広告を併用してうまくいっている中小・ベンチャー企業様も多くいらっしゃると思うのですが、当社でもそのような事例を自社主催セミナーでご紹介させて頂いたり、以下のようなソリューションを提供することで、お客様の課題解決をさせて頂いております。
■ネットショップ集客専門 リスティング広告代行サービス Freesale EC
「元々自社で運用していたが、業務拡大、もしくはコスト削減を期待して、本業に選択と集中をするため、インターネット広告全般は外部へ委託することにした」といったお客様にも多くご利用頂いていますので、ご興味をお持ち頂きましたらお気軽にお問い合わせ下さい。
さて、2つ目のセミナーですが、大変多くの方が来場されていたので、これをお読みの方の中にも行かれた方が多くいらっしゃるかもしれませんが、「SoftBank Days 2010~iPadが変えるワークスタイル~」(ソフトバンクモバイル株式会社)を聴講して参りました。私が聴いた孫正義氏の講演の動画やプレゼンテーション資料はこちらから視聴できます。
やはりこのセミナーでも、孫氏による「情報革命」の概要や、マクロ環境の説明からスタートしました(cf.『インターネット全盛の時代にこそ『孫子の兵法』を ~ソフトバンクアカデミア開校、「ソフトバンク 新30年ビジョン」を視聴して感じたこと~』)。
「『失われた20年』を取り戻すために、これ以上迷っている場合ではない!」
と檀上の孫氏は語調を強めて話されました。
折しも14日の日経新聞朝刊トップに、若年層収入で男女の手取り収入が逆転した旨の記事が踊りました。パッと見、大変インパクトのある見出しでした。内容を抄出すれば、男性が多い製造業で落ち込んだのに対し、女性の多い医療・介護系サービスの需要が伸びたためとあります。
以前、このコラム(cf.『名古屋営業所開設に想う ~ものづくり大国"NIPPON"ブランドを牽引する企業にあやかりたい~』)でも書いたことがありましたが、私の父が町工場を営んでいたことから、私が中学時代(80年代後半)より「産業の空洞化」という言葉をよく耳にしていました。私には「継ぐ気はない」としながら、大学に進学した後、父の会社のお取引先様の工場が中国にあるので見て来いと言い、私は生まれて初めて行く中国でしたが、なぜか父の仕事関係者(同じ地域にある他の町工場の社長や会計事務所の方々)の中に一人混じっての、半分仕事であるかのように工場視察、及びレポート執筆のための訪中となったのでした。
今から20年前、先に書いたように中国などに仕事が流れたりしたことで、町工場におけるそれまでのバブルな受注体制(製造過程で出る鉄くずでさえ収益源になったと言っていました)が一気に収縮してくる時代を迎えることになります。下請けであった父の工場に流れてくる仕事の単価はどんどん下がり、延命措置で採算割れ覚悟で受託するのか、それとも断るのか、生殺与奪の権利を親会社などに握られてしまっている状態になった様子を私も目の当たりにしていた筈でした(もちろんすべての町工場がこのような状態であるわけではありません)。こうした時期を過ごし、いつかは製造原価的にも世界競争力を失ってゆくことは、父に未来予測をする能力があったというよりも、その仕事に携わっている人であれば誰もが予測できたことなのかと今になって想像します。
周知のように、今年日本はGDPで中国に抜かれ、先日は、工業製造分野においても中国が日本を抜いて世界第2位の工業製造国となったという旨の記事が出ました。このこと自体は先にも書きましたが不思議はありません。60年代~80年代の日本は「東洋の奇跡」と欧米諸国から言われるくらいに製造業で世界をリードして高度経済成長期を支えた過去がありますが、その後、物質的豊かさを手に入れるのと同時に賃金ベースでも、全世界的に製造の主体は中国などに移り、今度は中国が「世界の工場」化していった背景があります。今後の予測では、8年後には中国のGDPは日本の倍になるとも言われているそうです。ですから、ここでベンチマークすべきなのは、"対中国に対する"日本のGDPの水準ではなく、別のところにあるのではないかとも思えました。
孫氏は講演の中で、幾つかの指標を話されました。まず、国の国際競争力として、日本は1992年には世界1位であったのに対し、現在は27位になっていること。日経平均株価が1989年当時は38,915円であったのに対し、2010年10月18日時点では9,490円になっていること。労働生産性は、G7の中で15年連続最下位であること。その他、発表はありませんでしたが、他にも負の要素は探せばあるかもしれません、例えばGDPに占める教育費の割合も、主要先進国の中でほぼ最下位レベルとなっています。
今後、少子高齢化が本格的に進んでくる日本として各種法令や制度の整備はもちろんですが、若年層の需要がある海外へ視野を向ける企業が増えてもおかしくはないのかもしれないと感じました。人口ピラミッド(cf.「International Data Base Entry - U.S. Census Bureau」)を参考にすると、今後10年、20年の単位で少子高齢化を迎えるのは、日本だけでないことが分かります。先の中国だって、数年前の一人っ子政策の影響もあってか、10年~20年後には、日本と同じような人口分布になってくることが分かっています。現時点での数値や、事象だけを断片的に評価して、一喜一憂している場合ではないのは皆同じですね。
先述した安斎会長の講演でも、別紙配布されたレジュメの最後には、「日本の生きる道は課題先進国から課題克服先進国へ」と書かれてありましたが、課題を克服するためには、小さな枠の中だけで慎重になり過ぎて、ああでもないこうでもないと逡巡しているだけではダメで、とにかくリスクを取って今すぐ行動すべきであるというようなことをおっしゃっていたので、結び付いてきます。
孫氏のセミナーでは、そのようなマクロ環境の中、多くの企業が抱える悩みは、「売上」、「生産性」、「コスト」であるとおっしゃっていました。そしてその課題解決の救世主が「iPad+クラウドサービス」であると説いています。その2つを活用することで営業の生産性(=情報の生産性)に繋がる、そうしたビジネススタイルを「ホワイトワークスタイル」と呼ぶ、と。事実、ソフトバンクテレコム社では、従業員3,000人が使用していたノートPCを捨て、全員にiPhone&iPadを支給したとのことでした。そのコンセプトをベースに、導入企業様数社が事例を発表されていました。
以上、2つのセミナーを聴講し、改めて今のような時代は今までのやり方のままでは通用しないことを実感しました。「売上」、「生産性」、「コスト」に至っては、今に始まった企業の課題ではありませんが、好況のときのそれと世界的不況のときのそれとではやり方は変わってくるでしょうし、今の市場、今の自社、今のパートナー企業、今の技術、今のスタッフで選択可能な選択肢は変わってくる筈です。
私たちの提供する、中小・ベンチャー企業向けWebコンサルティングをご導入頂き、本業と切り分けながら「うまくご利用頂く」ことで不況の波を渡っていく、そういったイメージを深め、実現できるような体制づくりに今後も注力していきたいと思います。
最後になりますが、セミナー関連の話題からの流れで、今月初頭、現在当社が利用中のプレスリリース配信代行サービスを提供されているPDBマーケティング株式会社様から取材を受けた御礼を兼ねて、この場でご報告したいと思います。
「セミナー運営の一石三鳥の秘密」というタイトルでメールマガジンで配信されたのですが、バックナンバーとしてこちらのページ(cf.「セミナー運営の一石三鳥の秘密【PDBM Daily News 2010/10/05】」)に掲出して頂いています。
昨今当社では、中小・ベンチャー企業向けWebコンサルティングを5年ほど提供し続けてきた経験も踏まえ、Webマーケティングに関するセミナーを月1~2回のペースで開催するようになりましたが、ちょうどその模様を取材頂いたものでした。セミナー運営の何が一石三鳥なのかと言えば、記事から一部抜粋させて頂きますと以下のようになります。
1、定期的な発信から、
2、社員育成、
3、顧客とのコミュニケーションポイントの創出、
よくよく考えてみると当たり前のことなのかもしれませんが、セミナー実施前のマインドセットで、吸収できるものもだいぶ変わってきます。 既に出古したと思われがちな手法であっても、時宜を得て目的を明確にし、創意工夫をもって行うことで、得られる効果を倍増させることが可能になると実感しました。
当社の開催する各種セミナーにつきましては、「Webコンサルタント.jp」のTOPページにて常時ご案内しておりますので、よろしければご参加頂ければと思います。
営業も製造も同じ会社、同じボートに乗っている運命共同体なのだから、ともに協力し、発展していくしかない。お客様に対してお互いに連携して製品を供給し、サービスを提供していかなければ、トータルな顧客満足を得ることはできないのである。
/『アメーバ経営 ひとりひとりの社員が主役』(稲盛和夫著)
2010年4月1日は、当社にとっては特別な日として歴史を刻むことになりました。従前より申し上げていたように、創業後、第10期の年にあたります。
まずは当社公式サイトのリニューアルを行い、公開しました。
リニューアルにあたっては、私たちCS本部からWebデザイナーやライターなど、アサインされたプロジェクトメンバーが当社経営陣への取材を重ねながら2,3ヶ月かけて構築しました。普段はお客様向けに業務を行うメンバーですので、先般の新卒採用サイト他ここでは公表は控えますが、他にもまだまだ多くのプロジェクトが同時に走っており、多くの業務を兼務しながらの作業でしたので正直大変負荷がかかっていました。それでも、プロジェクト参加者が皆、公開後は一様に晴れた表情でいられたのは、一つの目的に向かって意思統一が図れていたからだと思います。
当社の行動指針の中に、「【達成】 常に困難に屈せず達成文化を創り続けます」というものがあって、しっかりとそれを全うすれば、その先にある「【成長】 常に現在の自分以上の自分になり続けます」や、「【創造】 常にブランドを創造し発展し続けます」を、必ず感じられることを皆が知っているから頑張れたということもあるかもしれません。CS本部、特に制作部においては、Webサイト構築や映像制作を通じて社会との接点が持てるわけですが、自身が創り出したものが何かしらの価値を生み出さない限りは単なる無駄撃ちになってしまいます。
一人ではたとえ非力であっても、皆で力を合わせることによって、公式サイトを媒介として売り手である弊社と買い手である未来(及び既存)のお客様、またそのお取引を通じて「お客様のお客様(世間)」に対してもベネフィットをもたらす「三方良し」が実現できるのであれば、どんな喜びにも代えがたい仕事のやり甲斐を感じられるというものです。
それからもう一つ、この時期、恒例の大きな社内イベントがあります。四半期を区切りとして年に3回(内1回は忘年会)おこなわれる社員総会がそれです。今までは渋谷にあるクラブを貸し切って行われていましたが、東京・大阪・名古屋・福岡のスタッフ全員を収容するとなると、どうしてもパイプ椅子を配列させるのが限度だったため、弊社の社員総会準備委員が考えた挙句、今回(3月27日開催)は、「いっそのこと、映画館を貸し切ろう」という話になったようです。ホテルや会議スペースを貸し切ってもよいのかもしれませんが、勢いのある弊社の社風を考えるとそういったものはあまり似つかわしくないと私も感じています。
ということで、会社からも程近い場所にある、単館映画館が3館集まったQ-AXビル内の「渋谷シアターTSUTAYA」が会場として選ばれました。
いつものようにアナウンサーの方が司会進行をおこなってくれ、弊社役職者が来期(第10期)の目標を発表してゆく「第一部」のスタイルは今回も同じです(昇格発表や懇親会を兼ねた「第二部」は近くのクラブに移動しておこなわれました)。
社員総会準備委員は、総務人事課に混じってCS本部制作部映像制作チームのスタッフも所属しているため、弊社が社員総会を映画館でおこなうメリットを聞いてみたところ、「パイプ椅子に比べて疲れにくい」、「スクリーンが大きく、鮮明に映し出される(座席も階段状)」という点を挙げていました。
随分と既存社員のことを考えた措置だなと私は感じました。私もこの会社には結構長くいるのですが、年々こうした取り組みの中で改善されていくのを見てきました。これは従業員満足のための一つの取り組みに過ぎないかもしれませんが、同時に、お客様に提供できる価値も年々変わってきてはいる中、今期もよりドラスティックに変えていけないものかと感じることができました。
自分自身の問題を解決できなければ他者の抱える問題も解決できない、自分自身が幸せでなければ他者を幸せにすることはできないとも私は思いますので、従業員満足度(ES=Employee Satisfaction)が高まっていけば顧客満足度(CS=Customer Satisfaction)を高めていくことにも繋がってゆく筈だと考えています。
第10期以降、よりお客様にとって必要な会社になるために、引き続き頑張っていきたいと思います。
しかし頭で考えて「わかる」というのと、実際に「できる」というのとでは、まるで別次元の話といってもよいくらいだ。(中略)「知識は実行した時に初めて力となる」と、建国時代のアメリカ人の士気を鼓舞したベンジャミン・フランクリンがいった。まさに、しかりであろう。(中略)要は徹底して繰り返し、習慣の力で知識を実行レベルに高めていくことなのだ。
/『通勤大学人物講座1 中村天風に学ぶ』(松本幸夫著)
今月18日、当社の管理本部(総務、経理部門等)が入っていた分室が、本社の入るビルに移転しました。
cf.本社分室事務所移転のご案内 | ニュースリリース
http://www.freesale.co.jp/news/release/new20.html
これにより、今後業務効率化が図れるといったことはもちろん、より密な連携が図れるようになるので非常に嬉しく思っております。増床ということになるかと思うのですが、内装工事が終わったばかりで、まだ全スペースが座席で埋まっていないオフィス空間を見た際、思わず4年前くらいに本社が移転したときのことを思い出しました。
今回の増床のタイミングで、大きめの会議室も新設されたのですが、従来の会議室と比べるとかなり広くとられ、おそらく定員は60名くらいあると思いますので、今後、リスティング広告の部門などを中心に社外に向けた当社主催セミナーなども活発に行われてゆくのではないかと想像しています。
さて、同じ週の23日には、早速この会議室を借りて、社内向けのセミナーを実施致しました。内容としては、以前に「フリーセル大学」課外授業と致しまして、社外講師の方をお招きしておこなった「ビジネスマナー研修」の補習の位置付けとでもなりましょうか。12月実施時に参加できなかった人も多くいたので、今回はCS部門・管理部門を中心に50名程が参加したものとなりました。
cf.前回のビジネスマナー研修については以下をご参照下さい。
ビジネスマナー研修に参加して、仕事における「守破離」を考えた ~仕事ができる人は基礎がしっかりできている~
http://www.web-consultants.jp/column/ogawa/2009/12/post-47.html
このフリーセル大学は、フリーセル大学実行委員会という社内の有志の管理職が集まった組織があって企画・実施が行われているのですが、私は講義が始まる前の前説に当たる部分を担当させて頂きました。
ここで皆に最も伝えたかったことが、「"わかる"と"できる"は違う」ということでした。「ビジネスマナー研修」を行うとなると、どうしても講義そのものは基礎的な内容になりがちです。ともすると退屈するのではないか、またはそのときだけは分かったつもりになって本質を理解しないまま、再現性のない一過性の知識となり、いざという本番で活かすことができないのではないか?といった懸念がありました。
ですので、まずは退屈しないように、朝一最初の講義内容は、「基本敬語能力判定試験」(以下、イメージ写真)を行いました。当社ライティング課に、元国語教師というキャリアを持つ者がいるので、彼に問題の作成と答え合わせ・解説を行ってもらいました。
土曜の朝からテストです。部門を超えて50人が集まっているので、必然的に競争意識に火が付きます。部下の手前、低い点数は取れないと焦る上司もいたかもしれません。点数が周囲と比べて低かった人は「ちゃんと受講しなくては!」という気になってもらえたのではないではないかと思っています。
昼休憩を挟んで、そろそろ眠たくなってくる午後一の講義は「発声」からスタートしました。起立した状態で、口を縦横に大きく開きながら実際のビジネスシーンでよく使われる挨拶の言葉を発声してもらいました。その後、座学を交えながら最後には接客時のマナーということでロールプレイングを行い、他チームとのコミュニケーションを図りながら、名刺交換も含めて一連の会話を行ってもらいました。
そうして朝10時から16時過ぎまで、半日研修を無事に終えることができました。実施後にアンケートを取ったところ、4段階評価の満足度で「大変満足」と「満足」と答えた人が9割以上いたので、まずは胸をなでおろしたといったところです。
よく言われていることであるかもしれませんが、このコラムをお読み頂いている皆さんでも、「わかる」と「できる」は違うと感じたご経験はないでしょうか?
「優先順位を考える」、「主体的に動く」、「ポジティブ・シンキング」、「ホウ・レン・ソウ(報告・連絡・相談)は重要」、「相手の立場に立って考える」、「変化に柔軟に対応する」といったようなことは極めて基本的、かつシンプルな考え方・行動習慣で、そのため『7つの習慣』をはじめとした成功哲学、その他大抵のビジネス書や自己啓発本に目を通しても、言葉や例を変えて焼き直しで語っているように感じられることもあります。
またそれは、企業の求める人物像などにも現れていると思います。優先されるコンピテンシーに多少の違いこそあれ、大体が共通しています。言い換えれば普遍的な物の考え方であるということです。しかし重要だ、意識して行動した方が良いと頭では分かっていても、実態が伴わないといったことは多々あるかと思います。
ここでご紹介したいものが、本田直之氏の『レバレッジ・シンキング 無限大の成果を生み出す4つの自己投資術』他、実に多くのビジネス書・自己啓発本で紹介されている有名な言葉です。
意識が変われば態度が変わる
態度が変われば行動が変わる
行動が変われば習慣が変わる
習慣が変われば人格が変わる
人格が変われば運命が変わる
要は「習慣化させる」ことが重要だということがよく言われています。そこから派生してか、マネジメントの部分では「繰り返し伝える」といったことがよく行われています。私たちも、そういったことは意識し続けながら、まずは習慣化の一環として、名刺サイズのカードを作りました。電話応対時の注意事項等をまとめたものですが、これをデスクの電話のそばなどに置いてもらったり、日々のチーム朝礼時に声に出して読み合わせしてもらったりといった活用イメージをしています。初めの一歩かもしれませんが、まずはこうしたことから取り組んで参りたいと思います。
最後になりますが、私たちWebコンサルティングを行う者として、お客様から対価を頂いて商売を行う以上は、より一層「できる」ことを増やしていかなくてはなりません。多くの経験を積んで企画提案力やクリエイティブスキルを磨き、今以上に問題解決の幅を拡げ、中小・ベンチャー企業向けWebコンサルティングという領域で必要とされている要素に気付き、手に入れ、提供できるようになっていかなくてはならないといった使命感を持っております。
私自身が「習慣化」や行動面で足りない部分も多々あると思っておりますが、自他に対する成長意欲の高い社内のスタッフ同士で刺激・牽制し合いながら、 スピードを上げていければと考えております。今後ともどうぞ宜しくお願い致します。
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「世界中のサッカー少年がペレになりたがっている。だから私には、サッカー選手がどういうものかだけでなく、大人がどういうものかを示す責任がある」(ペレ)
/『写真で読む世界の戦後60年』(エリック・ゴドー著)
いよいよ、私としては2009年最後のコラムとなります。今年、新年明けてすぐに、個人的なテーマとして「学習と成長の視点を持つこと」というものを挙げておりました。正直いろいろなことがあって100点とは言いにくいですが、ある程度は取り組め、それなりの結果は出せた部分もあったのではないかと思っています。
先週末の土曜日は、朝一番から研修がありました。「学習と成長の視点を持つこと」に基づいて、今期期初から始めた「フリーセル大学」(cf.「「フリーセル大学」4月開校! ~"学習する組織"確立のための企業内大学設立に向けて~」)の一環としての目的もあって、当社のお客様であるKEE'S様を講師としてお招きし、夜の7時過ぎまで当社スタッフを数十名向けにみっちりと研修をおこなって頂きました。KEE'S様が派遣される講師の方の条件としては、公式サイトから抜粋すると「元局アナ・局契約アナで、現在もアナウンサーとして活動している人材」に限定されており、今回もアナウンサー直伝の、話し方や発声、敬語、その他一般的なビジネスマナーについて網羅的に学ばせて頂きました。
■当社内で行われた研修前の事前説明風景
当社社長の木村からの助言もあって今回の研修実施に至ったのですが、今のような時期だからこそ、こうした基礎を学ぶことは重要だと実施後改めて思いました。当社は今、「中小・ベンチャー企業向けWebコンサルティングの分野でNo.1になること」を目指しています。そうした中、プロフェッショナルとしてのWebコンサルタントの輩出は責務となります。ビジネスシーン以外の場所で「コンサルタント」についての印象を尋ねると、いまだに「かっこいい」「怪しい」と意見が割れたりすることもありますが、それだけ結果ありき、そして個人に依存した属人的な職業と言えるでしょう。まして「Webコンサルタント」となれば比較的新しい概念ですし、より正確な意味を包括した定義が確立するまでは今しばらくの時間がかかると思われますが、少なくとも現時点で私がイメージする「Webコンサルタント」は文理双方に明るくポジティブな問題解決思考があり、コミュニケーションスキルに長けた、人間として魅力的な人であってほしいと考えています。
Webコンサルティングの仕事は、特性上、クライアントとの中長期的なお付き合いは必須になると思います。その中で個人的に仲良くなって、気さくにお話をするようになることも多々あります。が、「親しき仲にも礼儀あり」という言葉もあるくらいで、ビジネスマナーのような基礎の型が根底にあってその上でのお付き合いを心掛けたいものです。
当社には新卒入社者もそうですが、中途入社者で言えば前職で大手ISPでコールセンター業務をしていた者、他にも男性スタッフで趣味で茶道やお能を学んでいる者等、接客業や礼儀作法を体系的に経験した者も比較的多くおります。しかし、どの会社でもそうかと思いますが、だからと言って会社全体の電話の応対品質が高くなったり、礼儀作法がしっかりするということはありません。研修をおこなうだけでもダメで、今回おこなって頂いた研修に参加したスタッフ自らがインフルエンサーとなって率先垂範し、自分なりの言葉で後進のスタッフに熱く伝えてゆくことが重要であると思います。
ところで、マナーと聞いて思い出す本が、ベストセラーとなった『女性の品格』(cf.「読書の秋、ビジネス書・自己啓発本ハンティングのススメ ~圧縮された情報を解凍後、インストールさせるイメージで読み漁る~」)でしょうか。
その中に、「日本の伝統芸能ではまず型を習い、それを身に付けた上で自分の個性を花開かせます」という一節があります。これはスポーツでも職人の世界でも、物事を学ぶ上で本質であるように感じたものでした。これを言い換えた言葉に「守・破・離」というものがあるかと思います。この考え方については非常に難解なので、以下の記事を参考にされると良いと思います。
■cf.『守破離の思想』藤原稜三 松岡正剛の千夜千冊・遊蕩篇
http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya1252.html
私の好きな作家である松岡正剛氏が書かれた書評です。別件ですが、氏は以前「千夜千冊」という破天荒な企画を行いました。これは、「同じ著者の本は2冊以上取り上げない、同じジャンルは続けない、最新の書物も取り上げる」という独自に課したルールに基づいて、ほぼ毎日のごとく書評をアップしてゆくというもので、2004年7月の達成時、原宿クエストホールでおこなわれたイベント「松岡正剛千夜千冊達成記念ブックパーティー これでだめなら、日本は闇よ。」には私もひとり足を運んだものでした。日本文化の方法の伝承に注力されている氏の主宰する「イシス編集学校」では氏の唱える編集術が学べますが、そこでは「編集稽古」と銘打って各コースの冠にはそれぞれ「守・破・離」と設けています。
この「守・破・離」に基づいて言えば、ビジネスマナーは「守」の一部か、その前段階とも言えます。先に挙げた茶道やお能、武術やスポーツにおいても、プロフェショナルな人というのは「型」がしっかりしているから美しいし、結果も出しているかと思います。
社会に出た途端に結果をすぐに求められることが多いでしょうし、若い人の中には積極的で成長意欲が強かったり、転職してまもない人であれば期待にすぐに応えたいという側面も手伝って、ついついこの「守」がじれったくなって疎かにしてしまう人が多いかもしれません。しかしながら基礎を飛び越えて応用を身に付けようとしても、結局はその後の完成度や成長スピードに影響を与え、遠回りになってしまうことがあるのではないでしょうか。そういった視点で、ビジネスマナーはもちろんのこと、所属する組織で決まっているルールや置かれた立場を深く理解して、その上で本来求められている結果を出すことに今一度照準を合わせていきたいと感じました。
単にスキルを磨き、専門知識をもつ有能な職業人になることだけを目指さず、厳しい経済社会のなかで品格をもって生きていくにはどうすればよいか。単にお金や、出世のためだけでなく、人間として社会人として信頼されるように生きていくためにはどうすればよいか。(中略)しっかりとした識見をもち一目置かれるような社会人として生きていくためにはどうしたらよいか。この本でいろいろな角度から考えてみました。
/『女性の品格』(坂東眞理子著)
さて、最後となりますが、今年も残すところあと僅か。2009年を振り返ってみると、世の中的には、全体的に明るいニュースは少なかったかもしれませんが、私個人としては、今月で言えば今回挙げた研修などのような仕事以外の面でも、お取引先様とキャンプに行ったり、当社が加入する日本ウェブ協会主催の忘年会に参加したりなど、忙しい中でも充実した月となりました。
研修をおこなって頂いたKEE'S様、お客様も含めさせて頂いて、関わった全ての皆様に、今年一年いろいろとありがとうございました。来年度もどうぞ宜しくお願い申し上げます。
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マネジメントのセミナーでよく取り上げられる話に、何をしているのかを聞かれた三人の石工の話がある。一人は「これで食べている」と答え、一人は「国で一番の仕事をしている」と答え、一人は「教会を建てている」と答えたという。
/『現代の経営(上),~「専門化した仕事にひそむ危険性」より~』(P.F.ドラッカー著)
今年2009年は、「現代経営学」、「マネジメント」の父と言われる故ピーター・F・ドラッカー教授の生誕百年にあたります。ドラッカー教授は「経営コンサルタント」の呼称や概念の考案者、(現代的な)「マネジメント」の発明をしたと言われ、私も「Webコンサルティング」を体系化し提供する企業に属する立場として、氏の遺された著書や考え方には興味深く感じています。そんなドラッカー教授の有名な言葉に、「事業の目的とは顧客をつくり出すこと」というものがあります。多くの方が言う「利益を生み出すこと」とは似て非なる言葉であり、その言葉に込められた本質について思わず考え込んでしまいます。
私は終戦直後、兄が経営する洋品店を手伝い始め、「お客様のほうを向いた商売」を教えられました。その洋品店が連結売上高六兆円に迫るセブン&アイ・ホールディングスに成長できたのは、何よりもお客様が支えてくださったからです。先生の言葉の意味は身にしみてわかります。
/『知の巨人 ドラッカー自伝』(ピーター・F・ドラッカー著)
上記のように言うのは、イトーヨーカ堂やセブン-イレブン、デニーズの創始者、そして、現在セブン&アイ・ホールディングス名誉会長を務められる伊藤雅俊氏ですが、他にも「ここ百年ほどの間で経営者としてもっとも成功した人物」(cf.『われわれに不況はない 世界最強CEO21人の経営術(ウォール・ストリート・ジャーナル編集部編)』)とも言われる、GE(ゼネラル・エレクトリック)社で会長兼CEOを務めたジャック・ウェルチ氏など、ドラッカー教授が輩出した企業人・経営者には著名な方が大勢いらっしゃいます。
この平成大不況の真っ只中にドラッカー教授の生誕百年を迎え、改めて「顧客をつくり出すこと」とは何か、そして「マネジメント」とは何か?ということを再考する良い機会になったと感じたのは、先週金曜日に当社管理職向けに行われた研修でした。今回のコラムでは、そこで受講した内容から転じて私が感じたことなどを書いていきたいと思います。
研修は今まで行ってきた内容から引き続き、マネジメント・リーダーシップに関するものでした。自身のプライベート・ミッションと当社の理念やビジョンとをミッションリンクさせて、今なすべきことは何かを洗い出し、実行フェーズに移してゆくトレーニングとでもなりましょうか。
幾つかのグループに分かれ、配布されたフレームワークに言語化しようと皆で頭をひねるわけですが、普段使わない脳の筋肉を使うようで思いのほか疲れます。しかし、集中して臨んでいるとその過程で普段は思いもよらなかった新しい発見をすることもあります。こういった効果を「セレンディピティ効果」(cf.「セレンディピティ - Wikipedia」)と呼んだりすることもあるようです。研修の内容と同時にこうした発見を得られるのは、読書と同じく一石二鳥で良いことだと感じました。以前書いたコラムでも、『7つの習慣』の中で「(ミッション・ステートメントを)書き上げる過程が、最終的な文書と同じくらい重要だと思う」と言及したスティーブン・R・コヴィー氏の言葉を引用しましたが、このようなトレーニングは日々の仕事の中では得られにくい、感性を刺激する経験を得られるものだとも思いました。
研修には当社管理職以上の者がすべて参加するので、私の見るCS本部の課長職以上の者は全員参加しているわけですが、彼らはもちろん各部門で設定されたミッションを遂行する上で必要な能力に関しては私よりもはるかに上をいっています。ドラッカー教授の『プロフェッショナルの条件 いかに成果をあげ、成長するか』にも書かれていますが――アメリカの鉄鋼王アンドリュー・カーネギーが自らの墓碑銘に選んだ「おのれよりも優れた者に働いてもらう方法を知る男、ここに眠る」との言葉ほど、大きな自慢はない。まさに、これこそが、成果をあげるための処方である――、私たち管理職が目指すのはこのような企業文化の浸透した組織をつくりあげることだと思います。
彼らが入社してきたときのことをふと思い返しました。私の入社よりも3年以上経ってからの入社であり、当社のメイン事業であるWebコンサルティング事業が開始してからのことでした。今の体制を築き上げ、各種業務フローやルールを創り出してきたのは紛れもなく彼らなのですが、今まさに、後続する組織を築くという壁にぶち当たってもがいているのが正直なところです。
リーダーシップとは、人を惹きつける資質ではない。そのようなものは煽動的資質にすぎない。リーダーシップとは、仲間をつくり、人に影響を与えることでもない。そのようなものは営業マンシップにすぎない。リーダーシップとは、人の視線を高め、成果の基準を上げ、通常の制約を超えさせるものである。
/『現代の経営(上)』(P.F.ドラッカー著)
こうした重要な転換期において、ドラッカー教授の言葉はまさに金言ばかりのように聞こえてきます。
私たち管理職も、ややもすれば「目的」と「手段」を履き違えることはあります。定期的にこのような研修の機会が設けられることになって、私たち管理職一同にとっても、改めて「目的」に視線を向け直せる良い機会となっています。日々の仕事の中で手探りでその可能性を探し当てようと必死でもがく行為や過程は人の成長に付き物だと思いますが、研修や読書をカンフル剤のように活用して一気にステップアップを狙うのも、今のようなスピードが求められる時代には必要な選択だと強く思いました。そして最も重要なことは、研修で得た知識や見識を、自身に与えられたミッションの中でしっかりと成果として生み出さなくてはならないことです。
先日、当社社長から、マネジメントにおける「厳しさ」について教えられる機会がありました。言われてみて、今までの管理の中で中途半端な「甘さ」が、中長期的期間に渡って最終的に不幸な人を生み出してきたことはなかったかとハッと思いました。Webコンサルティングのプロフェッショナルを目指すのと同時に、マネジメントの「プロフェッショナル」を目指す私たち管理職にとって、常に意識していなくてはならない考え方であると思いました。
本コラムの途中で、ドラッカー教授の『プロフェッショナルの条件 いかに成果をあげ、成長するか』の一節を引用しましたが、この内容が書かれているのは「人の強みを生かす」という章で、先のカーネギーのエピソードを受ける形となった重要な続きがあります。コラムの最後にその一節を引用して締めくくりたいと思います。
上司は部下の仕事に責任をもつ。部下のキャリアを左右する。したがって、強みを生かす人事は、成果をあげるための必要条件であるだけでなく、倫理的な至上命令、権力と地位に伴う責任である。弱みに焦点を合わせることは、間違っているだけでなく、無責任である。上司は、組織に対して、部下一人ひとりの強みを可能なかぎり生かす責任がある。何にもまして、部下に対して、彼らの強みを最大限に生かす責任がある。
/『プロフェッショナルの条件 いかに成果をあげ、成長するか』(P.F.ドラッカー著)
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「過去十年間は、何を損して何を得たのか。いまは何の商売をやって、その繁盛のようすはどうか。いまは何を仕入れて、いつどこでこれを売りさばくのか。ここ数年、心の店の取り締まりは行き届いていて、遊び癖や怠け癖などという店員のために、損失を出したことはないか。来年も同じ商売を続けていて大丈夫か。ほかにさらに知性や人格を磨く工夫はないか」とあれこれの帳簿を点検して、棚卸しの決算をすることがあれば、過去現在の自身の状態について、きっと不都合なところも見つかるだろう。
/『学問のすすめ 現代語訳 福澤諭吉』(齋藤孝訳)
夏季休暇を終え、明日から通常業務が始まります。休み前に、先月の合宿研修に続いてフォローというか続編に当たる管理者向け研修がありました。平均年齢が若い当社で働くスタッフにとって、外部講師を招いた研修ほど安心するものはありません。特にお客様の経営課題に向き合いWebコンサルティングを提供する者として、また、しっかりとしたWebコンサルティングを提供できる部下を育成していくために、「理想のリーダー」にならなくてはならない立場でもある管理者にとって、こうしたセミナーには思わず貪欲になってしまいます。
前回の合宿研修では、自身の使命を書き出して、会社のビジョンにリンクさせ、今期経営テーマである「百花繚乱」を実現する考え方について学びましたが、今回の研修では「ケプナー・トリゴー法(KT法)」など、具体的なメソッドについて学びました。
今回のコラムでは、セミナーの詳細内容についての紹介に終始するのではなく、そこで私自身が感じたことについて書きたいと思います。
■IPAがITアーキテクトなど9職種の“理想の人生”を作成(ITpro,2009年8月11日)
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20090811/335516/
上記のような記事がありました。記事中に「モデルキャリアを提示することで、学生や若手エンジニアに広がる将来への不安感の払拭を狙う」という一節があり、興味深く感じました。また、そういえば以前、以下のような記事があり、それが伏線となっていることを思い出しました。
■IT業界の「3K問題」 NTTデータ社長の考えは?(@IT,2007年5月9日)
http://www.atmarkit.co.jp/news/200705/09/nttdata.html
■IT業界不人気の理由は? 現役学生が語るそのネガティブイメージ(@IT,2007年10月31日)
http://www.atmarkit.co.jp/news/200710/31/ipa.html
最近では当社が提供する「Webコンサルティング」も、業界地図の中で見ればその一翼を担う社会的地位も得てきたと思いますが、業界経験や研究の浅い学生さんなどから見れば当社をはじめとした「Webコンサルティング企業」に対しても十把一絡げに同じようなイメージを抱かれる方も多いのではないかと想像しました。ただでさえ当社は創業ベンチャー企業ですし、インターネット普及による情報過多なども手伝って色眼鏡で見られる方も多いのではないかと客観視しました。また、「職業選択の自由」と権利は与えられていても、自由があるが故に「迷い」という表裏一体の心理状況も生まれるものと想像します。
事実、最近では2011年卒業見込みの学生さんの面接に立ち会うこともあり、この業界や当社へ対するイメージをお尋ねすることがあるのですが、インターンなどで職場体験をしたことのある方以外で明確に返答される方は少なく、多くの方が「期待と不安の入り混じったイメージ」を抱かれていることを実感します。それだけ仕事内容や扱っている商品・サービスが分かりにくいものなのかもしれません。そうした意味で、IPA(情報処理推進機構)がモデルキャリアを提示しようと動いてくれていることは間接的には助かります。
しかし、こうしたオーソライズされたモデルキャリアはあくまでもモデルであって、それが当事者にとってその通りになることを約束しているものではないのが注意したいところです。そのときの世の中や会社の状況、当事者の努力といった変数によって結果はいくらでも変わっていくものと思います。であるなら私は、「ぶれない軸」をそうした"(社会的)規範"に求めるよりも、"自分"に求めた方が良いと考えています。つまり、世の中や会社の状況がいかに変わろうと、そのとき最善の選択・行動をできるような人間になろう、という考え方です。ただでさえ、昨日正しかったやり方が今日になって通用しないというくらい時代の流れが速くなってきている昨今、表層的な方法論だけ知ったところで物事が思った通りに運ぶようには思えません。
「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」という有名なハムレットの独白で、彼が自分に向けた質問です。簡単に答えを出すことができない質問といってよいでしょう。子どもが親に甘えて「ぼく、どうしたらいいの」などというのも、本来は自問すべきもので、だから答えはないのです。
/『プロカウンセラーの聞く技術』(東山紘久著)
特に管理職、リーダー職となると、求められる選択は二律背反した内容がほとんどです。「顧客満足を追う一方で、数字を求められる」、「品質を上げろと言う一方で、コストを削減しろと言われる」、「成果を出せと言う一方で、部下の育成を求められる」など、挙げれば枚挙に暇がありません。
そのため悩むことも多いですが、私は「"悩む"なら答えが出るまで悩む」ようにしています。以前に「悩む前に考える」と表現したこともありますが、管理職・リーダー職の仕事は悩むことではなく、決断することが仕事です。散々悩んだ挙句に答えが出なかったら精神的に参ってしまうし、中途半端に悩むことだけは避けたいところです。さらに言えば、悩んだ時間は非生産的であり、上記のような判断を迫られるケースが今後も増えてくるのは避けられない事実であると予測すると、「悩む時間を最小に抑え、最適解を即断即決できる考え方」を身に付けていかねばなりません。
ところで、冒頭で福澤諭吉の著作から引用を行いました。福澤諭吉と言えば、今年初めに慶応義塾創立150年を記念した「未来をひらく福沢諭吉展」が東京上野で開催されました。現在は福岡を巡回して大阪で開催中のようですが、私は行き忘れてしまったため、22日からの神奈川県立歴史博物館の展示は機会があれば見に行きたいと思っているところです。
こんな昔に、今の時代で言う「キャリアプランニング」について書いていることは興味深いことですね。また、「棚卸し」というようにも書いていますが、自身のキャリアプランを練るには必須の考え方ですね。
このキャリアプランニングという思考過程は、WebコンサルティングやWebマーケティングを考える上でも重要になってくるのではないかと私は考えています。キャリアプランニングの一般的な過程は、まず自身の棚卸しからはじめ、強みや弱みを洗い出して、そこから自分が活躍できる機会など、自身の意義や価値を見出していきます。そこから実現したい理想の姿や障壁・課題を想定し、そこに行き着くためにどうすればよいかといった方法論を模索していきます。この行為を自分で行えない人のために、キャリアコンサルタント(アドバイザー)とか、キャリアカウンセラーといった専門家が存在するように、対象を自身から「自社のWeb戦略について、専門家からのアドバイスを期待する経営者」にスライドして考えれば、Webコンサルタントに求められている職能について洗い出してゆくことは可能そうです。
cf.期待される能力と役割 ミドルマネジャーの現状part2(産業能率大学 総合研究所)
http://www.hj.sanno.ac.jp/cgi-bin/WebObjects/107c2074456.woa/wa/read/11dad067f8d/
入社したばかりの頃は、上司の期待に応えられる社員を目指せばよいですが、職位や権限が上がるにつれて責任も増し、ステークホルダーも拡大し、部下やお客様など、同時に期待を満たさなくてはなりません。それぞれ求めていることは違う筈です。まずは、それぞれの役割期待(ニーズ)を認識するところから始まります。その上でそれぞれの目指すべき理想の姿(目標)を描き、そこに到達するためにクリアしなくてはならない課題を抽出し、実際にクリアするための方法論(戦略)を策定していきます。部内でこのような話をしたとき、慣れている人はホワイトボードにロジックツリーを書いて情報を整理しようとする者もいますが、慣れていないとなかなか絵(図)として頭の中に描けないようです。
情報を図像化することで、漏れの少ない情報交換ができるようになります。これで立場を違える同士で最適なコミュニケーションを図ることができます。当社は、CS本部だけでも様々な職種に分かれて協働していますので、コミュニケーションについても意識することは多いです。
このようにして、日々養われる戦略思考をお客様に提供し、またその際に得られた経験を社内での通常業務やマネジメント業務に生かすことで、提供サービスの質の向上やスピードアップを図っていきたいと思います。
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今の若い人にとって、古典を読むのはなかなか難しいことだと思います。でも、もし自分を磨くために読んでみようと思うのなら、ぜひ手にとってもらいたいものです。(中略)やがて、自分の中に確固とした考え方が育まれていることに気づくと思います。
そのようにして古典によって育まれた考え方は、困難にぶつかり、人間いかに生きるべきか、いかに働くべきかと考えるときに、必ず大きな力となってくれるはずです。
/『何のために働くのか』(北尾吉孝著)
第一四半期を終え、7月4日は今期初の社員総会が渋谷で開かれました。東京・大阪・名古屋・福岡のメンバー、総勢約200名が一堂に介し、各部課のリーダーたちが全社員を前にゴールビジョンの発表をしたり、昇格者・各賞の表彰者を発表する機会でもあります。社員総会の開催理由等の詳細につきましては、当社代表の木村のコラムにてご覧下さい。
私がいつも楽しみにしているのは、決算内容や人事の発表、ベストマネジメント賞や四半期MVPなどももちろん楽しみではあるのですが、当社の掲げる行動指針に照らした「行動指針賞」という7つの各賞に、私の見るCS本部から誰が選ばれるのか?ということです。この賞ですと選考対象として管理者層以下からも選ばれやすいため、自部署からは誰が次期リーダー候補として何名頭角を現してきているのかということが大変気になってしまうのです。その結果こそが、私を含む管理者層のこの四半期の成果でもあるわけですから。お陰様で、この賞ではCS本部からは3名の受賞者を輩出することができました。
実はこの社員総会を迎える少し前の7月1日、私事ではありますが、当社に入社して丸7年が経過し、34歳となりました。一回り近く若い世代の今期新卒などとも社員総会後のパーティーでお酒を交わすに、私も初心にかえったつもりで今期も頑張っていきたいと思いました。
さて、表題にもある「古典」ですが、昨今の先行き不透明な国政の中で、一筋の光明を見出すかのようにこの古典が復権の兆しを見せているというニュースをしばしば目にすることがありました。きっかけとなったのは、『蟹工船』なのか『カラマーゾフの兄弟』なのか諸説あるようですが、私も社会人になる前までは古典が好きでよく読んでおりました。これだけインターネットが普及する世の中にあっても、ビジネスの戦略上では今でも「孫子の兵法」などが引用されることも多く、かくいう私もこの孫子をはじめとした諸子百家が活躍した春秋戦国時代に始まり、秦の始皇帝、項羽と劉邦の時代を経て、三国志の時代に至るまでの中国古典の話に触れたコラムも書いたこともありました。最近でも、『プレジデント 2009.6.15号 迷いが晴れる歴史・古典入門』、『週刊 東洋経済 古典が今、おもしろい!【論語からケインズまで171冊】』と、古典を特集したビジネス誌が多く刊行されています。
今回のコラムでは、開国150年(cf.「インターネットがもたらす第三の開国の夜明け前 ~2009年、横浜開港150周年~」)に因んで、幕末維新にスポットを当ててみたいと思います。新選組局長であった近藤勇の下で坂本竜馬をはじめとした尊攘派(討幕派)志士を取り締まり、副長助勤の沖田総司と共に、幕府側の指揮官として新選組副長を務めた土方歳三が、その短い生涯を終えたのが今からちょうど140年前の1869年、まさに私と同年齢の34歳のときのことでした。
cf.
・『燃えよ剣』(司馬遼太郎著)
・NHK 松山放送局|スペシャルドラマ 坂の上の雲
http://www.nhk.or.jp/matsuyama/sakanoue/
昨年のゴールデンウィークには、今年の開国150周年を待ちきれずに、同僚を誘って土方歳三縁の地でもある函館・五稜郭へ行ってきました。
ナールデンは十七世紀にできた城塞都市で、榎本武揚が函館の五稜郭のモデルとしたことで知られる。ナールデンは六角形で、矢型の塁が特徴的である。強固な要塞都市であって、フランスのルイ一四世の攻撃にもかなり耐えた。函館の五稜郭は蘭学者武田斐三郎がフランスの築城書のオランダ語訳を参考に設計したもので(一八六四年完成)、五角形で大砲攻撃に強い設計となっている。
/『都市計画の世界史』(日端康雄著)
今では、見事なまでの五角形を呈した庭園を持つ観光地となっていますが、土方歳三の生きた歴史的な変革期にあっては堅牢な要塞であったのだろうと彷彿させるつくりをしていました。
ところで、この土方歳三を語る上で重要なキーワードとなってくるのが、「局中法度」と「軍中法度」です。それぞれ、新選組の理念に当たるのが「局中法度」で、行動指針に当たるのが「軍中法度」と言い換えられるかと思います。土方歳三は、新選組という組織を確固としたものにするために組織を組んで互いに牽制が利くように配置し、今のビジネス界でいうコーポレートガバナンスを敷きました。その中で、先の「局中法度」では「士道ニ背キ間敷事」など5か条を、敵中(仕事中)にいるときの指針である「軍中法度」では「敵味方強弱の批判、一切停止の事」他10か条を定めていて、これらの内容は現代に通ずるものもあるなと感じました。
今から150年近くも前の開国の時代にあって、この土方歳三をはじめとした、私と同世代の人たちが志を一つに自身の使命を全うしようとしている姿を古典の中に垣間見て、今回の社員総会で皆の前で発表したゴールビジョンがどうか「絵に描いた餅」にならないようにしたいと強く思いました。
そのために必要な考え方は、冒頭でも引用した、ご両親の影響で幼少時代より古典に傾倒したと言われる北尾吉孝氏の書かれた『何のために働くのか』でも触れられていますが、基本となるのは「知識・見識・胆識」かなと思いました。そこでは、見識を「物事が正しいか間違っているかという判断がつくこと」と言い、きちんと判断するために必要なものが、正しい知識であると言われています。そして、その見識を「実社会で実行する」能力のこと、「自分が正しいと思うことを堂々と行っていく実行力」のことを胆識と呼んでいます。
私たちCS本部の管理者は、こうした考えに倣って社員総会で掲げたゴールビジョンを実務レベルにまで落とし込んだガントチャートに起こし直し、毎月の面談時に使用することにしました。このガントチャートと併せて、以前にご紹介した「CS部成長のあゆみ」と「自己育成シート」(cf.「目標管理と人材育成、組織デザインについて ~「KPT法」による"ふりかえり"の実践と、コンピテンシーシートの活用~」)をうまく運用することこそが、全社的なビジョンをオペレーションを行ってもらっている層まで浸透させ、ミッションリンクを果たすための縦の意思疎通を可能にするコミュニケーションツールになり得るものだと考えています。
私たちは、Webコンサルタントとしてクライアントの抱える経営課題に向き合う中で、何が正しいのか判断することができなくてはならないし、そのための知識も必要です。そして、実際に掲げた課題をクリアするまでのプロセスを描き、やり遂げる実行力が必要とされています。まだまだお客様に勉強させて頂くことも多いですが、是非課題を共有頂き、共に打ち克つための戦略を練っていきましょう。
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「第3回 Web2.0マーケティングフェア」出展、第1回「フリーセル大学」講義の所感 ~ビジネスの基本スキルとしてのヒアリング力~
2009年05月31日 02:08 PM
投稿者 小川 悟
質問をしてそれに答えてもらうプロセスの中で、インタビューの対象者自身でさえこれまで言語化できていなかった潜在的な問題意識や感情が引き出せる瞬間がある。こうした言葉を引き出せたときは、本人にとってもインタビュアーにとっても大きな発見であり、感動である。プロセスに厚みが生まれ、シナリオに共感が挟まれてくるのだ。
/『コンサルタントの質問力』(野口 吉昭著)
今日で5月も終わりです。振り返ってみると、私たちにとってはイベントの多い月となりました。表題にある「Web2.0マーケティングフェア」へは、昨年に引き続き、2回目の出展となりました。
cf.「第3回 Web2.0マーケティング フェア」出展のお知らせ(ニュースリリース)
http://www.freesale.co.jp/news/release/new02.html
※来年度から、「第4回 Web&モバイル マーケティング EXPO」に名称が変わります。
今回の私たちの出展テーマは、「Webコンサルティング」でした。こうした展示会に出展すると、私たちはつくづく形のないものを売っているのだなと実感します。ソフトでも、システムでもよいのですが、自社開発もしくは開発元から仕入れた商品を展示するわけではなく、私たちが今まで1年間の中で築き上げてきた実績を中心に、中小・ベンチャー企業向けのWebコンサルティングを表現しなくてはなりません。
ちょうど今年初め、リスティング広告を扱う部門の方で、オーバーチュアの2008年下半期販売代理店表彰式で下半期特別賞を受賞できたので、私たちはそれを前面に押し出すためにアイキャッチ用のショートムービーを制作しました。ご興味をお持ち頂いたご来場者の方と、展示ブース内で商談になることもあるため、営業部門の役職者にも出てもらっていました。
■「第3回 Web2.0マーケティングフェア」弊社出展ブース
今思い返してみると、今年もまた決して順風満帆というわけではなかったですが、後日、プロジェクトメンバーとの打ち上げに参加してみると、メンバーの何人かは自信が付いた人もいたようで、「来年も参加できれば、もっとうまくできるのに」というようなことを耳にすることもあって結果としては良かったとは思います。
もう少し注力したかったのは、営業部門との連携ですね。会期当日は営業マンを呼ぶのだから、最初から、あるいは少なくとも会期半年前くらいからはプロジェクトに営業マンに参加 してもらえば良かったと後悔します。途中から参画してもらうためには、どのようなブースにするかを分かるように伝えなくてはなりませんが、日々の業務に忙殺されるとなかなか絵に描くことができません。
ふとここで、私たちのお客様となる中小・ベンチャー企業の経営に携わる方の中にも同じように悩まれている方が多いのではないかと感じました。社内でWebサイトのリニューアルや、SEO施策・ネット広告の出稿などが意思決定された際、いざ発注の段階になっても具体的な完成イメージがわかず、「アクセス数を増やしたい」、「売上げを伸ばしたい」、「ブランディングを図っていきたい」といった漠たる思いに駆られ、具体的にどのようなストーリーで未来の消費者へ訴求していくか?といったプロセスがなかなか発想として浮かんでこないといったケースです。
これはよくあることで、自分(自社)のことは見えにくいということなのだと思います。そこで当社のWebコンサルタント兼プロデューサーとしての営業マンやディレクターがヒアリングに訪れ、明確なゴールと方法論について第三者の立場として意見を交わしていく中で具現化させていきます。
Webサイトでもチラシでも、展示会でもそうですが、自社の業務を公に公開するということは、その編集プロセスの中で自社の戦略を棚卸しする機会でもあると思います。そうした経緯を経て、今度は逆に実業務のプロセスの改善へと発想を転換させたりと得られることも多いと思います。
以上、「ヒアリング能力」のようなビジネスにおける基本のコミュニケーションスキルは、どのようなシーンにおいても重要だのだなと改めて実感しました。
それと関連するかのように、5月23日(土)は以前から計画していた「フリーセル大学」の記念すべき第1回目の講義が開かれました。「フリーセル大学」では、1年間を通して、先のビジネスコミュニケーションの基本スキルである「ヒアリング」「リーディング」「スピーキング」「ライティング」を学ぶカリキュラムを用意しているのですが、第1回の内容は「ヒアリング」と「リーディング」でした。講師は自社の管理職が務めましたが、講師役を務めるものもまた勉強です。昼食を挟んで7時間くらいのコースなのですが、座学だけでなく、昼食の後にグループワークを入れたりと、参加者が居眠りしないように配慮した結果、あっという間に1日が過ぎてしまったほど熱の入った講義となりました。
■「フリーセル大学」講義の様子(弊社本社分室にて)
私は立場上、「フリーセル大学」の開校の挨拶をさせてもらったのですが、ここで引用したのが、以前にこのコラムでも触れた「カラーバス効果」についてでした。「情報社会(情報化社会)」と言われるようになって久しいですが、私たちを取り巻く世の中は、情報で溢れかえっています。この情報の海から、今の自分に必要なものだけを抽出、加工して目的遂行のための一助となれば良いのですが、何事も適量というのがあって、情報もここまで多くなってくるとうまく処理するのが大変です。そうして処理しきれなかった分の情報はストレスとなって、せっかく身を助く筈だった情報が身を蝕むだけのものになってしまうため、人は自分に必要でないと判断した情報は右から左にうまく抜けてゆくようにしているようです。
先の講義でもそうですが、「ここからが重要なポイントです」とか、「ここで話されることは、まとめると以下の3つのようになります」と要点を意図的に繰り返したりといったようなPREP法を交えて話さないと、参加者は話を聞いた瞬間に、うまく「忘却」という脳内処理をしかねません。
講義のテーマであった「ヒアリング」と「リーディング」、つまり「聴く」能力と「読む」能力ですが、私はこの日の講義で話されることを隅々まで記憶することよりも、世の中に溢れている混交玉石の情報の中から、これらをキーワードにした良質な情報に少し意識してみるだけで、今まで自分には入ってこなかったと思っていた類の情報が急になだれ込んでくるようになるといったような話をしました。
最初は嫌々、あるいは単に義務感で講義に参加していたとしても、「ヒアリング力を鍛えると仕事に役立ちそうだな」、「今までお客さんや社内の人間と話すときに、いつも結論が出ないまま話が終わっていたというようなことが多かったけど、まずは今日学んだことを実践してみよう」、「いまいちよく分からなかったことがあったから、家でネットサーフィンで調べたり、書店で関連書籍をあさって読んでみよう」、「ただ講義に出ただけだと忘れてしまうから、普段の業務の中でも、講義で出た用語を声に出して意図的に使ってみよう」といった気持ちにまで意識が高まれば後は吸収は早い筈だと考えました。「聴く」という行為一つとってみても奥が深いものですね。
5月は他にも外部向けのセミナーが2回開かれたりと慌しかったですが、当社分室で行われたセミナーでは、40名近い定員のセミナーがほぼ自社だけの告知で満席になるほど期待をお寄せ頂いているのだということを考えると、その期待を裏切らないようにこれからも益々精進していかねばと思いました。
当社社長の木村が書いたコラムは以下からご覧下さい。
■Google共同セミナー実施報告と所感
http://www.web-consultants.jp/column/kimura/2009/05/google-1.html
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我々のミッションは"輝かしい失敗"と呼ばれた。
/映画『アポロ13』(1995年・米、監督:ロン・ハワード、主演:トム・ハンクス)
今年2009年は、イタリアの科学者ガリレオ・ガリレイが自作の望遠鏡をのぞいて宇宙に目を向け、太陽もまた地球同様自転しているなど、様々な事実や法則を発見した1609年からちょうど400年ということで、「世界天文年2009」と定められたそうです。
cf.
・2009年皆既日食ツアー(近畿日本ツーリスト)
※2009年7月22日には、日本国内の一部で46年ぶりの皆既日食が見られる年でもあるそうです。
・企画展 ガリレオの天体観測から400年 宇宙の謎を解き明かす
http://www.kahaku.go.jp/event/2009/05astronomy/
ガリレオによって発見された様々な事象により、それ以前にコペルニクスが提唱していた地動説を擁護する形となりましたが、時のローマ教皇庁は宗教上の理由で地動説を唱えることを異端であるとしました。これが俗に言われる「ガリレオ裁判」です。今では当たり前のように思われている「地動説」ですが、5年前くらいの日本の調査では、小学生の4割が「地球は太陽のまわりを回っている」とテストで回答、その後ロシアで行われた調査でも国民の3割が天動説を信じているという調査結果が出たこともありました。
また、ローマ法王(ベネディクト16世)がガリレオの地動説を公式に認めたのは実は2008年12月21日と最近のことで、前法王ヨハネ・パウロ2世がバチカンの非を認めたのが1992年のことでした。科学と宗教が対峙する時代は終わり、新たに共存する道を選んだということなのでしょうが、こうしたタイミングにおいて現在上映中の映画、『天使と悪魔』は話題性が高いようで、元々メディアミックスの先駆である角川グループということもあってか、インターネット広告への出稿なども積極的ですね。
さて、今回のコラムでは、上記の例ではスケールが大き過ぎる話ではありますが、過去の失敗や過ちを認め、これからの企業や社会の発展に寄与してゆくための方法について模索してゆくために私たちができることは何なのか?ということについて書いていければと思います。
再び話は横道にそれますが、先の『天使と悪魔』の監督ロン・ハワードと、主演のトム・ハンクスがかつてコンビを組んだ映画に『アポロ13』があります。私がちょうど大学1、2年の頃にクラスで流行った映画の一つでした。クラス内で友人たちと自分の趣味嗜好をぶつけ合う中で仲を深めていこうという動きがあり、映画であれば他に『ショーシャンクの空に』や、その少し前の『いまを生きる』などが私の周囲では特に流行っていました。文学部だったこともあってか、『いまを生きる』に影響を受け、「死せる詩人の会」のようなグループが自然とでき、好きな海外詩を紹介し合うことなどもしていました。また、この『アポロ13』の影響もあってか、私は大学の卒業旅行でアメリカ5都市を回った際、フロリダにあるケネディ宇宙センターにも足を伸ばしたものでした。
この『アポロ13』は、実際に合った出来事を映画化したものです。旧ソビエト連邦のガガーリンが1961年に人類初の宇宙飛行を行ったことに触発された1960年代のアメリカでは、時のケネディ大統領が「1960年代中に人類を月面に着陸させる」と公約したアポロ計画を推進していました。そして、1969年7月20日、アポロ11号のニール・アームストロング船長は人類で初めて月面に降り立ちました。
当時世界的スターだったビートルズが解散問題に揺れ、デヴィッド・ボウイが映画『2001年宇宙の旅』に影響を受けて書いたとされる『スペース・オディティ』を発表し、ヒューストン(ジョンソン宇宙センター)からの呼び掛けに応じず、宇宙を漂い続けることを選んだトム少佐を歌った時代のことです。
テーマとなっているアポロ13号は、先のアポロ計画の中――、アポロ11号からアポロ17号までの7機の中で、唯一月着陸ができなかった機体として知られています。同時に、冒頭でも書いたように、「輝かしい失敗」としても知られた功績を残してもいます。地球から32万kmも離れた宇宙の彼方で重大な事故が起こりながらも、3人の乗員全員が無事地球に帰還したことと、地球側でそれを助けるために尽力した管制官たちのチームワークにより、前代未聞の事故に際し最後まで諦めずに人命を救ったベストプラクティスに対して、この「輝かしい」という修飾語が付いたのだと思います。
この功績は今の時代でもすごいことだと思います。その後、1986年のチャレンジャー号爆発事故、コロンビア号空中分解事故と悲しい事故が続きましたが、コロンビア号の事故の際に緊急で出版された「Newsweek(2003-2・12号)」に目を通し、船長であったリック・ハズバンドが乗船前に史上最高のチームを作り上げようと決意し、チームワークが取れるかどうかを確かめるため、仲間を引き連れて11日間の登山合宿を行ったエピソードについて触れていて、目頭が熱くなったことを思い出しました。当時私が書いた日記では、「17年前のチャレンジャー大爆発以前には大惨事の起こる可能性は10万分の1とされていたが、チャレンジャーの大爆発により、それは148分の1に修正された」という記事の内容について触れていて、宇宙事業にはとてつもないリスクが付き物であることを知りました。また、スペースシャトル打ち上げの燃料コストも非効率で、2010年には退役するという話も出ています。
このアポロ13号の「失敗」体験ですが、後々「失敗学」という言葉も生まれ、失敗知識をデータベース化してインターネット上にも公開されました。
cf.
・『失敗学のすすめ』(畑村洋太郎著)
・JST失敗知識データベース(独立行政法人 科学技術振興機構)
上記、JST失敗知識データベース内の「失敗百選」の中に、このアポロ13号や、チャレンジャー号、タイタニック号の事故についてもランクインしていますが、『失敗学のすすめ』の中で畑村氏は、「失敗学」における「失敗」を以下のように定義しています。
ここでは「人間が関わって行うひとつの行為が、はじめに定めた目的を達成できないこと」を失敗と呼ぶことにします。別の表現を使えば、「人間が関わってひとつの行為を行ったとき、望ましくない、予期せぬ結果が生じること」とすることもできます。「人間が関わっている」と「望ましくない結果」のふたつがキーワードです。
/『失敗学のすすめ』(畑村洋太郎著)
これを読んでふと、昨今のニュースを振り返ってみても、何も宇宙のような大きなスケールでなくとも、身近な会社の問題で私たちは多くの失敗をしていることに気が付かされます。氏は著書の中で、「失敗の特性を理解し、不必要な失敗を繰り返さないとともに、失敗からその人を成長させる新たな知識を学ぼうと」することを「失敗学」の趣旨と説いています。ここで重要になってくるのが「不必要な失敗」とは何かということかと思いますが、それについても「失敗原因の階層性」という項で説明があります。つまり失敗には階層があるということで、底辺にある「個々人に責任のある失敗」に始まり、「組織運営不良」、「企業経営不良」、「行政・政治の怠慢」、「社会システム不適合」、「未知への遭遇」といったヒエラルキー構造となっている旨を説明し、「よい失敗」を「未知への遭遇」の中に含み、それ以外は「不必要な失敗」と位置づけています。また、この構造上、上にいけばいくほど影響も大きくなり、リーダーや経営者などが判断を求められるケースが多いと言います。
アポロ13号の場合は、たったネジ1本が事故の主原因と言われてはいますが、前例のない事故で無事地球に帰還させるためにはどうすればよいか?といったことについて皆で考え出した対策が功を奏したことで「未知への遭遇」だったのではないかと個人的には思いました。
私たちのWeb業界でも多くの失敗があります。以前のコラム、『「コンタクトセンター」発足から1年 ~「顧客の声(VOC)」に耳を傾けることの重要さ~ 』の中でも、「ハインリッヒの法則」や「ヒヤリ・ハット事例」について触れたことがありましたが、それ以外に事業そのものの失敗であるとか、提供していたシステムが停止したり、納品した成果物に重大な欠陥があったという瑕疵まで様々です。
cf.
・「お金払って」と呼び掛けたカフェスタ、終了へ 7年の歴史に幕(ITmedia News,2009年05月08日)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0905/08/news064.html
・「ヨドバシ・ドット・コム」がリニューアル直後から表示が遅すぎて激重になる大規模障害が発生、一体何が起きているのか?(GIGAZINE,2008年10月28日)
http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20081029_yodobashi_slow/
特にインターネット業界は、他の製造業などに比べて歴史が浅く、こうした失敗事例の共有や善後策の常套手段といったノウハウの共有が少ない業界であるとも思います。しかし、「失敗の本質」をたどってゆくと、別業界で起こっている「失敗」も時に私たちに密接に絡んでくることも少なくありません。こうした失敗を手掛かりに、今後も「不必要な失敗」を減らし、「未知への遭遇」としっかり対峙してゆく必要があると考えています。
失敗を避けたり、失敗から逃げるのではなく、失敗を通して何か次の成長に繋がることを学ばなくてはなならないということですね。『失敗学のすすめ』の中では、無闇に失敗を遠ざけていると、創造力が身に付かなくなると説いており、創造力はすなわち「自分で課題を設定する能力」と説明しています。
これは私たちインターネット業界に限らず、ビジネスマンであれば必ず求められる能力でしょう。しかし、それは一朝一夕に確立されるわけではありません。個々人の失敗知識データベースの活用に始まり、(学習のために意図的に失敗させることはあっても、)組織としても「不必要な失敗」を避けるための対策はしっかりと練るべきだと考えます。
先述したタイタニック号のように、氷山があることに対する二度の警告を振り切り、氷山を避け切れず座礁して大惨事になったように、組織が大きくなればなるほど舵取りの判断を早めに行わないと事故回避に間に合いません。
現在当社では総クライアント数が4000を越え、ここで日々の営業活動でしっかりと契約を取り、お客様に対するWebコンサルティングサービスもしっかりと行ってゆくことを前提にすると、そこで起こり得る事故というのは、まだ大手企業を含めてもそれほど多くはありません。言わば市場の牽引のために、周囲からの監視も強まる中、前例が少ないことに挑戦しつつ成果を上げていかなくてはならないのです。
私たち生産管理やクリエイティブを管理するCS本部においては、不必要な失敗を繰り返し、創造の足を引っ張らないように、各部課において以前より、「ポリシーの策定」や「マニュアル・ガイドラインの整備」といったメソッドの確立に勤しんできました。
例えば、制作部ライティング課のメソッドは、以下のように紹介されています。
■Webライティングスタンダード|体系化されたノウハウ集でクライアントと消費者をつなぎたい(「次を創る」ためのインターネット広告方法論)
http://www.web-consultants.jp/column/matsuoka/2009/04/web-4.html
他にも、「D-sta(フリーセル・ディレクション・スタンダード)」や、「制作ガイドライン」、「SEOポリシー」等、移り変わりの速いインターネット業界の最新情報を元に常に改訂を繰り返しながら、バージョン管理を行っています。それでも起こるのが事故ですが、事故の原因は大枠体系化できます。そのカテゴリに応じて取るべき対策は決まってきます。
基本的なことは、多くの現場で言われていることではありますが、難しいのは先にも述べたように、総クライアント数4000を越えて、初めて発生するような事故についての対策です。まさに「未知への遭遇」ですが、そういった部分にも留意して作られたメソッドなので、これがどの企業にも当てはまるものではないと考えています。
これらのメソッドの重要な部分は、常に改訂してゆくものであるということと、継続して引き継いでゆく必要があるということです。コラム、『富士登山で学べる「セルフコーチング」』で、『類推の山』という文学作品について触れたことがありましたが、その山の掟と著者が定めた――、「僕らは新しい山小屋にむかってつきすすむ前に、もういちど下へ降りて、僕らがはじめに得た知識を、別の探索者に教えておかなければならない」のように、後継するメンバーに対し、マイルストーンを示していくことも使命の一つだと考えています。
今後、より大きな局面にぶつかっても上手く推進し、顧客との共存共栄を図ってゆくために、これからも日々学習と行動に励みたいと考えています。
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第9期新体制、CS本部は「マーケティング力」と「クリエイティブ力」の強化を推進 ~内定取り消し時代の新卒入社者を迎えて~
2009年04月 5日 04:10 PM
投稿者 小川 悟
組織図には事業のすべてが表れる。人に対する考え方や戦略やコミュニケーションがすべて表れる。事業を変えるためには組織図を変えることだ。事業の意思や戦略を組織図に明らかにすることだ。
/『リクルート式「楽しい事業」のつくり方 Hot Pepper ミラクル・ストーリー』(平尾 勇司著)
2009年4月1日、当社は第9期に突入しました。詳細は新社長に就任した以下、木村のコラムをご参照頂きたいのですが、今期より3本部体制となり、私はそのうちの一つであるCS本部を任せて頂くことになりました。
■フリーセル第9期を迎えご挨拶(木村 裕紀)
http://www.web-consultants.jp/column/kimura/2009/04/9.html
経営テーマは「百花繚乱」。一人ひとりが職場の中でスポットライトを浴びて活躍する期にという願いが込められています。CS本部は、大きく「Webマーケティング部」と「制作部」とに分かれます。前者にディレクターや顧客サポート部門、専任のSEO担当者など、後者にはWebデザイナーやプログラマー、映像制作者、ライターなどを集積させ、情報共有の精度向上やサービスの標準化と差別化、ムリ・ムダ・ムラの排除、ヒューマンエラーの未然防止、WebマーケティングやWeb制作に関わる基本スキルの強化を図ります。その根拠となるものとして、前期末までに体系化を進めた各生産ラインごとにまとめた「ガイドライン」や「メソッド」などがあります。市販の書籍にもこの手の内容が多く出ていますが、殊当社のお客様に対するサービス提供や業務フローに見合った内容となると、書籍の内容がピタリと当てはまるケースはなかなかありませんので、当社独自で用意する必要がありました。
他にはやはり、当社の強みを活かした実績の活用が挙げられると思います。単にWeb制作だけを受託で行うマーケットイン型の企業でもなく、ベンダーの開発した商材をOEMなどで販売する営業系の代理店でもなく、一部の商材を除きほとんどの提供商材が全て自社のみで営業、企画・開発、アフターフォローまで一貫して完結できています。同業界で前例が少ないため苦労することも多いですが、前人未到の地だけあって先行者メリットや機密性を得られることも多く、それが市場に対する競争優位になっていると実感しています。
さらに、当社の体制として事業本部に全国で営業スタッフやコンサルタントが75名ほど、マーケティングスタッフが15名、CS本部に80名強おり、全国の多くの中小・ベンチャー企業様に等しくサービス提供を行う体制が整っていますが、全てのお客様に均一なサービスを約束し、提供プランごとに差別化されたベネフィットを顧客提供するためには、力技以外にも論理的思考が求められてきます。
■SEO対策(「Webコンサルタント.jp」より)
http://www.web-consultants.jp/service/seo/
例えば、上記ページをご覧頂けますでしょうか。当社提供のサービスの一つをご利用頂いているお客様のSEO対策状況の統計となっています。サンプル数として2000件を対象にしています。 現時点では2500件程になっていますが、こういったものも1ヶ月に10数件の受注件数しかない企業では算出が難しいため、リサーチ会社に依頼したものか、各社シンクタンクが出している市販の統計資料に頼らざるを得ないと思います。私たちの場合は、仮に後者のような統計資料が手元にあっても丸々全部を信用するわけにはいきません。現在のフェーズにおいて顧客戦略を考える上で私が重要視しているのは、「私たちのお客様の状態が現状どうなっているのか」ということで、一般論は今後の戦略立案のために上司に提出する企画書を飾るレトリック、あるいは、説得材料の根拠程度の用途しか期待しておりません。
■(下図)当社顧客データベースより、SEOサービスを提供中のお客様のWebサイトをエクセルファイルに抽出し、提案キーワードの上位表示順にソートした社内データ
こうした資料を「欲しいときに欲しい条件」で即抽出可能なように、情報を整理しつつ管理してゆくことで、営業戦略上はもちろんのこと、私たち開発・サービス提供部門においても、傾向と対策を把握しやすいため、改善にも活かすことができると考えています。
今、伸びているのは「情報産業」ではなく、「情報整理産業」
/『情報大爆発 コミュニケーション・デザインはどう変わるか』(秋山 隆平著)
こうしたデータマイニング的な情報処理の必要性にも迫られたため、今期よりSEO専任スタッフの職域を拡大し、Web解析全般に携わる職務を遂行してもらおうと考えています。今後にご期待下さい。
さて、話はうって変わりますが、先般は入社前日に内定取り消し措置を行った企業がニュースで話題となりました。私の就職活動期は山一證券破綻による内定取り消しがあった時代でしたが、今年は半強要的に内定辞退や自宅待機を迫られたケースも含めると、その当時を上回る数の新卒の方が内定取り消しの事態に遭っていると聞きます。
そうした時代に、当社にも新卒が全国で十数名入社してくれました。新卒採用は今年で4期目です。3年前の2006年4月入社の面々も、続く07、08新卒入社者も、今では現場の最前線でバリバリ活躍していますので、新卒向け研修を終えて現場配属となる日が今から待ち遠しい気持ちで私はいます。
新卒入社者の多くが、「早く仕事を覚えて職場で活躍したい!」と逸る気持ちを抑えながら初めての実務に直面し、理想と現実とのギャップを感じたり、思っていた以上に難しいことを痛感するビジネスコミュニケーションの壁と対峙することになるでしょう。それを一つひとつクリアしてゆく中で、お客様とのコミュニケーションに楽しさを覚えたり、自分の成長を感じたり、仕事のやりがいを感じてブレイクスルーしてゆく姿を想像しながら、受け入れ側の私たちも毎年、組織としての成長を強いられることになります。
私たちにとってはもはや常識となっている社内の業務フローも、新たに加わるメンバーから見れば複雑怪奇な内容かもしれない、今では慣れてしまって気にも留めないことが実は不安の対象だったりすることもあるかもしれない、自己成長のために何気なく心掛けている行動習慣が気付きにくいかもしれない、そういった目には見えない新卒入社者のニーズを想像しながら、私たちは彼らが最も効率的に成長できる階段を準備しなくてはなりません。
当然ですが、新卒入社者を受け入れることが嫌で内定取り消しにする企業はありません。昨今の経済危機に起因する、かつて経験をしたこともないくらいの不測の事態に、どの企業も苦渋の決断だったことと思います。そうした時代の中で全社員数の10%弱の人数の新卒入社者を採用できる当社環境をありがたく感じなくてはいけないなと思っています。
新卒入社者育成のミッションは私たちにとっても自己成長のための課題です。また、自分たちのためだけでなく、今後彼らが成長し、サービスを提供する立場になった際に、お客様に喜んで頂けるように実務能力を高めていかなくてはなりません。企業の評判管理も、Webサイトの上位表示も、常に現状に満足することなく課題を見つけ、お客様が当社に投資頂く貴重な運転資金・広告予算は、コストセンター部門であるCS本部として、1円たりとも無駄遣いすることのないように「生産」か「還元」かに繋がるように活用していきたいと考えています。
私は人間というのはそれぞれみな、まだ発掘されていない財宝のような存在だと固く信じている。人それぞれに限りない可能性を秘めている。
/『ムハマド・ユヌス自伝 貧困なき世界をめざす銀行家』(ムハマド・ユヌス&アラン・ジョリ著,猪熊 弘子訳)
本コラムの締めくくりとして、先月3月25日に来日講演された、ムハマド・ユヌス氏の自伝から引用をして終わりたいと思います。今期も1年、どうぞ宜しくお願い致します。
iモード10周年、ビジョン達成に向けた不断の努力こそが市場開拓・顧客創出を実現する成長エンジン ~第8期末社員総会を終え、今期を総括する~
2009年03月29日 08:22 PM
投稿者 小川 悟
「十秒前です」
笹川が時計を見ながら叫ぶ。
「八、七、六……」開発チーム全員の声が揃う。
「三、二、一、〇。やったあ!!」
二月二十二日零時、iモードは歓声とともにスタートした。
/『iモード事件』(松永真理著)
本日、当社第8期末の社員総会兼社員旅行から帰ってきました。いよいよ今期も残すところあと2日です。1日には09新卒の入社も控えています。迎え入れる側の私たちの方も、新たなゴールビジョンが提示され、新体制で来期に臨みます。本件については次月にまた、別途お伝えしたいと思います。今回は第8期を総括する意味も込めて成果の棚卸しをするとともに、当社のどのような部分が成長エンジンとなっていたのか改めて認識し、来期1年間を突っ走るための原動力としたいと個人的に試みてみます。
さて、2009年2月22日は、NTTドコモの「iモード」サービスが開始されてからちょうど10周年でした。
cf.
・iモードが10周年、ドコモが期間限定サイトをオープン--懐かしのCMなどを配信(CNET Japan)
http://japan.cnet.com/mobile/story/0,3800078151,20387918,00.htm
・iモード10周年、いま体験すべきコンテンツは?(ASCII.jp)
http://ascii.jp/elem/000/000/213/213077/
・iモード10周年、ドコモが目指す“魔法のランプ”への戦略
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/44053.html
・こんなものもありました--iモード10周年、黎明期の名機を振り返る(CNET Japan)
http://japan.cnet.com/mobile/story/0,3800078151,20388765,00.htm
・EZwebがサービス開始10周年――KDDI、4月から特別キャンペーンを実施(ITmedia +D モバイル)
http://plusd.itmedia.co.jp/mobile/articles/0902/20/news062.html
今でこそ、登録者数で言えば5000万人近くを誇る、日本最大のISP(インターネット・サービス・プロバイダー)ではありますが、その記念すべき誕生からもう10年が経つのですね。
cf.
・契約数月次データ : 携帯電話等契約数(NTTドコモ 企業情報)
http://www.nttdocomo.co.jp/corporate/ir/finance/subscriber/
・ドコモ、iモードをギネスブックに申請(ITmedia +D モバイル)
http://plusd.itmedia.co.jp/mobile/articles/0603/10/news082.html
・クロニクル「インターネット業界10年史」 ~まるでビッグバンのように、超高圧な一点の意志からその広大無辺な市場は生まれた~(「Webコンサルタント.jp」コラム、『Webコンサルティング表象文化論』より)
http://www.web-consultants.jp/column/ogawa/2008/02/10.html
「えっ、『とらばーゆ』の編集長がとらばーゆするの?」
/『iモード事件』(松永真理著)
この「iモード」の開発には、元リクルートで『とらばーゆ』編集長を務め、現在は株式会社バンダイ取締役を務めておられる松永真理氏と、「リクルート時代に学生アルバイトとして編集の手伝いをしてくれた学生」であり、その松永真理氏をして「彼こそ、iモードの成功に大きな貢献をするキーパースン、重要人物の一人になる」と言わしめた、現在ドワンゴの取締役を務められている夏野剛氏を主要としたプロジェクトメンバーが携わりました。
こうしたビジネス上における成功譚(サクセスストーリー)というものは、現在の世の中の状況から過去を顧みて編年体に並べ直すことで初めて"物語"になるわけで、実際の開発段階においては苦労の連続であったろうし、今後も新たな状況に打ち勝ってゆくために様々努力をしなくてはならないのは当然にしろ、必ず私たち部外者にとってはあまり知る由もない前史に当たるものがあるものです。
東京と大阪を何度も行ったり来たり、緊張と新幹線のなかで細かい文字を見過ぎたせいもあり、同乗したIPのなかには帰路につく頃吐き気を催した人もいたという。新幹線と同時に山手線のなかでも同様の試験が繰り返される。評価機を押しながら、何十回と山手線を回っているエンジニアたち。想像するだけで目が回るようだ。
/『iモード事件』(松永真理著)
iモード誕生の1ヶ月後の1999年3月25日、NTTドコモグループは、「ドコモ2010年ビジョン『MAGIC』――モバイル・フロンティアへの挑戦――」を策定し、発表しました。この長期ビジョンは、1997年7月頃から経営企画部のメンバーが事務局となって検討が進められていたものとのことです。経営トップの意向により「社員の参画」が強く要請され、第1次案にはグループ各社延べ300人以上の社員がディスカッションに参加し、最終的にはこの「MAGIC」が経営会議で決議されました。それから、この「MAGIC」策定の後に、ビジョンを実現するために、「ドコモ社員の行動原則 『DREAM』」が社内に公開されました。
【5つの事業の柱 「MAGIC」】
M: Mobile Multimedia(モバイルマルチメディアの推進)
A: Anytime, Anywhere, Anyone(いつでも、どこでも、誰とでも)
G: Global Mobility Support(グローバルにサポート)
I: Integrated Wireless Solution(ワイヤレス技術でソリューション)
C: Customized Personal Service(個々人の情報生活支援)
【ドコモ社員の行動原則 「DREAM」】
D: Dynamics(変化に挑む)
R: Relationship(コミュニケーションの輪を広げる)
E: Ecology(環境保全に貢献する)
A: Action(まず、行動する)
M: Multi-View(広い視野と長期的視点から考える)
/『NTTドコモ10年史 モバイル・フロンティアへの挑戦』(NTTドコモ10年史編纂事務局)
未踏の地をビジネスチャンスと捉えながらも、現状に満足せず、まだ見ぬ未来を予見し、来るべき危機に備えて中長期のビジョンを策定し、打ち立てた行動指針にのっとって、全社員が掲げたゴールへ向かって邁進する――、そのフロンティア・スピリットこそがある種の成功法則、言い換えれば勝ち癖のようなものではないかと思います。初めのうちは皆で打ち立てた指針が、何となくよそよそしく照れ臭いこともあるかもしれません。それが正解か不正解かもよく分からないままにスタートするものかもしれません。しかし、こうして一つ大きな成功をした後に振り返ってみれば、「あのときに気付いて本当に良かった!」と思えることは、日々の仕事の中にもたくさん転がっている筈です。
思えば今から1年前の2008年3月27日は、当社初の監修書籍、『「Webコンサルタント」という選択』が発売された日でした。今でこそ「Webコンサルティング」という用語はネット市場に時折見かけるようになってきたものの、あの頃はまだ他社で明確に表現しているところが少なく、プロジェクトメンバーの間で定義するにも大変苦労したものでした。社名を出して声高らかに自社方針を打ち出せば、それに賛同頂ける方と同じくらい反対する方もいたことかと思います。いつの時代も新しい概念には反作用が働きます。特に名前が売れてくればくるほど、市場の中で影響が大きくなればなるほど、社会からの風当たりが強くなることは十分承知した上で、当社もある種腹をくくった時期だったのかと思い返します。
その後、第一四半期を終えて今期ゴールビジョンを改めて全社員で共有(cf.「第8期第一四半期社員総会を終えて ~ゴールビジョンを明確に言語化し、共有する~」)した後は、続く第二四半期(cf.「クリエイターは消費者の夢を見るか? ~第二四半期末社員総会を終えて~」)、第三四半期(cf.「再読、『ザ・ゴール』。 ~エリヤフ・ゴールドラット氏来日! ~"生産的"であるとは何か?~」)と怒涛の如く次々に迫り来る試練を乗り越えて今に至ります。
絶対絶命!と思う程の大きな壁を前に、とにかく、「"そこに行こう!"とゴールビジョンを掲げてしまったのだから行くしかない」という気持ちでやっとの思いで一つ壁を越えたと思ったら、今までとは比較にならないようなスケールの壁にぶち当たり、ここで挫けようと思えば一気に堕落していってしまうような、そんな成か否かの二択を常に迫られながらブレイクスルーを続けてきた今期だったように思い返します。また、その過程の中で、もちろん私自身は多くのことを学んだのですが、何よりも部内のスタッフをはじめ会社全体でいろいろな体験を経て、学べたことは大変多かったのではないでしょうか。
少人数で業界の常識に立ち向かうのです。ありえない、と思われることに挑むのです。絶対無理かもしれない。でも、コイツらのために何かやってやりたい、逆に、無理だという挑戦をあえてやってやろうじゃないかと思いました。それに、もし実現できたなら、世の中に何らかの一石を投じることができるかもしれないと思いました。
/『「R25」のつくりかた』(藤井 大輔著)
ビジョンというものは、誰だって実際に目にしたことのない「未来の姿」です。「こうなりたい」という願う強い信念が生み出す概念です。そこに必ず行けるかどうかは誰も断言できない筈のものです。しかし、一度掲げた以上は、そこにたどり着くために絶対に諦めてはいけないし、歩みを止めてはいけないものでもあると思います。
先日のWBC決勝で、延長10回表2アウト、ランナー2塁3塁、粘った末の8球目を捉えたイチローのセンター前決勝タイムリーヒットに感動を覚えた人は多いと思います。優勝インタビューでイチローが述べたコメント――、「苦しさから辛さになって、辛さを越えたら今度は痛みが来て、心がね(中略)。一つ壁を越えた」は、この時期とても印象的でした。
あのイチローが苦しみながらも、「最後には笑顔になれた」と。私たちも今期期初には「飛翔」をテーマに、当社常務がこれでもかと思うほど遠くにボールを投げるかのように、ゴールビジョンを掲げました。まだまだ課題は残したものの、まずはこの度の社員総会を「笑顔」で締めくくれたことは大変良かったですし、それから、掲げたゴールビジョンへ対する達成度に確信が持てたことは、私たちにとって大変自信に繋がりました。
来期は今期の「成功体験」を元に、CS部員一人ひとりがもっと自信と責任を持って、お客様へ納品する成果物に対する意識を高めていこうと考えています。何の思いもないところに、ある日突然結果が舞い降りてくることはないでしょう。第8期末の社員総会を一つの通過点として、現状を築き上げてきた「ゴールビジョンの策定」と、その達成に向けた「不断の努力」を私たちの成長エンジンとして、来期は今期以上にイノベートされた組織体制とサービスを構築していきたいと思っています。
一部の歯車を動かした後、さらに大きな回転を生み出すにはどうすれば良いか。次なる潤滑油は「成功体験」である。
/『ア・ラ・iモード iモード流ネット生態系戦略』(夏野剛著)
この工場では重要度順に客からのオーダーを四つに分けることができる。「Hot(重要)」、「Very Hot(最重要)」、「Red Hot(超最重要)」、「Do It Now(いますぐやれ)」の四つだ。
/『ザ・ゴール 企業の究極の目的とは何か』(エリヤフ・ゴールドラット著)
私たちCS部では、10月からの下半期の行動計画の一つとして、「生産性向上」を挙げています。「生産性向上」と一口に言っても「言うは易し、行うは難し」ですね。ある種、工場の機能を有した私たちCS部にとって、「生産性」は命綱と言えると思います。ここが悪化すれば、お客様にご迷惑をお掛けするだけでなく、会社の存続にも影響します。ボトルネックとなっている部分をいち早く発見し、スピーディーに改善することが求められてきます。
ところで、昨今のニュースでは米自動車大手3社(ビッグスリー)――、すなわち、ゼネラル・モーターズ、フォード・モーター、クライスラーの3社が、公的資金による救済策を求めるという、いまだかつてないような異常な事態を知らせています。また、日本三大自動車メーカーで言えば、ホンダが今月5日に、2008年限りでF1から撤退するというニュースもありました。さらに、2008年上半期の世界販売台数で米GMを抜いて世界1位になったトヨタでさえも、2009年3月期の営業利益を前年比73.6%減に下方修正、大幅減産措置を取っているとのことで、他社も含め派遣社員の雇用が不安定になっているということを目にします。金融危機やガソリン高騰、環境保護に対する消費者の志向の変化などのような大きな社会的環境変化はあったにせよ、20世紀初頭から世界の産業を牽引してきた自動車メーカー各社が、まさに苦境に陥っているという異様な状況です。
先のフォード・モーターと言えば、創業者のヘンリー・フォードが開発した生産方式、「フローライン(流れ作業)」で産業界において革命的な変化を起こし、以降半世紀に渡って世界の産業界をリードしてきました。重厚長大・大量生産がもてはやされた機械崇拝の時代にあって、先のトヨタでさえも創業期の1937年から1950年までの13年間の間に生産した自動車の台数が2,685台であったのに対し、フォードのルージュ工場では"日に7,000台"を生産していたこともあったそうです(cf.『リーン生産方式が、世界の自動車産業をこう変える。 最強の日本車メーカーを欧米が追い越す日』/ジェームズ・P・ウォマック他著)。
そのルージュ工場を視察した当時の豊田英二トヨタ社長と、「生産の天才」と呼ばれた大野耐一氏(cf.Wikipedia「大野耐一」)は、この大量生産方式が日本の市場にはそぐわないと判断し、帰国後、「トヨタ生産方式(TPS=Toyota Production System)」を確立していくのでした(cf.『トヨタ生産方式―脱規模の経営をめざして』/大野耐一著)。トヨタ生産方式については、以前にも本コラムで触れたことがありました。
cf.「名古屋営業所開設に想う ~ものづくり大国"NIPPON"ブランドを牽引する企業にあやかりたい~」
http://www.web-consultants.jp/column/ogawa/2008/03/post-7.html
週末、たまたま「週刊ダイヤモンド」の特大号「新聞・テレビ複合不況」に目を通していて、第二特集に「TOC(Theory of Constraints):制約理論」の提唱者であり、あの『ザ・ゴール』の著者で物理学者、エリヤフ・M・ゴールドラット氏の書かれた記事(巨人の肩の上に立って 「生産概念」と「生産手法」の比較)があり、興味深く読みました。
cf.エリヤフ・ゴールドラット博士 緊急来日セミナー 2008年11月29日~12月2日(セミナー情報ポータル「セミナーズ」より)
http://www.seminars.jp/goldratt/
『ザ・ゴール』は、社会人になって数年間の内はいわゆるビジネス書にまったく興味を示さなかった私が、社会人になり初めて読んだビジネス書だったように思います。当時は広告業界にいた関係もあり、それ以前には周囲からの勧めで、『経済ってそういうことだったのか会議』(佐藤雅彦・竹中平蔵著)を読んだことがあったので(この時点でもまだ、ビジネス誌は読んだことがありませんでした)、これをビジネス書に含めても、人生で2冊目のビジネス書との出会いということで、なんとなく感慨深いです。
とは言いながら、当時の読後感を思い出してみると、正直面白くなく、単に流し読みをしていたにすぎなかったように思います。当時の私は、フレッシュな営業マンに憧れ、営業職を志望していました。先述のコラム(「名古屋営業所開設に想う ~ものづくり大国"NIPPON"ブランドを牽引する企業にあやかりたい~」)でも少し触れたのですが、父の仕事が町工場で、中学3年の夏休みに社会勉強を兼ねて仕事を手伝いに行ったときの思いが、その背景にあったかもしれません。
私とはだいぶ年も離れた戦中派の父ですが、「この機械がガシャンと降りる度に部品が1コ作られるが、1コ1円にもならない。10個作ってやっと1円になる」と言ったことに対して、「なんでこんな儲からない仕事をするのか、自分は将来、こういう仕事には就きたくない」と言ったことがありました。その際、父から「でも、そんな一介の町工場の仕事でも、家を建てたし、お前ら3人(姉が二人います)をみんな私立校に通わせているぞ」と言われ、咄嗟に「その歳になれば、誰にでもできるよ」と答えたものの、後年になって就職活動で50社全滅し、大学卒業後にフリーターや派遣スタッフなどをしていた私は(cf.「就職活動回想録 ~新聞各社インターネット進出の潮流の中で~」)、「お前みたいにただお金を使うことだけを目的に仕事をしてきたんじゃない」と言われ、それが悔しく、いわゆる「できる営業マン」に憧れたのかもしれません。
そんな私が、何の因果か父の仕事を継ぐことはないまでも、今、「ものづくり」と「生産管理」の仕事に携わっています。もちろん、今ではこの仕事に誇りを持って取り組んでいますが、不思議な因果関係だと我ながら感じています。
この『ザ・ゴール』が日本で刊行されてから7年半。冒頭で書いたように、産業界は新たな局面を迎え、危機的状況に陥っています。2001年4月刊行時に、本書解説に書かれたのが以下の言葉ですが、今となってはとても意味深長に感じます。
いつ日本語版は出版されるのかと訊ねた。すると、博士は真顔で、「『ザ・ゴール』が日本語で出版されると、世界経済が破滅してしまうので許可しないのだ」と答えたのである。「日本人は、部分最適の改善にかけては世界で超一級だ。その日本人に『ザ・ゴール』に書いたような全体最適化の手法を教えてしまったら、貿易摩擦が再燃して世界経済が大混乱に陥る」
/『ザ・ゴール 企業の究極の目的とは何か』(エリヤフ・ゴールドラット著)
昨今、本書と似たような物語設定の書籍を社費で購入させて頂きました。「問題解決の手法を歴史に学ぶための「社内推奨図書」制度 ~映画「レッドクリフ」観ました!~」でもご紹介させて頂いた社内推奨図書として、『マンガ 餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?』(cf.「マンガ 餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?|ダイヤモンド・オンライン」)が書棚に並んだのですが、マンガで読みやすいこともあって社内では人気図書の一つとなっています。
本書では、主人公の女性社長が自社の再建のために「コンサルタント安曇教授」に相談し、成功報酬に関しては支払うべきと判断した額でよいと言われますが、『ザ・ゴール』においては、イスラエルの物理学者である著者のエリヤフ・ゴールドラット氏が扮する物理学者ジョナ(3ヶ月以内に生産性を向上させなければ閉鎖すると本社から通告を受けた工場の工場長を務める主人公のアレックス・ロゴの大学時代の恩師役という設定)から、「君が私から学んだことの価値の分だけ支払ってくれればいい」と言い渡される場面など類似した箇所もみられます。
さて、この『ザ・ゴール』。主人公の工場長であるアレックスは、恩師であるジョナから――、
「言ってみたまえ、生産的であるとはいったいどういう意味なんだね」
と詰問を受ける場面があります。
この、ソクラテスの問答的な問い(cf.「『「Webコンサルタント」という選択』発売に寄せて(前編) ~3S(単純化・標準化・専門化)の重要性を知る~」)に対して、みなさんならどう答えますか?
本書に書かれた解答を知る私も、「生産的」であることがどういうことなのか、ずっと悩んできました。
「私たちが探し求めているものは、いったい何なんだ。三つの簡単な質問に答えることのできる能力じゃないのか。『何を変える』、『何に変える』、それから『どうやって変える』かだ。マネジャーとして求められる、最も基本的な能力を探し求めているんだ。考えてもみてくれ。この三つの質問に答えられないような人間に、マネジャーと呼ばれる資格があると思うかね」
最後になりますが、私たちは冒頭で掲げたような大手企業ではありませんし、お付き合い頂いている企業様もいわゆる中小・ベンチャー企業様の割合が多いです。私たちのように、「ものづくり」や「生産管理」に携わるご担当者様も多いことと思います。それらのコンサルティングが本業務であるわけではありませんが、普段私たちがご提供する「Webコンサルティング」業務の流れの中で、そうしたお話などもフランクにしていけたら楽しいだろうなと思っています。
私たちの提供するWebコンサルティング業務で重要となってくるものに、「Webに関するプロフェッショナル」という要素ももちろんありますが、それ以前にまず「顧客理解」です。お客様のビジネスに対する理解と、それから「お客様のお客様へ対する理解」です。当社とお客様とで共通の『ザ・ゴール(目標)』を描きつつ、その目標の実現に向かって私たちのご提供するWebサイトとWebコンサルティングが役立つことを願っております。
この記事に関連するテーマ
産業立地論研究の分野で現在最も影響力を持っているのが、マイケル・ポーターの「産業クラスター論」である。産業クラスターとは、「特定領域の企業や組織が相互に関連を持ちながら地理的に集積する」ことである。ポーターによれば、産業クラスターが国家や地域の競争力を左右する最も重要なファクターである。
/『創造都市・横浜の戦略 クリエイティブシティへの挑戦』(野田邦弘氏著)
「芸術の秋」などと言っている間に、すっかり肌寒い季節になりました。さて、先日私は、同僚を誘って「横浜トリエンナーレ2008」に行ってきました。一見、Webコンサルティングはもとより、私の仕事ともまったく関係ないようなテーマに感じられるかもしれませんが、この現代アートの祭典に赴いて感じたこと、新たに触発されたことについて仕事に活かすことができないかという試みをしてみたいと思います。
この「横浜トリエンナーレ」、私は前回2005年開催の第2回から行くようになりました。その頃も、美術館に行くことは好きでしたが、いわゆる普通の絵画作品を鑑賞することが好きだったため、「現代アート」と聞くと難解なものであると身構えてしまって、せっかく見に行ってもそれまでの自身の先入観がバリアのように邪魔して、すんなりと感覚で理解することができませんでした。ですので、今年こそは!と事前に様々な書籍や雑誌、Webサイトを見て予習をしてから行こうと考えていました。そんなときに読んだ書籍の一つが、『現代アートバブル いま、何が起きているのか』(吉井仁実氏著)でした。本書、「現代美術を楽しむために知識はいらない」という項では、「「習うより、慣れろ」ということが、現代美術に親しむコツのように思います」と書かれています。このことは現代アートに限らず、仕事も同じかもしれませんが。
言われてみれば、ピカソやゴッホなどの絵が簡単で、現代アートが難解であるというわけでもありません。現に年に2回、東京ビッグサイトで開催されている「GEISAI」を2001年に主催した日本を代表する現代アーティストの村上隆氏の作品は、2003年にルイ・ヴィトンとのコラボレーションを果たしていますし、今年6月に代々木公園(渋谷区)にもきた移動式美術館「Chanel Mobile Art」では、日本人としては、荒木経惟氏、田尾創樹氏、束芋氏、オノヨーコ氏などがコラボレーションしており、現代アートと言ってもより身近な存在になってきたように思います。ですので、過去の有名絵画と現代アートとの間に多少の知識の差こそあれ、慣れの問題であると思えるようになり、今回は「どのような作品があるのだろうか?」と、行く直前くらいには半ば楽しみになっていたものでした。
ところでこの「横浜トリエンナーレ」、調べてゆくと成立の背景など大変興味深いものでした。日本初の国際現代美術展として、国際交流基金と横浜市が中心となって開催している美術イベントで、政府・自治体主導で企画される非常にスケールの大きいものでした。以前に本コラムで書いた「インターネットがもたらす第三の開国の夜明け前 ~2009年、横浜開港150周年~」も関連した内容になると思います。
それにしてもこの横浜では、なぜこうした大小のイベントが多数行われているのでしょうか。冒頭のエピグラムで挙げた『創造都市・横浜の戦略 クリエイティブシティへの挑戦』では、続けて以下のように書かれています。
ポーターの「特定分野」をアートにして生まれたのが「創造界隈(クリエイティブコア)」というコンセプトである。横浜市の場合このコンセプトはイギリスのブレア政権が掲げた「創造産業」(Creative Industries)を下敷きにしている。(中略)
ZAIMを運営する(財)横浜市芸術文化振興財団によると、ZAIMでは、ジャンルの異なるアーティストやクリエーターが同じ場所にいるので、作品制作などの場合気軽に相談できるといったメリットは大きいと言う。クリエイティブ・クラスターのメリットが発揮されていると言えるだろう。(中略)
2006年に制定した「横浜市基本構想」(長期ビジョン)のなかで横浜市がめざすべき都市像として「市民力」(市民の活力と知恵の結集)とあわせて「創造力」(地域の魅力と創造性の発揮)がうたわれた。
/『創造都市・横浜の戦略 クリエイティブシティへの挑戦』(野田邦弘氏著)
つまり、世界に開かれた港湾都市――、国際化の進む横浜にとっての「戦略」の一環でもあるのではないでしょうか。「産業クラスター」というと難しいので、産業集積都市と言い換えるとシリコンバレーはその代表的なものでしょうし、"渋谷ビットバレー"(cf.「クロニクル「インターネット業界10年史」 ~まるでビッグバンのように、超高圧な一点の意志からその広大無辺な市場は生まれた~」)も日本のIT産業の集積都市になっていると思います。
このような「産業クラスター」の提唱者であるマイケル・ポーターで思い返すのが、本コラムを書き始めたときのことです。「「Webコンサルタント.jp」開設にあたり(自己紹介)」で、私は「価値の連鎖と淘汰とを繰り返し、質の高い競争優位のバリューチェーンを構築したい」と書きました。この「バリューチェーン(価値連鎖)」もポーターの言葉ですが、自分の貴重な時間を割いて、また、会社(やお客様)から対価を頂いて仕事に臨むのであれば、何かしら「価値を生みたい(価値活動)」と足りない頭で考えたものでした。特に先日、毎日新聞の記事で、生キャラメルを製造・販売するタレントの田中義剛氏の言葉(「農産物は原料では高く売れない。だからこそ加工する必要がある」)を見て、一層強くそう思うようになったものでした。
それまで私がプライベートの話題で「美術展を見に行くことが好きだ」と言うと「芸術はお金にならないから、趣味に生きるタイプの人だね」といったように、価値を生まないという意味のことをよく言われたものでした。しかし、ジャクスン・ポロックという抽象画家の「No. 5」という作品には、実際2006年に競売にかけられた際に、たった1枚の絵画に136億円の価格が付いたことがありました(cf.「2008年度版世界で最も高価な絵画トップ15」/GIGAZINE)。それだけの価値を見出した人がいたということでしょう。
むしろ、あれだけ騒がれた「Web2.0」でさえ、実際に「Web2.0」に取り組んで利益を生み、成長している企業は全体から見れば極一部かと思います。いくら面白いものでも、高度な技術力をもってつくられたものでも、市場のニーズに見合っていなければ、お金なり喜びなり価値を見出しにくいものです。両極端な例でしたが、「Web2.0」に限らず、どの企業でも自社の戦略が生み出す付加価値がマネタイズされることを意識しながら日々企業努力を続けているのかと思います。ですので私はビジネスシーンにもアートシーンにも、どちらにも利益追求からフィランソロピーの考え方までがあるのではないかと考えています。
少し話しがそれましたが、この「バリューチェーン(価値連鎖)」を意識し始める以前までは、「信頼ある組織へ」をテーマに、社内外で交わされる約束事を逐一守っていこうといったスローガンを掲げることが精一杯でした。とにかく「約束を守り続ける」という至極当たり前のことが、私たちには難しかったのです。しかし、約束を守らないことによる弊害に対し少しずつ学習を続けながら(cf.「学習する組織」/@IT情報マネジメント用語事典)、一つひとつ目の前の課題をクリアしてきました。そして今期期初に掲げたゴールビジョンを達成するにあたって不明瞭となっていた実際の行動計画について、以前の合宿研修(cf.「「Web戦略立案シート」のご紹介 ~管理者合宿研修を終えて、情報共有(ナレッジ・マネジメント)の社内推進を心に決める~」)で具体的に洗い出し、私たちCS部は「顧客満足度向上」という大きな枠の中で、現時点での強み・弱みを分析した上で、「生産性向上」と「価値創出」といった結果を創出するための方法を試行錯誤してきました。たどり着いた一つの境地として、現時点で不足している「人材力」、「ツール」、「組織力」を掛け合わせることで、現在のバリューチェーンがより強固なものになると確信しました。つまり、「優秀な人材が、高度な道具を使いこなして、それを組織全体が有機的に連携しながら機能を最大限に活用している組織」のイメージです。そうしたCS組織のイノベーションのため下半期に取り組むべき以下の7つの行動計画を立てました。
1、今期末までの行動計画を立てる
2、顧客管理、原価工数管理の徹底
3、各種プロジェクト/MTGの権限委譲
4、マニュアル/ガイドライン体系化
5、外部ノウハウを導入する仕組みの構築
6、教育/評価の仕組みの導入
7、情報共有システムの構築/運用
前期までに構築を急いだCSバリューチェーンが、お客様にとって本当に必要なサービスになり得るかどうか、 単に消費者不在の自己満足の取り組みで終わらせないために、今期も残すところあと4ヶ月、必死に取り組んでいきたいと思います。
これら7つの行動計画については、機会がありましたらご紹介させて頂こうと考えていますが、私たちが普段お付き合いさせて頂いている中小・ベンチャー企業では、このような課題を抱えている私たちと共通点も多いのではないでしょうか。
cf.中小企業庁:中小企業白書
http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/
昨今の金融危機などがもたらす影響も少なからずあると思いますが、私たちの会社の企業理念である「共存共栄の精神で世の中に新たな価値と笑顔を創出します」を常に胸に秘めつつ、自分たちの仕事をきちんとやり遂げたいと思います。
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義という文字は、解字からいえば羊と我を複合させて作られたとされる。羊はヒツジから転じて美しいという意味をもつ。羊・我は、「我を美しくする」ということであろう。
/『項羽と劉邦(下)』(司馬遼太郎著)
この休みの間に現在公開中の映画、『レッドクリフ(Part 1)』を観てきました。諸葛孔明と周瑜という二人の名軍師、言わば"組織のナンバー2"にスポットを当てた構成で、それぞれを演じた金城武さんとトニー・レオンのお二人に知的な雰囲気が表れていて、魅力的な人物像が描かれていたと思います。テーマ曲を歌うアランさんの曲も良かったです。
事前に「週刊ダイヤモンド(08年10月25日号)」(特集:「「歴史」を知れば経済がわかる!」)に掲載されていた、ジョン・ウー監督がこの映画について語っていた一節――、
「たとえば人間は、誰かと知り合うことで仲間になり、互いの長所や短所を評価し合います。そして、心を開いて交流することで、互いを思いやり、感謝したりする気持ちが生まれます。そのような絆や友情は、人生で直面するあらゆる困難に立ち向かっていく際のベースになります。」
「信念と勇気を持って、大きな"困難"に立ち向かっているビジネスマンに観てほしいです。」
――を読んで関心を持ち、観に行ってみたくなりました。
「レッドクリフ」は、三国志の中でも特に有名な「赤壁の戦い」をベースとした内容です。今年2008年は、この「赤壁の戦い(208年)」からちょうど1800年にあたるということで、特設サイトも上がっていたりします。少ない人数でも、知恵と勇気と結束力とで多勢に向かってゆく姿勢を描いているところは、以前に観て思わず当社組織をかぶらせてのめり込んでしまった「300(スリーハンドレッド)」とも似通う部分があり、自分好みな内容の映画でした。
cf.「赤壁の戦いから1800年 三国志特集 <週刊特集 Vol.80>」(Yahoo! JAPAN)
http://weekly.yahoo.co.jp/80/
この三国志――、以前にこのコラムで「諸子百家」について触れたことがありましたが(cf.「市場撤退という東芝の決断 ~現代に生きる古代中国の思想、「諸子百家」と呼ばれたコンサルタントたち~」)、彼らが活躍した春秋戦国時代から秦の始皇帝、項羽と劉邦の時代を経て、「三国志」で語られる三国時代へと至る中国の壮大な歴史の中で、私も以前に興味を持ったことがありました。
小学生・中学生の頃私は無類のゲーム好きでしたので、KOEIの「三國志」シリーズやナムコの「三国志 中原の覇者」などで触れてから興味を抱いて、吉川栄治の小説などへと派生していったものでした。「三国志 中原の覇者」は1988年に発売されましたが、もうあれから20年が経つのですね。ゲーム開始時に自身が操作する太守のキャラクターを選択する場面があるのですが、幾つか簡単なアンケートに答えてゆくと解答した選択肢の内容に沿った太守が選ばれるような仕掛けとなっていて、各太守の性格や領土の状況などを刷り込みされて思わず感情移入してしまっていたような記憶があります。
それから実はもう一つ、この映画を観るにあたって考えていたことがあります。それは、「三国志演義」で語られている有名な逸話、「桃園の誓い」(Wikipedia「桃園の誓い」参照)です。「桃園の誓い」では、「レッドクリフ」にも登場する劉備、関羽、張飛の3人が自国の建国に対し協力し合うことを誓う場面が描かれています。当社でも社歴の古い者であればピンと来ることも多いと思うのですが、これが当社創業期における3役員の出会いのエピソードと似通う部分があるように個人的には思うのです。前期末の3月末に行われた社員総会(社員旅行中に実施)では、役員へ向けたサプライズ企画として「桃園の誓い」をパロディ化したオリジナル映像と、3役員の顔写真をモチーフとしてオリジナルで作成してもらった劉備、関羽、張飛を模したフィギュアが贈られたものでしたが、そんなことも思い出していました。
■2008年3月末の社員総会(社員旅行中に実施)で、当社役員へ三国志をモチーフとしたオリジナルフィギュアをプレゼント![]()
■劉備をモチーフとした社長のオリジナルフィギュア(拡大)
さて、一度語り出すと奥が深過ぎて途方に暮れてしまいそうな「三国志」、あるいは中国の歴史書の類については、特段ここで書かれるべきものといったわけでもありませんのでこの辺にしておき、冒頭でご紹介した「週刊ダイヤモンド」にも「仕事に生きる歴史の知識」などと書かれていましたが、確かに最近になって再び歴史のことについて、仕事に転化された内容の書籍が多く刊行・復刊されるようになってきたように感じます。これも時代のニーズの現れでしょうか。ニュース番組などでは、政治経済に関する事象やその他大型犯罪などがあると、過去の歴史を紹介して説明の補足としたりするような構成が見られます。今この世の中で起こっていることはすべて過去の歴史の延長上にあって連続性を帯びたものであるから、自身が把握している知識、あるいは自己の経験則のみから判断される断片的・画一的なメディア、ニュースの読み方には気をつけたいと思いました。
ドイツ帝国初代宰相のビスマルクが言ったとされる、「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」ではありませんが、確かにビジネスシーンの多くのケースで、過去の歴史に頼ることは多いと思います。「レッドクリフ」でも度々出てくるセリフの中の「陣形」一つをとってみても、これはそのまま現代のビジネスシーンにおける「戦略」に置き換えることができるでしょう。それが「兵法書」を原典に過去の偉大な研究者が応用して持論を展開するなどして受け継がれ、また、太守や武将の思想が組織論やリーダーシップを説く際に転用されたりする内に、気が付けば少なくとも数千年分の歴史を振り返ることのできる現代に私たちは生きているのです。そしていつの時代も人は葛藤に悩んで自分と闘い、変えられない運命を呪い、問題解決の策を練り、「困った」「欲しい」を叶えるために発明し、苦悩して未来を切り拓いてきたことに気が付かされます。
私たちの普段の仕事の現場においても、数々の難題に直面することがしばしばあります。地球規模で言えば環境問題や宇宙開発(cf.「NASA 50th Anniversary Website」)、国家規模で言えば外交や内政、民族紛争や飢餓、また、経済界をリードする日本のトップレベルの産業界では金融危機や円高による経営リスクの発生といったように、私ではおよそ想像もつかないレベルの問題と直面しているのかと思いますが、私たちにも私たちなりに解決が難しい問題に常に直面しているのです。どうやって切り抜けたら良いのか、役職者同士集まって知恵を寄せ合っても到底解決できないのではないか?といったような内容のことも往々にしてあります。
そういったときに、過去に取り扱った事例の中にヒントになるものはないか?と振り返りができるように、CS部ではグランドスケジュールをエクセルで作成した年間カレンダーに記録し、部門目標や課題、人事・組織変更など、そのときそのときにどんな「モットー」を掲げ、どんな「変革」をしたのかを記録するようにしています。
また、それだけでは経験にしか学べないため、より視野を広げるための施策の一つとして「社内推奨図書」の仕組みを構築しました。業務に必要で社費で購入した書籍や雑誌、その他個人が有志で持参した書籍などが社内で散在していたため、書棚にまとめ、各書籍の裏表紙には図書館で言うところの"貸出カード"を貼付し、本を借りたい人が借りたいときに自由に借りられ、かつ紛失しにくい工夫をしてあります。後は当面は利用率を上げることが課題となっています。本はご存知のように、原典(オリジナル)を求めてさかのぼってゆく過程の中で多くの発見があります。この"読書"という行動こそが、過去の歴史に多くを学ぶことができる最短・最安・簡便な方法であると思っています。
「レッドクリフ」続編である「Part 2」は来年4月公開予定とのことで、今から大変待ち遠しいばかりです。その間も、目の前の課題と格闘しながら経験として残し、同時に過去の歴史に似た類型を探し求め、未来予測力を付ける癖を付けておこうと思います。その繰り返しがコンサルティング力を高めてくれるのだと思えば、自然と習慣化させて継続してゆくことができるのではないかと考えています。そうした成長のあゆみの中で、これからも多くのお客様と出会うことになるのかと思いますが、今後ともどうぞ宜しくお願い致します。
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十八世紀フランスの哲学者デニス・ディドロは、『私の古いガウンを手放したことについての後悔』という題のエッセーを書いた。ディドロの後悔は、美しい緋色のガウンの贈り物によって引き起こされた。
/『消費するアメリカ人 なぜ要らないものまで欲しがるか』(ジュリエット B.ショア著,森岡孝二監訳)
先日、10月20日までの約1ヶ月半強の間、当社運営の「歯科タウン」で、懸賞キャンペーンをおこなっていました(キャンペーン告知ページはこちら)。
cf.「歯科タウン1000医院突破キャンペーン」のプレスリリースはこちら。
応募総数は約5,000件。幾つか有名懸賞告知媒体へは掲載頂いたものの、定期的に開催しているキャンペーンではないことを考えると、予想を超える応募者数でした。ご応募頂きました方々へ、この場を借りて御礼申し上げたいと思います。応募に際しては幾つかアンケートにお答え頂かなくてはならず、ご面倒をお掛けしました。頂いたご意見は、当サイトの今後の機能面やデザイン面での改善に繋げ、歯のことで困ったときに今以上に利用しやすいサイトにしていきたいと思います。
懸賞キャンペーンであるにも関わらず、好意的な内容から手厳しいご意見まで様々で、忌憚なきご意見に本当に感謝しております。サイト改善は管理者が行うべきものではありますが、こうした第三者的な観点からの改善要望は、マーケティング要素として大変参考になります。万人にとって有用なサイト足ることは大変難しいですが、少しずつでも今以上に便利なサイトを目指して開発努力を続けていきたいと再び確信致しました。
さて、今回のキャンペーンの主旨としては、「歯科タウン」にご掲載頂いている歯科医院の数が1000件を突破したことに因んだもので、当社としてはこれを一つの節目をしておこないました。ところが、正直なところ、その実態としては本来あるべき当サイトの意義は満たせていないことは十分承知しています。応募者の多くの方が、「もっと掲載歯科医院数を増やして欲しい!」、「自分の住む地域の歯科医院が掲載されていない」といったことをご指摘されていました。
確かに全国版として謳っている歯科タウンであるのに、こうした多くの潜在的な患者層の需要に対し、供給が追い付いていないのは事実かと思います。なにしろ全国にある歯科医院の数は約68,000件(内、東京都に10,000件強で、全体の約15%強を占めます)、主要コンビニの2倍以上と言われます。その中で1,000件が占める割合は、わずか1.5%でしかありません。まだまだ私たちの仕事は、今以上に加速して続けていかなくてはならないという使命感を感じました。
cf.参考サイト
・医療施設動態調査(平成20年7月末概数)/厚生労働省
・国内店舗数(セブン-イレブン・ジャパン)
・国内店舗数(ローソン)
・国内店舗数(ファミリーマート)
そうした背景の中でも、多くのご応募が頂けた背景として、「Yahoo!懸賞」や「goo 懸賞」といった大手ポータルサイトに懸賞情報が掲載されたことのほか、景品の魅力もあるかもしれません。A賞には「Wii」+「Wii Fit」、B賞には「iPod nano(4GB)」と、どちらも人気の製品です。
※iPodは、米国および他の国々で登録されたApple Inc.の商標です。
※当キャンペーンはAppleの提供・協賛によるものではありません。
任天堂の商品開発における背景について、私が知るところは以前にもコラムで触れたことがありました。
cf.「年末商戦と消費キーワード ~ゲーム業界合従連衡の中で~」
http://www.web-consultants.jp/column/ogawa/2007/12/post-3.html
またアップル製品については、多くの人が知っているように、リリースするものが次々と売れているような印象を受けます。どちらも消費者喚起をするにはトレンドに合っているし、好印象な製品だったのではないでしょうか。
ところで、この二社の製品はどちらもリリース後、急激に売れるといった共通点がありましたが、任天堂の場合、製品によってはすぐに品薄になってしまう特徴がありました。まるで急激な供給の後の、需要の冷え込みを事前にコントロールしているかのような販売手法のようにも思えたものでした。一方でアップル製品の場合は、そうした側面に加え、やはりあの製品ラインナップに横串を通したように統一された独特なデザインと質感、そしてリリース前から期待された機能や操作性といった魅力を兼ね備えている製品ですね。
cf.参考サイト
・Macユーザーは「人と違ったことが好き」、Windowsは「普通が好き」――アスキー調査(ITmedia News,2008年10月03日)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0810/03/news084.html
・DESIGN IT! : iPhone×企業情報システム -次世代UIのガイドライン(ソシオメディア株式会社)
http://www.designit.jp/archives/2008/09/vol1_iphone_intro.html
一つ製品を購入すると、そのシンプルで洗練されたデザインで自身の所有欲を満たしたくなるような感覚。誰しも一度はそういった誘惑に駆られたことがあるかもしれません。似たような感覚に、ソニーの「VAIO」シリーズがあると思います。パソコンの主力ラインナップに名付けられたブランドですが、「VAIO」でソニー製品を手にすると、テレビは「BRAVIA」、ゲーム機は「PS3」、「PSP」と買い揃えてしまったのは他でもない私です。もちろんこれは一つの事例であって、皆が皆そうであるとは思わないので、私的な感想と思って頂きたいですが。
この「VAIO」のネーミングとロゴを開発したのは、ソニーのプロダクト・デザイナーである後藤禎祐氏です。1994年にデザインに携わった初代プレイステーションがグッドデザイン賞を受賞、その後「PS2」、「PS3」と、ハードウェアのデザインに関わっておられます。ソニーのデザイナーについて触れるのは、黒木靖夫氏に次いで2人目になります。
巷に溢れる製品って、どんな人がデザインしたのだろう?と興味が沸きます。特に最近では、情報デザインや情報アーキテクチャ、インタラクションデザインの面で、Web以外の世界でも学べる部分は多く、関連記事には興味を持って目を通すようにしています。
cf.
・Interviews with PLAYSTATION(R)3 Designers - Teiyu Goto xPLAYSTATION(R)3 Hardware
http://www.playstation.com/ps3-design/hardware.html
・「故黒木靖夫氏と"クリエイティブ"に対する私の思い」
http://www.web-consultants.jp/column/ogawa/2007/10/post.html
――と、このようにして、こうした製品が世の中に誕生するまでの背景を知ると、なおさら手元において置きたくなってしまいます。
冒頭に掲げたエピグラムはこれと似ているかもしれませんが、知人から贈られたガウンが気に入り、既に所有していたふるいガウンを捨ててしまうのですが、その後、書斎にあるすべての調度品が、このお気に入りのガウンに合わないと思えてきて、次々に揃えなおしてしまったというエピソードを書いたディドロに倣って、思わず調和を求めてしまう心理を「ディドロ効果」と呼んでいることを説明した一節です。
最後になりますが、本書では、こうして次々と消費へ向かう大量生産時代のアメリカ社会にスポットを当てた内容となっています。『働きすぎのアメリカ人』を書いた著者の作品で、昨今の「サブプライムローン問題」に端を発する世界的な金融危機を迎えた時代にあって象徴的な内容だなと感じました。以下に、本書の一節を抜き書いてみます。
ほとんどすべてのアメリカ人が家を買うために借金をし、車の大半は分割払いで購入している。さらにクレジットカード残高、消費者金融ローン、デパートの債務、個人からの借金などを考えると、家計の負債がいかに拡がっているかが分かる(一九九七年末現在、約五.五兆ドル〔約880兆円〕)。<中略>これから分かるように、アメリカ人の債務支払いに当てられる可処分所得の割合は増加し続けており、いまでは十八%に達している。平均的世帯の負債総額はこの数十年情け容赦なく増加しており、いまや世帯の年間収入に匹敵する。
借金額の増加の大部分はクレジットカードによるものである。一九九〇年から九六年の間にクレジットカードによる負債は倍になった。
/前出『消費するアメリカ人 なぜ要らないものまで欲しがるか』、「第4章 消費があなたらしさを創る」より。
cf.クレジットカードについて触れたエントリー
・クリエイターは消費者の夢を見るか? ~第二四半期末社員総会を終えて~
http://www.web-consultants.jp/column/ogawa/2008/10/post-17.html
GDP(国内総生産)で言えば世界でも1位、2位に位置づけるアメリカと日本(Wikipedia「国内総生産」)。
むしろ富んだ国家であるようにも見えるのですが、これが経済の難しいところなのだなと思いました。もちろん消費自体が悪いことではなく、むしろ消費がなくなれば景気はより後退すると言われます。肝心なのは、バランスだという内容が書かれているのでしょうか。1929年の世界大恐慌のときに比べれば、経済学も高度に発展したものと思いますが、同時に人口も増え、社会の仕組みも複雑化したのかもしれませんね。
実際、こうした世相ですから消費に対して消極的になってしまう風潮もあるかもしれませんが、企業にとっては利益を得るためにどうしても必要な行為が投資です。私たちはそうした投資に当てられた大切な費用を頂いて、Webを通したご提案をしなくてはならないわけですから、常に自己研鑽に励む必要があります。私たちはお客様の多くとは違って会社に雇用される側の立場ではありますが、将来得るべき利益のための投資と思って自身の労働力の価値研鑽を積んでいるといった当事者意識で職務に当たり、なるべくお客様と近しい対等な関係でいたいと考えています。
話が本題からだいぶずれてしまいましたが、「歯科タウン」に掲載頂ける歯科医院様、そしてその「歯科タウン」を通して診療予約サービスをご利用頂ける患者様からのニーズをしっかりと拾い上げて、当サービスに関わるすべての人が、何かしらの価値を享受して頂けるようなアイデアを、今後も引き続き社内から創出していきたいと思っています。
願望実現機とは、労働人口の不足に悩む未来社会が、過去の人間たちを不死にして無償の労働力にするために考えだした「人狩りマシーン」だったのである。
/『衝動買い日記』(鹿島茂著)
ご報告が遅れましたが、先々週の4日(土)に、今期に入って2回目の社員総会が、渋谷にある「Club Camelot」で行われました。3ヶ月に1度社員総会を行うことで、1年で4年分の成長をしようという試みで始まった第1回の様子は以前にも本コラム(「第8期第一四半期社員総会を終えて ~ゴールビジョンを明確に言語化し、共有する~」)でお伝えした通りです。
◆社長より、開会の挨拶
今回は、前回全社に向けてコミットメントした今期のゴールビジョンに対して、どれだけの進捗があったかを全社員の前で発表したり、来年度入社予定の新卒内定者の内定式を兼ねた第一部と、余興や歓談などを中心とした第二部に分けて行われました。私たちCS部でも幾つか進展があり、報告をしました。
CS部が今期期初に掲げたゴールビジョンは――、
生産管理のQCDS(品質<Quality>・コスト<Cost>・納期<Delivery>・サービス<Service>)を意識した、新たな中小・ベンチャー企業向けWebコンサルティング組織の創出
――でした。
前期のゴールビジョンに、「サービス<Service>」が追加されただけですが、私たちにとっては大きな一歩でした。前期は正直に言いまして、急激な成長期に伴う痛みと言うべきか、部内では組織形成が追い付かずにどこかギクシャクとした業務状況でした。後半盛り返して、ようやく最低限の品質管理の域にまで到達できたのではないかと考えています。
「Webコンサルティング」という形のないものを扱っているため分かりにくい部分もあるかと思いますが、CS部の本質は、「ものづくり」と「サービス」ではないかと考えています。こうした業態は既に他の業種にも見られます。飲食店がその一つです。皆さんにとって、理想の飲食店とはどのようなものですか?
例えば、「うまい、安い、早い」のコピーで有名な吉野家。このコピーが既にものづくりで言うところの「QCD」のポリシーを表していると思います。私たちは前期、言葉で言えばこんな簡単な「うまい、安い、早い」を実現するために相当な苦労をしました。これを世の中に向けて発信して約束するためには、月間100サイト前後を毎月取り扱っている当社において、俗に言われる「見える化(数値化・グラフ化・文書化等)」を行い、これほどまでに個人に依存しやすい労働集約型、属人的なWebコンサルティングの業務上にあって、ヒューマンエラーを極限まで少なくするための案件管理が求められました。
そうして、ある程度の水準にまで標準化できた前期末、私はふと一抹の疑問を抱きました。
「この生産管理体制は、まるでロボットだ――」
当社の創業まもない頃、ミスがあったり過剰サービスがあったり、すべてのお客様に対して均質なサービスを提供できなかった時代に比べ、生産効率や品質は格段に向上しました。ところが、同時に失われそうになったのが、「サービス精神」でした。「ホスピタリティ(おもてなしの心)」と言い換えても良いかもしれません。この先にあるのは、人間味・人情のない、消費のための生産しかない――。
贅沢な悩みなのかもしれません。しかし、理想というものは一つ叶えるとまた一つ、その先にある理想を追い求めたくなるものです。そういった背景の中で今期がスタートしたのですが、同じタイミングで今期末のゴールビジョンを一新する機会があったため、私は先述のように「サービス<Service>」を加えてストレッチさせた「QCDS」を意識した体制を目指すことにしました。
「うまい、安い、早い、そして心地よいサービス」――、果たしてそんな「Webコンサルティング」は実現可能なのだろうか?想像できないことは実現できない。まずはそれが言い表しているサービスがどのようなものかをひたすら想像するところから始めてみることにし、現在も精度向上に向けて取り組んでいるところです。
ところで先の「ロボット」ですが、昨今その用語が使われ出したのは、カレル・チャペックの戯曲、『ロボット(R.U.R.)』以降と言われ、語源はチェコ語の"robota"(「苦役」や「労働」の意)とスロバキア語の"robotonik"(「労働者」の意)を掛け合わせた造語だそうです。本書が書かれた時代背景なども考慮するとかなりの時代批評や文明批評を散りばめているのですが、こうした設定は他のSF小説にもよく見られます。
冒頭のエピグラムで紹介している鹿島茂氏の『衝動買い日記』は、単に衝動買いが抑えられない物欲の虜になった経緯だけが書かれているわけでなく、幾つか興味深い引用があります。「人狩りマシーン」とだけ聞くと物騒な物言いですが、ロバート・シェクリイという米SF作家の短編作品、『願望実現機』について著者が言及した内容となります。
主人公の男がここぞとばかりにあらゆる願望を叶えていたところへ、タイムマシーンに乗った執達史が現れ、それまで実現した願望の金額の支払いを命じる。それを返済するために男は未来社会で強制労働に従事することになるという話だそうですが、著者曰くこの小説で描き出されているものは、まさに本書で描かれている1950年代のアメリカ社会で急激な勢いで普及していったという「クレジットカード」のことではないかとのことでした。確かにクレジットカードは、未来に引き落とされるお金を現時点で使って支払いを先送りにし、消費願望を満たす際にも使われます。言い得て妙ですが、SF小説は時代背景も映すものなんですね。
閑話休題。いずれにしても、私たちだけでなく世の中で何かの仕事に就いている人は、仕事を「苦役」だなんて思わないようにしたいですね。「苦役」から生まれるものよりは、自己実現の果てに生まれた仕事の成果の方が、きっと利用する消費者も喜んでくれるのではないかと思います。もちろん社会に流通しているものの中には、例えば皆さんが着ている服など、過酷な労働環境下で作られたものもあるかもしれません。そういう点では、Webサイトの構築も同じようなものかもしれません。Web制作の現場を知らない方は、スマートな打ち合わせ風景などを思い浮かべることもあるかもしれませんが、実際にはそういった側面のほか地道な作業が無数にあります。
◆社員総会後の後片付け。CS部制作課の映像制作チーム
そうした環境の中で忘れて欲しくない考え方に、「ユーザー志向」(顧客目線)があります。「お客様のお客様はどんな人なのか――」、ある程度の生産効率を実現するためには合理化しなくてはならない要素も多分にありますが、合理化されたシステムだけではどうにもならない消費者心理があることもまた事実です。当社のWebクリエイター全員が、納品したWebサイトがエンドユーザーに利用されるようなイメージを持って制作に取り組んで欲しいと常に思っています。もちろんクリエイターだけでなく、制作工程に携わる人全てが同じ気持ちで制作に関わって欲しいのですが、特に今後標準化が求められる、また、お客様や消費者から見て最も遠いポジションにいるクリエイターにとって、その考えはなくして欲しくないと考えています。
本コラム表題の「クリエイターは消費者の夢を見るか?」は、もちろん、フィリップ・K・ディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』(映画『ブレードランナー』の原作とされる)をもじった造語ですが、クリエイターも人間であることに変わりません。「ものづくり」や「サービス」に対する考え方の中に芸術的・職人的なストイックさは求めたいですが、芯には人間であるが故の発想も欲しいです。そこからWebならではのマーケティングの発想などに繋げ、お客様のさらなるお役に立てるようなサービスを展開していければと考えています。
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夢を持ち、その夢を実現すべく燃えることができるのは、全生物のなかでも人間だけである。天から授かったこの能力をフルに発揮する人生を送りたいものである。
/『小さな人生論 「既知」の言葉 "夢を実現する"』(藤尾秀昭著)
7月29日、シアトル・マリナーズのイチロー選手が、日米通算3000本安打という偉業を成し遂げました。
cf.MAJOR.JP|MLB ニュース
http://mlb.yahoo.co.jp/headlines/?a=15423
イチロー選手のことがビジネスの世界でもよく引き合いに出されます。多くの有名になった語録が、ビジネスシーンの前線で活躍するビジネスパーソンにとって刺激的な内容であることが想像できます。他に有名なエピソードとして、イチロー選手が小学校6年生の頃に書いた作文のことが挙げられます。
ネットで「イチロー 作文」などで検索すると、その"有名な作文"がかなりヒットします。この「イチローの作文」が有名たらしめている一番の理由は、そこに書かれてある"夢の現実性(リアリティ)"かと思います。
小学6年生にして、自身の夢(もしくは目標と置き換えても良いかもしれません)を「プロ野球選手になること」と明確化しています。そして、「必ずプロ野球選手になれると思います」と、確固とした根拠を述べた上で確信を抱いています。そして「そしてその球団は、中日ドラゴンズか、西部ライオンズです。ドラフト入団で、契約金は、1億円以上が目標です」と具体化させています。さらには、「僕が一流選手になって試合に出られるようになったら、お世話になった人に招待状を配って応援してもらうのも夢の一つです」という報恩、奉仕の気持ちも抱いているところは、とても小学生の文章には思えないほどです。
cf.
・『小さな人生論 「既知」の言葉 "夢を実現する"』/藤尾秀昭著
・人間学を学ぶ月刊誌 月刊『致知』 致知出版社 公式サイト
http://www.chichi.co.jp/
ところで、上記のイチローの小学生時代の作文と比べてみて、私たちは明確な夢、ないしは目標を抱いているでしょうか。
最近は中途入社者の採用活動に携わるケースも増えてきたのですが、応募者の方に必ず聞くようにしているのが志望理由とその目的です。当社に入社して、もしくは志望されている職種に就くことでどんな自分を目指しているのか、また、どんな理由でそれを目指しているのかについては、基本的なことかもしれませんが必ずと言っていいほど聞くようにしています。面接は限られた時間で判断をしなくてはなりません。今後長らく一緒に仕事をしてゆくことを考えると、これらを極力正確に把握しないことには判断のしようがありません。仮にここがずれたまま採用を行うとどのようになるかと言えば、もちろん当社側と応募者側との価値観の不一致を生み、対等な関係は長く続かず、両者が求める結果は得られないでしょう。
とは言いながら、自分が何を目指しているのか、何故それを目指しているかについてを限られた時間内に述べるのは難しいこともあるかもしれません。さらに会社も世の中の情勢も都度変化していることもあり、その「価値観」が互いにマッチングする可能性とまでなると極僅かであるかもしれません。求職者の側からしてみれば、面接会場というアウェーで自分という商品を売り込む営業活動にも似た場面であるわけで、緊張もあるでしょうし、まるでそれは走行中の乗り物に飛び乗るような感覚でしょうから至極大変であることかと思います。しかし、こうした自己表現能力(プレゼンテーション能力)や情報伝達力(コミュニケーション能力)は、得てして面接時よりもむしろ入社後の方が求められてくるものです。元々そうした素養のある方ならともかく、ない人であればあるほど「準備」は入念に行った方が良いと思います。
一方、私たちの職場に置き換えて思い出してみると、入社時には明確に抱いていた「夢」や「目標」がぼやけて、今目の前にある仕事をこなすことが目的そのものとなってしまっている人も出てきたりします。「こうなりたい」、「こうはなりたくない」といった自身にとっての明確な基準値があれば、そのときそのときの自分と比較ができるので気分は楽だと思います。しかし、そういったものがないと、「何のためにこんなことをしてるんだろう」とか、「自分がやりたいことは他にあるのではなかったか?」といった気持ちになり、同じ目標に対して目的意識をしっかりと持って、楽しみながら努力してゆくタイプの人とは能力的にも成果の上でもさらなる開きを生み、結果として自分が望んでいなかったようなポジショニングを確立してしまうのだと思います。
自分の「目的」について改めて考えてみようとするとき、自分が最終的に何をしたいか、どうなりたいかについて自覚するために、自身の内的体験に基づいたものなど動機が必要となってくるでしょうし、何よりも「理念」なり「欲」なりがあることが大切です。これらが定まらない内から、「戦略」ばかりを講じていても何も始まりません。また、こういった一連の要素から発展させて自身の進むべき道を模索することを「キャリアデザイン」と呼んだりすることもありますが、キャリアデザインとは言い換えればその人自身の「生き方」とも呼べます。
cf.
・「まず、目的とスタンスを決めよう! キャリアを設計するとは」([ITプロフェッショナルのスキル]All About)
http://allabout.co.jp/career/swengineer/closeup/CU20040316A/
・ライフハック テンプレート:#015 目標設定時に使えるSMARTシート(ITmedia Biz.ID)
http://www.itmedia.co.jp/bizid/articles/0709/28/news001.html
それから、最近は次世代ゲーム機が人気のようですのでゲームにも例えてみます。
昔から根強い人気を有しているRPG(ロール・プレイング・ゲーム)の類では、大抵はゲームの登場人物(主人公など)も含めてプレイヤーがコントロールするため、対自分以外という視界であるリアルな世界とは違って、自分(主人公のキャラクター)を客観評価することがしやすいものです。他のパーティメンバーに比べて勝っている部分、劣っている部分、そもそもパーティーの要素に欠けている部分、自分に求められている役割・期待等が数値化・文書化され、とても明確です。
MMORPG(Massively Multiplayer Online Role Playing Game)となると、ゲームの目的やキャラクター同士の相関関係がさらに複雑化された分、使命感、貢献感など、各キャラクターの役割デザインや価値観を明確にさせているプレイヤー同士では密な協働プレイが可能となります。
どちらのタイプのゲームにも共通して言えることは、そのコミュニティへの参加条件としては、リアルな世界での社会的・経済的地位は一切不要で、学力や身体能力上の差異も全く関係ありません。また、ゲームプレイ中の状況判断はすべてプレイヤーに託されるということでしょう。負傷すれば回復させればよいし、遠出するなら用意周到に準備をすればよいといったようにです。様々な状況判断が俯瞰的な見地から行え、誰の許可も得ずに独断で決裁できます。
また、レベルが上がれば上がるほど、各ステータスを向上させたり、新しいことを覚えてゆくのが困難になってくるのも特徴かもしれません。レベルはそのまま年齢だったり、段階に例えられるかもしれません。終局までの間に、事実上割り当てられるステータス値の上限が決まっているようなゲームの場合、プレイ開始時から最終的なゴールイメージを決めていないと終盤になって後悔したり、苦戦を強いられたりすることもあるでしょう。
まさに「ロール・プレイング(役割演技)」というだけあって、マルチエンディング(ゲーム途中のプレイヤーが選択する行動によってエンディングの内容が変わる)が用意されたゲームがあったりと、限られたコミュニティの中でルールや志を共有し、仲間とともに一つ、あるいは複数の目的を果たすというリアルな世界さながらの構図がそこにはあると思います。
こうしたゲームでも、「目的」と「手段」が履き違ってしまうことはよくあります。俗に言われる「レベル上げ」を強いられる状況になった際に本来的な目的を忘れて「レベル上げ」作業自体が目的となってしまうとか、レアアイテムの収集やオールコンプリート(全アイテム収集)が目的となってしまったりといったことに陥ったりすることもあるかと思います。
閑話休題。さて、以上のように「目的」と「手段」の違いを述べてきましたが、私たちのWebコンサルティングの現場でもよくそういったことを考えさせられる場面によく当たります。たとえば一番多いケースとして、クライアントにWebサイト開設の"目的"を尋ねた際に、「検索エンジンで上位表示できるようにしてほしい」と言われるケースです。次にディテールまでご要望が及ぶ場合です。「ブログが書けるコーナーを用意して欲しい」、「TOPページに自分で更新できるカレンダーを設置してほしい」等。もちろんそれ自体は明確なニーズですから適った策はご提案したいと考えますが、本当にそれらはWebサイト開設の"目的"でしょうか?
まず、私たちWebコンサルタントの仕事は、"目的"を明確化し共有するところから始まります。それからコミュニケーションを深めてビジョンや戦略イメージを共有し、具体的な手段を講じたり、リスクを洗い出したり、目標達成の実現の可能性について探り、コストの範囲内で歩み寄っていきます。その際、どうせ描くなら、できるだけリアルな夢を描きたいと考えます。自社の所有するWebサイトに対し、漠然とでも「改善したい」「競合他社のようにやりたい」といったご要望がございましたら、目的を共有するところからお付き合いさせて頂きたいと思います。当社が提供している、「現状Web戦略状況レポート」を是非一度ご利用下さい。
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新規でもリニューアルでも、サイト構築に際しては、その要件(必要な条件)や目標とすべきゴールを設定する必要がある。本来、こうしたものは、経営戦略の大きな流れの中で語られたり、現状のサイトの効果測定がきちんとなされていれば、おのずと明確になっているはずだ。
/『Webディレクション標準ガイド 第二版 「サイトに求められる要件とゴール」』(WDG作成プロジェクト著)
先日5日、当社第8期第一四半期社員総会が行われました。第一四半期を1年と捉え、1年間で4年分の飛躍をしようということをテーマに、従来は上半期・下半期に行っていた社員総会を、今期からは四半期ごとに行うことになりました。
大阪・名古屋・福岡と、当社の各支店・営業所からほぼ全員が東京へ集結し全社的に行われた社員総会でした。普段はメールや電話でのコミュニケーションのみだったものが、前年期末の社員旅行兼社員総会以来、3ヶ月ぶりに顔を合わせるのだから盛り上がらないわけがありません。渋谷にある「WOMB」というクラブを貸し切って行いました。有名企業がコラボレーションすることも多いというだけあって、大変しっかりとしたクラブでした。
司会にフリーアナウンサーの方をお招きし、二部構成で行われました。第一部では会社からの前期決算発表及び、各部門から事業部方針についての発表。第二部では、第一四半期のMVPや各種行動部門賞などの表彰と授与、及び歓談がメインとなっていました。オープニングはもちろんのこと、途中途中に流れて会場内を沸かせることに一役買っていた映像演出はすべて社内での制作によるものでした。CS部の制作課映像制作チームによるものです。また、映像制作チームは、「Webコンサルタント.jp」の「サービス紹介 映像制作」ページでご紹介させて頂いている通り、企業が本来持っている力やモチベーションを最大限に発揮させるための映像演出を行う部門ですから、単に映像撮影・編集といった制作分野のみならず、総務部門と協力して社員総会というイベント自体の企画制作・進行にも大きく貢献してくれました。
いくら自社イベントであるとはいえ、全社員200名を対象とした全社的なイベントです。飛躍して考えれば、その社員200人のご家族の方、そうした環境に置かれた社員が今後応対させて頂くお客様など、意識しなくてはならないステークホルダーは、会社の規模拡大に併せて年々拡大しています。失敗は許されないですし、事故などはもってのほかです。会社の真剣さが全社員から最も注目されている瞬間を制作しているのです。一社員としての意識で取り組んでいたのでは到底成功に終わることはありません。映像制作チームのスタッフ一人一人が、まるで外部から発注を受けて、きちんと仕事を全うするといったプロとしてのスタンスが要求されていたことと思います。彼らが向き合っていたのは、単なる成果物ではありません。「当社の経営戦略を成功させるためのきっかけ」であり、「関わる社員のモチベーション生成のための演出」、そして「お金には換えがたい、未来延々心に刻まれることとなる思い出」を制作していたのです。たとえ上司から、「ある程度のところまででいいよ」と声を掛けられていたとしても、彼らの持つ真のプライドはきっと妥協を許さなかったことと思います。会場選定から演出打ち合わせ、ディテール調整のために前日からの泊り込み、当日のリハーサルまで、社員でさえ知らないところで不断の努力を続けてくれた映像制作チームのメンバーに、手前味噌ながらまずはこの場を借りて御礼を言いたいと思います。
会社から与えられた今期のテーマは「飛翔」。社員総会第一部では、当社各部門から代表者が今期のテーマに沿って時部署のゴールビジョンや方針についてを発表しました。巨大なスクリーンに言語化されたゴールビジョンが映し出されます。いくらマネージャーといっても、普段はここまで多くの人を前に方針発表を行う機会などあまりありません。そうした機会がもらえるのも、社員総会の一つの醍醐味だと思いました。
また、「課題解決のためにターゲットとゴールを明確にして言語化し、それを共有する」。このことが、普段私たちが"Webコンサルタント"と掲げ、中小・ベンチャー企業を対象としたWebソリューションを展開してゆく上で、どれほど重要なことであるかを再認識する場としても機能していたのではないかと思います。自部署の戦略方針を決定する、クライアント向けに提案するWebサイトの方向性を決定する、それらは内容が異なっていても、構造は同じです。こうした考え方が後により醸成され、コーポレートコミュニケーションの域にまで発展してゆくイメージを持ちながら、私たちはまだまだ努力が必要と考えています。今回の社員総会のような全社的なイベントを一つの契機、そして私たち自身のゴールビジョンへと向かってゆく際の一つのマイルストーンとして語り継ぐのと共に、今後に役立てていきたいと感じました。
――どんな困難に直面しても、秩序と熱心と勇気をもって当たれば、切りぬけられないことはないのである。とくに、次のことを忘れないでいただきたい。スルーギ号で難船した少年たちは、きびしい生活の苦労のなかで、さまざまな試練にきたえられて、国に帰ってきたときには、下級生はまるで上級生のように、上級生たちはまるで一人前の大人のようになっていたのである。
/『十五少年漂流記(二年間の休暇)』(ジュール・ヴェルヌ著,旺文社文庫)
先日14日~16日の期間、東京ビッグサイトで開催されていた「第2回 Web2.0マーケティングフェア」にブース出展をし、当社提供サービスの要であるWebコンサルティング事業のご紹介をしてきました。
■【プレスリリース】 「第2回 Web2.0マーケティング フェア」出展のお知らせ
http://www.freesale.co.jp/company/news/pressrelease/2_web20.html
私は急務が入ったため、お取引先様の一社と会場で待ち合わせがあった15日しか視察に行けなかったのですが、当社の3人の役員はそれぞれ日を分けて視察に行っておりました。実は、当社がこうした企業間取引や商談を目的とした大規模な展示会にブース出展するのは初めてのことでした。
ただ、当社の創業期から続けていて、今も主力の事業となっている「歯科タウン」事業推進を目的として、日本顎咬合学会の賛助会員を務めさせて頂いている関係もあって、以前から当学会主催の総会や各スタディグループ主催の勉強会へはブース展示や取材等でお伺いさせて頂いていたことはありますので、ブース展示に対して全く初めてという印象はありませんでした。
出展前日の夜遅くまで準備に時間がかかりましたが、初日14日の午後に出展担当者から入った業務連絡では、大変多くの来場者があり、当社のブースへもたくさん訪れて頂いているといった内容で、ほっと胸をなでおろしました。当社ブースへご来訪頂き、アンケートへお答え頂いた企業様には、当社が監修した『「Webコンサルタント」という選択』という書籍を配布させて頂きました(cf.「『「Webコンサルタント」という選択』発売に寄せて(前編) ~3S(単純化・標準化・専門化)の重要性を知る~」)。
この期間中、当社ブースへお越し頂き、スタッフの説明に耳を傾けて頂いた社長様、ご担当者様にまずはこの場を借りて御礼申し上げたいと思います。
この展示会に関しては、CS部がメインとなって準備を進めて参りました。私の立場上、本コラムではその準備にまつわるエピソードをご紹介したいと思います。
今から1年前、ちょうど「第1回 Web2.0マーケティングフェア」が開催された時期に、私は本展示会に部内から数名の社員を視察に行かせる許可を上長へ嘆願しました。当社は今年4月に第8期を迎えていますが、数年前から売上・業容拡大が起こった関係で社歴の浅い者も多く業界経験者も多くはありません。しかしCS部は大きく生産管理部門と制作部門を抱える「ものづくり」を主とした部門ですから、今後の体制強化をイメージした際に帰属意識や業界知識に不安があり、当社の常識の範囲内で物事を捉えてしまう部員を増やしたくなかったのと、何よりそうした鎖国状態に陥ることがどれだけ会社の成長を阻むものか危惧していたこともあって、まずはこうした大きな舞台を実際に目の当たりにしてきてもらいたかったという気持ちがありました。実際に視察に行くことが決まった"使節団"に対しては、せっかく仕事の時間を使い、他の皆が業務に追われているなか行くのだから、有意義に過ごして多くの見聞をしてくるよう伝え、部内共有を目的としたレポートの提出義務を課しました。
実際に視察に行った部員からは約束どおりレポートは提出されたのですが、必ずしもその内容は当初私が期待したとおりの内容ではありませんでした。「思ったより役立ちそうな商品はなかった」、「うちとはあまり関係ないサービスが多かった」、「あのようなサービスって、ニーズはあるのでしょうか?」――、そんな否定的な内容ばかりが目立ち、一体何を見に行ってきたのだろうか、これがCS部の有する感性やリテラシーの限界なのだろうか、と気分が塞いだものでした。
そんな折、当社専務から、「来年のWeb2.0マーケティングフェアには出展してみれば?」とお声を掛けて頂きました。正直、嬉しさと戸惑いの入り混じった気持ちでいました。
当社の最大の強みは営業力です。80名の営業マンが日々新規の企業様を訪問し、PUSH型の営業活動を続けており、毎日のように受注自体はあがってきます。ですので、特にこうしたPULL型のブース展示といった広告手法に依存しなくても、会社としてはまったく問題がなかったのです。昨今、こうしたPULL型の動きを強めている最中ではありましたが、むしろ「選択と集中」といった側面からも、ブース出展における社内的なモチベーションを引き出すことは難しいだろうと考えていました。
また、私は営業部門の者ではないので、「これで受注機会が増える!」といった気持ちはなく、コストセンター部門を見る者として、「これで部員の士気向上、リテラシー強化に繋がるかもしれない!」といった感想を抱きました。反面、今の部員でブース展示などをしても、売上増やブランディングどころか、恥をかくだけではないだろうかといった思いもありました。私は至急、優秀な課長を集めて何とかブース展示を成功させるためのアイデアを募ろうと考えました。
そこに専務から、「課長が先導してブース出展しても意味ないよ、そんなのうまくいって当たり前。むしろ一般(当社では、リーダー職に就かない職位の呼称)の人たちに機会を与えてあげなきゃ。どうせお金をかけてやるのであれば、多くの失敗をして学んでもらった方がよっぽどいいよ。頑張ろうとしている部員に口を挟んでおいしいところだけ取っていかないように」と釘をさされました。
「失敗学」という言葉があるのは知っていましたが、あくまでもそれは努力の末の結果論であるものとしてしか実感がわかず、実際に自分が責任者として持たされるプロジェクトを、初めから失敗させることを前提に始動させることには正直気乗りがしませんでしたが、そういった背景も含めて、各部門の課長には日々の業務が忙しい中、ブース出展のためにかかる部員の工数調整を協力してもらえるよう臨時に開催したミーティングにて一連の内容を報告しました。
そうして、リーダー職に就く者が一切メンバーに含まれない十数名の臨時プロジェクトが結成されました。その名も「EXPOプロジェクト」。参加メンバーは、各チームから1名ずつを目安に、立候補者から選出してもらいました。私の見るCS部は、当時全部で6課(現在7課)あり、課内でさらに幾つかのチームに分かれています。CS部と一口に言っても、チームによっては求められる職能や目的も異なり、普段はあまりチーム間同士で干渉の少ないチームというのもありましたので、この機会に他チームの仕事を知ってもらうのと、互いに有する職能を武器に協力し合う体制が作れればよいかと考えたためでした。そうしたら意外にも各チームから立候補者が多く、「組織は筋肉質で、かつ柔軟である方が良い」と思っていましたので、プロジェクトとしては人数が多過ぎて中身が薄まることを懸念しましたが、現在80名体制(2008年5月15日時点)となったCS部の状況ともかぶるかもしれないと見方を変えると、逆に面白いとも思いそのメンバーで承認しました。
プロジェクト結成後、初回の臨時ミーティングにおいて、今回のプロジェクトの主旨と細かな注意点を述べた後は、専務の助言に従い自由にやってもらうことにしました。ところが、最初のうちはミーティングをおこなっても同じような話が巡り、結局は結論が出ないまま終わるといったような、典型的なファシリテーター不在のブレーンストーミングが繰り返されており、思わず、「自分と連絡を取ってくれるリーダーを選出して欲しい。ミーティングの開催頻度は?召集通知は誰が行うのですか?議事録の格納ディレクトリはどこですか?毎回ミーティングをするときは目的を明文化しておかないと、どんどん話がぶれていっちゃうよ。予算とスケジュールはいつ頃出ますか?何でも自分中心に考えないでよ、ステークホルダーを明確にして、ニーズを予測した上で、役員や営業を巻き込むような案を出さなきゃ支援も評価も得られない。みんなの努力は、会社にとっての時間とお金の無駄になってしまう」と、口を挟んでしまいました。どこまで言ってよいものか分かりません。
しかし、意外にも回を重ねるごとに、特段私が何か言わなくても、自然と報告があがってくるようになりました。また、会社の規定上で、メンバーの決裁権限を越えるものの判断を仰ぐときくらいしか相談が来なくなりました。リーダーがうまくまとめてくれているのだなと安心しました。ときどき様子見にミーティングに参加してみると、思った以上に皆意識が高く、熱心に楽しそうに議論しているのを見て、もう完全に任せてしまおうと思いました。私はただ、彼らからあがってくる報告を、各メンバーの上長である課長へ展開し、常に協力体制を維持してもらうために情報共有を図ることだけに専念しました。「プロジェクトを任される」ことは、こんなにも人を成長させるのか、と改めて納得しました。そんな時期に書いたコラムが以下でした。
■「故黒木靖夫氏と"クリエイティブ"に対する私の思い」
http://www.web-consultants.jp/column/ogawa/2007/10/post.html
まったく勘違い甚だしく、恐縮ではあるとは思いながらも私の中では勝手に、故黒木靖夫氏がかつて牽引したプロジェクトを妄想していました。プロジェクトメンバーは、ただでさえ日々の業務が忙しい中、他の皆よりも遅くまで残って何やら各自に割り振られたEXPOプロジェクトに関する作業をおこなっていました。なかには土日に自宅に持ち帰って制作するものもいました。これはひょっとしたらうまくいくのではないか?といった期待感さえありました。
幸い大きなトラブルもなく、プロジェクトは進んでいきました。その過程の中で、ミーティングの精度向上、営業部をはじめとする他部門への説明会開催、稟議書の申請の仕方、予算管理のための出納帳管理、各種備品の発注、スタジオでのクロマキー撮影、ナレーション原稿の作成、DTP制作等、各自が普段は担当しないような仕事に多く携わり、会社の仕組みや方向性について理解を示してゆくようになりました。
昨晩16日の夜は、プロジェクトメンバーたちが打ち上げをおこなっていました。私も2次会の途中から参加しましたが、皆一様に意識が高く、前向きな発言ばかりが出ていました。逆に先輩たちが押され気味になるような場面さえ見られました。本当にこの一年、お疲れ様でしたと言ってあげたい気持ちです。1年先のことなんて誰も想像できない筈で、特にリーダー職に就かない人にとってみれば、何も見えない状況だったと思います。会社から与えられたものは、出展機会と各種承認行為、限られた予算、少しの助言のみで、あとはすべて彼ら自身で築き上げた実績です。本当に成長した一年だったと思います。当社の企業理念・行動指針にもある「常に現在の自分以上の自分になり続けます」を全うできたのではないかと思います。
最後に、冒頭に掲げたエピグラムの補足となります。
私は幼少時代からジュール・ヴェルヌの作品が好きでした。密航を企て親に怒られた少年時代のジュール・ヴェルヌが、「もう空想の中でしか旅をしない」と誓ってから、次々と編み出されていった冒険小説の数々は、どれも想像力に満ち溢れ、単にエキサイティング・スリリングな冒険小説というだけでなく教養小説としての側面もあり、ヴェルヌ作品を楽しんでいました。
以前、東京・上野にある国立国会図書館 国際子ども図書館で、「未知の世界へ -児童文学にえがかれた冒険-」というタイトルの、国内外の冒険小説を集めた展示会が催され、私も赴いたものでした。そこで、以下のような内容が書かれたフリップが掲げられており、その内容に当時いたく感銘を受け、今ちょうど思い出したので引用して今回のコラムを締めたいと思います。
子どもたちにとって宝は必ずしも金品とは限らない。また宝探しが、徒労に終わることも多い。しかし、子どもたちにとっては、宝を探している間の、ともに知恵や力を出し合って過ごした時間こそがかけがえのない宝なのである
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「忠実義務」と「善管注意義務」の対価として、消費者は企業に代金を支払います。これが企業のブランド価値です。この消費者に対する忠実義務と善管注意義務を、企業、経営者、従業員に徹底させるのが「株主責任」です。
『会社は誰のものか』/吉田 望著
今年2008年4月1日より、上場企業に対する内部統制の義務化の一環として、日本版SOX法(J-SOX法)が適用されます(ITサービス業界では、2009年4月から「工事進行基準」が導入されるという話も出ています)。当社は非上場企業ですが、内部統制を視野に入れつつも、まずは私企業としてしっかりと売上を上げて納税する義務を果たす他、業務改善に努めている最中です。日本版SOX法の中ではIT統制についても様々な制約事項があり、当社でも、ある程度模範として取り入れられる部分は組織力強化の一環として取り入れていきたいと考えています。
まず足掛かりとして、昨年は当社運営の歯科医院検索サイト「歯科タウン」において、「TRUSTe eHealth Privacy Seal Program(医療機関・病院向けプライバシー保護プログラム)」を取得致しました。また、ISMS(Information Security Management System)の認定取得も進めているところです。
前者に関しては既に掲載歯科医院数は1,000件を超え、月間PVも50万を超えようとするサイトに育って参りました。一昨年の夏、開設5周年を記念しておこなった懸賞キャンペーンでユーザーアンケートを実施した際にユーザー様から貴重なご意見を相当数頂きました。その歯科タウンですが、私の管轄する部門にてサイト運営をおこなっているということもあり、BtoC向けサイトとしてもっと信頼あるサイトにしなければといった焦燥感が常にありました。単純にユーザーから見える範囲だけでなくて、社内で個人情報を取り扱う以上は細心の注意を払える仕組みと教育が必要でしたが、社の方針で懇切丁寧な実地コンサルティングを提供され、単なる資格の取得に留まらず社内スタッフへの啓蒙も兼ねられたので大変良かったと思っています。
この日本語版SOX法ですが、元々は米国で2002年に制定された「SOX法(サーベンス・オクスリー法)」が下敷きとしてあります。正式には、「上場企業会計改革および投資家保護法」という名の法律とのことです。簡単に言えば、企業の不正行為を未然に防止するための社内での統制義務ということにでもなりましょうか。ライブドアの粉飾決算事件は記憶に新しいところですが、こうした事件が内部統制の制度導入を早めた一因となっていったのかもしれません。
企業が不正行為を働いた結果、それが上場企業であればなおのこと影響範囲は広いものと思います。経営陣や社員、その家族に留まらず、株主、消費者、取引先等々、ステークホルダーが広範囲に渡るため、謝罪だけでは済まされないケースもあるでしょう。
財団法人日本漢字能力検定協会が毎年おこなっている「今年の漢字」で、2007年の世相を漢字1字で表したものが「偽」だったという結果が発表されました。松岡正剛氏や白川静氏のような方を真似て漢字が表意文字であることを考えてみると、人偏に為と書いて「偽」となります。「偽」は大抵にして人為的なもので、極自然的に発生するものではありません。経営資源でもある「人」が為せる行為なのです。
2007年1月10日、不二家が製造・販売していたシュークリーム2,000個に消費期限切れの牛乳を使用していたという内部告発があり発覚した事件がありました。「マスコミに発覚すれば、雪印乳業の二の舞になる」といった社内文書までもがやり取りされていたそうです。また、雑誌「PRIR 2007年3月号」(宣伝会議)では、不二家に対するイメージ調査のアンケート結果を掲載していました。不二家の販売再開時に同社製品を購入するか?という問いに対して、「購入しないと思う」「不二家の対応を見て決める」が84.7%でした。今でこそ営業再開には至っているものの、失われた信頼を回復することは大変だったことでしょう。
ちょうどこの時期、私は広報業務に関するセミナーを受講しておりました。2000年以降に露見したBSE問題において、大手食品加工メーカーによる牛肉偽装事件も発覚しましたが、この時期に広報業務の責任者をされていた方から直接お話を頂くことができました。「数百万円の利益のために、数十億円の損失を出した」、「深夜、兜町をおさえて緊急記者会見を開いた」、「ものすごいフラッシュの数で額からは汗が流れ出て止まらず、自分の子供くらいの年端の若い記者から感情的な質問が相次いで出され、精神状態を保つのがやっとで正常な判断を欠く状況だった」等の話を思い出すのが辛そうに、また申し訳なさそうに話されていて、CSR(企業の社会的責任)やコンプライアンス(法令遵守)経営に対する重要性をリアルに感じることができたものでした。
ところが昨年は不二家に続き、その後ミートホープによる牛肉偽装事件、「白い恋人」(石屋製菓)の賞味期限改ざん、伊勢の伝統銘菓「赤福」の製造日偽装、高級料亭「船場吉兆」で産地偽装、マクドナルドのサラダの調理日偽装、ローソンで期限切れのおでん販売、ロイヤルホストで消費期限切れ食パン使用、「ミスタードーナツ」(ダスキン)で無認可の食品添加物使用、販売する家具やギフトなどに景品表示法に違反する表現があったとして伊勢丹や山形屋をはじめとしたデパート9社とスーパー1社に対し公正取引委員会から警告等々、食品に関する偽装だけでも枚挙に暇がありません。
マスコミ報道の過熱化(社会の公器というよりは、メディアリテラシーに欠ける視聴者をうまく利用した私企業のPRに近い煽り方)も一部あったかと個人的には思うのですが、偽装による影響の程度の差こそあれ消費者にとっては「偽」に満ちた1年だったと思えたかもしれません。
他にも不正行為、違法行為といった側面で言えば、NOVA、コムスン、グッドウィル、フルキャストなどのような大手企業でも特定商取引法違反等の不正行為があった等で事業停止の措置などを受けています。学校や社会人生活の中で例えても、違反者が出ると罰則が厳しくなるように、こうした社会の規範となるべき大手企業、あるいは上場企業が不正行為をすると国側としては罰則強化など法改正に動かなくてはならない立場となります。法改正となれば必要に応じて自社サイト内の表記も変更する必要性が出てくるでしょう。振り子の原理で、そうした煽りを末端で最も受けることになるのは中小企業なのかもしれません。
さらに昨年末は吉野家のアルバイト店員による「テラ豚丼」、ケンタッキーフライドチキンのアルバイト店員による「店内でゴキブリを揚げた」という旨の日記を某SNSにアップしたという騒動が起こりました。後者に関してはより悪質で、日本ケンタッキー・フライド・チキン側は12月6日に自社サイト上で「ネット投稿に対する当社の対応について」というリリースを公開し「事実無根の書き込み」と説明していますが、食品衛生に直接絡む問題ですし、いたずらにしては本人談だけで根拠や正当性を証明することも難しい内容で単に風評被害で片付けられない、まさに企業側としては年末商戦を迎える直前の時期のことで悪夢のようなアクシデントだったと想像します。さらには後日、「高校生に対抗しようと思う」と、バーミヤン勤務の20歳の私立大生が「ゴキブリのだしが効いたスープでラーメンを出していた」と日記サイトに書き込み、炎上――。
アルバイト店員のプライベートまで教育・啓蒙、管理することは正直無理だと個人的には思います。信賞必罰の社内規則(雇用契約)を設けるのが限度ではないでしょうか。この時代、企業に求められる社会的責任に比べ、家庭や個人に求められる社会的責任の比率が小さ過ぎると思うのです。評判管理(レピュテーション・マネジメント)と一口に言っても企業と個人とではリスクの大小が違う中で、別のベクトルを持ちながらも同じ土俵に立たされて、テロリズム的に起こり得る突発的なあらゆるリスクに対応しなくてはならないというのは大変難しいことと思います。このままいくと、企業と個人間においては、リスクや責任に対する考え方や影響に対する範囲特定や効果予測といった能力にも開きが出て、ますます認識の乖離を生むのではないかと思っています。
さて、こうした事例を総覧しながら、私たちは誰のために、どこへ向かうべきか思慮するのですが、個人的には中庸、等身大の動きが今を機能させる上では大切ではないかと考えるタイプですので、事前の計画性はもちろんのこと、企業のライフサイクルやそのときのガバナンスに応じて優先順位を決めていければ良いのではないかと考えています。無理をして肝心な本分を見失っては誰のためにもなりませんし、ステークホルダーの拡大に並行して考慮すべき影響範囲も拡げていけば良いのかと思いますが、最低限一人ひとりが会社という枠にとらわれず社会的責任を背負って日々の業務に問題意識を持って取り組んでいけるような社風にしていきたいと思います。
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世界の常連客がいちばん期待し、リッツ・カールトンも最大の武器と自負しているもの。それはホスピタリティ精神である。
/『週刊ダイヤモンド 07年3月31日号(特集:リッツ・カールトン極上の「おもてなし」 サービス全解剖)』より
毎年年始になると、首相や各社経営陣から年頭所感なるものが発表されます。前年度のことについて述べたり、本年度の抱負について語ったりするものですね。きちんと説明責任を果たさなくてはならない立場の人は大変だな、と他人事に考えることは簡単ですが、これをいざ自分でやってみようと思うと意外と難しいながらも面白いものだったりします。
「一年の計は元旦にあり」と言われる時期に仕事上の目標とは別に個人的な目標を掲げるわけですから、コミットメントに対するノルマはないまでも自分には嘘を付けません。必然的に24時間365日、意識した行動を心掛けることになります。自己発信の抱負に対してどれだけのアクションが取れたのか?一年の締めくくりを落胆した気持ちで迎えたくはないものです。仕事の中での自分も成長したいが、人としても成長したい、さらにそれらが相互に刺激し合ってもっと大きな人間になりたい、またそう考えられる自分であり続けたい――、多くの人はそのように考えられているのではないでしょうか?
今年もまもなくそのような時期に入りますので、今回のコラムではそれに沿った話になるかと考えて、私が以前にザ・リッツ・カールトン東京に宿泊したときのエピソードなどを持ち出しながら、タイトルにある「企業理念」や「年頭所感」について述べてみたいと思います。
2007年3月30日、六本木の東京ミッドタウン内に「ザ・リッツ・カールトン東京」が開業しました。ちょうど2007年は私の両親の結婚40周年の年でありましたので、良い機会と思い今年6月にクラブフロアの1泊をプレゼントしました。夫婦水入らずでと思っていたのですが、両親の薦めもあり私も宿泊することになりました。
私事ではありますが、今回の急なプレゼントは親孝行の一つでもあったのかと思いますが、他にも理由がありました。私の古くからの上司でもある専務は、いつも元旦になると4月の期初とは別に個人的な目標を立てるのですが、数年前から私も真似をするようにしています。私の場合は目標というよりはスローガンのようになってしまっているのですが、2007年は「"与えられる"側から"与える"側へ」でした。
私は社会人になってからフリーセルへ転職した以降、上司に恵まれたのかそうでないのか、とにかく苦労は多かったものの多くの方に様々なものを与えて頂き助けられてきました。困ったときは必ず助けてもらえたし、引っ込み思案だった私が何かに挑戦しようと自分なりに頑張って行動に移せば陰で援助されていたり、自分の採った行動が正しかったかどうか分からず不安になっていたときは褒めてくれたりと、知らず知らずの内に人間形成をされてきたような気がします。学校や家庭で学びきれなかった処世術というか、人として大切なものを多く学べた時期でした。
しかし、私の見ているCS部も気が付けば70人くらいの大所帯となってきて、「もっと学びたい、教えて欲しい、成長したい、助けて欲しい」と言っている場合ではなくなってきました。むしろ、私自身が部や会社の将来について考え、今よりも良くなるように努めていかなくてはならない立場となっていました。正直、この立場の逆転を自覚したときは衝撃でした。今までは自分がどうやって成長してゆくかについて考えていれば良かっただけですが、これからはみんなをどうやって成長させてゆくかについて考えていかなくてはなりません。似ているようでまったく違う発想が必要とされてきます。
そのための取り組みとしていろいろおこなってきたこともあって、ゆくゆくこのコラムでもご紹介していきたいと思っていますが、まずは私自身が「変わろう!」と思って掲げた「"与えられる"側から"与える"側へ」についてお話したいと思います。
「与える」と一口に言っても様々あると思います。知識や技術、考え方などはもちろんのこと、成長機会、目標設定、達成感、ヴィジョン(志)、ポリシー(信念)、帰属意識(ロイヤリティ)、競争原理、教育・褒章制度、人事考課、やりがいのある職場環境(モチベーション)、ゲーム性、学び実践できるようになる楽しさ、安心感、喜び、誇り、透明性や説明責任(レスポンシビリティ、アカウンタビリティ)、権限委譲(エンパワーメント)、スケジュールや部下の管理能力etc...
何をとっても初めてのことばかりです。本を読み、人の話を聴いても、すぐに自分の考えとして採り入れることも難しければ、行動に移し結果を出すとなると途方が暮れるかのようでした。そんなとき、今年の期初に当社の企業理念が刷新されました。「フリーセル行動指針」では、フリーセル社員の率先垂範(ロールモデル)となる考え方や行動習慣について、7つの指標が立てられました。もちろんそれ以前までも企業理念はありましたが、社員数が急増したこの年に改定となったことは私にとって救いでした。スキルよりもスタンスやマインドを重視する社風が、このときから芽生え始めてきました。
5月には青山にある愛と感動のレストラン「カシータ」の高橋オーナーを招いて、「ホスピタリティ」に関する講演をおこなって頂きました。講演で引き合いに出されたリッツ・カールトンホテルの「クレド」については、かつて当社でも導入を図ろうとしたことがありましたが、うまく社内に浸透しませんでした。逆にこの失敗が糧となって、今の浸透した企業理念があるのだと思います。
また、冒頭でも引用したリッツ・カールトンと言えば、サービス業に携わる者にとってのバイブルとも言うべき『リッツ・カールトンが大切にする サービスを超える瞬間』などで以前から興味を持っていました。2006年9月に創業100周年を迎えた「能登・和倉温泉 加賀屋」さんが旅行新聞新社主催の「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」で26年連続で1位に選ばれたり、2004年以降、それまでの東京都心再開発事業に伴って多くの外資系ホテル(コンラッド東京、マンダリンオリエンタル東京、ザ・ペニンシュラ東京etc...)が進出してきた時期でもあり、バブル以降冷え込んだ消費は戦後のモノ信仰からサービス信仰へと移り、マズローの欲求段階説ではないですが人々の消費志向もより良いサービスを求めるようになってきた潮流の中で、ホテル産業はそうした「サービス」における一つの代名詞的存在として注目されました。
講演の中で高橋オーナーもおっしゃっていたのですが、まずは自分自身が体験することによって感性を磨き、人に与えられるようになるという内容の話に影響を受け、思い立って行動に移したのが今回のザ・リッツ・カールトン東京の宿泊プレゼント企画でした。
実際に行動に移してみて気が付いたことは多いです。当たり前のことですが、相手を喜ばせるにはどういったサプライズを用意すればよいか?宿泊予約時から周知、セッティング、アフターフォローまでどのようなスケジュールでおこなうか?また、実際に宿泊してみて、アメニティはどうだったか?スタッフの応対時の表情はどうだったか、ワガママな希望を述べたときのスタッフの言葉遣いはどうだったか?そのとき自分はどう感じたのか――?
基本的なことだけでもいろいろ考えさせられたことはあります。学生時代までは自分が喜ぶために何かをして欲しいという発想が半分でしたが、社会人になるといろいろと相手を喜ばせたくなるものです。こうした考え方こそが、サービス提供者としてのCS部でも必要だと考えるようになりました。
なかでも、このホスピタリティ(おもてなしの心)の考え方は重要視していて、リッツ・カールトンが「ホテル産業ではなく、ホスピタリティ産業」と強い自負を持ってサービス提供をしているように、私たちもスキルやノウハウの前に、スタンスやマインドを重視したいと考えるようになりました。
この「ホスピタリティ」の他、私がいつも大切にしていると話すことは、同じくらいの年代の人たち、また中途採用者で構成される組織ですから様々な価値観がぶつかり合うこともあって、「コミュニケーション」(情報伝達のための技術や心掛け、読む・書く・聴く・話す・感じるのリテラシーの強化)と、「リスペクト」(相手の立場を思いやり、考え方や意見を尊重する、仲間の業績やコンピテンシーに敬意を払い自己に採り入れる)です。おそらく学生時代までに家庭や学校で学んできたことばかりなのかと思いますが、社会人になるとなぜかできなかったりすることが往々にしてあります。前提としてマナーや教養があるのだと思いますし、その先には「問題解決思考」だとか「ロジカル・シンキング」だとか方法論や各種ツールがあるのかと思いますが、まずはビジネスマンである前に一人の人間ですから、こうした考え方を大切にできる人たちでCS部の抱える問題の解決や提供サービスの品質向上をおこなっていきたいと考えています。
話の内容が転々としてしまいましたが、これらの考え方を元に構築してきたCS組織について、今後もどんどんとご紹介していきたいと思います。また、首相や企業のトップによる「年頭所感」を真似て、来年はどのような個人目標を立てられるか、今から楽しみです。この「自分だけの年頭所感」は、皆さんにも是非お勧めしたいと思います。
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「人間が希望を失わずに生きてゆくためには、どうしても存在しなければならないと作者ドーマルの主張する、この時間空間の原点ともいうべきシンボリックな山の探求の物語」
/『洞窟の偶像』(澁澤龍彦) ~『類推の山』(ルネ・ドーマル)についてのレビュー
昨年9月、同僚に富士登山に誘われた私は、社長や専務、他の同僚たちと富士山へ行きました。
登山自体、小学校時代の遠足以来行ったことのない私にとって、生まれて初めての富士山。登山具店で同僚に勧められたものを少しばかり購入し、高価なものは貸してもらい、それなりの身なりで出掛けました。
当時のことは今でも鮮明に覚えています。なぜなら、情けないことに私は七合目あたりで高山病にかかり、一部始終が苦しい思い出として記憶に焼き付いてしまっているからです。結局、共に登った皆から叱咤激励をもらいつつ、登頂に成功はしたものの、当時は「もう二度と登りたくない」と感じたものでした。
しかし今年8月、私は再び富士登山に出掛けることになりました。
今回も昨年同様、同僚主催のイベントでしたが、社長や専務のほか、取引先の社長様などを含む計12名と、前年の倍の参加者でした。あれほど辛いだけの富士登山に、なぜまた出掛けようとするのか――、登山家の植村直己氏や野口健氏、『日本百名山』を著した深田久弥氏、写真家の田淵行男氏、古くは『富嶽三十六景』をはじめとした浮世絵を描いた葛飾北斎まで山に魅せられた人は多いですが、私にはそこまで高尚な登山に対する動機はありませんでした。「また、みんなで登頂したときの気持ち良さを感じに行きたい」といった感情があるだけで、一人で登りたいとは思いませんでした。
2年連続で3776m(皆なろう)の富士山登頂に成功したのですが、一人ではとても成し遂げられない行為だったと思います。
五合目までは車で向かいます。山頂まではそこからわずか7km超の道のりなのですが、休憩しながら登るので私の足で6、7時間かかりました。下山は下山で、「砂走り」(須走口下山道)が延々と続く砂利道で膝がおかしくなりそうになりました。とにかく、登りのときも下りのときも疲労と酸欠状態に陥り、ほぼ無心状態になっていました。ただひたすらに、「○号目まであと×km」といった標識だけを信じて、「辛いけど、とにかく歩かなきゃ山頂には一生たどり着けないし……」と思いながら歩み続けていました。
今思えば、この富士登山を通じていろいろなことが学べたというか、自分の感性に訴えかけられたように思います。
先の「標識」は仕事にたとえると言わば「マイルストーン(道標)」であり、登頂がプロジェクトのゴール(目標)です。共に登った同僚たちはプロジェクトメンバーです。足への負担を軽減させるために買い求めた金剛杖や、高山病防止のための酸素はツールにでもなりましょうか。
面白いのは、これは私だけの感情かもしれませんが、仲間と共に登っているのですが、精神的・体力的な限界を迎えると、非常に孤独感を覚えるのです。他の人にとっては辛くないのかもしれないが、私には辛い。最悪の事態になっても苦しむのは自分だけだ。こんな辛い思いをするくらいなら、登頂なんてしなくていい、とにかく下山したい――。そんな消極的な感情さえ芽生えてきます。酸欠になり高山病が発症すると、とにかく強度の頭痛と吐き気と眠気に襲われます。仕事のきつさを一気に忘れるくらい、精神的にも体力的にもきつい。
そんなとき同僚が励ましてくれました。代わりに荷物を持ってくれたり、後ろから押してくれたり、酸素を分けてくれたり、追い付くまで待ってくれたり、少しでも楽になる歩き方や呼吸法を教えてくれたり、「休憩地点まであと少しなんだから頑張ろうぜ!」「自分から登頂するって言ったんじゃん」と怒号で叱咤激励されたりetc…。あまりの辛さに、登る前に自分から「登頂したい」と申し出たことをすっかり忘れていたのでした。これすべて仕事に置き換えられるシーンではないかと、このとき感じました。
ここで少し話を脱線させますが、私は学生時代までの一時期、SFや冒険小説(あるいは、ユートピア小説)に分類される本に傾倒していたことがありました。歴史や政治、経済、法律など、まだ社会の一般常識さえもろくに知らない学生時代にあって、何の制約下にもない自身の想像という行為――、たとえそれが何の根拠も目的もない不毛な行為であったとしても――ありもしない理想社会について友人たちと語らうことは至高の楽しみでありました。
そんな私が学生時代に読み、大変感銘を受けた本があります。ルネ・ドーマル(仏,1908-44)が書いた『類推の山』という本です。ドーマルの死後8年を経て、パリのガリマール書店より上梓された小説です。
主人公率いる登山隊は、年齢も職業もバラバラの12名。何を目指して集まったのかというと、この世に存在するかどうかも分からない、けれどもきっとある筈だと仮定されている海の真ん中にある「山」にたどり着くことです。この山を目指して旅に出ようという主人公の誘いにのった人たちの物語です。
ちょうど私たちの職場も、「年齢も(前職の)職業もバラバラ」の新卒社員や中途入社の社員で構成されており、不確かな未来に個々の希望や目標を持って、荒海と化した現実に直面しています。
未完小説として有名な作品なのですが、著者ドーマルの死期が近づいていたある日、病床を訪ねた友人に対して物語が途中となっていた『類推の山』の続きとして最終章に書こうと考えていた「類推の山」の掟についての話を語ったそうです。
「頂上にたどりつくためには、山小屋から山小屋へと登ってゆかなければならない。ところが山小屋をひとつ離れる前に、あとからやってきてその離れた場所に入る人たちのための用意をしておく義務があるんだ。そして、その用意がおわってからでないと、もっと上に登ってゆくことはできない。だから、僕らは新しい山小屋にむかってつきすすむ前に、もういちど下へ降りて、僕らがはじめに得た知識を、別の探索者に教えておかなければならない」
本書でドーマルが私たちに語ろうとしていたのは、まさに"人生"そのものだったのではないかと思っています。
「私は問うた――だが、この「類推的登山」とはいったい何なのか?」
/『類推の山』(ルネ・ドーマル) ~「覚書」より。
よく人生を登山やマラソンにたとえて言うことがありますが、これはそのまま仕事にも当てはまるのではないかと思っています。本書の覚書の中で著者ドーマルは、「高所は低所を知っており、低所は高所を知らない」ということを書いています。高い視点で物事を考えられるようになると、低い視点で考えている人のために「こっちの方が楽だよ」「もっと俯瞰してみるとどうするのがベターか分かるよ」「もう少しだけ頑張ると楽しくなってくるよ」とアドバイスをすることができます。
人生の上でも、仕事の上でも、先駆者が後継者のために自身の知っている知識や手段をマニュアル化したり、経験者がマイルストーン(道標)を立てて注意をひき、迷わせたり挫折させたりしないようマネジメントする必要があります。
それから人は長い人生において、多少の差こそあれ起伏に遭います。目標がひとつ叶えば、また新たな目標ができるものですし、逆に試練をひとつ乗り越えれば、また新たな壁に当たるものです。その度ごとに一喜一憂するような豊かな感性も必要と思いますが、人生を捨ててしまう程に人の道を外したり、落ち込んでしまうことは良くないことだと思っています。ひとつひとつの区切りを認識しながら、同時により高みへ昇ってゆく過程の中にあるということを認識すべきだと私は思います。
本書の内容や、富士登山で芽生えた私の感情は、セルフコーチングになったかもしれません。
自分は本質的にどうしたいのか?どうすればそれを達成できるのか?何が問題・障壁となっているのか?それを解決するための手段は?仲間が辛いときにはどうすればよいのか?辛いと感じている人を放置すると孤独感が増幅する、ゴールまでの距離や道のりを明確にしないと辛さが増す、常に声を掛け合うなど励まし合う姿勢が大切、コミュニケーションの重要性、仲間との協働作業における目標達成時の感動の共有etc…。
仕事に向かう上でモチベーションを維持し続けることは当たり前のことですが、環境によってはそれを阻害する因子も多いことと思います。そういった気持ちのまま社内で影響力を持つ存在になってくると、後から入ってくる人にも伝染してしまいます。できれば良い意味でのインフルエンサー、エヴァンジェリストでありたいものです。そういう風に意識の高い人が増えてくると、マイノリティな存在は減り、逆に帰属意識が高く、自身のミッションを自発的に見つけることができ、それに対して忠実に挑む有能な社員が増えやすくなるのではないかと思います。そうなれば組織はより強固なものとなり、経営者は余計な事で気を揉むことなく、高いレベルでの経営が可能になるのではないかと考えています。
そういった意味で、富士登山はこじつけではなく、様々なことを体感できたイベントでした。
座学では学べない、実践型セルフコーチングとしての富士登山。まだ経験されていない方のためにお勧めします!
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皆様こんにちは。
前回の記事では、僭越ながら私自身のご紹介をさせて頂きましたので、第2回は私が管理しているCS部のご紹介をしたいと思います。
CS部はちょうど"工場"にあたる部門です。
営業部が受注したお客様を、業務部にて与信及び契約管理を致します。
そうして当社の「お客様」となったご契約者様へ当社サービスを提供、保守・メインテナンスをお受けする部門となっております。
簡単に業務内容を公開させて頂きますと、分かりやすく「Webコンサルティング事業」を例として挙げますが、営業マンがプロデューサーとなって1件の受注を短期プロジェクトとしてグランドスケジュールを出した後で、CS部からはWebディレクターが営業マンに同行して顧客と打ち合わせを行い、その後要件定義を行います。
次に社内のWebライターに要件が伝えられ、Webサイトの要とも言うべきテキスト起こしの作業に入ります。
仕上がったテキスト原稿と策定したワイヤーフレームを元に、コーダー(兼マークアップ・エンジニア)とデザイナーへ指示出しを行い、いよいよWebサイトの制作に取り掛かります。
仕上げとして、QC(クォリティ・コントロール)担当者とWebディレクター、及び営業マンの確認が入り、問題がなければ顧客納品です。また、納品直後から早速、SEO担当者によるメインテナンス作業が始まります。
納品後のお客様からの修正依頼などはコンタクトセンター部門が一時的にお預かりし、Webサイトの新規制作とは別のラインである専属の担当者が修正業務を担当します。
「顧客のベネフィット」をゴールに掲げて、営業マンやWebディレクターといった上流工程に始まり、SEOやQC(クォリティ・コントロール)、CC(コンタクトセンター)部門の下流工程に至るまで、各部門の責任者(マネージャー)が責任を持ってお客様へ提供するサービスを監理監督致しております。その際に留意しているのが、「生産管理のQCD」です。QCDとは、Quality(品質)・Cost(コスト)・Delivery(納期)の頭文字をとったものです。最低限として、品質管理・コスト管理・納期管理がしっかり行えていなければ、どれだけ長時間仕事をしていても意味がありません。CS部員は皆、日々このQCDの「カイゼン」に対して試行錯誤しています。
しかし、皆がどんなに頭を悩ませながら制作した成果物でも、納品したお客様にご満足頂けなければまったく意味がありません。良かれと思ってした行為が、お客様の不満に繋がったりすることもあるのです。このへんが既製品と違い、オーダーメイド製品の悩ましいところです。
むやみにCRM(顧客関係管理)を掲げるのは良いのですが、履き違えてはならないのは「お客様を満足させること」ではなく、「お客様が満足すること」です。この二つは似て非なるもので、前者は主語が自分、後者はお客様となっています。ケースによっては、このように客観的な視点にフレキシブルにスライドして考えることが出来なければ真の顧客満足は得られません。とはいえ、言うは易し行うは難しです。
そこで、CS部では以下の4つの「ミッション・ステートメント」を掲げました。
1、顧客至上主義
2、コストセンター
3、独自のバリューを築こう
4、仕事は楽しくやろう
「ミッション・ステートメント」とは、言い換えれば"信条"のようなものです。当社では"芯"と言われたりもします。
人は誰でもそれぞれの価値観を持っていながら、何か良し悪しの判断をする際には必ずこの"信条"の優先順位に基づいて判断を下しているかと思います。判断する際に優先順位を付けられなくなった状態を俗に「悩む」と言ったりしますが、目的を明確にした後は確固とした「芯」と「意志(ヴィジョン)」さえあれば悩むことはありません。悩む対象は常に「手段」であって、「目的」は悩むべきものではありません。「目的」は事前にしっかりと決めておくべきで、悩む前に「考える」ことをCS部では重要視しています。考えに考え抜いて重み付け(重要度・緊急度の座標へのマッピング作業や、メリット・デメリット等の切り分け・グルーピング作業)と優先順位付けさえできれば、誰でもこのミッション・ステートメントの支えを受けながら、自発的な行動(手段)がとれるようになるという不思議な力を宿した合言葉なのです。
日々忙しい中で仕事をしていると、人は誰しも気が付かないうちに自己中心的な言動を行ってしまいがちです。
Webサイトの改善案を出すにも過度に個人の技術やセンスに由来していたり、「お客様が納得してくれない」といった責任転嫁のような発言はままあることです。しかしこれでは真の問題解決にはなりません。Webコンサルタントが自身の問題について解決出来ないのは問題であるので、状況判断を行う上で必要なエッセンスを優先順位順に示したものが上記のミッション・ステートメントとなります。
組織が拡大する中で、こうしたマニュアルでは伝わりにくいDNAのような想いの塊を後継者に伝えてゆくのは至極困難ですが、しっかりと計画立てて構築していかないと取り返しのつかないことになってしまいます。そのことは堺屋太一氏が代表作『団塊の世代』の中で主人公を通して述べられていましたが、この「団塊の世代」については次回に触れてみようと思います。
それから、先のミッション・ステートメントについても、詳細まで説明すると長くなってしまいそうなので、また別の機会に触れたいと思います。
cf.CS部の体制は以下のページをご覧下さい。
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皆様はじめまして。CS(カスタマーサポート)部長の小川です。
「Webコンサルタント.jp」が無事にスタートできたことを嬉しく思います。当サイトを閲覧されたことがきっかけとなって、中小企業のご経営者様が何かしらのアクションを起こされることに繋がることが私にとってまず目指すべきゴールと考えています。
まずは初回の記事でもありますので、自己紹介からさせて頂きます。
大学卒業後は、就職活動で企業に入社することができず、学生時代に派遣業務でお世話になっていた某大手広告代理店へ派遣スタッフ(営業アシスタント)として勤務しておりました。試用期間+1年間の契約期間終了後、それまでの経験が活かせ、さらに今後注目されてくると思われたインターネット系のベンチャー企業に正社員として入社。入社後すぐに社内ベンチャーのように発足した「CS部」のスターティングメンバーとして私の新しいキャリアはスタートしました。宣伝・広告には以前から興味があったものの、パソコンは文字入力くらいしかしたことがなかったため最初は仕事になりませんでしたが、周囲の人に教えてもらいながら、同時に自分でも購入してとにかく毎日夜中までWindowsの操作やホームページ制作の基礎のようなものを学んでいました。
2年半の勤務の後で、2002年7月に株式会社フリーセルに転職致しました。渋谷区松涛にあったマンションの小さな一室がオフィスで、私が入社したばかりの頃は社員数もまだ全部で5、6名の会社でした。「CS部」と言っても名ばかりで実質部員は私1名でした。
2005年下半期以降の、ようやくCS部が組織化されるまでの間は、ほぼ1~3名体制でお客様のサポートをして参りました。その間、現場で学ぶことは多く、殊にお客様に怒られたり励まされたり、お客様に成長させて頂いた点は多くあります。
2007年9月現在、CS部だけで総勢65名を超える規模にまで成長しました。
そこに至るまでには、出会いあり別れあり、大きな壁を乗り越える必要が幾度もありました。まさに人間と同じで「成長にともなう痛み」が付き物で、同時に会社の成長と自身の成長とをシンクロして体感できた期間でもありました。
「若い頃の苦労は買ってでもしろ」という言葉がありますが、当社では「リスクを取れ」と置き換えて言われることがあります。当社は平均年齢の若い会社で、業界未経験の中途入社者で多く構成されてきた会社です。ただでさえ、ありとある業態の中でも新しい部類に入るインターネット業界にあって、未経験者の集団です。努力なくして、何が得られるでしょうか。また、お客様に対しても他の従業員に対しても、その他ステークホルダーとなる方々に何を与えられるというのでしょう。
「誰かが何とかしてくれる」、「状況がよくならないのは、自分以外の誰かの責任」といった他力本願ではなく、自ら苦悩して発想をしぼり出し、何度も上司からダメだしをもらいながらもプレゼンで納得をもらい、実践しては現場からバッシングをくらい、改善のために諦めずに取り組んでゆく姿勢こそが状況を変えてゆけるのです。
また、「大変」とは「大きく変わる」と書きます。大きく変化をさせることは、いつでも誰でも大変なことなのです。しかし、変化から逃げていては状況を変えることは出来ません。変化を恐れずに目の前の課題に真摯に取り組み、「どんなことがあっても絶対に諦めない」という信念のもとで一歩一歩解決してゆこうとする姿勢こそが最も重要なのです。
今のCS部も若い組織です。一歩間違えばどうにでもなってしまう組織かもしれません。
ですが、会社も個人も生まれたての伸び盛りのとき、ましてや何のキャリアもないところからのスタートなのであればなおのこと、失うものより得ることの方が多い筈です。「リスクヘッジ」も大切ですが、「リスクテイク」を心掛けたいものです。
そうやって苦労して皆で築き上げてきた組織だからこそ、また多くの苦境を乗り越えて努力を続けてきてくれた今のスタッフだからこそ生み出すことのできる、他の何者でもない独自の価値があると信じています。いつの日か、そうした価値の連鎖と淘汰とを繰り返し、質の高い競争優位のバリューチェーンを構築したいと考えています。まだまだ発展途上の組織ではありますが、今後も急速な成長を遂げていきたいと考えています。
そんなCS部のご紹介は次の機会にお話できればと思います。
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