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小川 悟(取締役CS本部長)

徹底した生産管理で顧客満足を追求するCS部門のリーダー

主に人材育成、生産管理、サービス体制の整備を行う。分業・専門化を進める傍ら、営業部門や取引先も巻き込み、各工程別ガイドラインの整備や業務の標準化はもちろん、前工程・後工程のスタッフを「みなし顧客」として成果のフィードバックを行い内部牽制を図るなど、徹底した生産管理を実践。また、一部広報業務も兼務している。座右の銘は「桃李言わざれども下自ずから蹊を成す」(『史記』/司馬遷)。
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CS本部が取り組むWebサイトの品質管理(生産管理のQCDS)のご紹介(一部) ~米Appleスティーブ・ジョブズCEO退任のニュースで連想したこと~

2011年09月18日 02:17 PM

 投稿者 小川 悟

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フィールディングのCS向上への取り組みは、当初「障害半減」や「サイクルタイムの短縮」をテーマに始まった。そして、第二段階に入ったとき、「CSマインドの向上」を正面からテーマに掲げ、「サービス窓口における接客」や「電話応対」を重視するに至っている。

/『サービス品質革命 「顧客とともに、CSを超えて」NECフィールディングの挑戦!』(高橋安弘著)

 

先月8月24日の米Apple社スティーブ・ジョブズ氏のCEO退任のニュースは、日本でも様々なメディアで採り上げられましたね。

 

直前のニューヨーク株式市場で、米Apple社の時価総額は一時3430億ドルに達し、エクソンモービル社を抜いて世界一の企業になった矢先のことでした(ジョブズ氏退任のニュースで下落しましたが)。また、Apple社の現金残高は、米国政府よりも多く所有していたと言います。

 

まだApple社の業績が悪かった1996年のApple社復帰後から僅か15年で世界一の企業にまで押し上げてきた、言うまでもなく後世に名を残す凄腕経営者の一人だと思います。

 

cf.

・アップル、日米の96年度業績を発表(「PC Watch」,1996年10月17日)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/961017/apple.htm

・Appleは米国政府より“金持ち” 現金残高が上回る(「ITmedia ニュース」,2011年7月29日)

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1107/29/news058.html

 

スティーブ・ジョブズ氏は、以前も軽く触れましたが、マイクロソフト会長のビル・ゲイツ氏や、Google会長のエリック・シュミット氏、「World Wide Web」(WWW)の仕組みを考案したティム・バーナーズ=リー氏などと同じ1955年生まれですが、この年は今になって思えば、PC/インターネット業界に大きな影響を及ぼすこととなる偉人を多く輩出した年だったのだなと思います。

 

Apple社が近年リリースしてきた製品群を振り返ってみても、インターネット業界の垣根を越えて、市場に対して大きな影響を及ぼしてきたと感じます。

 

cf.スティーブ・ジョブズが生み出したアップル製品を振り返る(「ギズモード・ジャパン」,2011年8月30日)

http://www.gizmodo.jp/2011/08/masterpieces-of-jobs.html

 

私も以前、このコラムの中で、iPhoneを購入したときに期待した体験について3点挙げたものでした。

 

1. クラウド(コンピューティング)への理解のための入門機としてのスマートフォン体験
2. UI (User Interface) 、UX(User Experience)、インタラクションデザイン等の理解のための体験
3. メディア(特に、広告媒体として)の可能性について消費者としての体験

 

小難しく書いてしまったかもしれませんが、これらおそらく多くの消費者がイメージするユーザー体験に対する期待は、(iPhoneやiPadなどが他のApple社の製品コンセプトと異なり全く新しい概念・設計で作られたものであったとしても、)それまでのApple社が意識してきた「カスタマー・エクスペリエンス(顧客経験価値)」によって育てられてきた消費者の感性を刺激した結果の所産とも言えるかもしれません。

分かりやすく言い換えれば、消費者が購入前に「なんだかよく分からないけど、きっとすごいものに違いない」と感じている状態とでもなりましょうか。

 

そんなApple社、すごいのは業績や製品ラインナップだけではありません。

実は、「ACSI (American Customer Satisfaction Index: 米国顧客満足度指数)」という米ミシガン大学ビジネススクールが開発した顧客満足度調査の、2010年のブランド別顧客満足度調査(パソコン分野)ではApple社が過去最高値を記録し、7年連続で1位となっています。

 

私も以前にApple製品を購入した際にサポート窓口を利用したことがありますが、勉強になる対応が多かったと記憶しています。米Apple社だけでなく、日本の窓口対応も素晴らしいと感じました。

このように、Apple社というのは、(一口で語れるものではないですが)製品に対してもサービスに対しても追求をし続けてきた企業なのだなという印象を受けます。

 

改めて、スティーブ・ジョブズ氏が生み出してきた付加価値のスケールの大きさには圧倒されるばかりですが、もちろんいくらワンマン経営だったとしても、一人で何もかもを作り上げてきたとは考えにくいですね。

 

トヨタ自動車で言えば大野耐一氏、松下電器産業(現パナソニック)で言えば中尾哲二郎氏、ソニーで言えば黒木靖夫氏といったように、経営者を陰で支えた技術者やデザイナーというのは、その分野を専門としている人以外からはなかなか見えにくかったりするものです。

 

Apple社の場合はどうでしょうか?

切り取る断面によって想起される人物は変わってくると思うのですが、ここではアラン・ケイ氏とドナルド・ノーマン氏を挙げてみます。

 

アラン・ケイ氏は、通称「パソコンの父」と呼ばれていて、1970年代に現在のiPadに近い「Dynabook」という構想を描いた学者で、これが後にスティーブ・ジョブズ氏がMacintoshを生み出すきっかけとなったと言われています。ちなみに東芝の「ダイナブック」は、これを由来としています。

 

一方、ドナルド・ノーマン氏は、著書『誰のためのデザイン? 認知科学者のデザイン原論』などで有名な認知科学者で、Webサイトのユーザビリティ研究者として有名な、ヤコブ・ニールセン氏(cf.ニールセン博士のAlertbox/株式会社イード運営)と共にニールセン・ノーマン・グループという会社を設立しました。

 

このご両名には、一時、米Apple社でフェロー(特別研究員)として働いていたという共通点があります。

 

さて、前置きが長くなりましたが、ここで当社で提供しているWebサイトの品質管理の一部をご紹介させて頂きます。

 

あることをしたのに一見なんの結果も起こらないと、その行為がなんの効果ももたなかったかのように結論しがちだ。そこで、もう一度やってしまう。

/『誰のためのデザイン? 認知科学者のデザイン原論』(D.A.ノーマン著)

 

これは先に紹介した本からの引用ですが、こういった経験ってたまにありませんか?

 

Webサイトで例えると、だいぶ昔からよくある問題ですが、メールフォームの送信ボタンや、ECサイトの購入(決済)ボタンを2回押してしまう行為等です。画面が切り替わるのが遅かったり、送信中であるという何かしらの表現が表示されないと、ユーザーは「きちんとボタンが押されて(クリックできて)いなかったのかな?」と勘違いして再度押してしまう。そうすることで、2通同じメールがいってしまったり、場合によっては重複決済されてしまったりしてしまうというものです。

 

こうしたWebサイトのコンバージョン(成約)に直結するような重要かつ、ヒューリスティックなアプローチで解決できることに関しては早くから整備をおこないました。広義で言えば、「情報デザイン」、「インタラクションデザイン」、「ユーザーエクスペリエンスデザイン」に括られる分野の話なのかもしれませんが、狭義で言えば、例えば「EFO(Entry Form Optimization=エントリーフォーム最適化」といった施策があります。

 

以下、当社の公式サイトのお問い合わせフォームをご覧ください。

https://www.freesale.co.jp/inquiry/form01/fmail.cgi

 

最初の設問のチェックボックス部はクリックすると背景と色差のある色を表示させてクリックされたかどうかを分かりやすくしてあります(iPhone版も同様)。フリガナも情報として頂きますが、ご担当者名を入力するとフリガナが自動反映されるようになっており、極力入力される方のストレスを減らすようにしています。半角数字で入力頂きたいところは、本来IMEコントロールを行い自動的に半角数字モードに切り替えたいところですが、様々なブラウザに対応させるために、カーソルを外すと全角数字で入力したものでも半角数字に自動変換されるようにしています。入力漏れがあった際にも分かりやすいようにしてあります。

 

他にも、見た目には分かりませんが、制作者視点で工夫がしてあります。例えば、メールフォーム上で実際に表示されている設問項目名と、メールが送られた際に管理者に届くメール内の項目名とが一致するようにシステム化しているので、制作者のミスで不一致となるようなことはありません。

 

皆さんの会社のWebサイトのメールフォームはどうなっていますか?

そのメールフォームを使用する人が、どれくらいインターネット利用に熟練した方が主となるのか分かりませんが、なるべく手間や疑問は与えたくないですよね。

 

当社ではこのメールフォームを「Fmail」と名付けて自社開発しました。

毎月100サイト近くのWebサイトを制作・納品しておりますが、その影響を考えると、他社が配布しているメールフォームプログラムの企業ライセンスを取得して提供したり等他社依存となったり、Webサイトの制作者に個人依存した設計となっていると、お客様に対してより良いものが提供できない可能性があるからです。

また事故が増えるということはそれだけ対応に要する時間がかかるということで、結局は当社側に負担があるのはもちろんのこと、巡り巡って既存のお客様に提供でき得る時間を削ってしまうことになるので、予測できる事故(不良)が出ないような仕組みにすることは大変重要だと考えています。

 

お客様のITシステムで故障が起きた場合、速く解決して怒るお客様はいない。そして、コスト面からは、早く修復すればサービスにかかるコストはそれだけ安くなる。CSの向上と業績の向上は、両立するというよりも、ダイレクトにリンクしているのである。キーワードは「スピード」である。

/『サービス品質革命 「顧客とともに、CSを超えて」NECフィールディングの挑戦!』(高橋安弘著)

 

もちろん、納品前には機能面でエラーがないかどうかチェックをする専門工程を設けています。

error.jpg

 

上記はCS本部内の暗黙知を共有するための社内向けポータルサイトのキャプチャーです。

以前にこのコラムで書いた、リクルート社の「ナレパラ」に想を得て開発・運用を開始したものです。

ここで紹介しているページの内容ですが、納品前チェックの工程で、QC(Quality Control=品質管理)チームの専属スタッフが、決まった項目を検査していくのと同時に修正を行います。検査合格したWebサイトは、お客様への納品時に送付されるWebサイトデータが入ったCD-Rジャケット部に添付されるチェックシートにチェックが入る流れとなっています。

 

・ヒューリスティック評価法の99%は間違っている? /HCD-Net通信 #15(「Web担当者Forum」,2009年8月19日)

http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2009/08/19/6058

 

提供するWebサイトの規模や予算の都合もあって、一般のユーザーに設計上の問題を指摘してもらうユーザーテストまではおこなっていませんが、上記のように定期的に品質管理チームからWebディレクター側へフィードバックを返すことで、同じミスを繰り返さないような工夫をしています。

 

他にもいろいろ書きたいことはあったのですが、長くなってしまうので、この辺で終えたいと思います。

 

このようにして、当社CS本部では、「生産管理のQCD」として、ISO9000やプロジェクトマネジメントの考え方の基本(cf.「PMBOK(Project Management Body Of Knowledge)」)などにもあるように、製造業とは異なるものの、QCD――、すなわち、品質 (Quality)、コスト (Cost)、納期 (Delivery)が回るように各担当責任者がしっかり管理するという方針をとっています。

 

また、冒頭でもApple社を引用しましたが、Webサイトも製品とすれば上記のような品質管理基準があるのは当然かもしれませんが、Webサイトが難しいのはその後の運用があるということです。

もちろん、例えばiPhoneや、Webシステムのように、納品後も保守や瑕疵担保責任が発生することはありますが、当社の場合はその後も長くお付き合いをしてゆく前提でご契約頂くため、お客様がそのWebサイトから何かしらのベネフィットを得て頂かないとメリットを感じて頂けません。

乱暴な言い方をすれば、通常の製品を購入してうまく使いこなせなかったり飽きてしまった場合、高額なものなら我慢して使い続けたりするでしょうし、安価なものならそのままにしておいてしまうと思います。

企業のWebサイトとなり、保守・運用も費用対価を頂いて提供してゆくとなると、初期出荷状況が良ければそれで良いということにはならず、その後も市場変化に応じて様々なアドバイス、改善提案を続けていくことが求められてきます。

 

「QCD」だけ徹底していても解決されないため、CS本部ではそれらに加えて「S」についても注力してゆくこととしました。

 

この「S」は、製造業等で言えば「安全(Safety)」になるのですが、当社の場合は「サービス(Service)」と定義付けました。「サービス」分野についても他の業種にまで目を配れば、十分に管理、科学、イノベーションされたものが存在します。

Web業界でも採用できるスキームがあれば、当社では積極的に採用してきました。まだまだ発展途上の部分もありますが、「S」部分の紹介についてはまた機会を得た際にでも。今回のコラムはこの辺で。

 

企業にとって、消費者や顧客との関係を強化し、その関係を長期間にわたって維持することは、その企業と長い間取引をしてくれる消費者や顧客を増やすことでもあるので、極めて重要なことであることは言を待たない。では、企業が消費者や顧客との関係を強化したり、長期間維持したりするにはどうすればいいのだろうか。これには、企業が消費者や顧客との間で、常にリレーションシップを図る以外に方法はない。そして、企業がこの重要なリレーションシップを図る方法の一つが、電話の機能を利用したコールセンターの設置なのである。すなわち、コールセンターとは、電話を使って消費者や顧客の開拓や接触を行う専門の集中化された機能を持つ組織のことである。かくして、コールセンターは、消費者や顧客が必要なときに、気軽に問い合わせをしたり、相談したりできる機能と、企業側で任意に選んだ消費者や顧客に対して、見込み客を開拓するためのアプローチができる機能の二つの機能が統合されていることが必要であるとともに、大量にかかってくる電話に対する迅速な処理能力と消費者や顧客のいろいろな相談ごとや要求に対応していける高度な業務処理スキルを持った担当者の配置とコンピュータによる情報処理能力を備えていることが必要条件となる。

/『「顧客の声」を天の声にする会社―売りっぱなしは許されない! 花王の「消費者相談窓口支援システム」に学ぶ』(小西一生,禰津時男共著)

中小・ベンチャー企業も注目するASEAN市場 ~アジアビジネス関連セミナーや、ベトナム出張を通じて~

2011年07月30日 04:59 PM

 投稿者 小川 悟

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それにつけても思い出すのは、ある開発途上国に出かけていった二人の靴セールスマンの話である。一人のセールスマンは本社に次のような電報を打った。「当地にて靴を履く者皆無。セールスの見込み全くなし」。もう一人のセールスマンの電文はこうだった。「在庫の靴全部送れ。当地の住民は皆裸足。市場として絶対有望」。

/『MADE IN JAPAN わが体験的国際戦略』(盛田昭夫,下村満子,E・ラインゴールド共著)

今回のコラムは私個人の話から始めさせて頂きますが、7月はアジアビジネスに関する多くのセミナー、イベントに参加しました。

 

7日はブレインワークスグループ主催『Asia Business Conference』、10日にはベトナム人留学生の集いのイベント、翌11日は日経新聞社主催のグローバルリーダーズフォーラムキックオフセミナー、20日には東京商工会議所主催の『中小企業のための国際展開セミナー』、そして、月末には当社代表の木村とベトナム出張をし、見聞したことも多いため、個々の詳細は割愛させて頂くものの、各所で感じたことなどを包括して感想を述べさせて頂きたく思います。

 

 

vietnam-094.jpg

※ホーチミン出張時、空き時間に行ったBitexco Financial Towerのスカイデッキにて。入館料に20万ベト​ナムドン(約757円)かかる。地上68階、高さ265.5m(​六本木ヒルズ森タワーは、地上54階、高さ238m)、周辺はま​だまだ発展の余地を多く残していると思う。

 

 

月末には私にとって3度目となるホーチミン出張がありました。

今さらながら不思議に思ってしまうことがあります。ファーストフード店で言えばロッテリアやKFCはあってもマクドナルドはありません。日本製インスタントラーメンと言えば日清食品製品は現状まだ市場浸透しておらず、エースコック製品が並んでいます(日本国内のシェアでは10%を切るがベトナム国内ではシェアNo.1)。ブランド利用者数で見ると「Honda」が海外勢やベトナム国内ブランドを退け1位(交通手段はバイクがほとんどであるため)。しかし、個人宅に行ってテレビや洗濯機等の家電製品をチェックすれば、ソニーやパナソニックではなくサムスンやLG等の韓国勢が多かったり。当然ながら日本人の感覚からすると、まだ何となく違和感を感じます。

 

他にも、ベトナム初のモッツァレラチーズの生産販売(cf.ブログ毎度おおきにホーチミン。/masukodagama氏)はつい最近の話だったり。地下鉄は走っていないし、ホーチミンだけで700万人以上いるのにボーリングやビリヤード、ダーツ、カラオケといった娯楽施設も極少数で、ゲームセンターなどはありません。

 

日本で当たり前のことがベトナムでは当たり前じゃないこともしばしば。どれも小さな話のようですが、日本国内にいると体感できないことばかりで、こういったことはベトナムに限らずどの国でも起こり得る話でもあると思いますが、実際に現地に赴くか、中長期で滞在しないと気付かないことも多いです。

 

さて、前回のコラムでも書きましたが、今の日本における少子高齢化、人口減少、成熟社会、内需縮小、円高、エネルギー問題といったマクロ的指標で見た際のリスク要因に対する措置としては、長期的視点を求められる大企業の方が早く手を打っていると思うのですが、3.11の震災以降は中小・ベンチャー企業にとっても、業種・業態によって経営的煽りを受ける企業も多くあり、海外進出、殊アジアを中心とした新興国への進出・進出検討が増えていると聞きます。それは、先に書いたようなセミナーやイベントが多く主催されたり、テレビのニュースや特番などで度々テーマとして扱われるようになってきた風潮からも感じ取ることができます。

 

極めつけは、11日に発売された『週刊東洋経済』(特集:「6億人の消費市場を狙え! ASEAN」)でしょう。本誌のアジア特集ならば、近年の中国台頭などもあって以前にも特集されたことはありましたが、今回はASEAN――、つまり東南アジア特集です。今の東南アジアが、ビジネス誌の切り口でどのように語られるのか興味がわき手に取ってみたものでした。

誌面には、ASEAN諸国の国土面積や人口、GDP、PC・携帯普及率、消費力、日系企業の進出社数を比較したデータや、宗教や文化、法律、基幹産業、インフラ、国民性など、地政学的観点も踏まえて分析した上で「こう攻める」と箇条書きで書かれた戦略指南などがコンパクトにまとめられていて、興味本位で見るだけでも楽しめる構成になっていました。

 

ビジネスの側面におけるASEANの市場機会として、「(中間層が増大しつつある、6億人の)消費市場」、「(チャイナプラスワンとしての)生産拠点」、「中国・インドという2大新興国を中心とした商取引上の中継地点」が挙げられるかと思います。

 

確かに人口をとってみても、国力の指標の一つになり得ると思います。アジアでは世帯可処分所得が年間5,000ドル以下の、いわゆる「低所得層」が6割以上いると言われます。『コア・コンピタンス経営―未来への競争戦略』を書いた、故C・K・プラハラード氏『ネクスト・マーケット 「貧困層」を「顧客」に変える次世代ビジネス戦略』の中で、「Bottom of the Pyramid」と呼んだ――、最近では「Bace of the Pyramid」(BOP)と言い換えられた、つまり、世界に40億人いると言われる、1日あたり2ドルで生活する貧困層へ向けたビジネスも近年注目を浴びているようですが(cf.『BoPビジネス戦略 ―新興国・途上国市場で何が起こっているか』/野村総合研究所著)、これも人口という市場規模をベースとした考え方かと思います。

 

他にも、諸外国から格安航空会社(LCC=Low-Cost Carrier)が就航し、全日空・日航も新会社を設立・検討段階に入ってきていたりと、私たちの生活に身近なところでも変化が起きています。日本へ訪れる外国人観光客が増える期待が高まりそうな一方で、旅行代理店などでは航空券手配時に利用されなくなり収益低下を招くことも考えられそうです。私もどんなものか試しに、今夏計画しているプライベート旅行で旅程の一つをエアアジアで予約してみました。

 

前回のコラムでもお伝えしたように、今後の日本のビジネスシーンでは、製造業だけでなく、IT/Web業界やサービス業界、その他の業界であっても、アジア進出の機運が高まってくるような気がしています。それは、先進国である日本に元気がなく、逆に新興国、とりわけ対日感情の良いASEAN諸国が若くて勢いがあり、成長の伸びしろがあるように思えるのと、既に業界を代表するような勢いのある日系企業が市場を取りにいっているからです。

 

cf.

■「中小企業経営者500名へ海外進出に関する調査報告」

http://www.miraiz.co.jp/release2999.html

■ASEAN主要6か国における対日世論調査(外務省,2008年)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/h20/5/1179515_907.html

 

当社でも、今後増えてくるだろう中小・ベンチャー企業様のアジア進出時の、Webやネット広告に対するご期待にも応えられるように、当社でもそういった事例を増やしておきたいと思いました。

この記事に関連するテーマ

マーシャル・マクルーハン生誕百年、「メディアはメッセージである」 ~4月、当社第11期スタート、当社公式サイトスマートフォン対応化完了~

2011年04月10日 09:03 PM

 投稿者 小川 悟

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「ニュースはテレビの視聴者にとっては自動的に現実世界となる。それは現実と置き換わるのではなくそれ自体が直接的現実なのだ」ということになる。換言すれば「私たちは私たちがメディア(テレビであれインターネットであれ)を通じて見た(認識し、知覚した)そのものになる」ということだ。

/『マクルーハン 生誕100年、メディア(論)の可能性を問う』~『メディアの理解(メディア論―人間の拡張の諸相),有馬哲夫氏』(河出書房新社)

当社は4月1日から第11期に突入致しました。新たな経営テーマ、ゴールビジョンの元、年間の行動計画を立て、各部門各自がやる気に満ち溢れる時期となりました。

 

当社では早速、4月1日、当社公式サイト群(公式サイト、新卒採用サイト、中途採用サイト)のモバイル向けサイトをリニューアル致しました。

リニューアルに際しては、当社子会社の株式会社ファインズが提供する、携帯Flashサイト構築システムSUNNYを導入致しました。

 

■ガラケー(フィーチャーフォン)Ver.の表示画面

HP_official.jpg

■スマートフォンVer.の表示画面

SP_official.jpg

※以下QRコードをバーコードリーダーで読み取り頂くか、URLをメールで転送してアクセスして下さい。

URL: http://m.freesale.co.jp/

■QRコード

qr_official.jpg

cf.iPhone,Andoroid機種向け、QRコード読み取りオススメ無料アプリ

アドレス交換 Lite 【iPhone/iPod用】

QRコードスキャナー 【Andoroid機種用】

※QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。

 

ガラケーVer.は「SUNNY」の特徴であるFlashコンテンツを活用することで、コンテンツ量の多いケータイサイトにありがちな縦長スクロールのストレスがないUI(User Interface)にし、スマホVer.はフリック操作時のストレスを最小限に抑えるために、画面サイズに適したナビゲーションアイコンを設置、直感的な操作で目的のコンテンツへ到達しやすくなるよう「使いやすさ」に配慮した設計を意識しました。いずれも、通信速度を考慮した浅い階層構造を心掛けました。

 

昨今のマルチデバイス時代、TwitterやFacebook、mixiやGREE、Ameba等の人気SNS、ネットサービスのスマホ対応化もどんどんと進んでおり、中小・ベンチャー企業、店舗様のコーポレートサイトにおきましても、よりシームレスな各種サービス間のページ遷移が、今後ますます求められてくることになると考えられます。今後とも当社提供のWebサイト、ファインズ提供のSUNNYをどうぞ宜しくお願い致します。

 

 

さて、今回は第11期一本目のコラムとして、先のように、当社公式サイトのリニューアルをお知らせさせて頂きました。

今年2011年は、『メディア論』などで有名な、マーシャル・マクルーハンの生誕100年の年だそうです。マクルーハンは、私たちが通常「メディア」と称する際に「内容(コンテンツ)」そのものを言うことが多いと思いますが、マクルーハンはメディアそのものが情報を持った「内容」であるというようなことを主張しました。

昨今のように、PCやガラケーはもとより、iPhoneやiPad、デジタル・サイネージ、電子書籍リーダーなど、情報をアウトプットする"スクリーン"は多種多様となった、まさに「マルチデバイス時代」、また、先月のコラムでも触れましたが、中東の革命や、震災時の緊急連絡手段として、各種SNSや最新ネットサービスが活用されたりされるなど、折しも今年はマクルーハン生誕100年ということで、「メディア」「マクルーハン」について一般の関心が高まりそうな予感がしています。

 

 

期初のコラムとして、話を続けたいと思います。

東日本大震災から明日で1か月――、まだまだ未曽有の災害が残した爪痕は各地に残り、復興に向けて取り組まれている方の心労も絶えない時期かと思います。大変な時代ではありますが、一歩一歩、復興に向けて皆で取り組んでいければと考えております。

今日10日は統一地方選挙の投開票日であり、私も足を運んで参りました。今、社会的関心の高い被災地の復興、原発措置を含めた災害対策についてはもちろんのこと、そもそもの課題であった経済政策などに改めて当事者意識を持って対峙してゆく意味もありました。

 

昨今のニュースで、福島第一原発の電源喪失事故について「想定外」としていた過去の認識に甘さがあったという保安院・安全委からの発表があって、いわゆる「原発の安全神話」が大きく揺らぎ、反原発・脱原発のムードが高まっているところも見受けられます。過去、反原発を歌ったロック・ミュージシャンたちの映像などは、動画共有サイトで再生回数が今もどんどんと伸びていっています。

冷静になって考えてみると、なぜ日本のような地震大国、かつ国土の狭い国にあって、(建設中・計画中のものも含め)アメリカに次いで世界第2位の原発保有国となったのか。震災の特番などを見ていると、何やら、製造業の生産性と電力量との間に相関関係もあるといったことが説明されたりもして、日本の高度経済成長期に「多くの電力が必要になっていった経緯」があったことを想像させられます。今までそんなことは考えたこともありませんでしたが、確かに疑問に感じました。

 

今までの経緯や背景を窺い知るために、堺屋太一氏がオイルショック発生から2年後の75年に執筆された"予測小説"、『団塊の世代』を思い出して目を通してみました。本書は四話の短編小説の構成で、一話目が80年代前半、二話目が80年代後半、三話目が90年代中葉、四話目が00年の世界を想定し、主人公も舞台も独立した内容ながら、主人公が皆「団塊の世代」という共通項で統一された断章形式による未来予測小説という体裁になっている作品でした。

 

ここでは第四話「民族の秋」を引用してみます。

一九七〇年代の中頃から、欧米諸国は石油に替るエネルギー源の開発・利用に全力を上げた。全ての国々が、乱暴に思えるほどの勢いで原子力発電所を増設し、石炭の利用を拡大した。太陽熱や地熱、海洋エネルギー、風力エネルギーを利用する技術の開発にも、巨大な資金と多数の人材を投入して来た。だが、日本はそれに立ち遅れてしまったのだ。

理由はいろいろあった。(中略)最大の要因は、国民の間にエネルギーに対する危機感が乏しかったことだ。あるいは、国民大衆に対して、納得のいく説明を十分にしなかった関係者の努力と技倆の不足に責任があったのかも知れない。日本では、エネルギー問題の重要性を説く論調よりも、原子力発電所や石炭公害の危険を主張する論評の方が、はるかにマスコミに受けていたのである。

/『団塊の世代』(堺屋太一著)

念のため改めて断っておきますと、上記はあくまでも「予測小説」であって、「現実を描いた小説」ではありません。著書が75年に00年の日本、あるいは団塊の世代が活躍、悩むビジネスシーンを想像して書いた小説で、本文もその一節です。それでも、当時のムードを窺い知る材料にはなりました。

 

なるほど、確かにマスメディアにおいては――、これはかつて、このコラム(cf.「タイトルだけでクリックさせる ~タイトルの"修辞学"~」)の中でも触れたように、タイトル、もしくは記事の見出しは重要です。――私たちの業界では活用されるケースはそこまで多くはないですが、「フィア・アピール」はマーケティング、あるいは特定業種の販売手法では常套手段の一つではあるし、昨今「放射能がくる」とか某誌の見出しが問題になったりしたこともあったかと思いますが、「読んでおかないと身が危険になりますよ」とでも言わんばかりの打ち出し方のメディアは多く散見されるような気もします。

 

関連して言えば、他にも改めて今、未来予測として読むべき本があるとすれば、アルビン・トフラーのものなどでしょうか。

 

cf.未来学者アルビン・トフラーが予測する今後の40年を左右する「40の変化」(「ダイヤモンド・オンライン」,2010年12月29日)

http://diamond.jp/articles/-/10609

 

私の世代ではこうした過去の経緯は同時代人として実感が少なかったですが、これらを読む限り生活者は、目にするメディアによって多分の影響を受けてきていたことが今さらながら痛感します。確かに、日本が世界に誇る科学技術についての功績や抱えている諸問題よりも、起こった事故や政治家の汚職・失脚などのニュースの方が印象深く残っています。

 

また、太陽光発電についても、「チャレンジ25」、「チーム・マイナス6%」の頃から、ドイツの成功事例を横目に日本は国土が狭いし余計にコストもかかるため難しいといった議論がありましたが、直近は世論として自然エネルギーに傾倒してゆく可能性も考えられそうです。「原発(そのもの)が危険」という科学技術に対する不信というよりも、管理する側がリスクを予見しきれない、トラブルを対処しきれないということしか生活者には映らないだろうからです。もっと考えを巡らせると生活者は、エネルギー政策(国内供給はもとより、世界に対する技術提供含め)そのものよりも、脱原発に関心が高まっているということが想像できます。

そうなった際に難しいのは、どのように必要なエネルギーを調達するかということでしょうね。生活者の目からは、オール電化の家に住まなくてもやっていける、パチンコ店のネオンは過剰過ぎではないか?と生活者なりの節電に対する意識はそれはそれで重要かと思うのですが、企業の事情となると別で考えなくてはならなそうですね。

当社も本社では多くの企業様同様に節電を心掛けています。インターネット、Web業界で働く私たちにとって、電力は主に照明やPCの電源 となり、一番の留意点はサーバを止めないということになると思いますが、企業によっては、例えば半導体製造など「電気」そのものが生産性に関わるという ところも多いと思います。週刊ダイヤモンドの最新号の特集も「電力喪失」でしたが、今後の政府や電力会社の方針決定は、国民の安全を大きく左右することはもとより、日本経済復興にも繋がる意思決定となってくるでしょう。中長期的視点で見ても貴重な電力ですし、本質的な復興のためにも、こういった対策も同時に進めて頂きたいですね。

 

他にも、夜道が暗いという不便もあります。不便なだけでなく、実際に物騒な事件もニュースで散見され、治安面においても今までコンビニや店舗の看板などのありがたみを知ることになりました。

余談となりますが、学生時代に「(歴史の中の)照明」(象徴として、あるいはマクルーハン的に言えば「メディア」として)に興味を持った時期があって読んだ本がありました。『闇をひらく光 19世紀における照明の歴史』というものですが、以下に一部引用したいと思います。

ランタンは秩序を具現するものだったので、そこに加えられた攻撃は、いかなるものであれ、秩序へのささやかな反抗を意味した。したがってそれ相応の罰が与えられた。パリでは、街灯破壊が秩序違反(con-travention aux ordonnances)ではなく、刑事上の犯罪行為、それもほとんど不敬罪として扱われた。

/『闇をひらく光 19世紀における照明の歴史』(ヴォルフガング・シヴェルブシュ著,小川さくえ訳)

つまり、照明(光)の社会的役割として、単に周囲を照らすというだけでなく、防犯上の意味合いが、近代的な「照明」が発明されてすぐに生じていたということを示していると感じたものでした。何を節電して、何を節電しないのか、その辺の判断も難しいところであると感じました。

 

先述した保安院・安全委からの発表に先立ち、3月末、昨年の事業仕分けでひっそりと国の管理から外れたサービスがありました。私もこのコラムでかつて採り上げたことのある、科学技術振興機構の「失敗知識データベース」がそれです。

 

cf.失敗体験を通して創造力を生み出すために ~アポロ月面着陸40年、世界天文年2009~

http://www.web-consultants.jp/column/ogawa/2009/05/post-31.html

 

「失敗知識データベース」は2005年から運営されており、過去の失敗事例をデータベース化し、同じ失敗を繰り返さないように体系化してまとめられていたものでした。今では、失敗学会理事長を務められている畑村洋太郎氏の主宰する畑村創造工学研究所の管理下に移されています。

この中の「電力・ガス」のカテゴリの中に、過去の原発関連の事故も収められています。

 

cf.「失敗知識データベース」失敗事例 「電力・ガス」

http://www.sozogaku.com/fkd/lis/cat007.html

 

今回の「想定外」の事故と全く同様のケースはないので、仮にこれを畑村氏の提唱する失敗のヒエラルキーの中で「未知への遭遇」に分類するにしても、国の管理下から離れたとはいえ、是非、今稼働中の他の全ての原発を含め、同じ失敗は当然のこととして、想定されるリスクを繰り返さない対策をとって欲しいと願うばかりです。

 

最後になりますが、私たち一企業人として節電に対する意識など、もちろん局所的に最重要な問題ではありますが、中長期的に見ると、まだまだ考えなくてはいけないことは多いなと感じたことを表すために、先の『団塊の世代』(第四話「民族の秋」)後半の、主人公たちの会話部のみを引用してみます。

「僕らはむしろ責任者だと思いますよ。あの高度成長時代、いやそれに続く七〇年代・八〇年代の、まだまだ日本に力があった頃を無為無策に過して来たことの……」

「無為無策だったかね……」

「そうですよ。だから今、僕たちはエネルギー問題や財政問題で苦労してるんじゃないですか」

「先のことを考えないで、福祉だとかレジャーだとかで民族のバイタリティーをことごとくその日の消費に使ってしまった責任世代なんですよ」

「民族のバイタリティーというのは、時代の産物ですからねえ……」

「そうですよ。日本民族の春と夏は短かったんですよ」

「そうか、今は民族の秋か……」

<冬の準備を急がねばならん……>

/『団塊の世代』(堺屋太一著)

――となるのですが、今を生きる私たちは、まさに歴史の真っただ中にいるのであって、過去のことや、上の世代に責任転嫁していても何の解決も生まないということを感じました。

 

これはそのまま、私たちの仕事にも当てはまりそうです。後々どのような問題を孕んでいるのか、勝っているときだからこそ、潜在的に秘めているリスクも意識しつつ、今期はより一層、皆が当事者意識を強く持って、飛躍できる期にしていきたいと思います。

長くなりましたが、引き続きどうぞ宜しくお願い致します。

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映画『ソーシャル・ネットワーク』を観て視野を拡げる ~2011年「辛卯」の年、当社設立10周年を迎える年は明るい年に!~

2011年01月26日 11:53 AM

 投稿者 小川 悟

 この記事のパーマリンク

ネットの進化は個人の行動パターンを変え、既存産業の製品・サービス、売り方さえ変えつつある。いまだ最先端にある日本のネット技術やモバイルのノウハウを死蔵することなく、ネット業界が本格的に興隆すれば、日本経済再生の道もまた、開けてくる。

/『ソーシャル・ネット経済圏』(日経ビジネス・日経デジタルマーケティング編著)

皆さんこんにちは。2011年、最初のコラムとなります。今年もどうぞ宜しくお願い致します。

 

今年の干支は「卯」ですね。実は私、年男(4月で36歳)になります。いつの間にこんなに歳を重ねたのかと、日々焦る毎日を過ごしております(汗)。

「干支」と言うからには、「十干(じっかん)」と「十二支」を掛け合わせ、正確に言うならば「辛卯(かのとう、しんぼう)」の年ということになりますか。この「辛卯」ですが、今月15日で誕生10周年を迎えた「Wikipedia」によれば、「西暦年を60で割って31が余る年が辛卯の年」となり、60年に1度しか巡ってこない年だそうです。個人的には、このようにロマンティックに解釈すれば同じ卯年でも刹那的になり、より一層頑張らなくては!という気持ちに駆り立てられてきます(笑)。

 

cf.卯年は株式市場「最強」の年? 跳ねるうさぎの飛躍の年(「東洋経済オンライン」,2010年12月07日)

http://bit.ly/f6wDjx

 

さて、先の「Wikipedia」が10周年を迎えた2011年、便乗して言えば当社も8月で10周年を迎えます。そんな15日(土)、当社では管理職向けの研修があり、各拠点の管理職も含め本社に集まりました。このことについては、CS本部の松谷がコラムに書いていますのでご参考下さい。 研修をファシリテートして下さる外部コンサルタントの方からは、普段私が意識していないようなお話を聞くことができ、毎回ハッと気付かされることも多いです。

今回の研修の中でもマクロ環境について話し合う時間があり、そこで、韓国企業は今なぜ強いのか?という話題があり、国家的な戦略として私企業を支援しているというような話がありました。日本でも法人減税の議論が出ていますが、まずは私企業が、というのはもちろん、日本経済ひいては世界経済が好転する政策になれば良いなと感じています。

 

――研修終了後、私はかねてより同僚と行こうと言っていた、映画『ソーシャル・ネットワークを観に行きました。日本で公開される前から話題の映画で、ゴールデン・グローブ賞では最優秀作品賞を含め4冠、アカデミー賞では作品賞など8部門にノミネートされました。

映画を観る前までは、率直にFacebookを知らない人が見て、面白く感じる映画なんだろうか?と疑問に感じていたのですが、他にもIT業界の人、Facebookをはじめとした各SNSの利用ユーザー、起業家・投資家、映画好き、監督(デヴィッド・フィンチャー)作品好き、米名門大学の校風に興味を持つ方等、客層を想像しましたが、今になってよくよく考えてみれば、いわゆる今の「Facebook」の楽しさについて描かれているわけではないので、多くの方が興味深く観ることができる映画かもしれないし、話題性から新規で登録する人も増えるのではないかと思いました。

 

今回のコラムでは、私がこの映画を観て感じたことを織り交ぜながら、まずは今年最初のコラムということで、景気の良い話をして関わる方々を元気にしていこうという気持ちを表明したいと思います。

 

昨今ネット上のニュースでも、特に「Facebook」の話題が多いですね。運営元のFacebook, Inc.は2004年に創業、創業者のマーク・ザッカーバーグ氏が創り出したSNS(Social Networking Service)、「Facebook」は2011年1月15日時点で時価総額500億ドル(約4.2兆円)、ユーザー数6億人に迫り、その膨大なユーザー数から一つの国家として、「中国、インド、フェイスブック」と例えられる規模のサービスに成長しています。確かにここまでくると、「文化」を超えてもはや「文明」ですね。

 

cf.CheckFacebook(各国のFacebook利用者数や属性を見ることができます)

http://www.checkfacebook.com/

 

『Facebook 世界を征するソーシャルプラットフォーム』(山脇伸介著)というタイトルの新書も出ていますが、Facebookのような巨大SNSが話題になったことで、「プラットフォーム」(cf.大前研一氏)という言葉がしばらくキーになってきそうです。

つい先日は、米Appleが提供する「App Store」でのコンテンツダウンロード件数が100億件を突破したとリリースがあり、キリ番を踏んだ方とダウンロードしたゲームが公式サイト内(cf.「アップル - iTunes - 100億Appカウントダウン」)で紹介されていましたね。今のようにITが変えた、フラット化された世の中においては、ゲームや音楽、本(、靴でさえも!)を購入するのに、リアルな店舗に行かなくても購入できるようになってきました。

 

このように港をおさえたり、流通をうまくコントロールして主導権を握ってきた日本の企業について、私も岩崎弥太郎(cf.「2010年、フリーセル創業10年目という節目、お客様に感謝の気持ちと原点回帰の想い ~大河ドラマ『龍馬伝』を見て感じたことなど~」)やTSUTAYA(cf.「「日本の広告費 2009年」発表、新聞を抜きテレビに次ぐ第2のメディアとなったインターネット ~マクロ環境から読み解く、「モノの流通」から「情報の流通」への大転換期~」)を引き合いに出して私見を述べさせて頂いたことがありました。 

たとえば、通信会社であるNTTドコモは、もはや業界トップ10に入るクレジットカード会社になっています。アップルはパソコンメーカーというよりもすでに音楽配信事業者・音楽携帯端末メーカーという位置づけでしょう。こうした動きはアマゾンやグーグルによる電子書籍端末の発売においてさらに加速していくでしょう。

/『21世紀の競争を支配する「場をつくる」技術 プラットフォーム戦略』(平野敦士カール、アンドレイ・ハギウ著)

 

『週刊ダイヤモンド』最新号の特集も、「2011年フェイスブック(Facebook)の旅」で、この「ソーシャルプラットフォーム」を上手く活用した事例として一部で話題になったかと思います。表紙に約500のユーザーのアイコンが散りばめられ、雑誌の表紙としては大変インパクトがありました。これは、同誌2010年1/23号の「2010年ツイッター(Twitter)の旅」に続いて、Twitterでフォロワーを募集したキャンペーンの要領を再び活用し、今度はFacebook内ファンページ登録を促したマーケティングでしたが、このアイコン祭りをTwitterでも呼び掛けることで口コミ効果で拡がりファンページの登録者を増やし、雑誌も売れ、さらにFacebookの認知度が上がり利用者が増えるという相乗効果があり、メディアミックスの好例だと思いました。

 

そして――、

創業者のマーク・ザッカーバーグが言っているのは、(中略)フェイスブックを活用すればこういう未来が来ると、自分たちもはっきりわかってやっているわけではない。むしろ、使っている人たちが想像しながら創造するものなんだというメッセージングをしています。

/『週刊ダイヤモンド』 2011年1/29号「2011年フェイスブック(Facebook)の旅」、フェイスブック日本支社代表 児玉太郎氏のインタビュー記事より。

――上記にもあるように、「mixi」や「GREE」の黎明期の秘話にも通ずるような、まさにSNSをSNSたらしめている「ソーシャル・ネットワーク」を活かした手法で面白いと感じました。

 

cf.

・Webサービスのビジネスモデルはユーザーが考える時代?(「ITmediaニュース」,2004/08/23

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0408/23/news032.html

・「それでいい、楽しいから」――7万人の町「GREE」を一人で作ってる会社員(「ITmediaニュース」,2004/07/30)

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0407/30/news006.html

・【mixi版】無敵会議

http://mixi.jp/view_community.pl?id=17965

※「mixi」内のコミュニティ(要ログイン)

 

日本の代表的なSNSである「mixi」や「GREE」、「モバゲータウン」、あるいは「カフェスタ」あたりとの比較については他サイトでいくらでも論じられていますので割愛しますが、企業にとっては商用利用が許され、かつファンページの設置自体は無料のため、参入しやすいからか先般より参入企業が増えているという記事も見かけます。

また、よく言われるのが「実名制」を採用しており、さらにFacebookインサイトという分析機能があるため、ファンページへの登録ユーザー数をマスに近いくらい伸ばせるブランド力・集客力を持った大手企業であれば、これほど初期コストがかからず、リスクの少ないマーケティング手段はないのではないかとも思えてきます。

 

ところがこれだけ話題になっているFacebookも、日本の登録ユーザー数は現在200万人程度と言われます。先の「mixi」や「GREE」、「モバゲータウン」が2000万人以上であるのに比べると、一長一短を感じる人がいてもおかしくありません。Facebookにしても、この手の議論によく引き合いに出される、世界最大の3D仮想世界コミュニティ「Second Life」にしても、日本で成功する、受け入れられるかどうかの成否を決める要素の一つに「言葉や文化の壁」を感じました。事実、冒頭に引用した『ソーシャル・ネット経済圏』に登場する、米グルーポン、英プレイフィッシュ、米エバーノート、「ハンゲーム」のNHN Japanの経営陣からも「日本語は難しい」という声が聞かれます。

 

TwitterやFacebookの日本への進出、流行の様があまりにセンセーショナルで、「プラットフォーム戦争」などとも騒がれるために、規模の大きなものやAPIの公開によるオープン化が進んだプラットフォームを画一的に評価する意見も耳にしますが、同じプラットフォーム戦争でも、「ベータ VS VHS」戦争のときのような規格寄りの競争でもなく、各社次世代ゲーム機のコンセプトや準じるソフトの質の競争というものでもなく、SNSの競争の軸はソーシャル・ゲームにしても、ソーシャル・グラフにしても、あくまでも「コミュニケーション」から生まれるものではないのかと感じています。その「コミュニケーション」を形成する主な要素が「言語」と「文化」かと考えています。

分かりやすく言えば、6億人が集まるFacebook内のゲームアプリに、Zynga社の「Frontierville」や「FarmVille」、「CityVille」といった、どれもMAU(monthly active users)が数千万人規模のゲームがあります。例えばこれらのソーシャル・ゲームの遊び方やルールは大抵同じですし操作も簡単ではあるのですが、非英語圏にいる私たちにとってみると、英語を主言語とするゲームでプレイするのに抵抗を感じませんか?上記の内「FarmVille」は、昨年末にmixiモバイル上に「ファームビレッジ」として移植されましたが、ここまできれいに移植されれば十分に楽しめます。しかし、他社や個人開発のどのゲームもすべてがここまでうまく移植されるとは思えません。結局日本ではプラットフォーム自体の利用者数やゲーム自体の面白さや話題性も重要かもしれませんが、それ以前に、日本語にきれいに訳され、グループでの行動を促すような日本人の好む文化にゲームコンテンツを溶け込ませないと流行らないのかもしれません。また、それだけでなく、ただでさえバブルのように急増しているソーシャル・ゲームであるため、いわゆるアタリショックのようなリスク回避のために、品質維持やよりリアルな人々の生活やコミュニケーション形態に沿ったものとするための工夫や改善を常におこなってゆく必要がありそうです。

 

以前、このコラムの中でも、サービス業は「言葉や文化の壁」があってイノベーションが生まれにくいということを書きましたが、この「壁」が「障壁」となっているのか、果たして「防壁」なのか、見る立場によって異なるのかと感じます。

例えば世界経済フォーラム(ダボス会議)で、「日本の携帯電話などのIT製品・サービスは独自の進化を遂げてガラパゴス化している」と言っても、海外の経営者はほとんど理解してくれません。まず、ガラパゴス諸島について説明しないといけないほどです。

/『ソーシャル・ネット経済圏』、「日本のトップ、ネット知らず」(夏野剛氏に聞く)より

そもそも「ガラパゴス化」という言葉自体が和製英語化し、世界に通用しないという側面もあるようです。

 

昨年は「まちつく!」、「バンドやろうよ!」、「海賊クロニクル」といった人気のソーシャル・ゲームの開発で有名なウノウ株式会社が、ソーシャル・ゲーム界では世界最大のZynga Game Network Inc.に数十億円で買収されました。日本産のゲームが世界に通用しないわけではないということを証明した、日本のIT業界では大変話題になったニュースでした。つまり、「見る立場によって異なる」というのは、外国の有名ゲームの日本語化が進まずに日本が孤立化しているというよりは、「日本語が難しい」だけなのであれば、日本産のゲームが世界に進出すれば有利になることもあるのではないか?とも思えてくるということです。そういった意味で今後の動向が気になるのが、サイバーエージェント社の「Ameba Pico」(「アメーバピグ」の海外版)ですね。今度は日本のIT企業が中心となって各国のIT企業と提携を進めたり、果ては逆に買収したりして明るい未来を切り開いていってくれると良いなと単純に想像してみたりしていたいと思います。

 

cf.日本のソーシャルアプリはFacebookで成功する? Ameba Pico100万人から見えてくるもの(「TechCrunch Japan」,2010年6月17日)

http://jp.techcrunch.com/archives/20100617ameba-pico-jp-social-application/

 

昨今の一層のグローバル化の波の中で、外資系企業や輸出業に関連する企業に限らず、有名IT企業の社内英語公用語化の是非が随分と論じられてきました。当社には現状そのような制度はないですし、私自身英語ができるわけでもないので議論の場にも出れませんが(汗)、こういった制度を新規で導入することによって必然的に生じるのが「変化」かと思います。軋みを伴うものかもしれませんが、少なからず「変化」が生じ、そこから何か新しいものが生まれてくる(イノベーション)ようなイメージはあります。会社で制度化することによって、どの価値観が優先されているのかという意思表示にもなり、スピード感がもたらされる印象も受けます。確かに婉曲表現に使うための横文字・カタカナ文字(和製英語)や、氾濫する新書の書籍タイトルなどでやはり氾濫する造語で足りない頭を満たすくらいなら、異文化コミュニケーションのための正確な言語を学びたいという気持ちはあります。社内英語公用語化の是非を語る上では置かれている立場や求められる業績、目的など比較対象になるものが必要ということですね。

 

このことは人が「必要」に迫られないとやる気にならないのと似ていて、企業もまた、「必要」に迫られないとやろうとしないでしょうし、そうした「壁」に直面していない外部の人にとっては中の人以上に置かれた状況を知ることはできないものなのではないかと想像します。もしかしたら、選択肢としてより最良のものがあるかもしれませんが、そもそも「最良の選択」は人によって違う筈で結局は「自分の意見+世の中のいろいろな最良な意見」の中から選択する必要が出てきます。基本的に情報の発信者は自身の意見が正しいと思って情報発信すると思うので、意見が割れた段階で人によって「正しい意見が異なる」ことが証明されます。また、通常の考え方として今まで継続的に成果をあげてきた人が、ある日突然、声を荒げて警鐘を鳴らす程の致命的なミスジャッジをすることは考えにくいし、重要なのは常に改善を繰り返し、より良い状態に昇華していけるリーダーの強い意志と習慣、そして、リーダーの思いの本質を理解して支持をした中の人とステークホルダーの強いコミットメントと行動、もたらした結果とであって、外部の評論家がその一部を担うことはあっても、決定付けた歴史はあまり見られないことは過去に何度も証明されてきたことだとは感じます。

まさに「世界とつながって仕事をする時代」。これは事業機会のグローバルな広がりと同時に、企業がかつてなく激しい国際競争の渦中に投げ込まれたことをも意味している。

/『実践ダイバーシティマネジメント 何をめざし、何をすべきか』(株式会社リクルート HCソリューショングループ編著)

近年、日本の文化は、元来内向きなところがあるとよく言われてきました。

1982年に日本で刊行された李御寧(リー・オリョン)氏の『「縮み」志向の日本人』の中では、石川啄木の「東海の小島の磯の白砂にわれ泣きぬれて蟹とたはむる」や「春の雪銀座の裏の三階の煉瓦造にやはらかに降る」の短歌が挙げられ、「の」が3度も重ねられて小局へとズームイン、フォーカスされていくような描写――、「世界を縮めようとする」「入れ子型」の感覚に「縮み志向」を読み取っています。

 

「平成の開国」期、製造業などの世界進出(日本脱出?)はよく聞かれるニュースですが、2011年以降のデジタルマーケティングの潮流を推測しながら、昨今のグローバル化でサービス業のイノベーションも問われるか?といったところも、最新ニュースの観点の一つとなってきそうです。

 

映画『ソーシャル・ネットワーク』の内容とはまったく関係のない話になりましたが、私はこの映画を見て、以上のような思いが巡りました。

 

今後、Web業界だけに留まらず、より一層進んでくる「ソーシャル化」の波の中で、2011年以降の日本の市場は、また企業内でも同様ですが、出る杭を打つかのように互いに潰し合ったり足を引っ張り合ったりする競争ではなくて、互いの強みや業績を応援し合うような競争が今まで以上に求められてきているのだと感じます。

 

当社も今年8月で、設立10周年を迎えます。今年2011年は、企業理念にも掲げられた「共存共栄」の精神をもっと磨き上げて、より大きな価値を生み出し、跳ねる年としていきたいと思います。今後とも引き続きどうぞ宜しくお願い致します。

 

 

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顧客満足度調査を実施し、コンタクト・ポイントを整備する ~「歯科受付スタッフ"対応力アップ"実践セミナー」を終えて~

2010年09月19日 05:35 PM

 投稿者 小川 悟

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小売店の顧客満足で、お客さまが我が社を離れる理由を調査した人がいる。これが非常に興味深い。
お客さまの店離れが起きた理由は、顧客の死亡や引越し、競合他社の品質や値段により強い魅力を感じた、などさまざまだが、なかでもダントツに多かったのが「従業員の態度が気にくわないのでやめた」という理由だったのである。
/『社長が押さえておきべき30の基礎科目 経営の教科書』(新将命著)

先週の12日(日)は、2本立てでセミナーを行い無事終了致しましたので、こちらでご報告させて頂くとともに、参加頂いた方の多くがお休みの中、わざわざセミナー会場であった当社まで足をお運び頂いたことにお礼を申し上げたく思います。

 

■当社プレスリリース

【歯科医師限定セミナー第2弾】吉野真由美氏を招き、「自費率が2倍になるプレゼン話法」「自費患者集患のためのWebセミナー」を同時開催(2010年08月19日) 

【歯科受付スタッフ限定】患者と歯科医院の信頼関係を深めるための「歯科受付スタッフ"対応力アップ"実践セミナー(無料)」を開催します(2010年08月23日)

 

私はどちらのセミナーもお手伝いを兼ねてご一緒させて頂いていたのですが、今回のコラムでは特に後者を中心に関連したことを書いていきたいと思います。と言いますのも、今回講師を務めさせて頂いたのが、私の見る部門の中でコンタクトセンターを管理するCS課長であり、セミナー終了後のアンケートでも「大変参考になった」といったご意見を多く頂いたこともあって、このセミナーの意義のようなものをお伝えさせて頂きたいと思い至った次第です。

 

 「歯科受付スタッフ"対応力アップ"実践セミナー」は、セミナータイトルにもあるように、歯科医院の受付スタッフの方を対象としたセミナーで、ビジネスマナーの基本的な内容を中心にお話させて頂きました。このコラムをご覧頂いている皆様の中にも、歯科医院に電話した際、実際に行った際に、受付の方の対応に満足した方もいれば、不満を感じたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 

当社は歯科医院の検索・予約のためのポータルサイト歯科タウンを創業期から運営している関係で、歯科医院に対するWebサイト制作などを手がけるのはもう10年目になります。Webを通じた集患や求人のお手伝いはもちろんのこと、自費診療を希望する患者様とのWebサイトでのマッチング率の向上など、歯科医院だけで2000サイト以上を制作して参りました。そこに至るまでには、営業担当やCS部門のディレクターやクリエイターなどのスタッフを通して、歯科医院側や多くの関係者の方、また一般ユーザー向けのプレゼントキャンペーン時のアンケート等から貴重な意見も多く得ることができました。その中のニーズの一つが「受付スタッフの対応力向上」でありました。

Webサイトや口コミ、紹介を通じてせっかく患者様から連絡があったり来院されても、受付の対応が悪くて、実際に来院しなかったり、自費診療に不安を感じて他の歯科医院に行ってしまわれては意味がありません。

 

このように、Webサイトや受付スタッフのように、企業側の有するブランドが「お客様(患者様)」と接点を持つ部分を、「コンタクト・ポイント」と言います(他に、企業によっては「タッチ・ポイント」、「EXポイント」などと呼んだりされています)。

 この「コンタクト・ポイント」がお客様に与える影響(または、「顧客経験価値(カスタマー・エクスペリエンス)」)の重要性にいち早く気付き、改善を繰り返すことによって企業ブランドが形成され、他社との差別化になると一般的に言われています。

 

cf.『ブランド価値を高める コンタクト・ポイント戦略』/スコット M. デイビス, マイケル・ダン著

 

事実、ブランド・ロイヤルティ形成のために、ステークホルダーに対して企業価値の向上に対する取り組みを恒常的におこなってゆく必要性の高い大手企業の多くでは、かなり以前から「コンタクト・ポイント」の整備にはこだわり続けてきていたと思いますし、行政では「窓口サービス満足度調査」の類をおこなっています。飲食チェーンや、スーパー、コンビニなどでは、本社の覆面調査員が定期的に回ったり、外部に委託して「来店客調査」を行っているところもあります。

 

今回のセミナーでは、歯科医院にとってもっとも重要な「コンタクト・ポイント」の一つである「受付スタッフ」の方々に、実際に座学と演習を交えたセミナーに参加して頂くことで、普段の仕事にお役立て頂くことを目的としていました。

現在当社では、歯科医院向けに「患者満足度調査」のサービスも提供できるようになっておりますので、是非ご利用頂き、恒常的な改善に繋げていって頂きたいと考えております。

 

さて、以上のように「コンタクト・ポイント」の重要性を、簡単にですが述べさせて頂きました。ところが、当社のお客様層である中小・ベンチャー企業の中には、なかなかこういったところまでは時間や予算的にも回らないというところは多いようで、歯科医院においても医療法人や個人経営を問わず、そういった医院は多いようです。

 

実は私自身も、お客様にサービス提供を行う部門であるのと同時に、発注側に回ることもよくあります。現在お付き合いさせて頂いている複数の協力会社様も、数年に渡りお付き合いを継続させて頂いております。どこも会社の規模で言えば大小様々ですが、共通して言えるのは「担当者」というコンタクト・ポイントに信頼感を持っているということでしょう。今までにお取引がなくなってしまった協力会社様もありますが、当社事情で解消になったものを除くと、私やCS本部の発注責任者が相手方担当者とうまくいかずに取引が解消になった事例がほとんどです。

 

当社でもそういった「発注側」の観点(お客様の立場)からの気付きから危機感を持ち、以前から不定期におこなってきた顧客満足度調査(CS調査)を、今期からは定期的に実施するように方針決定致しました。

※協力会社様との間、各生産工程間の品質管理フィードバックは数年前からおこなっています。

 

■顧客満足度アンケート実施レポート(当社公式サイト)

http://www.freesale.co.jp/service/customer.html

 

cf.Webサイトが完成した直後のお客様にアンケートをとる!?|Webコンサルタントjpコンサルタントコラム(吉田 亮)

http://www.web-consultants.jp/column/yoshida/2010/05/web-1.html

 

当社では、一お客様(一企業)に対して複数の部門が関わります。お客様の現状課題を吸い上げ、競合調査をおこない、その解決のための企画提案を行う営業部門に始まり、Webサイト納品時まで設計やスケジュール管理全般をおこなうWebディレクター、他に実際に顔を合わせるケースは少ないものの、Webサイトのコンテンツを制作するWebライターやWebクリエイターといったように納品までの工程の中だけでも、サービスや成果物に対するお客様の評価が決定するポイントが幾つか存在します。

 

「Webサイトの納品」という、業務の極一部ではありますが、当社サービスの肝となる部分でもあるため、工程別に細分化してご意見が受けられ、かつ分析可能なように、設問に工夫をしてあります。この顧客満足度調査の結果は、毎月当社の役職者が集まる会議で共有されるため、各工程の担当者にとっては、悪い言い方をすれば手を抜けないということになるのかもしれませんが、逆に言えばお客様からの絶対評価を得られ、それを上席者にアピールするチャンスの場にもなり得るため、サービスや成果物の品質維持・向上を図るための策でもあると考えています。

 

  当社が手掛けるWebサイトの内、ある程度予算に応じて規格化された規模感のものと、発注者(お客様)の希望要件を満たしてゆく請負型の仕様のものとがありますが、前者においても規格化されるものはページ数や設計、大枠のスキーム部であって、実際の内容はお客様によってまちまちとなります。また、お客様によっては新規に販売をスタートさせたばかりの商品やサービスを扱うWebサイトを求められるケースもあり、共に設計・構築してゆく醍醐味がある一方で、しっかりとした業界知識や企業理解などのマクロ的な視点が求められるため、小規模のWebサイトであっても構築までにそれなりの時間がかかったりします。

 

大体2~3ヶ月間ですが、Webサイトは定型の形がある物ではなく、またすべて人と人とが創り出すものであるため、ときには小さなトラブルも発生します。特に制作工程に関わる属性のスタッフは、ともすると技術やアイデア出しに注力するあまり、お客様との基本的なコミュニケーションを欠いてしまうきらいがあるため、その間、個々のコミュニケーション・チャネルを全体的に管理してゆくための一つの手段としても機能させ、この制度によってそうした側面でも品質が向上してゆくことを目指しています。

 

コンタクト・ポイントという観点で見ると、先述した「受付スタッフ」、「社内担当者」などの従業員はもちろんそうですが、Webサイトもそれに該当します。

様々な環境下から訪れるユーザーに対する、ホスピタリティ溢れる設計、文章・デザイン表現などを今後も心掛けていきたいと思うのと同時に、成約に大きく絡んでくる部分であるとも思われるため、当社お客様の中でまだコンタクト・ポイントの整備に注力されていらっしゃらない企業様がいらっしゃった際には、整備をお勧めしていきたいと思っております。

 

それでは、今後とも当社提供サービスをどうぞ宜しくお願い致します。

 

 

物が売れない時代に、いかにサービスで差別化するか? ~顧客満足度指数の確認に、朝礼・終礼や電話応対等の日常業務を活用する~

2010年03月16日 10:22 PM

 投稿者 小川 悟

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We are Ladies and Gentleman serving Ladies and Gentleman.

紳士・淑女をおもてなしする私たちもまた紳士・淑女であるべきです

『心のこもったおもてなしを実現する サービスの手帳』(林田正光著)

 

3月初旬は各種セミナーへの参加と、当社自体でもフリーセル大学にて、「サイト品評会」をアップグレードさせた、アクセス解析を用いたサイト改善案出し等を中心としたグループディスカッションが開かれたりなど、期末にあって慌しいスタートとなりました。

 

■(下)「フリーセル大学」でのスタッフの発表風景。納品後のお客様のWebサイトを実例に、初回打ち合わせ時のヒアリングシートや直近のアクセス解析結果等からサイト分析を行い、改善案をグループディスカッションし、結果発表を行った。

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まず、インサイトラーニング株式会社の代表取締役・箱田忠昭氏による管理職向けセミナーへ参加、続けて翌日は、株式会社HAYASHIDA-CS総研の代表取締役・林田正光氏のセミナーへ参加して参りました。

 

各イベントについての詳細は機会があれば触れることにしますが、ここではこれらの内容に関連するかのように興味深い記事が発表されましたので、そちらをご紹介したいと思います。

 

■待望の「業界横断」顧客満足ランキングが登場!(「日経ビジネスオンライン」,2010年3月16日)

http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20100315/213389/

 

これは、サービス産業生産性協議会が日本で初めておこなった「日本版顧客満足度指数(JCSI)」の調査結果を元にした記事です。

 

cf.平成21年度 JCSI(日本版顧客満足度指数)調査結果発表 ~利用者のべ10万人に聞いたサービス業29業界の優良企業~

http://www.service-js.jp/cms/show_news.php?id=212

 

これは興味深い取り組みです。

観光庁発足時にコラム(cf.『観光産業のWeb戦略への取り組みはどう変われるか? ~10月1日、国土交通省「観光庁」発足~』)を書いたことがありましたが、観光産業にはサービス業が付き物です。サービス業の強化がそのまま観光収益に繋がるわけですから、観光産業はサービスレベルを向上させなくては始まりませんね。

ということで、第1回の総合1位は、レジャーイベント業界1位の東京ディズニーリゾートでした。東京ディズニーリゾートについてはこれもまた以前にコラム(cf.『不況に負けない「原因」と「結果」の創り方 ~ディズニーリゾートにサービスの本質を学ぶ~』)で採り上げたことがありましたが、突然の調査においても見事に1位に輝くというのは、普段からの変わらぬ信念に基づくものなのだろうと想像しました。

 

この調査は、実際の消費者を対象にJCSI(日本版顧客満足度指数)が掲げた、以下6項目(21設問)に加え業界個別の質問等90設問をおこなったものだそうです。

 

[顧客期待]利用前の期待・予想
[知覚品質]利用した際の品質評価
[知覚価値]価格への納得感
[顧客満足]
[クチコミ]他者への推奨
[ロイヤルティ]継続的な利用意向

 

こうした指標(KPI)は、CS本部の目標設定をする上でも、全部が全部でなくても大変参考になります。

 

「物が売れない時代に、いかにサービスで差別化するか?」

 

これは業界問わず、どの企業でも課題になっているのではないでしょうか? その証拠に、先の林田氏講演の「会社が変わる! 社員が変わる! CS・ホスピタリティセミナー」には、多くの業種・職種、職位、年齢の方がご参加されており、質疑応答時は自社のケースをご相談される方が多く、大変興味深く拝聴させて頂きました。

 

■(下)林田正光氏の「CS・ホスピタリティセミナー」を受講した際に頂いた修了証

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第三次産業は、GDPベースで見れば日本経済の実に7割を占める産業です。

であるにも関わらず、近年、サービス業の生産性は低い水準のままとなっています。これは旧来型の日本の産業が「ものづくり」中心で、世界的評価もそこに集中していたことが一つ言えることかもしれません。今や「世界の工場」は日本ではなくなり、高度経済成長期の製造業の隆盛を引きずったまま幻想に身を委ねていると、ホワイトカラーの仕事でさえ発展途上国に奪われかねない世の中になってきました。

 

また、それに絡めて、「言葉や文化の壁」も大きいと思います。オフショア開発が難しいと言われる所以もそこにあると思いますが、逆に海外の「ものづくり」や「サービス」が日本へ進出する際に参入障壁となるのが言葉や文化の違いだったりすると思いますが、そういう点でサービス業は製造業とは異なり、世界の競争に揉まれることなく日本の「サービスレベル」は日本のペースでイノベーションが図られてきたと言えるかもしれません。

 

【ものづくりと比べて、軽視されるサービス産業】

日本では「ものづくりが重要」ということについて経済界・国民の間にコンセンサスがあるがサービスについてはそれがない。

【サービス科学・工学の重要性】

サービス産業はちょっと工夫すればとりあえず事業が成り立ってしまう。製造業は研究開発をしないと生き残れないが、サービス産業はそうではない。それだけにさらに組織的に研究を深めようという取組がサービス産業では生まれない。

/『サービス産業におけるイノベーションと生産性向上に向けて』(経済産業省編)

 

想像してみるとよく分かります。

私は深夜のコンビニをよく利用しますが、コンビニによっては店員に日本人がいないケースがあります。多くのケースでテキパキとレジを打つ様子は見られず、レジにお客様が並んでも、周囲で棚の整理などを行っている店員が、気を利かせて手伝いにくることも多くありません。また、レジで購入する際も、「いつもありがとうございます」といった言葉もなければ、店員の顔に笑顔もありません。しかも、このことはコンビニが普及してから、あまり変わり映えのない日常の出来事となっています。「店長がちょっと教育すれば、思い切り変わるのに」と思ったことが何度もあります。

 

私は学生時代、ガソリンスタンドでアルバイトをしていたことがありました。その頃の思い出として私は、所長がいつも「ガソリンスタンドと言わず、サービスステーションと呼びなさい」とおっしゃっていたことを思い出します。日本ではまだセルフ式ガソリンスタンドが登場する前の話でしたが、確かに仕事の幅は給油に限らず、手洗い洗車から窓拭き、オイル交換やタイヤ交換、車検代行まで、単なる物の販売ではありませんでした。私のいたガソリンスタンドは完全歩合制でしたが、元気良く挨拶を続けていると固定のお客様に気に入って頂き、そのお客様がいらっしゃると同じアルバイト仲間が気を使って私に給油作業を譲ってくれるようになります。お客様もだんだんと世間話をしてくれるようになり、やがて商品を購入する際は私を指名して行われるようになっていきました。

 

この目で見て分かる「顧客心理の変化」こそ、接客業、ひいてはサービス業の醍醐味でないかと当時思ったものでした。

 

以上、この記事がサービス業全体に競争原理を生み出すことは必至だと感じました。これによって、物(製品)で差別化が図りにくかった昨今の市場において新たな指標が明示されたわけですから、当社が一般的に括られる「IT企業」もサービス業にはカテゴライズされなかったものの、中小・ベンチャー企業に向けたサービスを提供するといった側面では、参考にすべき指標だと感じました。

 

冒頭に掲げた林田氏の『サービスの手帳』の一節は、今の私たちに気付きを与えてくれます。紳士・淑女は大袈裟までも、経営者の方を相手にした仕事ですから、私たちも経営者と同じマインドでお客様に接する必要があります。こういった意識の醸成には、朝礼や終礼が便利です。私の見るCS本部に、「コンタクトセンター」というチームがあります(cf.『「コンタクトセンター」発足から1年 ~「顧客の声(VOC)」に耳を傾けることの重要さ~』)。このチームでは早速、『サービスの手帳』 を購入し、朝礼や終礼で一つずつチームで共有するように取り組んでいます。最初は他人事に聞こえたような手帳にある言葉も、毎日の習慣の中で読み上げられていくと、いつしか自分の意見のように感じてくることがあります。やがてこれらが行動に現れるまでしっかりと続けていきたいと思います。

 

また、このコンタクトセンターでは、1、2ヶ月前に簡易のCTI(Computer Telephony Integration)を導入しました。インバウンド専用に近いもので、主にポップアップ機能に特化したものです。お客様から電話がかかってくると、内蔵された顧客DBを参照して、お客様の管理情報がPCの画面にポップアップで表示されるというものです。これにより、電話に出た瞬間、「○○様、いつもお世話になっております」と電話に出ることができるようになります。最近、私たちがお客様に電話した際にも、「フリーセル様、いつもお世話になっております」と社員の方が電話に出られるケースが増えてきました。弊社と繋がっていることを感じさせてくれ、安心感を感じることがあります。

 

先ほどの『サービスの手帳』には、以下のようにもあります。

お客様をお名前でお呼びしよう。そして名前を大切にしよう

相手のお名前を呼ぶという行為は、「その人のことを大切にしています」というメッセージの発信です。

/『心のこもったおもてなしを実現する サービスの手帳』(林田正光著)

 

電話対応は日常業務です。日々、数十件の電話のやり取りが発生しますが、この電話応対の品質向上を図る改善は、毎日のことだけに、社内外に大きな効果が現れてくるのではないかと感じています。先ほどの指標を参考に、日々の終礼でふりかえりをしても良いと思います。最初は定性な指標から始まってゆくのかと思いますが、毎日訓練することでしっかりとしたサポート業務が行えるようになるのであれば、こうした機会を活かさない手はありません。まだまだいろいろ取り組み中で、至らぬ点もあるかと思いますが、今後ともどうぞ宜しくお願い致します。

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「日本の広告費 2009年」発表、新聞を抜きテレビに次ぐ第2のメディアとなったインターネット ~マクロ環境から読み解く、「モノの流通」から「情報の流通」への大転換期~

2010年02月28日 08:36 PM

 投稿者 小川 悟

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「輪転機とトラックの台数の戦いからコンテンツ競争へと移る。素晴らしい変化だ」

/『メディアに変革 新たな挑戦』(日経新聞・特集面,2010年2月25日)

先日22日、毎年恒例の「日本の広告費」の2009年版が発表されました。

cf.

・ネット広告費が新聞を抜く--電通「2009年日本の広告費」を発表

http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20409001,00.htm

・日本の広告費と国内総生産 | 広告図書館

http://www.admt.jp/library/statistics/ad_cost/gdp.html

記事や資料によれば、日本の総広告費は5兆9222億円で前年比11.5%減となり、2008年のアメリカでの金融危機を境に2年連続で減少傾向にあります。

このリリースに先駆けて、当社セールスマーケティング2課課長の杉浦が記事(cf.「とうとう超えました。」)にしていますが、2009年度の広告費内訳を見てみると、インターネット広告が新聞広告を初めて抜き、テレビに次ぐ「第2のメディア」となったことが分かります。昨今のトヨタの動向なども合わさって、従来大手企業を中心に広告出稿がされていたテレビ、新聞、雑誌、ラジオといった、いわゆるトラディショナル・メディアと呼ばれる4マス媒体が奮わず、特に雑誌の25%の落ち込みは深刻に思えます。

昨年12月で創業100年を迎えた講談社(創業100周年特設サイト)が23日に発表した第70期(平成19・12・1~同20・11・30)決算では、当期純損失76億8600万円で過去最大の赤字決算となり、売上高の内、主要である「広告」部門では前年比25.9%減となっており、さらに博報堂DYホールディングスの11月度売上高では博報堂で雑誌広告が前年比24%減と、まさに業界トレンドを現しているかのようです。市場規模としては既に屋外広告やDMに抜かれ、フリーペーパーの広告費にも肉薄される程にまで落ち込んでいます。

 

一方で新聞も、先日発売された「週刊 東洋経済」(2010/2/20号)で、「再生か破滅か 新聞・テレビ断末魔」という扇動的なタイトルで発売されると、早速Twitterなどで話題になりました。ちなみに、昨年のこの時期の東洋経済のタイトル見出しは「テレビ・新聞陥落」で私もこのコラムで引用しました。

cf.WWW20周年、注目されるインターネットビジネスだからこそ、しっかりとした情報発信を行いたい(2009年3月21日)

http://www.web-consultants.jp/column/ogawa/2009/03/post-27.html

このコラムの中で私は、インターネットが台頭し始めたことによって新聞が抱えた問題の一つとして「流通経路(販路)」を挙げました。システムを構築し、プロモーションさえしてしまえば、印刷費や販売にかかる経費をぐっと抑えることができるようになり、配信スピードも比にならないくらい速くなります。以前、横浜にある日本新聞博物館 NEWSPARKに行った際、自転車を模した機械にまたがってペダルをこぎながら、目の前のスクリーンに次々と映し出される民家の郵便受けに新聞を投函するという、まさに配達員になりきれるシュミレーションゲームがあって、それにしばし興じたことがありましたが、あれは遊びだからまだしも、実際は大変しんどいものだと感じました。もちろん新聞の販売店で生計を立てていらっしゃる方も多いので、単純になくなった方が効率が良いという話でもないのですが、「ニュース」に求められる即時性を考えると、インターネットほど画期的な、新聞における脅威(あるいは機会!?)、流通革命の引き金となったものはないのではないかと感じたものでした。

この日本新聞博物館(日本新聞教育文化財団)、余談となりますが小石川にある印刷博物館」(凸版印刷)と、汐留にあるアド・ミュージアム東京」(電通)と並び、現代までの古今東西の「メディア」「広告」「印刷」に触れることのできる企業ミュージアムとしては業界関係者でない私のような者でも大変楽しめるミュージアムで、印刷博物館でかつてプランタン=モレトゥス博物館展 印刷革命がはじまった:グーテンベルクからプランタンへが開催された際は、私も真っ先に見に行ったものでした。

 

「流通革命」ということで、さらに余談を続けますと、

cf.DVD100円自動レンタル機登場!変わるレンタルビジネスの生態系(GLOBIS.JP)

http://www.globis.jp/1196

上記の記事を例に、TSUTAYAを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブの戦略と、トラディショナル・メディアのそれとを比較してみたいと思います。

私の家の近所のファミリーマートにも、先日このレンタル機が導入されました。咄嗟に「このビジネスモデルはすごい!」と感嘆してしまいました。もちろん、今までにも「TSUTAYA DISCAS」 や「アクトビラ」のようなサービスはありましたが、自社の持つリソースを活用し、コンビニエンスストアという流通経路(あるいはメディア、情報媒体と呼んでもいいかと思います)を利用し、仮に全国15000店以上のファミリーマートの店舗にこのレンタル機が置かれたら?と想像すると、生活者の便利性が大変向上するのではないかと感じました。

TSUTAYAはパッケージメディアの流通業だが、考えてみればそのことは、モノの流通と情報の流通を分離することから発想されている。お客さんはお金を払ってビデオなりCDなりを借りて行かれる。しかし翌日には返却してもらうのだから、お客さんの家にモノそのものが残るわけではない。ではお客さんは、何に対してお金を払っているかといえば、モノの中身、つまり情報の提供に対してである。その意味で、CDやビデオのレンタルビジネスは、単なるモノの流通業ではなく、情報の流通業なのである。

/『情報楽園会社 TSUTAYAの創業とディレクTVの起業』(増田宗昭著)

上記の本を書いたのは、現カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(以下、「CCC」)代表取締役社長・最高経営責任者の増田宗昭氏で、発行は1996年のことです。まだインターネットが一般には「マルチメディア」と称されていた頃、30歳を過ぎてサラリーマンを辞めて、CCCの前身となる「蔦屋書店」を創業、2005年にはWeb制作会社大手の株式会社アイ・エム・ジェイや、株式会社デジタルスケープ、株式会社デジタルハリウッドを子会社化され、現在に至ります。

長きに渡り「モノの流通」という発想から抜けられなかった新聞に先立つこと、CCCが自社の事業ドメインを「情報の流通業」と銘打って戦略化していったのは、今より15年近くも前のことだったのかと、今の時期改めてその先見性に驚きました。

ちなみに、TSUTAYAや前身の「蔦屋書店」 の名の由来となったのは、江戸時代の出版人、蔦屋重三郎(蔦重)です。正確に言うと、蔦屋重三郎が由来というのは後年になってオーソライズされた逸話であり、実話としては増田氏のお祖父さんが営んでおられたお店の屋号の「蔦屋」からとられたものだそうです。

私は学生時代、学部で近世文学を専攻していたことがあり、蔦屋重三郎に関する記述に目を通したこともあったような気がしますが、その頃の担当教授が「江戸時代に築かれた出版流通の歴史は、メディアとして捉えても大変面白い」というようなことを言っていて、その後も関連した書籍には目を通したものでした。

cf.『西鶴と元禄メディア―その戦略と展開』(中嶋隆著)、『江戸の本屋さん 近世文化史の側面』(今田洋三著)

 

――閑話休題。その後、「NEWSWEEK」(2009/9/16号)で「新聞・テレビ絶滅危機」というタイトルで、「新聞絶滅へのカウントダウン」なる特集が組まれ、日本よりもインターネット広告が躍進するアメリカにおける新聞社の危機的状況が詳細なレポート付きで公開され、これもまた業界関係者の間で話題となりました。

このように権威性のある媒体や専門家たちが煽ると、「メディア」の特性としてアナウンスメント効果のように一層加速する傾向にあるので、広告代理店やメディア関係者はもちろんのこと、私たちも今後さらに注意が必要ではないかと思いました。

不景気になるとまず削られるのが広告費と昔から言われますが、日本の総広告費自体は額面にして前年比7700億円も落ち込んでおり、GDPを見ると中国に抜かれるのも時間の問題で、インターネットも含めて企業の広告出稿意欲が全体的に高まっているとはとても言いにくい状況です。

また、「新聞を抜いた」と大概のメディアで煽られるインターネット広告ですが、内訳をよく見てみれば前年比1.2%と微増で、Web(PC)広告はむしろ微減、モバイル広告の前年比12.9%増に助けられた格好で、「インターネットが新聞を抜いた」というと多少バイアスがかかる気もしました。

 

私が、当社にとって追い風だと感じている点は、冒頭で引用した日経新聞が「日経新聞 電子版」を来月23日に創刊するという事実情報です。

cf.日経電子版 広報部|日本経済新聞のWeb刊です。

http://pr.nikkei.com/

この前々から賛否のあった大決断は、未来から振り返ってみても、メディアの大変革を促した大きな事象となるのではないかとさえ思いました。近年、インターネット隆盛の中で、電博をはじめとした大手広告代理店が売上低迷していると言われながら、同時にインターネット広告大手やWeb制作会社大手への出資を続けていた流れも含めて、シンクタンクの未来予想以上に確信的に市場の伸びがほぼ約束された市場を相手にしているという妙な緊張感を私は抱いていました。

中小・ベンチャー企業向けにWebコンサルティングやインターネット広告の出稿代理業を行う当社にとって重要な点は、今年の「日本の広告費」を見て「インターネットが新聞を抜いた」ことに浮かれることではなく、むしろこのニュースを「インターネットを割り込んで新聞が落ち込んだ由々しき事態だが、今後伸びゆく可能性が残された」と見て、より一層の質向上に励む時期であると感じました。

トラディショナル・メディアの代表格である新聞が、ついにインターネットを明確に流通経路(販路)として選んだ――、この事実は、以前に生き残りをかけてインターネット上にニュース配信をする道を選んだときと同様、新聞自らが生活者のライフスタイル、及び広告主となる企業の広告担当者の在り方を今まで以上に大きく変えてゆく引き金を引いたのと同じであると思います。

 

世の中に流通しているものの処理されず蓄積されている、「情報クラッター(情報のゴミ)」がこんなにも存在するのです。これらの情報は生活者に消費されません。仮に私たちが送り出す広告が、この矢印の間に入ってしまえば、それはもう広告ではなく、ただのゴミということになるのです。

/『コミュニケーションデザインをするための本』(岸勇希著)

上記、『コミュニケーションデザインをするための本』(岸勇希著)という本の中で、2001年のブロードバンド元年以降、世の中に流通する情報量が急激に伸びた一方で、消費者が処理した「消費情報量」がほとんど変わっていないことを示すグラフが掲載されています。

cf.『情報大爆発 コミュニケーション・デザインはどう変わるか?』(秋山隆平著)

 

「情報化社会」から「情報過社会」へ――。

たった10年で、私たちを取り巻く情報はこんなにも変化しました。マクロ環境分析で言うところの「PEST」(cf.『松下幸之助没後20年、「共存共栄」について想う ~「社会の公器」として「定額給付金」の使い方を考える~』)を敏感に捉え、この変化の波に取り残されないよう、私たちは自分たちの本業であるインターネット広告、及びWebコンサルティング業務をより一層強く推進し、広告としての質を高めていきたいと思いました。

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Webコンサルティングは"ビジョンを形にする"仕事 ~佐藤可士和氏の仕事に見るコミュニケーションデザイン~

2009年12月 6日 10:30 PM

 投稿者 小川 悟

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誤解を恐れずに言えば、僕は今、世の中にあるほとんどの問題が、「コミュニケーション障害」からくるものだと思っています。

/『NHK 知る楽 仕事学のすすめ 人を動かすデザイン力』

12月に入りました。先週3日(木)、NHK「知る楽」では、アートディレクター佐藤可士和氏の特集が組まれていました。このコラムでも、ちょうど先月、ユニクロ、楽天と採り上げてきたタイミングですし、今回は両社をはじめ、数々のロゴデザインやブランディングをおこなってきた佐藤可士和氏の仕事の一端を見て、今の仕事に当てはめつつ感じたことを書きたいと思います。

 

はじめに、改めて自己紹介を兼ねて少しお話したいと思います。私は社会人1年目の頃、広告代理店に少しの間所属していたことがあるのですが、元々「広告」だとか「コピー」だとか、「販売促進」、「ブランディング」、「マーケティング」といった文字を書店で見かけたりすると、ついつい手に取ってしまうタイプの人間でした。

ですから、佐藤可士和氏に興味を抱く前は、佐藤雅彦氏に始まり、糸井重里氏、小林亜星氏、三木鶏郎氏とさかのぼって記載のある書籍を読んだことがありました。同時にエディトリアル・デザインにも興味があった時期で、雑誌「an・an」「BRUTUS」「POPEYE」の創刊当時、ロゴや紙面構成を手掛けられていた堀内誠一氏の『雑誌づくりの決定的瞬間 堀内誠一の仕事』などを愛読したり、「堀内誠一 雑誌と絵本の世界展」(99/08/21~99/10/03)という展覧会が平塚市美術館で開催された際は足を運んだりしたものでした。

私が社会に出てすぐの頃は、元電通の岡康道氏がTUGBOATという広告会社を立ち上げて独立し、「日本初のクリエイティブエージェンシー」と称されていました。私は「クリエイティブエージェンシーってなんだろう?かっこいい響きだな」くらいにしか思っていなかったのですが、その後、(後年『会社は誰のものか』を上梓される)吉田望氏との対談形式で書かれた『ブランド』という本が出たので読んだところますます興味を持ってしまい、既に別業界(インターネット業界)に転職していたにも関わらず、結局そのままタグボートの作品集『TUGBOAT 1999.07~2002.05』まで購入することになったものでした(笑)。

cf.広告戦略の成功は 企業の課題分析力に宿る ~TAGBOAT 代表 岡康道氏インタビュー(2006年4月20日,ソフトバンク ビジネス+IT)

http://www.sbbit.jp/article/212/

また、折しも当時の電通は汐留に新社屋を立てた頃で、ジャン・ヌーベルによる建築であったこともあって話題になっていたので見に行ったものでしたが、併せるように開館した企業ミュージアムアド・ミュージアム東京へはその後、何度か足を運びました。それから、昨年1月にはライティング課課長の松岡を誘って、宣伝会議コピーライター養成講座50周年を記念して行われたコピージアムという展覧会を見に東京ミッドタウンまで行ったものでしたが、そこでも「そうだ 京都、行こう。」とか「バザールでござーる」「きれいなおねえさんは、好きですか。」「愛だろ、愛っ。」「イチロ、ニッサン」「Yonda?」「私、脱いでもすごいんです。」「芸能人は歯が命」など展示されていたコピーを見ては、「うわー懐かしい!ちょうど就活期のだよ、暗記したよー、これ(笑)」などとテンションを上げながら巡ったことを記憶しています。

 

さて、閑話休題。佐藤可士和氏の話に戻しますが、ちょうど楽天が「楽天市場」などのロゴを今のロゴに刷新した際、私は元々、大手企業が企業のロゴやCIを変更するという背景には「大きな意味や決断がある」という先入観を持っていたので興味深く記事を読んだものでしたが、このときデザインに関わったのが佐藤可士和氏であると読んでいろいろなことが頭の中で結び付いたような気がしていました。

cf.

・楽天市場がロゴ一新(2005年6月2日,ITmediaニュース)

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0506/02/news019.html

・故黒木靖夫氏と"クリエイティブ"に対する私の思い(2007年10月29日,Webコンサルティング表象文化論)

http://www.web-consultants.jp/column/ogawa/2007/10/post.html

この前後の頃からメディアへの露出が増えたように感じていました。雑誌で言えば、私が好きだったシリーズなのですが、「BRURUS」の「大人の会社見学」、「TITLE」だと「こんな会社で働きたい!」シリーズ、「Pen」だと「1冊まるごと佐藤可士和。」のときは購入しましたし、テレビで言えば、NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』、テレビ東京『ソロモン流』で特集されたときも見たものでした。佐藤可士和氏の思考の本質は当時から一貫して変わらず、「アートディレクターは医師 デザインは処方せん」(cf.「コミュニケーション・ドクター」)というものです。

クライアントとの打ち合わせにおける「ヒアリング」を、医師の「問診」に例えて言われることもよくあります。「知る楽」では、『ユニクロ思考術』にも書かれてある柳井正氏とのエピソードが描写されていました。

当時のユニクロは、ブランドの輪郭がややあいまいになっていたように思います。一〇年ほど前にブレイクしたときは、リベラルなコンセプトを世の中に明快に打ち出していました。(中略)ところが、急成長していくとともに商品も店舗も膨れ上がり、いろいろな方向性を模索するようになりました。

/『佐藤可士和の超整理術』(佐藤可士和著)

特に現代のような、物や情報で溢れている社会では、企業がはっきりとした存在感や輪郭を伝えていくことが、非常に重要となっている。(中略)つまり、企業と社会のコミュニケーションが上手に取れていることが求められるわけですが、「言いたいことが伝わっていない」というのは、コミュニケーションが潤滑に流れていないということなんですね。

/『NHK 知る楽 仕事学のすすめ 人を動かすデザイン力』

私たちの仕事であるWebコンサルティングも、佐藤可士和氏の手掛ける対象規模や範囲とは違うものの、本質は似ています。付け加えて言いますと、私たちのお客様である中小・ベンチャー企業の場合は大手企業と比べると一層、「ビジョン」や「(社会や消費者に)伝えたいこと」が不明瞭であるケースが多いです。以前、このコラム『コンサルタントの質問力』の一節を引用したことがありましたが、私たちで言うところの「ヒアリング」や「情報整理」の精度を向上させることで、そうしたものを明確にしていけないかと常々考えています。

お客様とのお打ち合わせにおいては、少しでもコミュニケーションを潤滑にして、本質を引き出し、本当に伝えたいことを把握し、社会との接点を探りながら、双方でデザインやコンテンツ、構成決めをおこなってゆく、「ビジョンを形にしていく」ような協働作業であると考えて取り組んでいます。伝言ゲームと同じで、ここでつまづけば、姿の見えない消費者に伝えることは難しくなってしまいます。

そして、本当に伝えたいことを把握するために心掛けている習慣が、「相手の立場に立って考える」ことでしょうか。佐藤可士和氏は先の著書の中で、「他人事を自分事にする」、「常に客観的な視点を持つ」、「思考を整理して言語化する」というようなことを言及されています。この考え方は私たちが推進するWebコンサルティングにおいても非常に重要な考え方であると感じたので、これからも意識して仕事に取り組んでいきたいと思いました。

僕はよく「デザインというのはビジョンを形にする作業だ」と言っています。クライアントが、「こうしたい、ああしたい」という思いを、見えたり、触れたり、実感できる形にすることがデザインなのです。

/『NHK 知る楽 仕事学のすすめ 人を動かすデザイン力』

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「楽天Webディレクション&デザイン2009」に参加して ~「坂の上の雲」をつかむように、自社の明るい未来を想像した一日~

2009年11月28日 11:36 PM

 投稿者 小川 悟

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文明は変わっても、人間の中身は何も変わっていないということなのだろう。

江戸時代まで遡らなくても、ちょっと後ろを振り返るだけで、自分が現在越えようとしている壁を乗り越える方法の、少なくともヒントくらいはいくらでも見つかる。そういう目で見れば、歴史は人間の数限りない試行錯誤の保管所のようなものなのだ。

/『成功の法則92ヶ条』(三木谷浩史著)

今日は、会社の休みを利用して、楽天本社のある品川シーサイド楽天タワーで行われた楽天Webディレクション&デザイン2009|教科書では教えてくれないウェブサイト作り」(RWDD2009)に行ってきました。まさに、先日発売された「週刊ダイヤモンド」では、「百貨店、コンビニを抜いた通販&ネット販売の魔力」として、「勝ち残るのはどこか? 楽天 VS アマゾン VS ヤフー」ネット通販3強比較などを特集していた時期だったので、ますます興味が高まっていたところでした。

同じCS本部の松谷と待ち合わせたのですが、現地で他のスタッフ数名にも出くわし、皆、自己啓発に勤しんでいるなと感じたものでした。今回のコラムでは、このイベントの感想と、そこで得た気付きを備忘録がてらまとめてみることにしたいと思います。松谷は昨日・一昨日に開催された宣伝会議 プロモーション&メディアフォーラム2010にも出向いているのと、今回のセミナーでも私とは別のプログラムを聴講しているので後々共有をもらおうと思っています。

 

このイベントは、今の楽天が創業後12年を経て、実際に「成功」までたどり着いた軌跡を実例をもって公開するという主旨のもので、お昼過ぎの13時からは楽天の取締役常務執行役員を務められる元スクウェア社長の鈴木尚氏を進行役として、代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏と、ドワンゴ取締役で楽天技術研究所フェローを兼任される夏野剛氏とのトークセッションで幕を開けました。楽天が「創業以来、初めて行う」と言うくらい、"競合他社"を含む不特定多数の企業・個人に向けたオープンなイベントにあって、幸い私はこの対談をかなり前列で拝聴することができました。

この場ではあまり詳しくは書けませんが、かつてNTTドコモで史上最年少執行役員になった「iモード」の立役者、夏野剛氏の軽快、かつユーモア(毒舌!?)溢れるトークに思わず吹き出すのを抑えきれず笑い声を漏らす聴講者も多くいらっしゃいました。

cf.iモード10周年、ビジョン達成に向けた不断の努力こそが市場開拓・顧客創出を実現する成長エンジン ~第8期末社員総会を終え、今期を総括する~

http://www.web-consultants.jp/column/ogawa/2009/03/post-28.html

他にも、最近「Edy」の運用会社ビットワレットを買収し、いわゆる「楽天経済圏」を構成する47の事業の中から数名の現役社員の方が講演を行うプログラムと、少し前に募集のあったバナーのデザイン案とWebページの改善案を募集したアワードの表彰式、それから最後には13Fのカフェテリアで行われた懇親会と、盛りだくさんのイベントでした。

懇親会では楽天執行役員の方が気さくに話しかけてきてくれたり、偶然私たちがいたテーブルには、この業界にいれば誰もが知っている株式会社アイレップSEM研究所の渡辺隆広氏や辻正浩氏がいらっしゃってご挨拶させて頂いたり、はたまたパートナー企業の方とバッタリ出会ったり、懇親会後も寒空の下で様々な会社の方々とお話ができ、大変充実した一日を過ごすことができました。このような機会を与えて頂いた楽天の社員の皆様方に、この場を借りて御礼申し上げたいと思います。

  せっかくですので、備忘録を兼ねて、私が聴講させて頂いたプログラムを列挙させて頂きたいと思います。

1. 14:05~ 【前】「楽天トラベル」つぶやきながら見えてきたTwitter活用3つのポイント、【後】楽天グループ、RIA表現への取り組み

2. 14:40~ 月間50億PV、社内ユーザー1,000人のアクセス解析で分かったこと

3. 15:20~ 楽天証券Webサイトフルリニューアル成功事例

4. 15:55~ 「楽天ブックス」ユーザー中心設計アプローチの実践と商品検索UIの改善

5. 16:45~ 楽天、動画メディアへの取り組み「動画共有とショッピング」

6. 17:20~ 常に改善、常に前進 変わり続ける楽天市場トップページ!

プログラムのタイトルだけ見返してみても、各プログラムの講演時間は短いながら、楽天の内部でタイムリーに行われている施策をオープンにしようと試みた講演だったかがご想像できるかと思います。

 

1つ目の講演では、昨今書店などでも関連書籍が並んでいる「Twitter」を用いた楽天トラベル運営スタッフの活用術の紹介。聴講している方々がタイムリーにその様子を「ツイート」(つぶやき)したりする場面も見られました。面白いなと感じたのは、iPhoneユーザーの比率の高さ。街中では見られないくらいの所有率で、こうしたイベントに参加される方々の情報感度の高さに驚きました。私も同僚が使いこなしているのを見て、最近でこそ携帯電話からの新規ユーザー登録の対応を果たしたTwitterですが、UI(User Interface)やインタラクティブな操作性といった部分ではiPhoneの方が勝っていると感じました。Twitter普及の背景には諸々有名なエピソードもありますが、iPhoneのようなUX(ユーザーエクスペリエンス)を意識した、また、(もはや死語になりかけていますが)いつでもどこでも情報の受発信を可能とした「ユビキタス」なハード機器が与える影響も少なくないと感じました。まさに、これから年末年始商戦に突入する時期です。消費者を引き寄せる力を持った都市部などで、一体どれだけの企業や店舗がTwitterを活用した販売促進(タイムセール等)を手掛けるのか、個人的に楽しみだったりします。

 

他にも楽天が、今まで自社提供サイト(サービス)のアクセス解析を行うにあたり試行錯誤してきた――、市場に多く出回っているアクセス解析ツールの中から自社に必要なツールがどれであるのかを見極め全社導入まで至っているのかといった――エピソードが聞けたり、47という複数の事業を持つ楽天が(アクセス解析における)「標準化」と「情報共有」を課題としていたり、「サービスに応じたKPIを設定する必要性」を感じて動いてきた経緯があったり、今後目指すフェーズとして「解析の底上げ(事業やサービスによって解析パターンを作り、共有・教育する)」を検討していたりと、意外と身近な悩みがあったことが印象的でした。もちろん、当社と比べれば規模も精度も技術力も雲泥の差だとは思うのですが、講演を聴く前までは、全く想像もできない難解なプロセスをたどってきて今のような巨大な産業が形成されていたのかと思っていたので、ふとそのように思いました。このようにアクセス解析に力を入れている、あるいは別な角度から見て"力を入れざるを得ない"楽天の動きに気を配ることで、私たちのサービスもストレッチされる部分もあるのではないかと思いました。

 

その他、Webサイト改善の現場にあっては、サブテーマにもありましたが「教科書では教えてくれない」ことが多々あるようで、楽天側も、常に地道な「テスト」の繰り返しの結果が今の(最良の)状態であるというようなことをおっしゃっていました。

6.の講演で話されていましたが、現在「楽天市場」の契約企業数は約10万社、出品中の商品点数は約4600万点にのぼります。月次流通額は600億円、年間注文件数は8900万件という市場規模だそうです。講師の方がおっしゃっていましたが、この8900万という数字、平均して0.3秒に1回の注文がある件数となります。私たちではとても想像がつかない流通量ですが、現在のトップページは月間490万PVあるそうで、このトップページの改善を専属で担当するスタッフが5名もいらっしゃるとのことでした。

「え、トップページの改善担当だけで5人もいるの!?」と思った瞬間、すぐに説明がありました。小さな改善も含めて、地道な改善活動を続けた結果、13億円相当の改善ができたそうです。年間で13億円の付加価値を生み出せるのなら専属担当が5人くらいいても当然、というわけです。 

 

冒頭で書いた、三木谷氏と夏野氏のトークセッションの中でも、三木谷氏は「特別なことは何もしてきていない」、ABテストなど地道にPDCAを繰り返しながら、改善のための努力をしてきただけとおっしゃっていました。裏を返せば、私たちなどであれば尚更のこと、こうしたプロセスをすっ飛ばして「いきなり成功」などとはいかないのだなと痛感させられました。 

一通り講演を聴いた後で、先述した「RWDD2009 アワード」の表彰式を見ながら、表彰された方々に対して寄せられた選考理由を聴くときになってようやく、当イベントの大きな主旨というか意義のようなものに気が付いたような気がしました。そこには奇を衒った技術やセンスなどはありません、あるのは「楽天市場」創設当時からのコンセプトを受け継いだ精神で、加盟する店舗さんの売上をいかにしてあげるか?ということを意識して作られたバナーだったり、改善案を出された方が表彰されているのです。そういった意味で、このアワードがプログラムの中にしっかりと設けられていたことには、主催者側の意志の一貫性を読み取ることができたように思いました。

 アワードの後は、例の懇親会でした。おいしいお酒と食事を、無料でこんなにして頂いてよいのだろうか――、と感じながらも、多くの方とお話させて頂き、スタートからラストまですっかり楽しませて頂きました(汗)。

 

最後になりますが、以前書いたコラムを幾つか、改めて再掲させて頂きたいと思います。

■クロニクル「インターネット業界10年史」 ~まるでビッグバンのように、超高圧な一点の意志からその広大無辺な市場は生まれた~

http://www.web-consultants.jp/column/ogawa/2008/02/10.html

■ インターネットがもたらす第三の開国の夜明け前 ~2009年、横浜開港150周年~

http://www.web-consultants.jp/column/ogawa/2008/07/post-12.html

■iモード10周年、ビジョン達成に向けた不断の努力こそが市場開拓・顧客創出を実現する成長エンジン ~第8期末社員総会を終え、今期を総括する~

http://www.web-consultants.jp/column/ogawa/2009/03/post-28.html

 

10年と少し前までは、インターネットという"市場"は、まだ極小さな一点のわだかまり程度に過ぎなかったように思い返します。その何もなかった"土地"(WWW)に鍬を入れ、現在のように後発の企業が無数に参入してくるような大きな市場を開拓してくれた方々の中のお二人が、まさに冒頭で書いた三木谷氏と夏野氏であったのではないかと思います。そして、10数年を経た現在でも、現場は常に改善、ムダを省いて利益を生み出す不断の努力を続けられています。私企業ですから、一口にムダを省きたいといって「事業仕分け」をしてもらうわけにはいきません。場合によって外部のコンサルティングを導入することはあっても、すべて自社で解決していかなくてはならないのです。そして、今ではより大きな市場を目指して世界に目を向けられています。

根本的な問題はTWAが赤字を継続していることではなかった。困難な現状の事態にもかかわらず、航空会社は、適正に経営されれば利益をあげることもできる五億ドル相当の資産だった。

/『ハワード・ヒューズ』(ジョン・キーツ著)

そして二番目のコラムでとりあげた「第三の開国」――、つまりインターネットの日本上陸は、情報開国元年と呼ばれた1994年から15年の時を経て、ほぼ日本のどこにいてもインターネットで繋がってさえいれば、通信を介した「購買」という消費行為を行うことができるようになりました。

明日はまさに、前宣伝ばかりで期待を膨らませるだけ膨らませ、首を長くして待ちわびたNHKのスペシャルドラマ坂の上の雲が放映開始となりますね(iPhoneをビジネスにも活用する企業導入事例が増えてきていることから、「iPhone」=「クラウド・コンピューティング」!?の図式にかけてみたり)。

三木谷氏が「楽天市場」を、夏野氏が「iモード」を、まさに「坂の上の雲」をつかむようにして築き上げてきたある種の"近代"を、今度は私たちの世代がつかめるように努力してゆく必要があるのだなと思えました。

cf.「第6章 iPhoneが企業のクラウド化を加速する - iPhoneショック2」(2009年8月20日,ITpro)
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20090810/335418/

※「米国では中小企業の1割がiPhoneを採用!?」といった記事が読めます。

以前、「社員総会を終えて今期ゴールビジョンを共有する ~古典に学ぶ、現代社会を生き抜くための知識・見識・胆識~」のコラムで土方歳三を引き合いに出しましたが、今年から来年にかけても、龍馬伝など、多くのビジネスマンにとっては今まで以上に楽しみな大河モノのドラマが待ち受けていますね。折しも雑誌「プレジデント」の特集は、心の雲が晴れる!司馬遼太郎と幕末・明治の人物学」 でした。

今回の「楽天Webディレクション&デザイン2009」も含め、過去に日本を切り開いてきた先人たちの思いや築き上げてきたものに触れることで、後続する私たちも大きな力を手にすることができるように感じることができた一日となりました。

この場をお借りして主催関係者の方々、及びお名刺を交換させて頂きました皆様方に改めて御礼申し上げるとともに、本コラムを締めくくりたいと思います。

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年末商戦突入、2009年ヒット商品発表! ~ユニクロ快進撃、不況の中を売り抜く「企業理念」の力~

2009年11月15日 01:59 PM

 投稿者 小川 悟

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ユニクロの急成長は、あくまで企業理念を実現しようとして、全社一丸となって精一杯努力した結果であり、ブームは会社側でコントロールできるものでもない。

/『一勝九敗』(柳井正著)

今年2009年は、「100年に1度の不況」と言われています。しかし、そうした時勢の中でも売れているものはあります。不況下においても売れているものの共通点を見出すことは難しいかもしれませんが、うまくいっている企業やサービスとうまくいっていないものを比較することで見えてくることもあるのではないかと考えます。

今年も11月に入り、毎年恒例の、雑誌『日経トレンディ』が選ぶ「2009年ヒット商品ベスト30」が発表される時期となりました。日経MJの「ヒット商品番付」は来月ですね。

 

ちなみに2007年度の「ヒット商品番付」で東の横綱に輝いた「ニンテンドーDS」&「Wii」 は鮮明に覚えています(cf.「ヒット商品番付」/SMBCコンサルティング)。翌年の新卒を迎え入れる際に行ったオリエンテーションで私は、新卒入社者の学生気分を楽しく抜いてもらおうと考え、身近な「ニンテンドーDS」&「Wii」をテーマにグループセッションを行ってもらいました。正式に各部門に配属となる前でしたが、以前のコラムでも触れた、「PEST分析」(「Politics(政治)」、「Economy(経済)」、「Society(社会)」、「Technology(技術)」)、それからマーケティングの4P(「Product(製品)」、「Price(価格)」、「Promotion(プロモーション)」、「Place(流通)」)といった側面から、「なぜ売れたと考えるか?」について自由連想方式で考察・発表してもらったのでした。正解があって行った企画ではなくて、「社会人って面白いかも!」と思ってもらうことと、学生までは「消費者の立場」で見ていたものが、社会人になると打って変わって「サプライヤーの立場」になることを体感してもらいたかったという「頭のスイッチを切り替える」ことが主旨のものでしたが、他チームの発表を共有して意見を述べたりと、一様に楽しんでもらえたようだったと記憶しています。

さて、そんな「2009年ヒット商品ベスト30」、今年の1位は「プリウス&インサイト」でした。民主党政権に変わり、マニフェストにも掲げられた「地球温暖化対策」や、エコカー減税・補助金による特需なども踏まえ、2009年という時代を感じさせる結果となりました。

 

今回のコラムでは「2009年ヒット商品ベスト30」でTOP10にランクインし、今週19日にテレビ東京系列ルビコンの決断で特集が組まれることとなったユニクロ、及びセカンドブランド、ジーユー(今年で創業60周年となった株式会社ファーストリテイリングの完全子会社GOVリテイリングのブランド)の「990円ジーンズ」に着目してみたいと思います。

ユニクロとしては昨シーズン、主力アイテム「ヒートテック」を2800万枚売り上げ、今シーズンは5000万枚を目指しているということで、まさに国民服の地位を得ていると言えるかもしれません。大企業の冬のボーナスが過去最大のマイナス幅である15.9%減と言われる中、そうした快進撃を進めるユニクロの年末商戦を控える前の動向を洞察してみるのも何か参考になるかもしれないと思い、書いてみたいと思います。

 

まずユニクロと聞くと思い出すのが、今から10年前の99年にオンエアされた、山崎まさよしさんを起用した秋冬のフリースのCMです。98年に東京・原宿に進出して一気にユニクロ・フリースブームが席巻しました。一昔前までこの手のファッションをリードしていたのはGAPだったように思いますが、現状ではユニクロがリードしている状況でしょうか。今や、少し前までは高級ブランド店の出店・改築ラッシュがあり、世界を代表するブランドストリートと呼ばれた原宿・表参道一帯には、ZARA(2002年4月)、H&M(2008年11月)、FOREVER 21(2009年4月)と、比較的に商品単価の安価な海外勢が立て続けに進出し、新たな要素が加わったような印象です。

また、渋谷でも2009年9月に元々ブックファースト渋谷文化村通り店があった場所にH&Mがオープンし、ユニクロも来春に道玄坂「ザ・プライム」への出店を検討中と聞きます。先月のベルサーチ日本事業撤退やヨウジヤマモトの民事再生法の適用申請と、かつて西武グループが進めた「セゾン文化」隆盛の時代、DCブランドブームの起こったバブル期を代表する名門ブランドと比べると対照的です。

そんなユニクロが98年の夏に全国紙に出した全面広告のキャッチコピーが、「ユニクロはなぜ、ジーンズを2900円で売ることができるのか」でした。それから10年を経て、ジーンズはついに3桁で販売されるようになりました。これはもちろん、単に利幅を減らして値下げしましたという話ではなく、品質は向上させながらコストダウンを図るというイノベーションの結果であることが様々なところで書かれています。ところが、ジーユーが990円ジーンズを発表した後の5月にはセブン&アイHDが980円で、その後立て続けに、8月にはイオンが880円で、9月にはダイエーも同額で、10月には西友が850円で、さらに同月ドン・キホーテは690円でジーンズ市場に参入。一見、ジーユー(ファーストリテイリング)がジーンズの価格破壊の引き金を引いたかのようにも見え、ジーンズ市場にコモディティ化が起こりかけているようにも思います。今後、ジーンズに1万円以上払って購入する価値観を消費者に与えるための「付加価値」を加えることに大きな障壁ができたようにも思います。まさに茨の道を選択したようにも感じました。

なぜなら、ユニクロ(ファーストリテイリング)はほぼカジュアルウェアに特化していますが、大手スーパーはカジュアルウェアがすべてではないにも関わらず、この価格競争に参戦したことにはおそらく大きな決断が陰にあると思われるからです。つまり今回取った選択によって、今後ずっと「良い物を安く」という品質基準を守り続けていかなくてはならないという縛りに拘束され続けることを覚悟したと思われるし、そうなると大手スーパーとしてはこの競争から離脱しないために、カジュアルウェアに対して、今をしのぐためだけの戦略でなく、過去・未来と一貫したこだわりを持ったマーケティングを今以上に強めていかなくてはならず、また、このように選択集中する商品対象が増えれば増えるほど、その維持向上のためにコストをかけ、組織を固める必要があると思うからです。

低価格という差別化戦略は不況の時期には消費者ウケが良いと思いますが、低価格ということは、いくら原価を下げたとしてもその分限界利益率の振り幅は小さくなり、より社会の動向や市場の変化に対して敏感にならなくてはならなくなることを意味してはいないでしょうか。ある程度利益率を保った価格設定をしておけば少しの失敗(原価高騰、売上げ鈍化等)は吸収できると思いますが、ギリギリのラインでやっていると少しでも経営や時代のニーズを読み間違えば一気に赤字に割り込んでしまいそうな印象があります。例えるなら高速で運転するF1ドライバーのようなイメージです。

 

以上のように、ジーユー(ファーストリテイリング)が口火を切ったジーンズの価格競争、この年末商戦を越えて各社はどのような結果に落ち着くのでしょうか。価格だけで見ればジーユーが一番不利のようですが、「価格」「品質」とほぼ並んだときにジーユーが一歩秀でているように見えるのが、ユニクロの「ブランドイメージ」でしょうか。ユニクロはプロモーションにおいても有名人を起用したり、「UNIQLOCK」で世界三大広告賞(One Show,クリオ賞,カンヌ国際広告祭)でそれぞれ受賞歴があったり、他にも障害者雇用やフリースの回収・リサイクル事業等、CSRの側面でも余念がないというか、大手スーパーのPB(プライベートブランド)と比べると、独立した衣料品店として確固とした理念を掲げて事業を推進しているように見えます。

 

ユニクロの経営理念に「いかなる企業の傘の中にも入らない自主独立の経営」というものがあるのが興味深いです。冒頭でご紹介した『一勝九敗』の中で、「当社は以前、紳士服店をやっていたが、取引をしていた紳士服メーカーのほとんどが商社に吸収されたり、廃業や倒産の憂き目にあった」と書かれています。また、柳井正氏のお父様がVANの商品が好きでVANショップを経営していたそうですが、「カジュアルウェアに親しむきっかけとなったことは確かだ」とも書かれていることからも、故石津謙介氏が経営されていた株式会社ヴァンヂャケットが1978年に負債総額500億円を抱えて倒産する直前、経営再建のために商社が介入し、それまで独自路線を突き進んできた「VAN」ブランドが市場に埋もれてしまったエピソードなどの過去の体験と何か関連がありそうですね。

 

最後になりますが、冒頭で『一勝九敗』を引き合いに出していますので、失敗のエピソードも書いておきたいと思います。

ファーストリテイリングがかつて、野菜の販売事業から撤退(子会社の野菜販売店「スキップ」)した経緯を持っているのは有名だと思います。他にも、スポーツカジュアル衣料品店の「スポクロ(スポーツ・クロージング・ウエアハウス)」、ファミリーカジュアル衣料品店の「ファミクロ(ファミリー・クロージング・ウエアハウス)」の撤退などあります。本書で柳井氏は、以下のように書いています。

世間一般には、僕は成功者と見られているようだが、自分では違うと思っている。本書でも触れたように、実は「一勝九敗」の人生なのだ。勝率で言うと一割しかない。(中略)もし、これでも成功と呼べるのなら、失敗を恐れず挑戦してきたから今の自分があるのだろう。

そして二十三条ある経営理念の第十三条には「積極的にチャレンジし、困難を、競争を回避しない経営」とあります。その他にも、この不況下で今一度力を振り絞って頑張らなくては!と思えるような理念が多く書かれています。今伸びている企業の経営理念に目を通してみるのも参考になるかもしれません。結びに変えて。

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「USP(Unique Selling Proposition)」を創る ~社員総会と内定式、「ゆとり第一世代」を迎えて~

2009年10月12日 03:24 PM

 投稿者 小川 悟

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君の仲間の学生のなかには、教師や教育制度について不平を鳴らすことに忙しく、肝心の勉強に手がまわらない者が多い。制度は私の学生時代以来三十年間変わっていないし、おそらく今後の三十年間にも大きな変化はないだろう。(ほとんどの教育者も変わらない)。だから制度に不満を言うよりも、制度を巧みにだし抜いてやるといい!

/『ビジネスマンの父より息子への30通の手紙』(キングスレイ・ウォード著)

私たちが仕事を進める中で、「USP(Unique Selling Proposition)」という言葉を頻繁に使用します。コンサルティング業界はとかく横文字を多く使うと揶揄されることが多いですが、Webコンサルティングを推進する当社でもどうしてもこの言葉だけは多用してしまいます。できればこれを機会に、このコラムをご覧になられる経営者、Web担当者の方々とは共通の認識を持ち合えれば幸いです。

英単語の並びからも想像されるとおり、「独自の売り」「独自の強み」という意味で使用しておりますが、企業のWebサイト(ビジネスサイト)を構築する上で、市場の中で自社をいかに差別化して露出してゆくかが顧客の創出に関わるという考え方ですね。私たちは新規・既存問わず、お客様へのご提案の際にはまずこの「USP」に着目します。お客様の中には「そんな独自の売りなんてない」とおっしゃられる方もいらっしゃいますが、ヒアリングを進めてゆく中で他社ではなかなか真似のできない強みを持っていたりといったことも少なくありません。

cf.

・USPの重要性(2008年6月27日,木村 裕紀)

http://www.web-consultants.jp/column/kimura/2008/06/usp.html

・USPが見つからない(2009年8月29日,並木遼太郎)

http://www.web-consultants.jp/column/namiki/2009/08/usp.html

企業で言えばマクロ環境分析、STPマーケティングといった小難しいマーケティング手法でUSPを洗い出してゆくのがセオリーなのでしょうが、そうした体系化されたノウハウがなくても、まずは以前このコラムでも引用した『コンサルタントの質問力』で言及されているようなヒアリングのプロセスの中で、自社の強みの発見に至れれば良いのではないかと私は考えております。

今回のコラムではそうした独自の強み――、「USP」をどうやって見つけるか、また創り出してゆくのかということについて、企業を縮図化して「個人」にスポットを当てて考察してみたいと思います(cf.「自分戦略」)。

ミドル、学生、節目をくぐる個人が、自問することになる相互に関連する問いがある。それは、さらっと答えるにはやさしく、真剣に考えるとけっこう難しい問いだ(中略)。エドガー・シャイン(Edgar H. Schein)は、つぎの三つの問いについて内省することが、キャリアについて考える基盤を提供するという。

1. 自分はなにが得意か。

2. 自分はいったいなにをやりたいのか。

3. どのようなことをやっている自分なら、意味を感じ、社会に役立っていると実感できるのか。

(中略)先の個人レベルのシャインの問いを、組織レベルに翻案してみよう。

1. わが社が他のどこよりもうまくできることはなにか。

2. わが社は、どこでどのような事業を営みたいのか。

3. その背後にある事業観や理念、そこで事業することの社会的な意味や価値はどこにあるのか。

/『働くひとのためのキャリア・デザイン』(金井壽宏著) 

※上記書籍の中では三つの問いについてそれぞれ、「能力・才能について」「動機・欲求について」「意味・価値について」という自己イメージを照射していると説いています。

 

先日10月3日の土曜日には、第二四半期末の社員総会がありました(前回の様子はこちらの記事をご参照下さい)。例の如く、第一部は各部門長が期初に掲げた部門方針の進捗について発表をしますが、第二四半期末という時期は当たり前ですが今期折り返し地点である上半期末にも当たるため、進捗については自身でも発表しながら妙にリアリティを感じます。当社で節目にあたる時期に行われる社員総会ですが、多くの賞が設けられており、一生懸命仕事をして成果を上げているのに普段は目立たちにくいスタッフが主役となれるチャンスがあって表彰時はいつも盛り上がります。

■渋谷の某クラブを貸し切った社員総会、東京本社以外からも大阪・名古屋・福岡と、各拠点から全社員が一堂に会する日

 

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さて、そんな社員総会、今年もちょうど新卒の内定式の時期にも重なり、当社でも10年卒の新卒者の内定式を兼ねました。日本経済新聞社が主要企業を対象に実施した調査によれば、10年卒の内定者数が、一般的に各社採用の落ち込んだ今春の入社者を34%も下回るということでしたが、当社でも今春に比べ少ない入社者数でした。

 

cf.

・2008年度・新卒者採用に関するアンケート調査結果の概要 (2009年4月10日,日本経団連)

http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2009/034.html

・2009年度新入社員の会社生活|調査報告書(学校法人産業能率大学)

http://www.sanno.ac.jp/research/fresh2009.html

10年卒の新卒者は大学時に浪人や留年、休学等がない場合は1987年生まれかと思うのですが、企業の人事的側面から言うと、この年代に生まれた人を「ゆとり第一世代」と呼んでいます。小学校から高校卒業まで「ゆとり教育」を受けた世代ですね。この「ゆとり教育」という言葉を聞くと、どうしてもネガティブなイメージを持ってしまいませんか?

個人的に思うのは、制度そのものの是非よりもネーミング自体が気になったものでした。いわゆる「総合学習(総合的な学習の時間)」を導入したことが特徴的な制度でしたが、テレビやネットなどメディアを介して伝えられるイメージによりネガティビティ・バイアス(cf.『社会心理学』/亀田達也・村田光二著)がかかり、誤った教育法である印象を受けました。

むしろ、私の世代の教育手法も一般的には「内容知中心」と言われ、「受験戦争」という言葉が示すとおり暗記主導の授業が多く、授業によって自身で考える力が身に付いたかと言えば懐疑的でした。経験主導の「方法知中心」の教育方針であれば、社会に出てからこんなにも焦っていろいろ学ばなくても基礎的な力が備わっていたのではないか?とか、もしも当時、今のように体系化されたフレームワークに沿った自己理解や問題解決のプロセスを学べる授業があれば、もっと就職活動時に主体的な自分を押し出せたのではないか?と、過去の教育体制のせいにしたくなるときもあります。

例えば、算数嫌いになる最初のきっかけではないかと個人的に思っていた「三角関数」。Web業界を例に出して言えば、Flashアニメーションなどを制作するクリエイターであれば基本的な知識かもしれませんが、波形などの動きを表現するのに、例の「サイン」「コサイン」の値を計算して入力することがありますよね。当時、目的もよく分からないままに、ただ「公式(内容)」だけを覚えさせられましたが、仮に「将来Webクリエイターを目指している人は特に必見!」などと言って、実際にパソコンの画面でFlashアニメーションを用いたWebサイトなどを見せながら、値を変える度に波形が変わる「方法」を説明されたら、もしかしたら興味を持って授業に取り組めたかも!?

――と余談はさておき、コラム冒頭でカナダの実業家であるキングスレイ・ウォードが二度の心臓の大手術を受けたことで、生きている内に自分の経験から学んだ人生の知恵やビジネスのノウハウを息子に伝えようと書いた30通の手紙をまとめた『ビジネスマンの父より息子への30通の手紙』を引き合いに出しましたが、本書が日本で刊行されたのが1987年、ちょうど「ゆとり第一世代」が生まれたときのことです。教育制度は今後30年間大きくは変わることはないと書いていますが、わが国日本ではその後大きく揺れ動くこととなりました。しかし、本質を見失わないという意味では、普遍的なことを言われていると思います。

 

私たちの仕事の中で、大きなところで言えば新たに部課、チームが創設されるとき、新商品導入時、新規プロジェクト、部内の教育制度まで含め、この「ネーミング」は強く意識しています。「名は体を表す」とも言いますが、言語学でも記号学でも認知学でも、物や状態、感情を示す際に「言葉」を必要としますが、それらと「意味」とは三位一体の関係であるので、つまり言葉は意図を正確に表し、伝えるためのものでなくてはならないというのが私の持論です。会議の目的や各種プロジェクト、チームの名前等、そこを適当に行うと結果が変わってきてしまうことがあります。

余談になりますが、例えば、社内で「顧客満足」を推進するためのプロジェクト体制を敷くことになったケースを想定してみて下さい。極端な例かもしれませんが、以下の例を見て下さい。

 

1、「クレームを減らす体制づくりプロジェクト」

 

この名前のプロジェクトで、果たして「顧客満足」を推進できるでしょうか?とてもできそうな感じがしないですよね?これは、顧客不満の要因の一つにスポットを当て過ぎてしまっています。いわゆる「木を見て森を見ず」的状態になってしまいます。

 

2、「仕事に関わる人すべてをハッピーにする体制づくりプロジェクト」

 

こちらの場合は、大変夢のあるプロジェクト名ですが、想定される成果はかなり規模が大きく、理念やスローガンに近い「顧客満足」の域を超えた広過ぎるものですよね。参画したスタッフそれぞれの価値観に依存するため方向性がぶれやすく、先の目的を遂行する上では結局は結論が出にくい印象があります。

 

では、以下の2つを比べた場合はどうでしょうか?

 

3、「お客様を満足させる体制づくりプロジェクト」

4、「お客様が満足する体制づくりプロジェクト」

 

一見して同じような意味ではないかといったイメージを持ちそうになりますが、何か印象が異なりませんか?そうですね、「主語」が違います。文字数で言えばたった1文字、"てにをは"が変わるだけで、目的や求められる成果、議論やタスクの洗い出しなど、その後の関わるスタッフの意識や行動パターンが変わってくることもあるのです。

 

そういった観点で見てゆくと、「ゆとり教育」という「内容(対象)」を示す「言語」で想起する「意味」は、意図や実態がそうでなくても、どうしてもネガティブなイメージになってしまうというわけです。文明の発展に伴って、より高次の教育と人財が求められ、手段がイノベートされてゆくことは悪いことではありません。しかし、異なる教育方針下で育った人同士が互いに尊重し合わず、優劣を決めるための材料とするだけである状態は建設的ではありません。私たちはそういった心理状態に陥らずに、もっと民度を高く持っていたいと考えますが、「ゆとり教育」という言語情報の伝達過程におけるコンテクストのズレ、1対複数のコミュニケーション(マスコミュニケーション)の恐ろしいところであるとも感じました。

cf.「ゆとり」という表現 ネットでは他人けなす言葉(J-CASTニュース,2007年9月11日)

http://www.j-cast.com/2007/09/11011193.html

 

ところで、この「ネガティビティ・バイアス」ですが、私たちの身近なところでもよく起こり得るものだと思います。顕著なのが、昨今の出版物だと思います。時代を反映してか、ネガティブ・イメージで語尾を締めるタイトルの新書が多くあります。「~できないのか?」「~できない理由」「~ダメにする」、挙げれば枚挙に暇がありません。出版は、その他テレビや新聞などと同じように多くの大衆にリーチするメディア、流通であると言えます。 まるでコンプレックス商材を扱うように、フィア・アピールするかのようなタイトルの書籍が目立ちます。一般的なビジネスシーンにおける、例えば会議での議論や、プロジェクト進行、マネジメントなどの状況下で好循環を生むと言われる手法――、ダメである原因を列挙するのではなく、「どうすればできるようになるのか?」について考えたり、否定的な言葉を肯定的な表現に言い換えて発するようにする行為とは対極にある発想だと思います。そうした書籍の多くは、著者か編集者の意向で逆説表現にした方が売れるといった発想で、他社が成功すれば右へならえでタイトルを決められているのかと思いますが、こうした書籍が氾濫する社会を目の当たりにする読者のことを考えて決められているのかは甚だ疑問に感じています。いくら内容が逆説的に書かれていても、こうした「言葉」が想起させる「意味」にはどうしてもネガティビティ・バイアスがかかって、「だから自分はダメなのか」といったネガティブな自己解釈を促してしまうように思います。同じように、ネット上の掲示板やコミュニティなどでも、ネガティブな意味を示す問いに対する回答欄は、ときに第三者同士でさえも荒れる傾向があるように感じています。

人間の弱点を表すことばは豊富にあり、細かい点まで指摘できる。(中略)それに対して、強みを表すことばは実に乏しい。

/『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう あなたの5つの強みを見出し、活かす』(マーカス・バッキンガム&ドナルド・O・クリフトン著)

強みや長所を伸ばす、褒めるといったマネジメントの基本要素も、ポジティブな情報のインプットの土壌があるから育まれるように思いますし、上記のように「ダメな理由」ばかりをレパートリーに増やして「弱点」に対する批判ばかりを学んでも解決思考は育たず、むしろ批評家を生むだけではないかと思いました。そして、この「強みや長所を伸ばす」といった発想こそが、先の「USP」を発見するのに必要な基本的発想でないのかと考えています。

cf.自分の「気がついていない強み」を知る方法(2009年10月2日,日経ビジネス Associe)

http://www.nikkeibp.co.jp/article/nba/20090930/185235/

 

  以前のコラムで、私の就職活動期について触れたことがありましたが、歴史の浅いIT業界やベンチャー企業が急成長を遂げた一因として、「既成の枠にとらわれることなく良い点、強みだけを伸ばすことに注力できたこと」を挙げてみたのですが、来春迎える予定の「ゆとり第一世代」に対しても、同じようにアプローチできないかと考えています。もちろんこうしたポジティブ・シンキングだけではリスク回避ができなかったり、疲弊感を感じてしまったり、プレッシャーに押し潰されてしまう人もいると思うので使い分けも重要かと思いますが。

 

 

さて、以上、ざっくりとではありますが、「強み」に目を向けるポジティブ・シンキング(または、プラス思考)が「自身の強み」を生み出す原動力であることを説明できたように考えています。これだけでは企業のUSPを創り出すことはできないかもしれませんが、習慣化させてゆくことで、他者(他企業)と比較して自社の長所を引き出すことに慣れてくるようなことがあります。まずは自社の強みと思われる要素にスポットを当て、書き出してゆくと良いと思います。書き出してゆくプロセスの中で、競合他社との比較を自然と行っているでしょうし、市場のこともイメージしている筈です。そこにリサーチなどの定量的な数値、科学的根拠が加わればマーケティングも厚みを増してくると思います。

 

会社を経営されている方は、普段から自身の強みを把握してそれを仕事に活かしておられる方が多いので、先にも述べましたが、私たちがWebコンサルタントとしてヒアリングを重ねる中で、社長ご自身が潜在的に考えておられる「自社の強み」を是非私たちと一緒に言語化して、自社のWebサイトに掲げていきましょう。

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読書の秋、ビジネス書・自己啓発本ハンティングのススメ ~圧縮された情報を解凍後、インストールさせるイメージで読み漁る~

2009年09月23日 10:59 AM

 投稿者 小川 悟

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その程度の本だと気づいたら、ただちにその本を投げ捨てなさい。時間ほど貴重なものはないからである。

/『読書について』(ショーペンハウエル著)

今日でシルバーウィークも最終日となりました。皆様いかがお過ごしでしたでしょうか。もちろんサービス業に従事される方などは、「みんなが遊んでるときが書き入れ時だ!」という方がほとんどかと思います。最終日前日の昨日も、テレビでは帰省のUターンや行楽の帰りなどで大渋滞した高速道路を映しては、「1000円高速」の影響を説明していました。

そして連休の終わりとともに、23日は秋分の日ということで、これから日が短くなっていきますね。皆さんは、秋と言えば何を連想しますか?昔からよく言われている言葉で、「読書の秋」、「芸術の秋」、「スポーツの秋」、「食欲の秋」、「収穫の秋」などいろいろ修飾されて言われていますが、今回はこの中から「読書の秋」に着目してみたいと思います。昨今改めてブームとなっているビジネス書や自己啓発本に対して、学生時代までは文学小説かエッセイしか読まなかった私のビジネス書に関する考え方をお伝えしたいと思います。

 

私が普段書いているこのコラムでは、今回も例に漏れずではありますが、一話ごとに最低一冊、自分がかつて読んだ本から一部引用してご紹介しています。いわゆる会社から持ち回りで任されるビジネスブログの類とは差別化させて、「Webコンサルタント」のコラムとして何か特徴を持たせられないものかと思って始めたことが動機ですが、常に読書をしていないといつかネタが切れるという強迫観念に襲われることにならないだろうか!?と気が付いたのは、つい最近のことであったりします(汗)。

――とは言っても、私がそれほど心配していないのは、2004年刊行の『バカの壁』(養老孟司著)以降か、2005年に『国家の品格』(藤原正彦著)、2006年には『Web進化論』(梅田望夫著)、2007年は『女性の品格』(坂東眞理子著)、2008年は『悩む力』(姜尚中著)、2009年だと『断る力』(勝間和代著)などでしょうか、読者層はビジネスマンを越えて拡がり、もう数年続いている「新書ブーム」、またはここ数年来続いているビジネス書・ハウツー本・自己啓発本のブームがあるからです。

中には、これら多くの本から自分に合った本をどのように選び、どのように読み、どのように実践に活かすかといった指南書のようなものまでが売れているようですが、これほど元ネタが多いのであれば、しばらくネタに尽きる心配もないな、と楽観的に考えていたりします。

 

それでは以降、多くの書名を引き合いに出していきますので、実際にビジネス書が多数並んでいる書店を想像してみて下さい。

 

昨今、『「1秒!」で財務諸表を読む方法』の著者である小宮一慶氏は、「ビジネスマンのための養成講座」シリーズで、「発見力」、「数字力」、「解決力」に続いて「読書力」――『ビジネスマンのための「読書力」養成講座 小宮流頭をよくする読書法』を書かれ、他にも『情報は1冊のノートにまとめなさい』、『読書は1冊のノートにまとめなさい』の著者である奥野宣之氏は『だから、新書を読みなさい』という書籍を出されています。 

それにしても、巷ではこれほど「活字離れ」、「読書離れ」と言われているのに、この新刊点数の多さは何を示しているのでしょうか。昨今の出版不況において常に新刊書籍を発行し続けていないと経営が苦しくなるという業界特有の構造(cf.9月7日、ゴマブックス株式会社、民事再生法の適用申請)か、大不況やリーマン・ショックなどの影響で就職難や派遣切りに発展した風潮の中で、自ら(または自社)に直面する問題として危機感を持って捉える方が増えられたのか、出版流通については素人ですので私は詳しくは分かりませんが、「もう人任せではいられない!」という社会心理的要因に端を発する現象でしょうか。いずれにせよ複合的な要因が絡んでいそうですね。

 

さらに、このブームを煽っている要素の中に、「インフルエンサー(影響力を及ぼす人)」の存在があると思っています。ここ数年のビジネス書・自己啓発本関連で、そうした「インフルエンサー」にあたる人と言えば、神田昌典氏、本田直之氏、勝間和代氏といった面々を連想します。なかでも「読者への影響」といった点では、直近でメディア露出の多い、勝間和代氏について特筆したいと思います。 

勝間和代氏の輝かしいキャリアについては割愛しますが、2007年以降上梓された数多くの著書の中に、『読書進化論 人はウェブで変わるのか。本はウェブに負けたのか』(勝間和代著)というものがあります。その中で「本を読むことは著者の体験を、読者が疑似体験すること」と書いています。基本的には「読み手」より成功している「書き手」が、成功までの辛く長い道のりを、あれだけの文章量にまとめているのですから、それを手軽に手中に収められる感覚は非常にメリットを感じます。また、本田直之氏は、『レバレッジ・リーディング』において読書は「投資」であると表現されていますが、自伝やビジネスのサクセスストーリー系の本であれば確かにこれも言い得て妙であると思いました。ビジネス書を読むときのスタンスというか、読み方にもいろいろあるのだなと、このように体系化して考える方々の著作を読んで私も参考にしようと思いました。

他にもフォトリーディングが良いとか、ひろい読みでも十分知識を得ることができる、多読するべきだと、いろいろ言われています。先の『読書進化論 人はウェブで変わるのか。本はウェブに負けたのか』の中でも紹介されている『本を読む本』(M.J. アドラー/C.V. ドーレン著)では「積極的読書」を勧めていますし、『知的生産の技術』(梅棹忠夫著)では、「はじめからおわりまでよむ」のが良いと説かれています。

 

要は「本の読み方」というのは、読者によって、また対象となる本や読む目的によっても変わってくるということでしょう。往年の名作小説を、まさかあらすじだけ読んで満足だという人はいないでしょう。批評家が作品をひろい読みして、この本はここが良いとか悪いとか言及するのはちょっと難しいと思います。ビジネス書についても同じで、スタンスを養いたいときにスキル重視のハウツー本を読んでも身に付きませんし、その逆も然りです。

先の、成功者の代名詞的存在である勝間和代氏の一連の考え方に対しても、「<勝間和代>を目指さない。」と相対峙する考え方を展開される方もいます(cf.『しがみつかない生き方―「ふつうの幸せ」を手に入れる10のルール』/香山リカ著)。両者の考え方を知れば、確かに双方の考え方があるなと、例のアサーティブな発想が頭に浮かんできます。ただ唯一確かなこととしては、以下の書評を書かれている方が記事のタイトルにもされていますが、本に対して自身の問題を解決してもらおうとしていてはダメだということですね。同じ努力をしても同じ生き方ができるという保障はないわけですし。

cf.勝間和代も香山リカも、助けちゃくれない? 『しがみつかない生き方』 香山 リカ著(評:朝山 実)|日経ビジネスオンライン

http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20090917/205019/

 

そう考えてゆくと、読書というのは結局、読んで何かを得るのも挫折を味わうのもすべては読み手の体験であって、読む本によって同じ効果が等しく万人に行き渡ることはないということなのかもしれません。

最近、書店では「読書の秋」に因んで、平台に置く本や雑誌の種類で特色を打ち出されています。私の場合は、ビジネス街、とりわけ、IT関連企業や広告代理店の集積地には、そうした読者層に向けて書店側でセレクトした関連書籍や雑誌が多く並んでいるので、近所の書店に行かずにわざわざそうした書店まで赴くこともあります。

私はこのような業界にもいますし、購入予定の「書籍名」が分かっている場合などは、Amazonのようなネットサービスは便利なのでよく利用します。ですが、それでもリアルタイムなトレンドや温度感、分類や特集(書棚の編集方針等)、店員さんの書くPOPなどの切り口から見つけ当てることができる本との邂逅に期待して、実際に書店に赴いてしまうのです。

cf.【なぜ本は売れないのか】(上・中・下)着いたその日に返本(MSN産経ニュース,2009年9月20日)

http://sankei.jp.msn.com/culture/books/090920/bks0909200759000-n1.htm

http://sankei.jp.msn.com/culture/books/090922/bks0909220917001-n1.htm

http://sankei.jp.msn.com/culture/books/090922/bks0909220925002-n1.htm

ただ、上記の記事を見る限りでは、新書をはじめとした新刊本の点数は日次で約200点以上が刊行されているそうです。この中から自分に合った本を探し出すのは至難の業と言えるでしょう。もはや新刊点数でさえ、インターネットの情報量に負けず劣らず玉石混交に大量に並んでいますし、書店に行った際には偶然在庫がなく比較できない状況である中から選んでしまうかもしれません。「他者のレビューを頼りに……」等、本選びの段階からつまづく要素があって、自分に合った本探しも楽ではありません。

雑誌で言えば、「THE 21(2009年10月号)」で、「一流の読書術 VS. 二流の読書術 仕事ができる人の「本の賢い選び方&読み方&活かし方」」といった特集が組まれたりしています。「週刊ダイヤモンド 2009年9月26日号」の第二特集では、「秋の夜長は「じっくり読書」 "ビジネス・人生に役立つ本"ベスト100」が組まれ、知識人推薦の図書が紹介されています。その中で松岡正剛氏のコメントがあったのですが、「自分が尊敬する上司や友人など身近な人の薦めや、好きな著者や偉人や芸術家などが読んだ本を読んでみたらどうですか」と書いておられました。

 

これは一理あると思いました。ビジネス書や自己啓発本を購入するビジネスパーソンの心理を想像しますと、「知りたい」「解決したい」といった知的欲求や、「ああいう人のような生き方をしたい」「こんな行動を取ってみたい」といった社会的欲求等から手に取ろうとすると思いますので、そもそも推薦者が信頼されている必要はあるものの「ハロー効果」(cf.「ハロー効果 - Wikipedia)も手伝って、すんなりと受け入れられるような気がしました。 

それから、読んだ本の知識を何かのシーンで活用したいと考えるビジネスパーソンの方も多いと思います。勝間和代氏なども勧めておられますが、せっかくインターネット全盛の時代なのですから、こうしたコラムやビジネスブログを立ち上げて、世の中に自身の考え方や文章を公開、つまりアウトプットを続けるのもアンダーラインを引きながら読むのと同様に読書の理解を助けるでしょうし、そこからさらに深く思索を進めることで過去に理解できなかった作品を再読できるようになったり、より自分に見合った難易度の書籍の発見へと繋がっていくものと思います。

当社でも最近、数名の部下から、「この前、○○部長(または、○○課長)から薦められていた本、読みましたよ」と声を掛けられることが増えてきました。部内の管理職が仕切りに読書を勧めていたり、毎月の部下との面談時に読書やセミナーで学んだことを自身の考え方に交えて話していたりするからだとは思います。これも普段から部下から信頼・尊敬されている上司が勧めないとなかなか浸透はしないのですが、上司側としてはそうした制約なども自己成長の励みになっているようです。

 

これ以上書くと収拾が付かなくなってきそうですのでまとめに入りますと、本コラムの副題にも書かせて頂いたのですが、著者の人生観やノウハウの集大成等、あれだけ膨大な情報量を書籍というコンパクトな形式に圧縮し、読者の手元にまで流通できているものを活用しない手はないと思います。あとは読者が目的を明確にした上で、その達成を助けてくれる書籍を見定めて購入し、自身の中へ解凍・インストールすることで、配布側(著者)のレパートリーを少なくとも方法論の一つとしては持てるようになるわけです。

規定のソフト以外は何もバンドルされていない購入当初のパソコンに既製のソフトをインストールすると、途端にそのパソコンが機能的になり、使える幅が広がり、高付加価値を持ち始めるようなイメージでしょうか。自身の中のレパートリーに手詰まり感を感じたら、是非一度、ビジネス書を手に取ってみると良いかもしれません。それで道が開けることもある筈です。「読書の秋」、近くの書店で、Amazonで、ビジネス書の狩猟などはいかがでしょうか。

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「他責」から「自責」への考え方のシフトで課題発見力を養う ~政権交代という転換期、大局観を持って変化に順応する~

2009年08月30日 11:44 PM

 投稿者 小川 悟

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「民主党が政権を担える政党にならなければ、新党の可能性は再び浮上するでしょう。そもそも二大政党制といっても、本拠のイギリスですら自民党という第三党がある。二大政党が完全に信頼されているわけではないのです」

/『松下政経塾とは何か』(出井康博著)

 

2009衆院選、今日は投票に行ってきました。

冒頭で、ふと思い出したかのように松下政経塾に関する本書から引用したので、何か詮索される方もいらっしゃるかと思って先に弁明しておきますと、私には特にこれといった支持政党や特定の思想は持ち合わせておりません。もちろん国政に無関心というわけではないのですが。

 

さて、タイトルに掲げた「大局観」。ネットで意味を調べると、「物事を俯瞰して全体像をつかむ能力のこと」といったように説明されています。

 

cf.『アメリカを救った人事革命 コンピテンシー』や、「ASTD(American Society for Training and Development,アメリカ人材開発協会)」について触れたコラム

 

今回のコラムでは、この度の衆院選において野党第1党が単独過半数での政権交代は現憲法下では初めてと言われる時代の転換期に、「大局観」を持って変化に順応する重要性のようなものを感じたので、書き留めておきたいと思います。そういう意味においては、今回の衆院選は私にとってはある種の成長を促してくれたのかもしれません。

 

先般、弊社社長の木村が大変な時代とコラムに書きました。言われてみれば、確かに「大変な時代」だなと思います。私の周辺では、日々忙しく仕事に忙殺されることもしばしばではありますが、ふと、休みの日にテレビなどを見ていると、「忙しくしていても、そうでなくても、人生に満足しているとは言えないような人」を見かけることがあります。私も人間ですので、疲れが溜まってきていてプライベートな時間が取りにくいと、「仕事が忙しいことを不満」に感じることもあるのですが、「仕事がなくて不安」に感じている人や経営者様のことを思うと、「自分は恵まれている方なのだな」といつも思ってしまいます。

 

私は自分の貯金を資本にして会社を起こした経験はありませんが、父が自営しているので幼少時代から経営者のメリット・デメリットを聞かされてきました。父はよく、冗談ともつかず、自身の仕事を「斜陽産業」と称し、私には「継ぐ気はない」と小学生の頃から言い続けてきました。今になって父の仕事の同業の方が2代目に引継がれ、この未曾有の大不況の中、それこそ選挙で言えば、「ジバン(地盤)、カンバン(看板)、カバン(鞄)」のないような状況に陥って、厳しい状況に置かれている2代目社長の方の話を聞くこともあります。経営がうまくいかないのは経営者が悪いのか、働いている人が悪いのか、 それとも政治が悪いのか――。それはきっとケースバイケースなのでしょうが、その後、幸せになる人もいれば不幸になる人もいるのは現実にありました。結局、何が悪くてもいいのですが、自分はどうなりたいのか、何をしたいのか?といった考え方は持っていたいと思いました。私のような凡庸な者ではこのような難題を解くことはできませんが、その代わり、バカの一つ覚えみたいに自分で好きになって留意している考え方があります。

 

それは「他責で考えず、自責で考える」というものです。「責任力」と同義であるかは分かりかねますが。簡単に言えば、何か悪いことが生じた際に、「自分にも原因があるのではないか?」と考えることです。メンタルヘルス的な側面から見れば、その考え方が良いものかどうかは分かりませんが、自分には随分とフィットする考え方だなと思っていました。

 

先の例で言えば、経営がうまくいかないのは、どのくらいのシェアを占めているかは分からないが、自分の行動にも遠因しているのではないか?という考え方です。

自分にもっと能力があれば、行動力や決断力があれば、もっと広く俯瞰して先を見越せるだけの先見の明があれば、といった具合です。ちょうど大型船が、暗礁に気付くのが遅れて座礁することがあるように、「舵を切るのは誰だ、もしくは暗礁を見張るのは誰だ、暗礁の存在を知らせるのは誰だ、そもそもその役割を決めるのは誰の仕事だ」と考えてゆくと、自身がまったく関わらない航海というものはあり得ないと思っています。

仕事もきっと同じで、そこで働く皆が少しずつでも関わりあって、「会社」という「社会」が築かれているのだと感じます(cf.「石垣論」/日比翁助)。

そして、会社に限らずその小さな社会が集まって「国家」を成しているのだと考えれば、より一層、社会における自身の座標軸を認め、役割期待を上位のものに磨き、目標を高く持ち、自身の為すべきこと(課題)を多く発見していかなければならないと思えてきます。

「情けは人のためならず」、そしてそれは、きっと自分にも返ってくる因果ではないかと思います。選ばれた天才であればもっと要領の良いやり方ができるのでしょうが、凡庸な今の私にはそのような取り組み方が合っているのだと認識しています。

 

さて、ここで先の衆院選ですが、今もテレビでは開票が続き、ほぼ民主党の圧勝で終わることが見えてきています。麻生首相は「自民党に対する積年の不満をぬぐい去ることができなかった」と述べています。

私とは、置かれた立場や考えなくてはならない影響範囲はまったく違いますが、「信頼の積み重ね」という本質の重要さを痛感しました。「誠意」とも読み替えることができるかもしれません。政治でもそうかもしれませんが、ビジネスでも個人にでも当てはまる本質だと考えます。

一時、政治が混迷、複雑化し、投票率が下がった時期もありましたが、近年投票率は高まってきていると聞きます。投票前には、テレビでもネットでも民主党優勢で、ネット全盛のこの時代、「バンドワゴン効果」(cf.「バンドワゴン効果(Wikipedia)」)もより一層働くだろうと思っていました。誰しもが始まる前から分かっていたような結果だったようにも思いますが、今後の政治にも関心を持って、局所的に成果を捉えるのではなく、大局観を持って見定めるのも国民の義務ではないのかなと感じました。

自民党の票が民主党に流れたとも言われていますが、多くの人はその期待した成果をどのくらいの期間で成し遂げることを望んでいるのだろうか、とふと疑問に思いました。フィリップ・コトラーの「Customer Delight」(cf.「カスタマ・ディライト(@IT情報マネジメント用語事典)」)によれば、顧客の期待よりサプライヤーのパフォーマンスが低下した状態では「顧客不満」になると説いています。

国民の期待が、民主党の掲げたマニフェストや政策を迎合した根拠にもとづいていれば志(ビジョン)が同一なので支援に回ると思いますが、反自民党の思いだけが強過ぎる場合には、政権交代前の首相交代のときのように期待の裏返しで不満と出る懸念も考えられそうです。

 

人は誰でも、自らの思想を意識することによって行動する。しかし、そういわれても腑に落ちないと思う人は多いであろう。そういう人は、時流に従って生きることになる。したがって、絶えずその時々の思潮をみていなければならず、せわしない。だが、自らの生き方の失敗を時代のせいに出来るという利点もある。世の不平不満家は、おおむねそうした生き方をしている。

/『新時代の創造 公益の追求者・渋沢栄一』(渋沢研究会編) 

 

シニカルな考え方だと言われればそれまでですが、今までの歴史を振り返ってみても、どんな政治だって、憲法だって法律だって、そういったものがあるお陰で、日本だけでなく世界に生を受けているすべてのものにとって、都合の良い社会なんて存在し得たことはありませんでした。

結局重要なのは、国民それぞれが自身の役割を知って、それを全うしようと誠意を持って努力することが重要なのではないかと考えます。

 

身はたとひ武蔵の野辺に朽ぬとも留置(とどめおか)まし大和魂

/『吉田松陰 留魂録』(古川薫全訳注)

 

最後になりますが、今から2000年前くらいに、「運命は、志あるものを導き、志なきものをひきずってゆく」と言ったローマの哲人セネカの言葉もありますが、時代の潮流を受け止め、今どうあるべきかを考え抜き、大変化に順応しつつ、自身の課題を発見・設定し、それを一つひとつクリアしてゆくことが、今の時代に求められているのではないかと考えた良い契機となりました。

自身・自社に課題点が見つかるということは、それだけ成長の余白があるということ。課題が見つからないという人は、是非自身の中にうまくいかない原因を探ってみても良いかもしれません。

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共感型採用のためのキャリア採用向け特設サイト開設 ~広告の質とマッチング、コミュニケーションデザインについて~

2009年06月14日 04:55 PM

 投稿者 小川 悟

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君が人を好きになった時に取るべき最善の方法は、その人のことをきちんと知ろうと目を凝らし、耳をすますことだ。そうすると、君はその人が自分の思っていたよりも単純ではないことに気づく。極端なことを言えば、君はその人のことを実は何も知っていなかったのを思い知る。

/『明日の広告 変化した消費者とコミュニケーションする方法』(佐藤 尚之著)

先日、当社の自社採用サイトに新たなコンテンツが加わりました。

■リクルートフリーセル|キャリア採用

http://career.freesale.co.jp/

cf.ニュースリリース|当社キャリア採用のための特設コンテンツを開設しました

http://www.freesale.co.jp/news/release/new05.html

キャリア採用.jpg

 

本件については、既に当社代表の木村がコラムに書いていますのでそちらもご参照下さい。

 

  今期に入り、3本部体制になって早くも四半期が過ぎようとしています。来月4日には社員総会があるので、各部課では社員総会の場で発表するための、今期に入る前くらいから思案し文書化していたゴールビジョンと課題項目の調整に入っている時期です。私はCS本部を見る立場としての見地からこのコンテンツのご紹介をしたいと思います。

 

通常の中途採用であれば、いかに高額とはいえいわゆる求人サイトへの出稿を行うのが最もコストパフォーマンスが高いと思いますが、キャリア採用となると実際には難しいものだと経験上感じました。当社会長が従前より「仕事は誰とやるかが大切」と申しており、人物重視の採用を心掛けてきてはいました。しかし、いざ求人サイトの代理店の方の取材に対し勇み足で返答していると、一見して超優良企業のような原稿が上がってきて、それなりの方の応募はあるのですが、よくよく考えてみると当社側と求職者側とですれ違いが起こるというケースも少なくありません。これは、Webサイトでも看板、チラシでも、その他広告媒体への出稿などでも往々にして起こり得る、俗に「ミスマッチ」と呼ばれるケースです。

キャリア採用であれば前職までの経験を活かした幹部候補の募集ですから、ミスマッチがあっては採用企業側も求職者側もお互いダメージが大きいわけですから、アウトプットの情報についてはあらゆる側面で留意したいと考ながら、このコンテンツの制作を手伝いました。私はCS本部のページに書かれている内容の一部を担当しましたが、曲解や背伸びもほとんどなく等身大のCS本部の現状と、求める人物像を描き切れたのではないかと感じています。

 

CS本部では、Webマーケティング部と制作部とで募集を行っていますが、前者は主にフロント部門でありお客様と直接折衝の仕事が多いですが、制作部は社内で指示を受けての制作が多いため、社内営業やWebディレクターを「見なし顧客」と見立て満足度を得るために顧客理解や技術研鑽に日々励んでもらっています。両部門で求める人物像に共通して挙げているビジネス基本スキル(または、コンピテンシー)が、「コミュニケーション能力」「プロジェクト管理能力」「問題解決能力」 となっており、その他具体的に列挙しています。中期経営ビジョンに掲げている「中小・ベンチャー企業向けWebコンサルティングNo.1企業」を目指して、CS本部で求めたいのはお客様のビジネスを理解できる能力です。都度、自分の立ち位置や視点を変え、お客様の立場に立って物事を考えるというのは、一見簡単なようでいて割と難しいことのように思います。

 

企業側を買い手とすると転職活動における自分の売り込みも、この手の能力で言い換えることができるかもしれませんね。面接ではお互い見詰め合って話をしているわけですが、実際に企業側が採用したい人物というのは、この先未来を見ている視点が同じかどうかという部分であって、スポット的な現時点での相性だけで判断できるものではないですよね。そういった採用方法を「共感型採用」(共感採用、理念共感型採用)とも呼んでいるところもあると思います。

 

ここで面白いと感じた事例を挙げてみます。『コミュニケーションをデザインするための本』(岸 勇希著)という本に、「電通 100色の名刺」という項があります。

この100色ある名刺が優れたコミュニケーション・デザインだと思う最大の理由は、名刺が使われる瞬間、つまり初めて会う人との挨拶の場で最大の効果を発揮するからです。(中略)

名刺交換という機会を、単に会社や個人の情報交換で終わらせるのではなく、そこにいる"個人"や"電通"という存在を先方から"気にしてもらう"というきっかけづくりをこの名刺は担っているのです。

/『コミュニケーションをデザインするための本』(岸 勇希著)

※名刺で言えば、当社の名刺の裏面には、企業理念や中期経営ビジョン、行動指針が一覧で印字されています。

電通の場合は、名刺交換の場でさえも一つのメディアであると捉えているわけですね。通常の商取引において基本的には一度しか機会のない貴重な一瞬間に、どのようなインタラクティブなコミュニケーションが図れるかはとても重要なことだと思います。私たちの自社採用コンテンツも、自社や自社員の成長に合わせてアウトプットの色を変えてコミュニケーションを図ろうとしてゆくことと思いますが、応募を検討頂いている方は是非宜しくお願いします。

また、最後になりますが、企業のオフィシャルサイトでも、商品ブランディング用のサイトでも、採用サイトであっても、見込んでいる層とのコミュニケーションを図りたいと考えている中小・ベンチャー企業の経営者の皆様、是非当社までご相談下さい。

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松下幸之助没後20年、「共存共栄」について想う ~「社会の公器」として「定額給付金」の使い方を考える~

2009年04月26日 04:13 PM

 投稿者 小川 悟

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企業は社会の公器である。したがって、企業は社会とともに発展していくのでなければならない。企業自体として、絶えずその業容を伸展させていくことが大切なのはいうまでもないが、それは、ひとりその企業だけが栄えるというのでなく、その活動によって、社会もまた栄えていくということでなくてはならない。また実際に、自分の会社だけが栄えるということは、一時的にはありえても、そういうものは長続きはしない。やはり、ともどもに栄えるというか、いわゆる共存共栄ということでなくては、真の発展、繁栄はありえない。それが自然の理であり、社会の理法なのである。自然も、人間社会も共存共栄が本来の姿なのである。

/『実践経営哲学』(松下幸之助)

2009年4月27日は、"経営の神様"と呼ばれた松下幸之助の没後20年の日にあたります。

 

cf.パナソニックミュージアム 松下幸之助歴史館 | Panasonic

http://panasonic.co.jp/rekishikan/

 

大阪のパナソニックミュージアム 松下幸之助歴史館で行われる特別展では、副題に「かつてない難局はかつてない発展の基礎となる」という松下幸之助の言葉を引用しています。

文字通り、現在の日本も歴史的な大不況を迎えています。昨年の上場企業倒産数は、2002年の29件を超え33件と過去最高を記録しましたが、今年に入ってからも不動産・建設業をはじめ、現時点で既に2008年の半数近くの上場企業が倒産しているという話を聞きます。

昨年、「パナソニック株式会社」と社名変更した旧松下電器産業株式会社も、2009年3月期の連結当期損益は3800億円の赤字になる見通しであるというニュースがあり、同じように日立製作所やパイオニアなども公的資金の出資要請を検討するほどの事態となっています。

 

かつて、白黒テレビ・洗濯機・冷蔵庫が「三種の神器」と呼ばれてから半世紀を経て、世界の経済事情や消費者のライフスタイルは大きく変遷し、今、家電業界は窮地に立たされていると言えるかもしれません。

そうしたネガティブなニュースばかりの世の中で、先の「かつてない難局はかつてない発展の基礎となる」(ちなみに、2008年10月に「パナソニック株式会社」へと社名変更を断行した、現代表取締役社長、大坪文雄氏の座右の銘は、「逆境は己を磨く天与の機会」)という言葉からは、私たちも大変勇気を与えられるような気がします。

 

そうした中、定額給付金の支給が始まりました。皆さんは何に使われますか?

この定額給付金の支給という経済政策そのものは賛否あるようですが、私個人としては決まったことの是非についてあれこれ言っても始まらないので、自己投資かレジャー(旅行)のために使わせて頂こうと考えております。

 

と、まぁそれは消費者の立場としての用途ですよね。

このWebコンサルタント.jpをお読みの方の中には、中小・ベンチャー企業で経営に携わる方も多いと思いますが、企業の見地からこの経済政策についてどう対処するかをお考えでしたでしょうか。

 

マーケティング用語に「PEST分析」というものがあります。これは、「Politics(政治)」、「Economy(経済)」、「Society(社会)」、「Technology(技術)」の頭文字を取って並べた、マクロ環境分析の考え方の一つです。つまり、それぞれの分野で起こっていることに着目して戦略を練る、もしくはこれから起こることを予測して取る対策などを決定する際の指標にできる分析手法です。

 

昨年、政府から「定額給付金」についての発表があった際、何か対策を講じられた方はいらっしゃるでしょうか。お恥ずかしながら、私は当時、真っ先に消費者としての立場でこのニュースを見てしまっていました。

 

しかし、実際に街を歩いてみると、随所で「定額給付金」に便乗したサービスを提供している場面に出くわしました。勝間和代氏の著書、『勝間和代のビジネス頭を創る7つのフレームワーク力 ビジネス思考法の基本と実践』(「知識のレベルで思考を止めない!」)にも書かれた、コンサルティングファームで問題解決・意思決定のための一つの考え方として用いられることがあると言われる「空・雨・傘」のフレームワーク――、空―事実認識(知識・理解)、雨―解釈(応用・分析)、傘―問題解決(統合・評価)――で言えば、私の思考は「事実認識」で止まっていたのです。

つまり、「定額給付金がもらえるという事実」を認識しただけで、「ということは?」という発想まで至れなかったわけです。政府の意向や消費者心理の視点でこの事象を捉え、それを自社の理念や事業ドメインと紐付けて行動に繋げてゆくというのは実際には至難の業ですが、同時に私の内にはまだ、こうした突発的なことが起こった際に、すぐに「そうであれば、こうする!」と判断する際に基準となる理念や、フレームワークのような体系化された思考がないことを自覚しました。

 

そんな心境のままネットサーフィンをしていた際、以下のようなサイトを見つけました。

 

■お買い物徹底ナビ

http://event.rakuten.co.jp/tieup/benefit/

cf.「楽天トラベル」「楽天オークション」定額給付金の支給に伴い、「12,000円」企画開始 ~「楽天市場」「楽天GORA」も順次開催~(楽天株式会社 ニュースリリース,2009年3月12日)

http://travel.rakuten.co.jp/news/4205.html

 

このサイトは、ショッピングサイト運営大手の楽天市場が企画したイベントサイトです。なんと、定額給付金支給額である12,000円や20,000円に合わせ、税込み・送料込みでジャストの価格帯の商品ばかりを集めた店舗を紹介するサイトなのです。こうした取り組みは、他のYahoo!やAmazonでも行われていますが、社会の動向に合わせて早期に企画を練り上げ、実施にまで持ってゆくのは中小・ベンチャー企業では大変ですね。

 

こうした際に、私たちができることの中で言えるのは、リスティング広告によるプロモーションでしょうか。既存のお客様はサービス・小売業の方も多く、「商戦」という言葉を多く使われます。時宜を踏まえたタイムリーなプロモーションが求められるのがこの事業の特徴です。

 

■「フリーセルECリスティング」 売れるECサイトにしませんか?

http://www.web-consultants.jp/cs/ec_listing.html

cf.2009年5月19日、【30社限定・無料セミナー】中小・ベンチャー企業向けリスティング広告基礎講座(株式会社フリーセル)

http://www.web-consultants.jp/press/0904google.html


インターネットで商品を販売することで企業や店舗は利益をあげることができますし、消費者はいつもよりお得な買い物ができるというもので、結果日本のGDPを押し上げることにも繋がります。

 

いずれにしても、共存共栄ということは、相手の立場、相手の利益を十分考えて経営をしていくということである。まず相手の利益を考える、というといささかむずかしいかもしれないが、少なくとも、こちらの利益とともに相手の利益をも同じように考えることである。それが相手のためであると同時に、大きくは自分のためにもなって、結局、双方の利益になるわけである。

/『実践経営哲学』(松下幸之助)

 

冒頭で松下幸之助の著書について触れましたが、私が所有するのはPHP文庫版のものです。思わず書棚に揃えたくなるような各色違い、上質紙のカバーが消費者心理をくすぐり、私も例に漏れず数冊まとめ買いしてしまったものでした。

 

不景気になっても、志さえしっかりともっていれば、それは人を育て、さらには経営の体質を強化する絶好のチャンスになると思うのです。

/『経営心得帖』(松下幸之助)


不景気にはまた不景気に対処する道がおのずからあると思うのです。(中略)たとえば、昨年は忙しくてほうっておいたアフターサービスを、この際徹底的にやろうとか、お店の整備を積極的にはかろうとか、いわゆる甘い経営を排していろいろな方策を考える。それも、他力に依存することなく、自分がこれまでにたくわえた力によって一つひとつ着実に実施していく。

/『商売心得帖』(松下幸之助)

 

以上のように、いくら不景気であっても、自社のことはもちろん消費者のことでも、考えに考え抜いて改善に向かわせることはいくらでもできる筈です。

 

また、松下幸之助が唱えた企業の三つの成功条件というものがあります。それは「絶対条件」、「必要条件」、「付帯条件」と呼ばれるもので、それぞれ「経営理念の確立」、「社風」、「戦略と戦術」としており、成功要因を占める割合を、経営理念の確立が50%、社風が30%、戦略と戦術が20%としています(『理念経営のすすめ 成功する会社の経営理念と戦略』/田舞徳太郎著)。

 

私たちフリーセルの企業理念や中期経営ビジョンにも、この「共存共栄」が謳われています。

 

■企業理念 | 会社案内 | 株式会社フリーセル

http://www.freesale.co.jp/company/vision/

 

松下幸之助没後20年、改めて「共存共栄」という企業理念に立ち返り、私たちのお客様とともに企業を発展させていきたいと思いました。

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顧客関係管理(CRM)としてのメールマーケティング ~中小・ベンチャー企業の最大の強みはお客様との距離の近さ~

2009年01月27日 10:55 PM

 投稿者 小川 悟

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ところが両派とも危険が迫っていることを見ようともしなかった。たとえ、<太平洋の宝石>がこなみじんになっても、けっしてゆずろうとはしなかったろう。

/『動く人工島(「右舷と左舷との争い」の章より)』(ジュール・ヴェルヌ著)

先日20日、オバマ新大統領の就任演説は聞かれましたか?私は後日、YouTubeで拝聴させて頂きました。『オバマ演説集』なる、生声が収録されたCD付きの書籍がよく売れていると聞きます。この混迷の時代にあって、一筋の光明を見出したくなる演説でしたね。この演説の内容は、インターネット上にも多くの日本語訳が掲出されていました。

あなたの国の国民は、あなたが何を壊すかによってではなく、何を築くかによってあなたを判断する

cf.「オバマ米新政権誕生」(NIKKEI NET)
http://www.nikkei.co.jp/senkyo/us2008/news/20090120e3k2001720.html 

さらさらと読み飛ばしていたところ、良いなと感じた一節があって目を留めました。まったくおっしゃる通りだ、と一瞬わが国のことについて言われたかのような錯覚を覚え、バツの悪い気持ちになりましたが、よくよく前後の文章を読んでみるとイスラム社会について述べられた部分でした。

私たち会社組織に属する者も、ともすると他者批判を通じてしか自己の存在をアピールすることができなくなるような心理状態に陥ることもあるかもしれません。ところが、そうしてしまうと全体最適を考えた場合、誰も得をしないことに気が付きます。私たちの仕事は、制度や意見、ライバルに対立することではなく、より良い体制を築くこと、より良いサービスを新たに創り出すことなのだと、改めて実感することができました。

常に調和(協力・競争・共有)を大切にし続けます<調和>

/「フリーセル行動指針」より

 

さて、私たちは今年の1月から、既に当社とご契約中のお客様向けにメールマガジンを発行することになりました。その名も「フリーセル通信」

まだ始めたばかりですので、まずは"月刊"ということで月に1度の配信となりますが、発行元となっている「お客様ニュースレター編集局」で中心となって企画・編集に参画しているのが、以前にご紹介させて頂きました「コンタクトセンター」チームです。

cf.「コンタクトセンター」発足から1年 ~「顧客の声(VOC)」に耳を傾けることの重要さ~

http://www.web-consultants.jp/column/ogawa/2008/08/post-14.html

上記のコラムを書いたとき、コンタクトセンターの仕事内容について、「私たちのビジネスは法人様向けのサービスであり、インターネットを活用するソリューションとなりますので、お客様からのお問い合わせは電話だけに留まらずメールであったり、ときには訪問して問題を解決することもあります」と書きました。

折しも、昨年末の読売新聞の記事に、「電話も通じぬIT企業、増える「窓口はメールのみ」」という見出しのものがあり、サービス利用者がトラブルに巻き込まれた際、メールでしか受け付けてくれない企業のサービスを不親切だといったように書いてありました。メールでの窓口しか設けない最も大きな理由はコストがかかり過ぎることとのことで、大手企業は大手企業で運営が大変なんだなぁと思いながら、幸い当社はまだメールはもちろん、電話でもFAXでも、場合によっては訪問であっても対応できる環境にあるのは、まさにCS(Customer Satisfaction)冥利に尽きると感じました。

 

当社が公式にメルマガを発行するのは、これで2回目になります。最初は2003年の5月~2006年10月まで続いた歯科タウンニュース(現在休刊中)でした。こちらは一般のユーザー様を対象としたメルマガでしたが、今回は既存のクライアント様を対象としたもので、少し勝手が違いました。お読み頂くのは、ほとんどが中小・ベンチャー企業の社長様か、もしくはWeb担当者様だと思います。お客様ニュースレター編集局では、どのような内容が良いのか何度かミーティングを開いては、各自思案に明け暮れていました。

しかし、元々のメルマガ発行のコンセプトが、「お客様との対話」でしたので、編集担当者が一度構成を練り出すと、あとは一気に仕上がりました。メルマガの編集にあたっては、CS部ライティング課の課長である松岡も手伝ってくれました。松岡は以前に以下のようなコラムを書いています。

cf.対話性重視! 簡易的なメールマーケティングで最大限の成果を

http://www.web-consultants.jp/column/matsuoka/2008/11/post-12.html

松岡は、当「Webコンサルタント.jp」の「Webコンサルタント.jp」が贈る珠玉コンテンツコーナーにあるメルマガ(全5回配信)の責任者でもあります。定期コンテンツをどうしても含めたいという意見が上がり、まずは「会社案内」というものを入れることにしました。先の記事にもあったように、これだけ世の中は情報に溢れ、パソコンや携帯電話、インターネットといった便利なツールも登場したのに、逆にそれだからなのか、とかくアナログなコミュニケーションが目立たなくなってきたと言われます。もちろん、現状4,000社近くの既存のお客様すべてを訪問し、ご挨拶をしてゆくのはすぐには難しいので、せめてメルマガを通してでも、当社の横顔を見て頂きたいという気持ちでこのコンテンツを用意しました。創刊号で特集したのは、もちろん、編集局の中心であるコンタクトセンターチームのご紹介です。

cf.サービス紹介 コンタクトセンター

コンタクトセンターの課長の板谷が、最近ビジネスシーンで大人気の勝間和代氏(cf.勝間和代公式ブログ: 私的なことがらを記録しよう!!」)に影響を受けたのか、推薦図書として挙がっていたサミュエル・スマイルズ著の往年のベストセラー『自助論』について年末年始の帰省時に読んだらしく、メルマガの本文中に「先の見えないこの時代、改めて身に沁みる思いでした」と書いたところ、この号をお読み頂いていたお客様の何人かがわざわざ板谷に電話をくれまして、本書について思うところをお話頂いたようです。配信前に描いていた「お客様との対話」、まさか、配信当日にそれが叶うとは思っていませんでした。その報告を受けたときは、本当に嬉しい気持ちでいっぱいになりました。他にも、「こちらも仕事の参考にするよ」とお電話をくれた社長様もいらっしゃったようです。できることなら、メールなんかでなく、時間さえ許すのであればすべてのお客様と電話で話したくなるくらいの気分になりました。今回配信させて頂いた記念すべき創刊号は、試験的に一部のエリアに限って配信させて頂いたのですが、順次エリアを拡大してお届けしたいと思っています。

 

繰り返しとなりますが、私たちのお客様の多くが、中小・ベンチャー企業の経営者様です。また、そういった企業にWebコンサルティングを提供している私たちフリーセルも中小・ベンチャー企業に含まれます。ほんの少しだけ、メルマガ配信というアクションに移しただけで、こんなにも既存のお客様との対話が実現できるのです。逆にこれは大手企業だと難しいことかもしれません。これだけお客様との距離を近くに感じることができるのも、中小・ベンチャー企業であるメリットだとさえ感じます。まずはメルマガ配信から始める顧客関係管理ですが、まだまだいろいろな試みを考えております。

先ほどご紹介した当社発行のメールマガジンの一つ、「Webコンサルタント.jp」が贈る珠玉コンテンツを、まずは是非一度お読みになってみてください。自社でも既存顧客向けにこうしたメルマガをアレンジして発行したいと感じ、またその中でもコンセプトの企画から外部に委託したいとお考えの社長様、Web担当者様がいらっしゃいましたら、当社宛にお気軽にお問い合わせ下さい。当社でもメールマーケティングに関するコンサルティングを承っております。

cf.DRM(ダイレクト・レスポンス・マーケティング)

http://www.web-consultants.jp/service/writing/

中小・ベンチャー企業の強みを活かした顧客関係管理(CRM)――、まずはメルマガなど投資も労力も小さく始めてみるのが成功の秘訣かもしれません。

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不況に負けない「原因」と「結果」の創り方 ~ディズニーリゾートにサービスの本質を学ぶ~

2008年12月23日 02:47 PM

 投稿者 小川 悟

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心の中の思いが 私たちを創っている

私たちは 自分の思いによって創り上げられている

/『「原因」と「結果」の法則』(ジェームズ・アレン著)

 

■不況に負けないオリエンタルランド 東京ディズニーリゾート強さの秘密(MONEYzine,2008年12月23日)

http://moneyzine.jp/article/detail/117163

 

上記の記事を読んでいろいろ思い出すことがありましたので、今回のコラムでは私の個人的な思い出話と、副題にも設けましたが、東京ディズニーリゾートについて書かれた書籍の中で私がかつて読んだものについて幾つか触れていきたいと思います。

 

さて、今日は12月23日、明日はクリスマス・イヴですね。通勤途中に歩く渋谷・道玄坂も、1ヶ月ほど前から両脇の街路樹がクリスマス・イルミネーションに彩られ、夜からは雰囲気のある景観を演出しています。私が帰宅する頃には既に消灯されていることが多いため、このイルミネーションを満喫できるのは主に仕事休みの日に限るのですが……。

 

――と冗談はさておき、去年の今くらいの時期に、私は本コラムにおいて、企業理念に基づいて「年頭所感」を述べる ~「ホスピタリティ」他、CS部で大切にしている考え方~と題して、リッツ・カールトンのホスピタリティについて書いたことがありました。今年も2008年の締めくくりとしてCS部の目指すべき姿について書くことで、来年度の目標を一段高いものにしていきたいと思います。

 

今年1月のコラム、内部統制元年 ~企業の社会的責任と評判管理について~でも書いた「今年の漢字」。2008年を表す漢字が「変」に決まったそうです。言葉遊びではありませんが、私自身が漢字自体に興味があることもあって「変」という漢字は好きで、以前は「変化」を楽しむことを推奨した新卒入社から丸3ヶ月 ~"変化"を楽しもう~というコラムを書いてしまった程です。しかし、現実の世の中は厳しく、前回のコラムでも書いたようにかつてない不況に大企業でさえも、先が読めないくらいの時代に突入し、「金融危機」、「株価低迷」、「大型倒産」、「派遣切り」といった消費者の不安を一層煽り立てるような見出しが、各種メディアに大きく踊るようになってきました。実際、厳しい状況に追い込まれてしまう人も多いと思うのですが、生活者の心理として、こうしたマスメディアの発する言葉の影響力はかなり強く響くものと想像します。まるで不況下の煽りをそれほど受けていない人まで、物事がうまくいかない原因がすべて不況にあると勘違いしてしまいそうなくらい、また自身に課せられた最大のミッションがこの不況を脱するための方針を唱えなくてはならないことだと拡大解釈してしまいそうになるくらい、今の世の中は暗いニュースが氾濫しています。これだけの情報社会にあって、ある種閉塞的にも見えるワンウェイな情報の嵐の中で、自分にとって本当に必要な情報を見極めることは大変重要なことではないかと私は考えています。また、私はこの「情報」というものについて、たとえ閉塞的な環境にあっても「その情報だけがすべてではない」と考えるようにしています。そして、常に「閉塞的なのは社会なのではなく、自分の方こそが閉塞的なのだ」と考え、まだ自分が見知らぬ情報については、日常に溢れかえっている情報の海の中から自分にとって本当に必要な情報を得るために自分の立つ位置や行動範囲を変えようと努力しています。つまり、「情報」というものは自分がどう考えるかで自由に入手できるものだと考えています。詳細については後に触れることもあるかもしれませんが、加藤昌治氏の言葉を借りれば「カラーバス」(cf.『考具 考えるための道具、持っていますか?』)効果に近しい考え方になると思います。

 

冒頭に挙げた記事についての話題に戻りますが、昨今書店の新刊コーナーを物色すると、『感動をつくる―ディズニーで最高のリーダーが育つ10の法則』(リー・コッカレル著)の隣に、『絆が生まれる瞬間 ホスピタリティの舞台づくり』(高野登氏著)が平積みされている光景をよく見かけます。前者がウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートの業務を通したリーダー像について、後者が『リッツ・カールトンが大切にする サービスを超える瞬間』の続編的な内容で、俗に「感動企業」と呼ばれることもある両社の独特な企業文化について余すところなく書かれています。

 

リッツ・カールトンの有名な、「リッツ・カールトン・ミスティーク(Ritz-Carlton Mystique)」に当たるものをディズニーリゾートの中で探すなら「魔法」になると思います。以前にオリエンタルランドで勤務したことがあると言っていた知人に仕事内容について聞いたことがありましたが、固く機密保持契約を交わしているとのことで知ることができませんでした。そういったディズニーの徹底ぶりが「魔法」の神秘性を増幅させ、さらに魅力的に映ったものでした。

 

従業員は「キャスト(出演者)」と呼ぶ。

入場者は「ゲスト」と呼ぶ。

群集は「観衆」と呼ぶ。

勤務は「パフォーマンス」と呼ぶ。

仕事は「役」と呼ぶ。

職務説明書は「脚本」と呼ぶ。

制服は「コスチューム」と呼ぶ。

人事部は「配役」と呼ぶ。

勤務時間は「オンステージ」と呼ぶ。

勤務時間外は「オフステージ」と呼ぶ。

/『ビジョナリーカンパニー』(ジェームズ・C・コリンズ,ジェリー・I・ポラス共著)より。

 

――私は東京ディズニーリゾートのクリスマスを体験したことはまだありませんが、いつも以上にイルミネーションなどが凝っているなど、幻想的な光景になっているのでしょうね。私は今年の夏に、開園25周年を迎えた東京ディズニーランドに行ってきました。学生時代には卒業旅行としてアメリカに行き、オーランドにある「Walt Disney World(MGM STUDIOS)」を訪れたことがありましたが、東京ディズニーランドに行ったのは確か学生時代が最後だったと思いますので懐かしく園内を見て回ったものでした。およそ10年来の東京ディズニーランドでしたが、徹底的に教育が行き届いた「キャスト」の対応は10年前と変わらず素晴らしいものでした。何十年の間も従業員教育を継続的に徹底し、企業文化を守り続けることができているのは本当にすごいなと改めて感心したものでした。

 

このオリエンタルランド社の強さは、どこから来るものなのでしょうか。1974年当時、京成電鉄と三井不動産を親会社とするオリエンタルランド社が三社連名でウォルト・ディズニー・プロダクション社との提携について共同声明を発表しましたが、その提携の条件は非常に厳しい内容で、「新テーマパークの入場料の一〇パーセント、飲食・物販代金の五パーセント」(cf.『ディズニーランド物語―LA‐フロリダ‐東京‐パリ』)が、東京ディズニーランド運営に関するライセンスを得るための引き換え条件だったそうです。これらは売上に対するパーセンテージであって純益に対するそれではなく、さらに建設費も全額オリエンタルランド社が負担という内容だったそうです。テーマパークの平均利益率が20%と言われている中で、この条件は当時も相当厳しい条件だったのではないでしょうか。オリエンタルランド社のWebサイトの沿革のページには、米国法人ウォルト・ディズニー・プロダクションズ(現ディズニー・エンタプライゼズ・インク)との提携についてあっさりと書かれてありますが、先の書籍によれば、当時のオリエンタルランド社専務であった高橋政知氏(cf.Wikipedia「高橋政知」)が、一時期提携解消話も出してきたディズニー側と粘り強い交渉を続けた秘話が詳しく書かれてあり、開園前後も大変な苦労をされて今があることを知ることができます。

 

cf.「東京ディズニーランド25周年を支えた原動力」(nikkeiBP on Yahoo!ニュース,2008年4月10日)

http://event.media.yahoo.co.jp/nikkeibp/20080410-00000000-nkbp-bus_all.html

 

以上のように、こうした今輝く大企業であっても、創業期や黎明期から崇高な思いを胸に抱きながら、まだ誰も見ぬ未来を信じてひたすら努力を重ねてきた結果が今を築いていっていることを、様々な書籍を通して私たちは知ることができます。

 

ところで、この企業を「自分」にあてはめて考えてみるとどうでしょうか?私たちはまだ見ぬ自分の未来に対して明確な「ビジョン」を抱けているでしょうか?企業も人の集合ですから、本質は同じだと思います。「どうしたい、どうなりたい」がないのに、運命が勝手に良い方向へ導いていってくれるなんてことはない筈です。

私たちが提供するWebコンサルティングもこれと似ています。私たちのお客様に限らないことですが、当社と契約することを決断されたときに、初めて新しい未来という選択肢(方向性)が示されます。正直に言って、この時点で絶対にうまくいくなどということは誰も約束できない筈です。ですので、運命的に巡りあった両社はこの先どうすればよいのかと言えば、「絶対にうまくいく方法を必死で考える」のです。詭弁のように思われるかもしれませんが、私はお客様との打ち合わせの際はいつも真剣にお客様のビジネスについて理解しようとしています。

「どうすればうまくいくのか?」――、自社で仕事を進める中でずっと悩み続け、また都度問題解決してきた経験などを踏まえ、今度はお客様の会社の社員になったつもりで「どうすればうまくいくのか?」と同じように考えてゆくのです。もちろんお客様は多岐の業種に渡るので、当然私では分からないことも多く話に出てきます。そのときは、自社で業務を進める際に失敗したくない一心で上司に質問するときと同じように、お客様に一生懸命質問させて頂きます。ご提供するWebサイトを中長期的視野で資産化させてゆくために、最終的に「どうしたい、どうなりたい」のか両社の抱くイメージをすり合わせしていき、予算の許す限りそのための手段を、Webディレクション時に設計に盛り込んでいきます。

 

「うまくいく」という結果をもたらすためには必ずその「原因」にあたるものがある筈で、私は自身のアイデアのどんな部分をその原因と考えているのか――、常に根拠を求めて自問する癖があります。CS部員の仕事内容も日々の作業内容は多岐に渡りますが、各々が自律して考えて行動する際に注意していることとしては、その言動や考え方、方針が「お客様のため」、「会社のため」にという私たちのステークホルダーに価値をもたらす「価値活動」となっているかということです。それらのベクトルが誰にとっても不幸になる方向を向いている場合、結果がどうなるかは目に見えています。未来予測というと科学的な難しい話になりそうですが、「このままのやり方、考え方でいくと先々どうなるだろうか?」という予測なら、本来誰にでもできる筈です。また、当たり前のことですが、物事は「このままでは不幸になる」と考えるよりも、「どうすれば幸せになるか?」と考える方がうまくいくと言われています。しかし、世の中全体が暗いニュースで覆われるというくらい大きな話になると、人によっては暗い雰囲気にのまれてしまって、自分の考え方まで暗くなってしまうこともあるかもしれません。

 

そういった意味で、冒頭のエピグラムでも引用したジェームズ・アレンの残した珠玉の言葉――、ナポレオン・ヒルで言えば「思考は現実化する」、アール・ナイチンゲールで言えば「人間は自分が考えているような人間になる!! 」となるでしょうか――は、元気付けられます。

 

2006年にお亡くなりになられた経済学者、ジョン・K・ガルブレイス氏の『大暴落1929』は、「原因と結果」というタイトルで最終章を締めくくっています。最近刊行された版の帯には、「バブル崩壊、株価暴落のあとに必ず読まれる、恐慌論の名著」と評が書かれていますが、多くの人が「結果」に対する「原因」という本質を探ろうとしているのかと思います。ガルブレイス氏については、政治経済学部出身の友人の話には当たり前のようにその名が出てきましたが、文学部出身の私としては(学部に関係なく私だけの話かもしれませんが)、恥ずかしい話、当時全く知らない人物でした。大学卒業後に『現代経済学の巨人たち―20世紀の人・時代・思想』(日本経済新聞社編)を手に取ったのも、そうしたコンプレックスの反動だったと思い返します。ガルブレイス氏死去のニュースがあった際には、追悼の意を込めて、趣味で運営するネット上の書評に本書についてのレビューを書いたものでした。

 

繰り返しになりますが私に課せられたミッションは、この不況を脱するための方針を唱えることなどではなく、ご契約頂いたお客様のWebサイトを成功させるために知恵を絞ること、そして、サービスを提供するCS部員全員が等しくその実現のための知識や考え方、実行力を有するようにすることです。この考え方は、世の中が不景気であっても好景気であっても変わりません。ただ、そのときとのとき与えられたミッションに対して全力を尽くすことだけが、自分の仕事だと考えています。

 

最後になりますが、本コラムが、私としては今年最後のコラムとなります。今年も残すところあと僅かとなりました。不況に負けない結果をもたらす原因づくりを最後まで徹底していきたいと思います。それでは、少々早いかもしれませんが、良いお年をお迎え下さい!

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「歯科タウン1000医院突破キャンペーン」に多数のご応募ありがとうございました。

2008年10月26日 07:44 PM

 投稿者 小川 悟

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十八世紀フランスの哲学者デニス・ディドロは、『私の古いガウンを手放したことについての後悔』という題のエッセーを書いた。ディドロの後悔は、美しい緋色のガウンの贈り物によって引き起こされた。
/『消費するアメリカ人 なぜ要らないものまで欲しがるか』(ジュリエット B.ショア著,森岡孝二監訳)

先日、10月20日までの約1ヶ月半強の間、当社運営の歯科タウンで、懸賞キャンペーンをおこなっていました(キャンペーン告知ページはこちら)。

 

cf.「歯科タウン1000医院突破キャンペーン」のプレスリリースはこちら

 

応募総数は約5,000件。幾つか有名懸賞告知媒体へは掲載頂いたものの、定期的に開催しているキャンペーンではないことを考えると、予想を超える応募者数でした。ご応募頂きました方々へ、この場を借りて御礼申し上げたいと思います。応募に際しては幾つかアンケートにお答え頂かなくてはならず、ご面倒をお掛けしました。頂いたご意見は、当サイトの今後の機能面やデザイン面での改善に繋げ、歯のことで困ったときに今以上に利用しやすいサイトにしていきたいと思います。

 

懸賞キャンペーンであるにも関わらず、好意的な内容から手厳しいご意見まで様々で、忌憚なきご意見に本当に感謝しております。サイト改善は管理者が行うべきものではありますが、こうした第三者的な観点からの改善要望は、マーケティング要素として大変参考になります。万人にとって有用なサイト足ることは大変難しいですが、少しずつでも今以上に便利なサイトを目指して開発努力を続けていきたいと再び確信致しました。

さて、今回のキャンペーンの主旨としては、「歯科タウン」にご掲載頂いている歯科医院の数が1000件を突破したことに因んだもので、当社としてはこれを一つの節目をしておこないました。ところが、正直なところ、その実態としては本来あるべき当サイトの意義は満たせていないことは十分承知しています。応募者の多くの方が、「もっと掲載歯科医院数を増やして欲しい!」、「自分の住む地域の歯科医院が掲載されていない」といったことをご指摘されていました。

 

確かに全国版として謳っている歯科タウンであるのに、こうした多くの潜在的な患者層の需要に対し、供給が追い付いていないのは事実かと思います。なにしろ全国にある歯科医院の数は約68,000件(内、東京都に10,000件強で、全体の約15%強を占めます)、主要コンビニの2倍以上と言われます。その中で1,000件が占める割合は、わずか1.5%でしかありません。まだまだ私たちの仕事は、今以上に加速して続けていかなくてはならないという使命感を感じました。

 

cf.参考サイト
医療施設動態調査(平成20年7月末概数)/厚生労働省
国内店舗数(セブン-イレブン・ジャパン)
国内店舗数(ローソン)
国内店舗数(ファミリーマート)

 

そうした背景の中でも、多くのご応募が頂けた背景として、「Yahoo!懸賞」や「goo 懸賞」といった大手ポータルサイトに懸賞情報が掲載されたことのほか、景品の魅力もあるかもしれません。A賞には「Wii」+「Wii Fit」、B賞には「iPod nano(4GB)」と、どちらも人気の製品です。

※iPodは、米国および他の国々で登録されたApple Inc.の商標です。
※当キャンペーンはAppleの提供・協賛によるものではありません。

 

任天堂の商品開発における背景について、私が知るところは以前にもコラムで触れたことがありました。

cf.「年末商戦と消費キーワード ~ゲーム業界合従連衡の中で~」
http://www.web-consultants.jp/column/ogawa/2007/12/post-3.html

 

またアップル製品については、多くの人が知っているように、リリースするものが次々と売れているような印象を受けます。どちらも消費者喚起をするにはトレンドに合っているし、好印象な製品だったのではないでしょうか。

 

ところで、この二社の製品はどちらもリリース後、急激に売れるといった共通点がありましたが、任天堂の場合、製品によってはすぐに品薄になってしまう特徴がありました。まるで急激な供給の後の、需要の冷え込みを事前にコントロールしているかのような販売手法のようにも思えたものでした。一方でアップル製品の場合は、そうした側面に加え、やはりあの製品ラインナップに横串を通したように統一された独特なデザインと質感、そしてリリース前から期待された機能や操作性といった魅力を兼ね備えている製品ですね。

 

cf.参考サイト
・Macユーザーは「人と違ったことが好き」、Windowsは「普通が好き」――アスキー調査(ITmedia News,2008年10月03日)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0810/03/news084.html
・DESIGN IT! : iPhone×企業情報システム -次世代UIのガイドライン(ソシオメディア株式会社)
http://www.designit.jp/archives/2008/09/vol1_iphone_intro.html

 

一つ製品を購入すると、そのシンプルで洗練されたデザインで自身の所有欲を満たしたくなるような感覚。誰しも一度はそういった誘惑に駆られたことがあるかもしれません。似たような感覚に、ソニーの「VAIO」シリーズがあると思います。パソコンの主力ラインナップに名付けられたブランドですが、「VAIO」でソニー製品を手にすると、テレビは「BRAVIA」、ゲーム機は「PS3」、「PSP」と買い揃えてしまったのは他でもない私です。もちろんこれは一つの事例であって、皆が皆そうであるとは思わないので、私的な感想と思って頂きたいですが。

 

この「VAIO」のネーミングとロゴを開発したのは、ソニーのプロダクト・デザイナーである後藤禎祐氏です。1994年にデザインに携わった初代プレイステーションがグッドデザイン賞を受賞、その後「PS2」、「PS3」と、ハードウェアのデザインに関わっておられます。ソニーのデザイナーについて触れるのは、黒木靖夫氏に次いで2人目になります。

巷に溢れる製品って、どんな人がデザインしたのだろう?と興味が沸きます。特に最近では、情報デザインや情報アーキテクチャ、インタラクションデザインの面で、Web以外の世界でも学べる部分は多く、関連記事には興味を持って目を通すようにしています。

 

cf.
・Interviews with PLAYSTATION(R)3 Designers - Teiyu Goto xPLAYSTATION(R)3 Hardware
http://www.playstation.com/ps3-design/hardware.html
・「故黒木靖夫氏と"クリエイティブ"に対する私の思い」
http://www.web-consultants.jp/column/ogawa/2007/10/post.html

 

――と、このようにして、こうした製品が世の中に誕生するまでの背景を知ると、なおさら手元において置きたくなってしまいます。

 

冒頭に掲げたエピグラムはこれと似ているかもしれませんが、知人から贈られたガウンが気に入り、既に所有していたふるいガウンを捨ててしまうのですが、その後、書斎にあるすべての調度品が、このお気に入りのガウンに合わないと思えてきて、次々に揃えなおしてしまったというエピソードを書いたディドロに倣って、思わず調和を求めてしまう心理を「ディドロ効果」と呼んでいることを説明した一節です。

 

最後になりますが、本書では、こうして次々と消費へ向かう大量生産時代のアメリカ社会にスポットを当てた内容となっています。『働きすぎのアメリカ人』を書いた著者の作品で、昨今の「サブプライムローン問題」に端を発する世界的な金融危機を迎えた時代にあって象徴的な内容だなと感じました。以下に、本書の一節を抜き書いてみます。

 

ほとんどすべてのアメリカ人が家を買うために借金をし、車の大半は分割払いで購入している。さらにクレジットカード残高、消費者金融ローン、デパートの債務、個人からの借金などを考えると、家計の負債がいかに拡がっているかが分かる(一九九七年末現在、約五.五兆ドル〔約880兆円〕)。<中略>これから分かるように、アメリカ人の債務支払いに当てられる可処分所得の割合は増加し続けており、いまでは十八%に達している。平均的世帯の負債総額はこの数十年情け容赦なく増加しており、いまや世帯の年間収入に匹敵する。
借金額の増加の大部分はクレジットカードによるものである。一九九〇年から九六年の間にクレジットカードによる負債は倍になった。
/前出『消費するアメリカ人 なぜ要らないものまで欲しがるか』、「第4章 消費があなたらしさを創る」より。

cf.クレジットカードについて触れたエントリー
・クリエイターは消費者の夢を見るか? ~第二四半期末社員総会を終えて~
http://www.web-consultants.jp/column/ogawa/2008/10/post-17.html

 

GDP(国内総生産)で言えば世界でも1位、2位に位置づけるアメリカと日本(Wikipedia「国内総生産」)。

むしろ富んだ国家であるようにも見えるのですが、これが経済の難しいところなのだなと思いました。もちろん消費自体が悪いことではなく、むしろ消費がなくなれば景気はより後退すると言われます。肝心なのは、バランスだという内容が書かれているのでしょうか。1929年の世界大恐慌のときに比べれば、経済学も高度に発展したものと思いますが、同時に人口も増え、社会の仕組みも複雑化したのかもしれませんね。

 

実際、こうした世相ですから消費に対して消極的になってしまう風潮もあるかもしれませんが、企業にとっては利益を得るためにどうしても必要な行為が投資です。私たちはそうした投資に当てられた大切な費用を頂いて、Webを通したご提案をしなくてはならないわけですから、常に自己研鑽に励む必要があります。私たちはお客様の多くとは違って会社に雇用される側の立場ではありますが、将来得るべき利益のための投資と思って自身の労働力の価値研鑽を積んでいるといった当事者意識で職務に当たり、なるべくお客様と近しい対等な関係でいたいと考えています。

 

話が本題からだいぶずれてしまいましたが、「歯科タウン」に掲載頂ける歯科医院様、そしてその「歯科タウン」を通して診療予約サービスをご利用頂ける患者様からのニーズをしっかりと拾い上げて、当サービスに関わるすべての人が、何かしらの価値を享受して頂けるようなアイデアを、今後も引き続き社内から創出していきたいと思っています。

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「コンタクトセンター」発足から1年 ~「顧客の声(VOC)」に耳を傾けることの重要さ~

2008年08月30日 07:35 PM

 投稿者 小川 悟

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信念のためには、たとえ敗れると分かっていても、おのれを貫く、そういう精神の高貴さがなくて、何が人間ぞと僕はいいたいんだ。
/『強く生きる言葉』(岡本太郎, 岡本敏子構成・監修)

今回は、CS部にある「コンタクトセンター」チームのご紹介をしたいと思います。
以前のコラム(「CS部(カスタマーサポート部)とミッション・ステートメントのご紹介」)で、当チームについて触れたことがありました。当社にコンタクトセンターが設置されて早いものでもう1年余りが経ちます。それ以前は、基本的には担当営業マンが取引先担当責任者として窓口となり、そのフォローをWebディレクターが行っておりました。組織の規模が小さく、顧客数が少ない頃は、こちらの方がお客様ともOne to Oneな関係が築け、両者ともに都合が良かったのです。ところが、一定の規模を超えたあたりから、今までのやり方では通用しなくなる感覚を感じ始めました。お客様が当社の「個人」に依存することで享受できるメリットは確かに多いかもしれません。しかし、仮に当社都合で担当者の役割や職位が変更となったとき、もしくは転勤・退職となった際、いくら引き継ぎをしっかりと行っても同様のサービスをご提供できるかどうかは分かりません。ですので、ある時期からは「組織」に依存して頂くことで、漏れのない均質なサービスをまずはご提供することを目指してゆく必要がありました。そうして発足したのが、今の「コンタクトセンター」チームです。

「コンタクトセンター」チームの主な機能としては、顧客折衝窓口業務と、お客様からのご相談に対する課題解決です。一般的に言われる「コンタクトセンター」ほど高度なソリューションを有しているわけではないかと思いますが、私たちのビジネスは法人様向けのサービスであり、インターネットを活用するソリューションとなりますので、お客様からのお問い合わせは電話だけに留まらずメールであったり、ときには訪問して問題を解決することもあります。そのため、「コールセンター」では仕事の役割を正確に示していないと考え、社内外への役割浸透も含めて「コンタクトセンター」と命名されました。

 

中小・ベンチャー企業様がWebサイトの構築を外部に委託する際、最も気にされているのが、納品後のアフターフォローです。売り切り(買い切り)での選択をされたのなら別ですが、Webサイトはご存知の通り構築して終わりではありません。納品されてからがスタートなのです。Webサイトを戦略的に運営してゆく中で、何度も大きな壁にぶつかることと思います。それは私たちも同じです。「どうすれば良くなるのか?」という簡単な命題ながら、それを完全に見極めて簡単に結果を出している企業はあまりないと思います。おそらくが試行錯誤の毎日で、常に「困った」「欲しい」状態が発生します。

私たちの有するコンタクトセンターの要諦は、まさにこの「困った」「欲しい」という既存顧客が抱える、潜在的にしろ顕在的にしろ、どう解決してよいか判断のつかない課題に対し、最も相応しい解決案を提案・実施することです。

しかし、私たちの「コンタクトセンター」も他の部署同様に発展途上の段階にあり、役割や目指す理想の形態については会社の成長に合わせて柔軟に変えてゆく必要があるものと思っています。しかしながら、松尾芭蕉の言う「不易流行」ではないですが、私たちを取り巻く環境の変化については常に柔軟に対応していかなくてはなりませんが、サービス業務上必須となる顧客窓口機能として絶対的に不変でなくてはならない考え方があると思います。それが、顧客満足度を向上させることです。

これを聞いて、「なんだ、当たり前じゃないか」と思う人も多いと思います。しかし、余程高度なソリューションを有した組織は別として、大半が「顧客が満足する」ではなく「顧客を満足させる」手段について論じ合っていたり、もしくは顧客を満足させるための手段について論じ合う過程で割れた意見をまとめること自体が目的となってしまっているケースも少なくないと思います。何よりもまず、「顧客の声」(VOC=Voice of the Customer)を収集して、分類・整理し、問題の本質を突き止めて課題解決のために優先順位付けをしてスケジュールを立ててゆく――、まさにマーケティング同様のステップが必要であると考えています。

 

それから、コンタクトセンター部門の設置に関してはCS部の次長が率先して動いてくれましたが、社内全体的な理解と協力は大変得やすかったと記憶しています。電話の鳴り分けや名刺に刷られる記載についての変更等のインフラ整備に始まり、体制に合わせた顧客データベースの再構築といった業務と連動した部分等。そうして初期メンバーとしてアサインした者は、創設期であるため主に正社員のみで構成し、前職も含め営業職とWebディレクター職、もしくはコールセンター業務の経験者のみで組織しました。

設置当時は、何か事あるごとに全力で対応させて頂いておりましたが、労働集約型の対応では限界があります。「ハインリッヒの法則」(cf.「ハインリッヒの法則」/Wikipedia)で言えば、大きな問題に対して解決したのみで、その問題発生に至る前の、もしくは潜在的な他大多数の中小の問題(ヒヤリ・ハット事例)の解決には至らないことが想像できました。

私自身も前職はカスタマーサポート業務に2年半従事しておりましたので多少の知識はありましたが、当時既に多くのお客様にご利用頂いておりましたので、今までのように力技で対応していたのでは、逆にご迷惑をお掛けしてしまうことになりかねないと、当時の体制をリスク要因の一つとして捉えました。経験則も重要ですが、当社にあって初めて組織されたチームですから、外部の知識を取り入れる必要があったのです。

そんなときに閲覧していたのが、ITmedia エンタープライズのコンタクトセンターが企業の顔になるという記事でした。自分が想像もできないことが、ある日突然実現するということもあるかもしれませんが、基本的には自分の想像の延長線上に描けるようになるまではゴールも存在しないと考えています。とにかく世の中にある事例を一つでも多く知りたい時期でした。この記事の中には、多くの企業様の苦悩と企業努力の賜物が詰まっており、大変影響を受けました。

続いて、月刊コンピューターテレフォニー誌の定期購読を始め、本誌の版元であるリックテレコム社が刊行された、『"顧客の声"分析・活用術 テキストマイニングが拓く――コールセンター高付加価値化への新たな提案』(株式会社野村総合研究所 テキストマイニング研究チーム/株式会社プラスアルファ・コンサルティング監修)や、『アウトバウンドの本―電話でお客様の心を捉え、企業のメッセージを伝える』(トランスコスモス著)にも目を通しました。また、先日当社も出展させて頂きました「第2回 Web2.0マーケティングフェア」では、本書でも紹介されている野村総合研究所様のソリューションもご出展されていましたが、そこで頂いたパンフレットにも目を通しました。

cf.コンタクトセンター・アワード 2008(主催:リックテレコム)
http://www.cc-award.com/

また、波多野精紀氏のWebサイト(「WEBマーケティング・コールセンター・CRMの市場通信」)を参考にさせて頂いたり、HDI(Help Desk Institute)が掲げている格付けの評価項目(「Help Desk Institute格付け」)を意識した目標設定なども行っているところです。ただし、いずれも今の私たちでは実現できないようなトップレベルの問題解決力が要され、実現のためにそれなりのコストもかかります。まずは、将来的に進むべき進路を業界標準に照準を合わせて策定しておきたいと考えています。

後々、コンタクトセンターとしての機能が成熟し、成果を上げるようになってきたときは、またご紹介する機会もあるかと思いますが、まずは簡単に現状をお伝えさせて頂くことにしました。

 

ところで、5年ほど前にHONDA「Stream」のCMで起用されたキャッチコピーに、「ポリシーは、あるか。」というものがありました。普段は車に乗ることが少ない私ですが、なぜかあのときこの短い一節の虜になっていました。言われてみれば、会社で何かを進言するとき、「その発言の内容にポリシーはあるか?」と自問してみると、一瞬ひるんでしまう自分がいたのです。

「ポリシー」とは"方針"と言い換えられます。つまり、問題解決の基本のフレームワークどころか、解決しなくてはならない強い理由さえも持ち合わせず、安易に目の前の問題に向かおうとしていたことがよくあったのです。ある程度現状を踏まえた上で先々を見越して打ち立てる計画でもなく、本質を理解しないまま部分最適のためのジャストアイデアを絞り出すのが精一杯だったのです。先ほどまでご紹介してきた事例はあくまでも手段に過ぎず、それを実行して何かしらの結論を得るのは結局当事者のみしかいません。「何をやるか?」の前に「何故やるか?」が大切ですね。

 

さて、9月――。コンタクトセンターが発足後、2年目に突入して少し経ってはいますが、まずは「お客様との対話(コミュニケーション)」に注力する月間としたいと考えています。受け入れ体制を構築するのにだいぶ時間がかかりましたが、今も発展途上ながら、再びお客様と共に成長を続けていけるよう、よりお客様の「困った」「欲しい」というニーズを満たせる組織にしていけるよう努力を続けてゆく所存です。引き続き宜しくお願い致します。

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名古屋営業所開設に想う ~ものづくり大国"NIPPON"ブランドを牽引する企業にあやかりたい~

2008年03月23日 11:07 PM

 投稿者 小川 悟

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日本経済の地盤沈下がいわれるなか、注目を浴びている経営者がいる。衛生陶器のTOTO。タイルのINAX。碍子の日本ガイシ。プラグの日本特殊陶業。洋食器のノリタケ。高級磁器の大倉陶園。……これらの企業を創立し、世界のトップブランドに育てあげた、大倉孫兵衛とその長男大倉和親である。

/『製陶王国をきずいた父と子 大倉孫兵衛と大倉和親』(砂川幸雄氏著)、本書そでの部分に書かれた書評より。

今月3日に名古屋営業所が開設しました。東京本社(管理部門は分室)、福岡営業所、大阪支店、そして名古屋営業所と、これで当社の拠点が4つ目となりました。当社の決算期は3月で、来月からは第8期目を迎えますが、私が入社した2期目には渋谷区・松涛にあったマンションの一室で、社員数も役員を含めて5、6人の会社でしたから組織の規模としては随分と大きくなりました。規模に負けないくらいの組織機能を付けてゆきたいと思う今日この頃です。

  名古屋営業所開設に因み、私事ではありますが、名古屋や愛知県に関する思い出話から始めたいと思います。まだ今の大阪支店さえもなかった頃に名古屋圏の既存クライアント様のところへ取材等々で短期出張したことがありました。また、前職も名古屋に営業所のあった会社でしたが1ヶ月間ほど出張に赴いていたことがありました。夏季休暇のときに帰省する郷里もなく、東京からほとんど離れたことのない私にとってこうした出張は大変気分転換になるものです。仕事が休みの週末には、同僚から自転車を借りたりなどして一人街見物に出掛けては、見る物すべてが斬新に感じ、写真を撮りまくっていたものでした。特に食べ物に関しては独特なものが多く、名古屋名物の食べ歩きなどにも出掛けたものです。

 

それから何と言っても名古屋(愛知県)関連で最も思い出に残っているのは、今から3年前の2005年のゴールデンウィーク期間中に訪れた愛・地球博」(以降、「愛知万博」)です。以前に本コラム故黒木靖夫氏と"クリエイティブ"に対する私の思いのエントリーでも触れたことがありましたが(盛田昭夫氏も愛知県出身ですね)、私はこの万博のようなイベントが大変好きです。いろんな国の文化や、企業の技術開発やCSRに対する取り組みなどが集約されて展示されたパビリオンを巡っていると様々な物思いにふけることができるからで、このときも私は一人で2泊3日の「愛知万博」巡りの旅に出掛けました。

先述したつくば科学万博(85年開催)が(出展企業のパビリオンの大半を電通がプロデュースしていたことから)「電通博」と揶揄されたのに対し、この愛知万博は「トヨタ博」と称されることもありました。

cf.『万博幻想-戦後政治の呪縛』(吉見俊哉氏著)、『博覧会の政治学 まなざしの近代』(吉見俊哉氏著)

確かに愛知万博は、メインテーマには「自然の叡智」を、サブテーマの一つには「循環型社会」を掲げていましたが、当時会場内を撮影した写真を見返してみると、会場内を走っていた交通機関IMTS(インテリジェント・マルチモード・トランジット・システム)」、「会場間燃料電池バスなどにはトヨタ自動車の開発したハイブリッドエンジンが応用されていたりと、地元を代表するエコロジーを推進する企業としての側面も見られました。

ところで、トヨタ自動車と聞いて思い浮かべるものの一つとして、トヨタ生産方式があります。私が生産管理部門にあたるCS部に所属しているからでしょうか、それとも私の父が町工場を営んでおり、中学時代には社会勉強を兼ねてプレスや金型製作、旋盤などの工程を見学しに遊びに行ったり、不良品の選別作業を内職で手伝ったりしていたものでしたが、大仰な機械が並ぶ生産ライン(と呼べる程の規模ではありませんが)を目の当たりにしていた経験からか、製造業の現場に慣れ親しんできたこともあるのかもしれません。

「ジャスト・イン・タイム(JIT)」、「カンバン」、「ムダ」、「平準化」、「アンドン」、「ポカヨケ」、「自働化」、「改善」、「見える化」etc・・・、ビジネス誌などでよく目にするこれらの用語が、このトヨタ生産方式に由来していることを知ってからは、私たちの仕事にどうにか採り入れることができないかを考えるようになっていきました。私たちの主な仕事はWebサイトの構築がメインではあるものの、一つのWebサイトを構築するまでには様々な職能を持った多くの人が必要であり、まさに労働集約型のコストセンター部門であり、例えるなら幾つもの機械がベルトコンベアで繋がれた、ライン生産を行う"工場"のようでもあります。

CS部発足当初はとにかくがむしゃらに働き、夜遅くまで働けば何とかなる!と力技での解決を目指していましたが、今のように組織も大きくなり、構築しなくてはならないWebサイトの数も膨大なものになってくると、今までのやり方がまるで通用しなくなってきます。トヨタ生産方式のようなフレームワークを導入した論理思考が求められてき、会社の成長に併せて拡大した組織に対し効率的にノウハウを浸透させてゆくような文化基盤(インフラストラクチャー)の仕組みづくりが急務になってきました。もちろん私一人の力ではどうにもできませんので仲間との協働作業が必要になってくるわけですが、そこでもうまく連携しなければ問題解決どころか逆に火を噴くプロジェクトやデスマーチを生み出し、全体的にモチベーションや生産性を下げてしまいます。

「どうしたら品質を上げつつ、もっと納期を早めることができるのか(品質と工数とは必ず反比例するものなのか)?」、「どうしたら人的ミスが減るのか(社員教育だけがミスを減らせる方法なのか)?」、「管理のための管理をしてしまっている部分はないか(ムリ・ムダ・ムラのある方法での作業も改善せずに工数に含めてしまい"仕事をした気"になっていないか)?」、「どうしたらもっとみんなが明確な自身のキャリアパスを描きながら楽しく仕事ができるようになるのか(組織全体に漂う疲弊感を生み出しているものは本当に忙しさだけからなのか)?」等、破綻したエンロン社の掲げていた「Ask Why(常に疑問を)」ではありませんが、今もそれは私の中で永遠のテーマとなっています。

 

こうした世界のトヨタ自動車を排出した愛知県は、製造業界で言うと日本でもトップクラスの実力を誇ります。製造品の出荷額では30年連続で日本一(cf.愛知県公式サイト「愛知ブランド-愛知のものづくり」より)、県内総生産も35兆6,862億円で、東京都、大阪府に次いで全国第3位(cf.同「あいちのすがた」)となっているとのことです。

今回は陶磁器に注目してみます。「やきものの町」として知られる愛知県瀬戸市は、江戸時代に陶工の加藤民吉が有田焼にインスピレーションを受けて開いた瀬戸焼で有名です。地域によっても呼称は違うのかもしれませんが、私などの場合は「瀬戸物」は「セトモノ」であって、幼少時代から陶磁器製品全般を指す一般名詞だと思い込んでいたほど生活に溶け込んでいました。

冒頭のエピグラムでも引用した『製陶王国をきずいた父と子』で語られる人物、大倉孫兵衛と大倉和親は、TOTOやINAX、日本ガイシ、日本特殊陶業、ノリタケ、大倉陶園といった日本の陶器産業(セラミック業界)を代表する名だたる企業の生みの親と言えます。ちなみに彼らが活躍した時代、日本を代表する輸出産業の先進企業を牽引した人物としては他に、三重県出身の御木本幸吉が挙げられます。"真珠王"と呼ばれた株式会社ミキモトの創業者です。

cf.御木本幸吉 生誕150年 | ミキモト
http://kokichi.mikimoto.com/
※「2008年1月25日はミキモトの創業者、御木本幸吉150回目の生誕の日にあたります」

先の愛知万博に訪れる際、旅の目的としては万博見物以外に「セントレア(中部国際空港)」と企業ミュージアム見学を入れていました。トヨタ博物館は残念ながら時間の都合で行けませんでしたが、ノリタケカンパニーリミテドの企業ミュージアムノリタケの森へは赴きました。万博好きが高じて"産業"としての洋食器やテーブルウェア、カトラリーの類にも多少の興味があったのと(cf.『「サン・シモンの鉄の夢」 絶景、パリ万国博覧会』/鹿島茂氏著)、オールド・ノリタケ(cf.アーリーノリタケ磁器博物館)などに現れる美術品・工芸品・コレクターアイテムとしての魅力、あるいはアーツ・アンド・クラフツ、アール・ヌーヴォー、アール・デコ、シノワズリといった芸術運動や日本の文様などに影響を受けていた当時のヨーロッパ発祥のデザインなどに興味があって、愛知行きのかなり以前から楽しみにしていたミュージアムでした。

cf.
・株式会社ノリタケカンパニーリミテド ノリタケのあゆみ
http://www.noritake.co.jp/about/history.html
・「愛知万博特集 万博の歴史」(朝日新聞)
http://www.asahi.com/expo2005/history.html

アメリカに日本製の古い陶磁器の蒐集家の団体、「ニッポン・コレクターズクラブ」というものがあるそうです。ノリタケの前身であった森村組がアメリカへ陶磁器を輸出するにあたり、「Made in Japan」と刻印しなくてはならない規則を知らずに「NIPPON」とだけ書いて輸出していた1880年代から1910年代までの30年間に製造された製品が特に人気なのだそうです(cf.『製陶王国をきずいた父と子』)。「ノリタケの森」にはそうした古い陶器や最新作、大倉孫兵衛が影響を受けた錦絵を展示するミュージアムやショールーム、絵付け作業なども含めてノリタケの陶器ができるまでの実際の工程を見学できるクラフトセンター、セラミックについての知識を得ることのできる「森村・大倉記念館 CANVAS」などがあり、社会科見学のような感じで楽しめます。多くの展示の中で特に興味を持ったのは、歯科材料としてのセラミックに関する展示内容です。

cf.
・「ノリタケの森」施設一覧
http://www.noritake.co.jp/mori/map/
・株式会社 ノリタケデンタルサプライ
http://www.noritake.co.jp/ceramic/nds/

当社が歯科タウンという歯科医院検索ポータルサイトを創業時から運営していることもあって、歯科医院への取材はかなり行って参りましたが、取材時によく見聞きすることのある「ポーセレン・ラミネートベニア」や歯科用石膏の類が、実はこのノリタケと非常に関連が深いことが分かります。ポーセレン・ラミネートベニアや歯科用石膏もセラミック(陶器)の一種ですから関連があってもおかしくはないと思うのですが、「二人に一人はノリタケの陶歯材料」というタイトルで、「スーパー・ポーセレン・トリプルA」を開発し国内シェア50%、世界約50カ国への輸出実績などが説明されていて驚いたものでした。世界のノリタケは見た目に美しく生活を彩る陶器だけではなく、このように私たちが生きてゆく上で密接に絡んでくる口腔内へ対しても培った技術が適用されているのかと、ものづくりの究極の形を見たような気がしました。

 

当社が名古屋に営業所を開設する流れの中で、地域が発信する「ものづくり」の息吹に影響を受けながら、もっともっとその性質を伸ばしていきたいと思いました。

中部圏の企業にお勤めの皆様、このような私たちですが、今後も長いお付き合いができればと考えておりますので、どうぞ宜しくお願い致します。

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市場撤退という東芝の決断 ~現代に生きる古代中国の思想、「諸子百家」と呼ばれたコンサルタントたち~

2008年03月 3日 12:28 AM

 投稿者 小川 悟

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企業の事実と消費者の事実が、より近い関係になるためにこそインターネットは利用されるべきなのだろう。消費者の事実と企業の事実との摩擦を強め、険悪ムードを増長させるためだけにインターネットが使われるなら、インターネットそのものの存在意義から問い直さなければならないだろう。

/『東芝クレーマー事件』(前屋毅氏著)

2006年3月31日、「Blu-ray Disc(以下BD)」との規格主導権争いの火蓋を切ることとなった、東芝-NEC陣営の発表した新世代DVD規格「HD-DVD」搭載のDVDプレーヤーが発売されてからわずか2年、2008年2月19日、東芝の西田厚聡社長はHD-DVDの市場撤退を表明しました。かかる損失は数百億円規模と言われているので今後の動き次第なのでしょうが、まさに「そのとき歴史が動いた」の瞬間に立ち会ったような気がしました。

cf.参考記事

・戦いの軌跡 東芝のHD DVD撤退から学ぶもの(ITpro)
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20080221/294345/

・デジタル家電&エンタメ:特集 「ブルーレイ VS. HD-DVD」(IT-PLUS)
http://it.nikkei.co.jp/digital/special/disk.aspx

 

インターネットの記事の中には「消費者不在の不毛な規格争い」などといった意見もありましたが、こうしたデファクト・スタンダードの主導権を争ったビジネス戦争は今回が初めてのことではありません。2004年9月12日、ソニー・コンピュータエンタテインメントの社長兼CEOである久夛良木健氏は、今後のゲーム市場に対し大容量コンテンツ搭載が可能な仕様で臨みたいという考えから、「PS3(プレイステーション3)」にBDを採用すると発表しましたが、その際も重厚長大から軽薄短小へと推移していた市場ニーズを無視したオーバースペック、時期尚早などと言われていたような気がします。

BD規格を推進するソニー・松下陣営が2004年に米MGM Studios社の買収を決めると、東芝・NEC陣営は米Paramount Pictures社、米Universal Pictures社、米Warner Bros. Studios社、米New Line Cinema社と、ハリウッドの大手映画スタジオの支持を得たとの緊急記者会見を行い、まさに手に汗握る広報対決でもありました。

2008年に入り、この大手メーカー対決も終局を迎えるようになります。1月4日、Warner Bros. EntertainmentがHD-DVD陣営から離脱を表明、BD規格支持へと離反しました(ワーナー・ショック)。1月8日、米Paramount Pictures社がBD単独採用を発表、2008年2月15日には、米小売最大手のWal-Mart社が2008年6月までにHD-DVDの取り扱いを取りやめると発表――、しかし私たち消費者から見れば、一部のアーリーアダプター(初期採用者)たちを除いて、「一体どの規格が良いのだろうか?」という疑問ばかりが生まれただけの争いではなかったでしょうか。そうした意味においては、「消費者不在の不毛な規格争い」と言われるのも頷けます。

 

私のように最新の家電製品にとかく疎い者では、今回の規格主導権争いの背景や、どこにBDの勝算があったのか等について言及することはできないですし、PS3のときとの性質の違いなども詳しくは分かりません。しかし、私たちのビジネスの世界、すなわちインターネットにも多くの規格が存在しましたし(今も携帯用サイトなどはニーズが高まってきていますが、キャリアによる仕様統一とまではいっていません。また、保存用メディアとして活用されることの多いメモリーカードに関しては、DVDの規格とは比べ物にならないくらい混沌としているような気がします)、メーカーと違って形ある物ではなくWebサイトというイメージの産物を取り扱う立場ではありますが、ものづくりに関わる者として大変興味深いニュースでした。

cf.kizasi.jp

http://kizasi.jp/

※この時期「東芝」などについて書かれたブログが多く、消費者の関心を多く惹いたニュースであることが分かります。

 

このDVDの規格以前には、「レーザーディスク(LD)」と「VHD」との争いがあり、それより以前には「VHS」と「ベータ」戦争がいまだ記憶に新しいところです。いずれも多くの消費者からの支持を獲得することとなった規格が市場を制してきました。どのような規格も出始めはマイノリティからのスタートの筈ですが、経営陣や開発者たちの戦略がマジョリティを築き、その後戦いを制したプロダクトが有することとなるライフサイクルの膨らみの分だけ利益を得ることになりました。そういった単純な市場原理の側面だけから見ても、東芝のHD-DVD陣営としては長期戦にもつれ込んだとしても、最後まで戦い抜きたかったと思うのですが、市場撤退という決断はある種潔かったと言えるのかもしれません。

この一連の攻防戦に対し、世論は大きく「英断」と「遅過ぎた決断」とに分かれているようですが、本コラムではその是非ではなく、数百億円の損失を生むことを決定付けた「決断」という行為自体に主にスポットを当ててみたいと思います。

 

以前、当社専務から「"決断"とは"決めて断つ"と書く、つまり捨てることだ」と言われたことがありました。日々の業務の中で、私にとっては重要な判断を迫られた際に、リスクばかりを提示してなかなか決め込まない私に対する指導の一貫でもありました。決断したことによって、周囲から文句を一身に受けることになるかもしれないし、場合によっては会社からリアルなお金が出てゆくことになるかもしれません。事実、当社も右肩上がりの成長を続けていますが、それはあくまでも数字の面であって、今までにも多くの事業から撤退しています。そのときそのとき、少なからず損失はあった筈です。

そんな「決断」に際することを当時の自分は極端に恐れていました。成り行きだけが自分にとっての唯一の救いでしたから、上手く運べば良かったと考え、悪く運ぶと不満に感じるだけでまったくの部外者感覚が続き、結果論しか論じることのできない社会人生活が長く続きました。その見返りとして、当然参加意識を持てる筈もなく、今以上に大きな仕事は到底できないという消極的な思いばかりが深層心理を支配するだけでした。ですから当時の専務の言葉は、なかなか捨てることができなかった自身の人生の中で初めて聴いた「逆説の真理」でもありました。

 

ところで、この次世代DVDの規格争いですが、まさにビジネス戦争とも言えるでしょう。血こそ流れないものの、開発者たちが流した汗や涙(苦労や心配、徒労感、疲弊感)や多額のコスト、人材などが流れ出た現代のビジネス界における戦争です。また、ビジネスの世界は「ランチェスター戦略」「孫子の兵法」、「君主論」など、古くから企業の戦略や管理職のマネジメントを戦争や政治に例えて言うことが多いです(cf.「政治はすなわち国家の経営」/松下幸之助、松下政経塾)。

この孫子についてですが、孫子は紀元前の中国――、春秋戦国時代(紀元前770年~221年)に活躍した「諸子百家」と呼ばれる学者たちの中で、「敵を知り己れを知らば、百戦して危うからず」や、武田信玄も影響を受けた「風林火山」の思想を唱えた兵法書(cf.『孫子の兵法』)などを書いた「兵家」を代表する人物です。「諸子百家」は、孔子、孫子、孟子、老子、荘子、墨子をはじめとした当時の各界の頭脳集団の総称で、言わば国家経営を支えたコンサルタント集団とも言えるのかもしれません。

cf.諸子百家 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%AB%B8%E5%AD%90%E7%99%BE%E5%AE%B6

 

■東芝の「選択と集中」戦略 HD‐DVD撤退、フラッシュメモリーは新工場(J-CASTニュース)
http://www.j-cast.com/2008/03/02017282.html

上記の記事の中では、先述のワーナー・ショックに際して、ソニーのストリンガー会長が水面下で動いていたことが書かれています。「孫子の兵法」で言うところの「衢地」(三国以上がひしめき合う土地)において、他国との同盟(ここでは「映画会社」からの支持)を急速に進めた戦略が功を奏したようにも思えます。本記事では、そのことが今回の争いに終止符を打ち、両社の損失を最小限に抑えた決定打となったことをほのめかしています。

 

以上のように、戦争に勝つためには「戦略」が必要なことが分かります。

私たちも「諸子百家」とはいかないまでも、様々な前職の経験を有したスタッフたちが日々研鑽しながら、「Webコンサルタント」としてお客様の戦略立案に貢献できるよう努力を続けています。今回引き合いに出したような大手企業同士の争いのようなスケールに対応することはなかなか難しいですが、かと言って中小企業様に戦略が不要であるわけではありません。私たちもまだまだ未熟な若輩者ばかりですから、お客様からの協力なくして事業を成功に導くことは到底不可能ですが、私たちやお客様が戦われている戦場において、恐縮ながら軍師や策士として活躍できることこそがこの仕事の唯一の醍醐味と思っております。お客様からもいろいろ教わりながら共に成長していきたいと願っているパートナーと思って頂ければ幸いです。

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年末商戦と消費キーワード ~ゲーム業界合従連衡の中で~

2007年12月31日 04:08 PM

 投稿者 小川 悟

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ソニーはハードが主、ソフトが従、そういう路線です。任天堂はその逆でソフトが主、ハードが従(任天堂相談役・山内溥氏)。

/日経ビジネス 2007年12月17日号 『山内溥相談役、岩田聡社長が語る 任天堂はなぜ強い 「たかが娯楽」の産業創出力』より。

2007年12月2日は、Wii発売1周年でした。1日には新製品「Wii Fit」が発売され、年末年始を家族団欒で過ごされた方も多かったのではないでしょうか。ニュースでも2007年の家庭用ゲーム機の国内販売額が3,000億円突破の見通しということで、過去最高を更新したそうですね。ゲームと言うと、いまだ一方では良い印象がないものの、社会的地位を得ている証拠とも言えるのかもしれませんね。

この次世代ゲーム機と呼ばれるゲーム機が登場して世間を賑わすきっかけとなったのは、2005年12月10日発売の「Xbox 360」、2006年11月11日発売の「プレイステーション 3」、そして2006年12月2日発売の「Wii(発表当時は「Revolution(仮称)」)」の家庭用ゲーム機が公開された「東京ゲームショウ2005」の開幕だったかもしれません。こうした展示会でおこなわれた各社基調講演の中で、次世代ゲーム機とは何なのかについて語られ、各種メディアが記事に起こし我々消費者にまで伝えられてきました。

 

私事となりますが、私は俗に言う「ファミコン世代」に当たります。姉がいる関係で、幼少時代ゲームと言えば、ゲーム&ウォッチで遊んでいました。この「ゲーム&ウォッチ」は任天堂を語る上で外せない横井軍平氏によって世に登場したゲーム機です。1983年にファミコンが発売された後、私は既にMSXなどのゲーム機で遊んでいたクラスの友人の話を聞いている内にファミコンが欲しくなり、親にねだって買ってもらったものです。この時期最も印象に残っているのは、1986年5月27日に発売された「ドラゴンクエスト」です。発売前から「ファミリーコンピュータMagazine(ファミマガ)」、「ファミコン通信(ファミ通)」、「BEEP」等の雑誌はほぼ定期購読のようにむさぼり読んでは予習をし、発売日には近所のおもちゃ屋さんに並び、サウンドトラックもレコードやカセットテープで購入し、友人たちとゲームブックと呼んでいた分岐型ストーリーブックのようなものを作ったり、小学校のおたのしみ会では紙芝居にもしたものでした。1日何時間もプレイし、あれから20年余り経た今日でも、LV30 のときの復活の呪文が記憶にあるくらい印象的な"事件"でした。もちろんファミコン以前にもいわゆる家庭用ゲーム機はあったし、パソコンゲーム(当時はマイコンと呼んでいた)もあったし、近所の駄菓子屋さんに行けばアーケードゲーム機もありました。クラスの友人の中には、Nゲージで遊ぶものもいましたが、それでも主流はたちまちのうちに「ファミコン」になりました。そうした流れで、後のスーパーファミコンや、プレイステーションなどは購入してきましたが、今自宅に現存しているゲーム機は、「プレイステーション 3」と「プレイステーション・ポータブル(PSP)」、その他パソコン用ゲームのみとなっています。

 

また、今年1月21日に、故黒川紀章氏設計による国立新美術館が開館しました。国立の美術館としては30年ぶり5館目の開館で、私も開館したその日に行って参りました。今年7月に惜しくもお亡くなりになられた河合隼雄元文化庁長官による、文化庁メディア芸術祭10周年企画展として、「日本の表現力」という展示が行われたことがありました。アート、エンターテイメント、アニメーション、マンガを題材として、1950年代から2006年に至るまでの日本のメディア芸術について展示した内容でした。クロニクル(編年体)で綴られた、それらメディアの歴史をアンソロジー的に振り返ることができた良い機会でした。そこでも、私の人生の中におけるゲーム機の登場が、いかに大きな、生活習慣を変えるくらいの出来事だったかを思い知ったものでした。

ビジネスの世界では、こうしたファミコン世代が社会進出し、30代を迎えるにあたり、そこに新たなマーケットがあるのではないか?と各社がマーケティングに乗り出して久しいです。広告業界では、ゲーム内広告のようなメディアも出てきて、既存4媒体(テレビ、新聞、雑誌、ラジオ)さえもが、競合視するほどになりました。

 

ところが、昨今の少子高齢化の波の影響か、新たな競合出現によるゲーム離れによるものなのか、供給が需要に追いついたのか分かりませんが、我々がかつて熱狂的に支持していたゲーム業界において、昨今では再編の動きが加速して参りました。

2003年 4月 1日 株式会社スクウェアを株式会社エニックスに吸収合併、商号を株式会社スクウェア・エニックスへ変更
2004年10月 1日 サミー株式会社、株式会社セガを買収後、それに伴いセガサミーホールディングス株式会社設立
2005年 4月11日 コナミ株式会社、株式会社ハドソンが発行する第三者割当増資を引き受けて連結子会社へ
2005年 9月28日 スクウェア・エニックス、タイトーをTOBで買収後、連結子会社へ
2005年 9月29日 株式会社ナムコ、株式会社バンダイと共同持株会社である株式会社バンダイナムコホールディングス設立による経営統合
2006年 2月23日 株式会社バンダイナムコホールディングス、バンプレストを完全子会社化
2006年 3月 1日 株式会社トミーと株式会社タカラの合併により株式会社タカラトミー発足
2007年11月28日 株式会社バンダイナムコホールディングス、バンダイビジュアル、バンダイネットワークスを完全子会社化

各社が生き残りをかけてというか、数年先の業界内シェアや立ち位置を考慮して、先手を打ち合う格好となったのかと思います。誰と組むか?がキーとなっていた昨今だったのではないでしょうか。 

自社にない強みを求めて、競合企業と協力して今まで以上の成果を出す――、そうした合従連衡の動きの中で、私たち消費者はただその摩擦の中で生まれる、より高度なエンタテインメントに期待して私費を投入し、恩恵を享受し、また支持してゆくことが役割となっています。

 

そうした中で、今もっとも注目されている企業が任天堂ではないでしょうか?

社員数わずか900人、国内企業時価総額では、NTTやみずほファイナンシャルグループを凌駕し、トヨタ自動車、三菱UFJファイナンシャルグループに次いで9兆5,909億円で3位、1社員あたり2億8,655万円という驚異的な売上高と安定した財務基盤(預貯金)や体質。2004年12月2日の「ニンテンドーDS」、2006年12月2日の「Wii」発売でソニーの戦略をくじき、一躍お茶の間の支持を得て業界首位に返り咲いた任天堂。今後はニンテンドーDSとWiiとの連携や、インターネットとの融合などが見込まれており、既にNTTとはフレッツ光通信網との連携を図るための協業が進められていると聞きます。通信・放送の概念を、根本から覆してしまいそうな、その強さの秘密はどこにあるのか――。

 

冒頭に紹介した「日経ビジネス」の誌面の中では、『時代を超える「娯楽屋魂」』と大きく見出しが打たれています。

任天堂の創業は1889年にさかのぼります。花札を製造する「任天堂骨牌」として創業した後、1902年に、「日本で初めてトランプの製造を行う」とあります。今ゲーム業界で注目の的となっている任天堂のスタートは、花札やトランプを製造する玩具メーカーだったのかと思うと違和感がありますが、先に引き合いに出したナムコ(有限会社中村製作所)の創業は、デパートの屋上にある木馬の製造メーカーとして、セガ(日本娯楽物産株式会社)やコナミ(エンタプライズ社)やタイトー(太東貿易株式会社)などは、戦後になって進駐軍がもたらしたと言われるジュークボックスの製造・修理、賃貸業などからスタート、ソニーは日本で初めてトランジスタラジオを発売したことで有名ですね。

任天堂は、その他のゲームメーカーと違って、玩具(ソフト)からスタートしたのでした。また、山内溥任天堂相談役へのインタビューも併載されています。山内氏曰く、「私たちのビジネスはソフトとハードが一体型のビジネスなんです」と。この発想から、コントローラーの既成概念を壊して「Wii」が創られたのか、と思いました。この発想力が任天堂の強さなのかと痛感しました。

この発想力をもって任天堂は、おそらく2007年のクリスマスを含む年末商戦ではイニシアティブをとったのではないでしょうか。親世代を味方につけた任天堂の今後のインターネット網進出にも目が離せません。PS3でも同じようにメタバース(インターネット上の仮想空間)のサービスの提供を始めていますが、インフラとしてはニンテンドーDSとWiiを合わせた方が大きいです。この2機種がインターネットを媒介として互換したとき、そこに新たなアイデアとマーケットが開拓されることでしょう。

 

電通が「話題・注目商品 2007」として発表したリリースの中では、2008年の消費潮流を、「ネタ共振消費 ?ネタでつながり、ネタではじける」と説いています。AIDMA(「Attention(注意)」「Interest(関心)」「Desire(欲求)」「Memory(記憶)」「Action(行動)」)に対する、「AISAS」(「Attention(注意)」「Interest(興味)」「Search(検索)」「Action(購買)」「Share(情報共有)」)のことを言っているようにも思います。年末の消費キーワードの中で、任天堂をはじめとしたゲーム機の機種名なども上位に入っていたかもしれませんね。

 

私たちの事業も、ハードを売って利ざやを得る商売ではありません。「Webコンサルティング」という形のないものを売っています。任天堂と一緒にすることはもちろんできませんが、まず違うのは私たちが販売する先は事業主様です。事業主様がビジネスを推進してゆく上で必要となるWeb戦略を客観的立場から構築してゆくわけです。アイデア勝負と言われれば簡単そうに聞こえますが、今までの経験則や、体系化された生産ライン、そしてクライアントに雇用された社員であるかのような当事者意識が要されます。

期待を損なわないサービスを提供するために、またより多くの信頼を得るために私たちは貪欲に努力を続けてゆく次第です。つい先日は、「オーバーチュアオンライン代理店」に登録されました。今後もより多くのお客様とお付き合いする中で、さらに高度なサービスを求められてくることでしょうから、そうした外的な刺激を常に受ける環境に身を置いて、一層高度なサービスの提供に努めて参りたいと思います。

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故黒木靖夫氏と"クリエイティブ"に対する私の思い

2007年10月29日 10:01 PM

 投稿者 小川 悟

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「いいかみんなよく聞いてくれ。私たちは四〇億円もの費用をかけて今ジャンボトロンを作っている。これだけ巨額の金を慈善事業に使おうとしているのではない。目的は一つ、この科学博の場を利用してソニーをPRすることなんだ。ソニーの凄さを日本中に見せつけることだ(後略)」

/『ウォークマンかく戦えり(ウォークマン流企画術)』(黒木靖夫著)より。

 

 ――今年、2007年7月12日に黒木靖夫氏が永眠されました。

 黒木氏は、ソニーで宣伝部長、意匠部長、クリエイティブ本部長などを経て取締役となり1993年に独立された、20世紀の日本の"ものづくり"、インダストリアルデザイン界を代表するプロダクトマネージャーとして有名な方です。また、黒木氏とともに「ソニー神話」を支えた盛田昭夫氏が亡くなられたのは1999年のことでしたが、著書『大事なことはすべて盛田昭夫が教えてくれた』で盟友を弔った黒木氏も、その後を追うようにして逝かれたのでした。

 

 私が黒木氏の名を強く記憶に留めることとなったのは、『つくば科学万博クロニクル』という本と出会ったときからでした。私はこの「万博」が好きで、関連する書籍については少し読んでいたことがあります。

 万博という集客装置が放つ独特の雰囲気――、明るい未来社会への希望を抱かせるようなパビリオンの異形な建築デザイン、世界中の文化を一箇所に集約させた箱庭的装置に誘発されてよみがえる幼少時代のノスタルジー、また同時に世界平和に対する漠たる想い、産業のオリンピックと言われることもある企業間競争を煽る競争原理や業績評価(CI、ブランディング構築)の仕組み、そして会期を限定して開催し、終了後はほとんどの施設が撤去され、文字通り"跡地"となってしまう運命にある、まるで夏の夜の花火にも似たあの廃墟的なはかなさに虜になってしまうのです。 

 私が「つくば科学万博(国際科学技術博覧会)」(1985年開催)を訪れたのは、小学校4年生のときでした。先述の『つくば科学万博クロニクル』は、自宅で保管している当時万博会場で撮影した写真と、その数枚の写真でかろうじて脳裏によみがえる断片的な記憶を補完するものとして何度か目を通したものでした。

 その中に、本コラム冒頭のエピグラムにも引用した「ジャンボトロン(通称JT)」について書かれた記事があります。ジャンボトロンとは、「技術のソニー」としての名をさらに世界に知らしめることとなる、万博会場南端に設置された高さ42メートル、幅48メートル、奥行き24メートル、ソニー発明のRGB発光素子トリニライト16万5千個を用いた巨大映像施設で、出展の代わりに施設参加として万博側に提供したものです。 

 黒木氏は、盛田昭夫氏と共に今のソニーを創始した、科学万博の発起人でもあった井深大氏(1997年没)から、この万博への出展に関するプロジェクトマネージャーを言い渡されたのでした。当時のソニーは、1979年発売の第1号ウォークマンの成功などがありましたが、その「ウォークマン」も黒木氏が開発のプロジェクトリーダーを務めていることから、万博出展という企業PRに関することでもその役が回ってきたのかと思います。

 ジャンボトロンは物理的にも、また"科学万博"としての意味の上でも強烈な存在感を示し、まさに科学万博の顔となりました。その製作秘話は今では様々な書籍で知ることができるかと思いますが、当時のソニーの技術とコネクションを最大限に活用した歴史的装置の誕生であったと想像させます。 

 自社のPRのために、当時のお金にして40億円もの巨費を投じることを決断した黒木氏は、NHKから依頼のあった万博開催前年の大晦日に放映される「ゆく年くる年」でのお披露目に工期を間に合わせるために、科学万博の想定来場者数2,000万人の目に留まる認知だけでは広告の投資効果が悪い、「ゆく年くる年」の視聴率が40%なら他に5,000万人の目に留まると言って、開発関係者を鼓舞するためにそのような話をしたそうです。自ら開発者、デザイナーでありながらコストに対する意識も人一倍強い――、当社のクリエイティブ部門にもそのような気概を求めたいと感じました。

 

 それから、黒木氏の仕事の中でもう一つ大きな仕事と言えば、「SONY」のロゴタイプ制作が挙げられるかと思います。現在使用されているソニーのロゴは、1961年に黒木氏が手掛けられてから改良を重ねていった1973年作のものを34年間も使い続けています。今日、多くの企業に見られる「ロゴ刷新」の話題も絶えなかったと思いますが、この30年以上もの間、黒木氏のロゴを超えるロゴがついに現れなかったそうです。

 『ウォークマンかく戦えり』の中で、1961年、まだ黒木氏が20代の頃にソニーのロゴマークを考案する仕事がまわってきたことが書かれています。その際黒木氏が、当時インダストリアルデザインの分野で著名だったレイモンド・ローウィーに頼んだらどうかといった提案をして、一旦は断ろうとしていたエピソードなども書かれています。レイモンド・ローウィーは、20世紀を代表するインダストリアルデザイナーで、日本専売公社(現JT)の「Peace」のロゴタイプや、不二家のロゴマークなどの代表的な仕事があります。

 自社のブランドを決定付けるロゴマークを25年間考え続けたという黒木氏は、CI(コーポレート・アイデンティティ)についても言及しています。

 

 私はCIを考える前に、まずBI(ブランドのアイデンティティ)を考えるべきだと思いますし、BIの前にPI(プロダクトのアイデンティティ)をはっきりさせるべきだと思います。(中略)私たちメーカーの場合は、企画から設計・生産・販売にいたるまでに筋の通ったプロセスこそが最高のアイデンティティになるようにするべきなのです。そしてそのプロセスの帰結としての商品に、企業の意志がコンデンスされている、これが私の考えるCIの基本です。

/『ウォークマンかく戦えり(ウォークマン流企画術)』(黒木靖夫著)より。

 

 企業や商品の持つアイデンティティを追求し、コアコンピタンスの本質を理解しているクリエイターは強いと思います。『大事なことはすべて盛田昭夫が教えてくれた』の終盤には、「井深、盛田のいないソニーは、もう"違う会社"になったんです」というくだりがあります。今日の市況にあって象徴的なコメントに感じますが、日本のビジネスシーンはそれだけあまりにも偉大な3人のビジネスマンを失ったのかという実感がわいてきました。

 

 私たちにはまだまだ勉強しなくてはならないことがいっぱいありますし、結果も出していかなくてはなりません。インターネットやWeb制作の現場においては、新しい技術について常に興味を抱き続けなければならないし、それを自社へ導入して最終的にクライアントのベネフィットへと繋がるビジネスへの応用を果たしていかなければなりません。顧客満足を追求してゆくことを使命とし、生産管理の徹底に加え、提案とサポートとを均質に提供できるようなフレキシブルな組織である必要があります。そしてその原点には必ず、「ものづくり(創造、クリエイティブ)の精神」が根底にあるべきと考えています。黒木氏の手掛けられてきた仕事を総覧することで、クリエイティブへ対する意欲が高まってくるのを感じます。

 

 当社の行動指針の中に、「常にブランドを創造し発展し続けます」というものがあります。当社のクリエイティブ部門全体が、そうした自社のブランド創造のために自身に何ができるのかを追求し続けるクリエイター集団でいて欲しいと願っています。

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「2007年問題」をポジティブ・シンキングで捉える。

2007年10月 9日 12:00 AM

 投稿者 小川 悟

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昨年から今年にかけて、「2007年問題」という用語を多く目にするようになりました。

「2007年問題」とは、団塊の世代(1947年から1949年にかけての戦後第一次ベビーブームの間に生まれた人々を指して言われる言葉で、堺屋太一氏が1976年に書いた予測小説『団塊の世代』で用いられるようになった用語)の定年を迎え、一斉退職によって引き起こされる諸々の問題のことを総称して表す言葉です。

現在60歳である人が定年により退職をするとなると、まず最初に想像することは勤め上げた企業から退職金が支払われることです。これは日本全体で見るとかなり多額なものとなると思われます。日本の高度経済成長に合わせて70年代に大量採用をし、その後のバブル崩壊や平成不況に対してリストラや地方転勤、早期退職制度導入など企業再編による善後策でやっとのこと乗り切ってきた大手企業にとっては再び財務面による打撃を受けることになるのではないでしょうか。

同時に経験を積んだベテラン社員が引退することでもあり、団塊の世代採用後に消極的な採用活動を行ってきた企業であれば、そうした採用活動が生んだいびつな組織体制の中、現在"売り手市場"などと言われ、ただでさえ難しい採用活動において極力有能な人材の獲得に躍起となっている風潮はあるものの、教育リソースの不足の点では採用活動には苦渋の選択を迫られている時期ではないかと想像します。特に今まで売上至上主義で成長してきた企業においては、経年によって蓄積された企業ノウハウが踏襲されておらず、結果として開発力や競争力を減退させ、さらには事故の誘因となるようなリスク増大の懸念も想定されます。2005年4月25日に起こったJR福知山線脱線事故で関連資料として公開されたJR西日本職員の年齢構成表は象徴的でした。先述した『団塊の世代』の中では、以下のように表現されています。

 

「かつては若者の代名詞のようにいわれた「戦後っ児」はすでに三十歳を越えており、かつては美しいピラミッド型だった従業員年齢別構成図は見苦しい中ぶくれに変っている。そして、毎年確実に上昇して来る人数の塊は、より高い賃金とより高い地位とを求めているのだ。(中略)成長の止った企業にとって、増大する人件費を支払い、年を取って来る多数の社員に然るべきポストを与えることは、到底不可能である」

 

すべての企業で同じ状況とは言えませんが、あたかも大型客船が目の前の暗礁に乗り上げることを回避できない状態のように、小回りの利かない大規模な組織経営の難しさを感じました。規模が大きければ大きいほど、早めに舵を切らねばならないのです。最たる組織形態が"国家"であって、その方針が政治によって決定されています(cf.「政治はすなわち国家の経営」/松下幸之助)。団塊の世代の定年に付して昨今懸念されているのが年金や少子高齢化による医療負担などで、世界競争力・生産力の減退に重ねて国の借金も増加傾向にある中、八方塞がりな感も否めない時期です。

 

cf.「日本の借金時計」

http://www.takarabe-hrj.co.jp/clock.htm

 

『団塊の世代』が書かれた70年代当時は団塊の世代が社会へと進出し、「ヤング」や「ハイティーン」といった呼称で呼ばれた時期とも重なります。『アンアン』や『ノンノ』といった女性向けファッション誌が創刊され、「アンノン族」なる言葉まで生みました。原宿には若者向けブティックが林立し、三宅一生氏や山本耀司氏、川久保玲氏ら高名なファッションデザイナーが続々と自ブランドを設立し、いわゆる"DCブランド"が台頭した時期でもありました。

しかし78年、「アイビールック」、「アイビーファッション」など流行を生んだ、服飾界では団塊の世代からの支持を受けたVANが倒産、石津謙介氏によって切り開かれた若者のフリースタイルは、画一化された商社の販売戦略によってVANの生命線とも言うべきポリシーが壊され、終止符が打たれました。80年代に入り、浅田彰氏によって「スキゾ・パラノ」(cf.『逃走論 スキゾキッズの冒険』)といった分類が唱えられた後は人々の消費に対する価値観も大きく変容し、インターネットの出現によってそれは決定的なものとなりました。

 

インターネットが「第5のメディア」と呼ばれた時期は久しく、2004年には雑誌広告の出稿高を追い抜き、実質第4のメディアとなりました。また、今年2月に電通総研が発表した「2006年日本の広告費」によれば、2007年には雑誌広告のそれをも追い抜き、2011年には7,500億円を超える試算とのことで、大手広告代理店では新鋭のネット企業との事業提携を進めたり、宣伝広告系の雑誌でも今まではあまり採り上げることが少なかったインターネット業界の特集が多く組まれるようになりました。そうした「メトカーフの法則」(cf.「メトカーフの法則 ? @IT情報マネジメント用語事典」/アイティメディア株式会社)に基づいたメディア・広告界の動きが「勝ち馬効果」を招き、インフラの発達(ブロードバンド化、モバイルの普及等)や消費者のライフスタイルの変遷により、今後のインターネット広告分野はさらなる飛躍が見込まれます。

 

この動きは、私たちの属するインターネット業界では願ってもない機会であり、先の2011年の未来社会でどのくらいの規模のマインドシェアを有していたいかといった希望を抱かせます。企業のライフサイクルにおける成長期が市場拡大の時期に合致することで、有限のサイクルの中で最も収益率の高い企業活動を行うことができるのではないでしょうか。

また、当社が中期経営ビジョンとして掲げる「共存共栄のインターネットコンサルティング」に即して考えると、そのときに現在のステークホルダーであるお客様や社員などがどれだけ成長しているかによって、そのシェアや収益率も変わってくるのかと思うと今から楽しみでなりません。

 

そういった未来予測をモチベーションの源泉として、私たちは企業努力を続けていきたいと考えています。

今後も私たちの考えに共鳴して頂けるような方々と、できるだけ多く出会っていければと思います。

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