コンサルタントコラム

ホーム >コンサルタントコラム

コンサルタントの紹介

小川 悟(取締役CS本部長)

徹底した生産管理で顧客満足を追求するCS部門のリーダー

主に人財育成、生産管理、サービス体制の整備を行う。分業・専門化を進める傍ら、営業部門や取引先も巻き込み、各工程別ガイドラインの整備や業務の標準化はもちろん、前工程・後工程のスタッフを「みなし顧客」として成果のフィードバックを行い内部牽制を図るなど、徹底した生産管理を実践。また、一部広報業務も兼務している。座右の銘は「桃李言わざれども下自ずから蹊を成す」(『史記』/司馬遷)。
s_kingsをフォローしましょう

人財育成広報宣伝生産管理

ベトナムIT企業視察等で感じた、多様性の受容と異文化コミュニケーションの重要性 ~ "ビジネスマン" 白洲次郎の「プリンシプル」を貫く生き方を目指せ~

2009年02月28日 10:28 PM

 投稿者 小川 悟

 この記事のパーマリンク

大手求人サイトの限られた情報をもとに就職活動をしていること自体が小さなことに感じるはずです。「どんな会社に入るか」ではなく、「入った会社で何をするか」の方がよっぽど大切だということを実感します。(~株式会社ブレインワークス代表取締役・近藤昇氏)

/『ベトナム成長企業50社 ホーチミン版』(ブレインワークス編著)

先ほど、NHKで放映されていたドラマ、「白洲次郎」の第1回放送分を見終えました。

■白洲次郎 | NHKドラマスペシャル

http://www.nhk.or.jp/drama/shirasujirou/

cf.白洲次郎 「プリンシプル」を貫いた生き方に学ぶ〈日経BPネット〉

http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20090225/134668/

麻生政権の支持率低下に拍車をかけた中川前財務相の失態を報じたニュースから数日が経ち、改めてファシリテータ不在の混迷の時代に生を受けたことを実感する今日この頃、世論という見えない声のリクエスト投票を受けたかのようなタイミングで、上記のドラマ(全3回)が始まりました。

「今の政治家は交通巡査だ。目の前に来た車をさばいているだけだ。それだけで警視総監になりたがる。政治家も財界のお偉方も志がない。立場で手に入れただけの権力を自分の能力だと勘違いしている奴が多い」

/『白洲次郎 占領を背負った男(下)』(北康利著)

終戦後、敬愛する吉田茂首相の側近として活躍し、晩年、終の棲家となった町田市鶴川にある武相荘(ぶあいそう)に吉田茂の形見としてソファーを譲り受け、最後まで大切にしたというエピソードを持つ白洲次郎の遺した言葉が、今となってはとても皮肉な印象を受けます。

 

さて、決算期末を次月に控えた2月、社内でも様々なことがあり、多忙を極めました。幾つか大きく印象に残った事柄を整理して、この場をお借りしてお伝えしたいと思います。

 

1、ベトナムIT企業視察

 

ベトナム.jpg

 

写真:ホーチミン市街

この件につきましては、以前に当社常務の木村がコラム(「ベトナムIT企業視察出張所感」)に書いているので、詳細はそちらをご覧頂ければと思います。

取引先様からお声掛け頂き、2月10日から13日の間、常務と私の2名でベトナムIT企業の視察のため、ホーチミンを訪れました。私自身、訪越するのは初めてのことでしたが、会社として公式に海外出張が認められた当社初の事例として大変印象深い仕事となりました。

タンソンニャット国際空港に到着したのは10日の23時頃でしたが、帰国する身内を待つご家族の方や、ツアーを受け入れる宿泊施設の関係者の方などがごった返し、ものすごい熱気で迎え入れられました。話を聞くところによると、新ターミナルは2007年に日本のODAにより完成したばかりとのこと。私たちが2泊の間お世話になったホテルはホーチミン中心部にあるのですが、空港から僅か10km程のところにありました。

翌朝、数社の企業を回らせて頂きました。どの企業でも感じ、驚いたことなのですが、とにかく働いている社員の年齢が若いこと。そして、誰もかれもが皆、素直で誠実そうな方ばかりという第一印象でした。ベトナムの人口は8500万人超で今も増え続けており、2005年から人口が減少してきている日本とは対照的です。人口ピラミッドで対比してみても、ベトナムのそれはちょうど日本の戦後、高度成長期を迎えてゆく時期の分布と似ており、そうした若くて優秀な人材に目を付けて、大企業の多くでは数年前からオフショアの最適地として、「タイムマシン経営」(cf.孫正義氏)を行うかのようにベトナムへの投資が進んでいたという話を聞きました。特に昨今は様々な経済的要因で急激な物価上昇が起きているようで、まさに国全体がベンチャー企業のような印象を受けました。それから、現在私と同じ30代の人たちはベトナム戦争中に生まれたのかと考えると、戦争を知らない私としては、それがどのような感覚なのか想像が付きませんでした。

また、「日本人が勤勉である」とあまり言われなくなって久しいですが、ベトナム人の勤勉さはひしひしと伝わってきました。昨今、日本との仕事も増えてきたとのことで、日本語を学ぶベトナム人が増えているとのことでした。実際、訪問した企業にもコミュニケーターと呼ばれるいわゆる通訳の担当者を置いているところが多かったように思います。企業内研修でも日本語教育やビジネスマナー研修が多く行われているようで、仕事を受注するために語学を学ぼうという意識は日本人よりも強いのだと感じました。とは言っても良い面ばかりではなく、先ほど「国全体がベンチャー企業」のようだと比喩しましたが、まさに交通機関やインターネット回線等のインフラはもちろんのこと、税法など国としての整備も発展途上段階で、そこに集う人々のものづくりの技術(品質管理等)やサービス業の接客技術なども日本と比べると遅れている側面があることも否めないとのことでした。しかし、自身の仕事の成果が家族や企業、国の発展に繋がるものであればという姿勢で働いている人が多いのも事実でした。

反面、私たちはどうでしょうか。多くの人が、いくら不景気だとはいっても、生活必需品以外のものを購入――、つまり「必要」によってではなく「欲望」によって消費することもできていると思いますが、それでも精神面ではなかなか満たされず、自身の働く目的、場合によっては生きる目的さえも見失ってしまう人も増えてきたのではないかと思います。

文化と文明の観点からすると、日本は孤立した国家である。他のすべての主要な文明には、複数の国が含まれる。日本が特異なのは、日本文明が日本という国と一致していることである。

/『文明の衝突と21世紀の日本』(サミュエル・ハンチントン著)

物質主義の成れの果てだと切り捨ててしまえばそれまでですが、「想像できないものは実現できない」という見地に立って考えると、今回の視察で、日本にいたままでは決して知る由もなかった日本の原風景を見るようで、私にとってはイマジネーションの良い源泉となりました。

 

2、日本ウェブ協会の活動の一環として、中小企業家同友会・目黒支部の勉強会を視察

 

写真:2009年2月3日、日本ウェブ協会の「W2Cサロン」にて

 

cf.東京中小企業家同友会目黒支部 ブログアーカイブ  2月例会レポート

http://meguro.office-kotou.co.jp/new/551

W2Cサロンは、当社も会員となっている日本ウェブ協会の主催により、株式会社IMJモバイル様の地下スペース(IMJサロン)をお借りして、ほぼ毎月開催されている異業種交流会の場のようなものなのですが、私は2月3日に一度顔を出させて頂きました。そこで、日本ウェブ協会の森川理事長や、参加されていた企業の経営者様などからお誘い頂き、東京中小企業家同友会目黒支部で19日に開催された勉強会に参加して参りました。森川理事長の講演タイトルは、「インターネットを使って経営改善!経費削減!」。ご参加されていた各中小企業のご経営者様方は、ほとんど全ての方が終業後の時間だと思うのですが、熱心に参加されては活発に意見交換をされていました。講演の後のグループセッションでは、私も一テーブルを担当させて頂き、中小企業経営者様の生の声を拝聴させて頂くことができました。

普段、中小・ベンチャー企業向けにWebコンサルティングをご提案している私たちではありますが、こうした勉強会に参加することでより一層、中小企業にとってインターネットをどうビジネスにうまく活用すれば良いのかを知ることが、とても重要なことなのだということを強く感じました。

 

ちょうど去年のこの時期もコラムの中で、電通の発表した日本の広告費について触れたことがありました。あれから1年、2009年度はインターネット広告の出稿高が、ついに新聞のそれさえも抜き去るかどうかとまで言われています。

 

cf.

■電通「2008年日本の広告費」発表、総広告費は前年比4.7%減で7兆円割る(MarkeZine,2009年2月23日)

http://markezine.jp/article/detail/6671

■ユーザーの4割がネットメイン、利用メディアに関する調査(japan.internet.com,2009年2月5日)

http://japan.internet.com/research/20090205/1.html

この度の勉強会への参加で、ますます中小・ベンチャー企業様向けのWebコンサルティングのノウハウを蓄積し、付加価値を提供できるような組織づくりをしていかなくてはならないといった使命を感じました。

 

3、各種研修への参加を通じて

2月20日は原価計算・コストマネジメントに関する終日研修、21日・22日は土日にも関わらずどちらも終日リーダーシップやマネジメントに関する研修があり参加してきました。

どちらの研修でも、講師の方やファシリテータ役の方が発していたのが、「知る」と「できる」ということとは、知の習熟度としてはレベルがまったく異なるということです。つまり、ある程度社会人経験を積んでくるようになると、おおまかなビジネス用語の意味や、本質的な意義のようなものは頭に入ってきているので、時にその手のセミナーなどに参加しても、「ああ、この内容なら知っている」とタカをくくり、結果何も得られないといったケースもしばしば見られるようになります。ところがそうした人に限って、いざ実際の仕事上で実務能力を問われる段階になった際に手も足も出せず、机上の空論だけを並べ立てることに終始せざるを得ないといったことも少なくありません。要するに再現性のない、実行することまではできない、うわべだけの知識だったということになります。

この度の、特に後者のリーダーシップ・マネジメント研修では、当社の管理職クラスの者が参加して行われたのですが、ランダムでグループに分かれてセッションし合う中で、自身では気付かない自身のウィークポイントに気が付くことができたり、逆に相手の強みを発見して認識させてあげることができたりと、大変内容の濃い2日間となりました。

 

以上、個人的には大きなイベントが複数重なった月となったのですが、ベトナムでは改めてベンチャースピリットと、それから異文化コミュニケーションの重要性を、中小企業ご経営者様の勉強会ではインターネットビジネスの重要性を、各種研修ではリーダーシップ・マネジメントの重要性といったように多くのことを学んだ月となりました。総じて、来る未来に向けて、多様性の受容(ダイバーシティ,Diversity & Inclusion)の重要性も示唆されたような1か月となりました。

 

最後になりますが、リーダーシップ・マネジメント研修でファシリテータ役を務めてくださった講師の方もおっしゃっていました。

 

「自分の人生は、自分にしか責任が取れない」――。

 

要するに、いくらそのとき楽だからといって、自分に嘘を付いてやり過ごしたとしても、そのツケはいつか自分にまわってくるという意味の内容です。

それはまるで、スキーでもスノーボードでもそうですが、雪山で誰しも一度は経験のある体験――すなわち、急斜面に怯えて山側にしがみつこうとすればするほど、ますます板のエッジがきかずに斜面の下まで滑り落ちてしまうのではないか?という転び方をしてしまう――に近い感覚を覚えます。勇気を持って谷側を見ようとすれば自然とエッジがきいてそこに静止することができるのに、因果とは不思議なものを感じます。

 

ここで、冒頭で引き合いに出させて頂いた白洲次郎の言葉が思い出されます。

プリンシプルはなんと訳してよいか知らない。原則とでもいうのか。

/『プリンシプルのない日本』(白洲次郎著)

このプリンシプルは「原理原則」――、他にも「主義」などと置き換えて言われることもあります。日本の「武士道」にも近いように思いますが、若き日に英国ケンブリッジ大学で学んだ白洲次郎にとっては「騎士道」の方が近い考え方なのかもしれません。

「正しいという字は、一つのところに止まると書く」と言っては自身の良心を信じて主義を貫いた白洲次郎の生き方こそが、先行き不安な現代社会を照らす道標となるのではないかと強く感じました。 

cf.白洲次郎と白洲正子展(松屋銀座)

http://www.matsuya.com/ginza/topics/080923e_shirasu/

今期も残すところあと1ヶ月。昨年期初に掲げたゴールビジョン達成に向けて自身の「プリンシプル」を貫いて、全力で取り組んでいきたいと思います。

この記事に関連するテーマ

目標管理と人材育成、組織デザインについて ~「KPT法」による"ふりかえり"の実践と、コンピテンシーシートの活用~

2009年02月15日 10:14 PM

 投稿者 小川 悟

 この記事のパーマリンク

「そこに行きたい」という熱い気持ちや情熱(パッション)、「なぜそこに行きたいか」を語る使命(ミッション)や夢、「そこはたどり着けばどのようなところなのか」を目に見えるように(ビジュアル)に描いたビジョン、「そこに行ける」という自信と勇気、「どうしたらそこに行けるかを示す」シナリオやステップ(足取りの展望)を持って進んでいきたいものだ。

/『組織変革のビジョン』(金井壽宏著)

先日、「「フリーセル大学」4月開校! ~"学習する組織"確立のための企業内大学設立に向けて~」の記事で、「学習と成長の視点」や「クリエイティブ・テンション(創造的緊張)」について触れました。今回はその続きとなるか分かりませんが、私たちCS部が今までに取り組んできた人材育成のための試みについてご紹介していきたいと思います。

人材育成というと、私たちのような中小・ベンチャー企業よりも、資本のある大手企業の方がはるかに気を遣っていることでしょうし、事実多額のコストを投じて既に様々な取り組みをしていらっしゃることと思います。しかし、本当に人材育成が急務なのはむしろ私たちのような中小・ベンチャー企業の方ではないのか?といった疑問が、数年前から脳裏を過ぎるようになりました。特に私たちが提供するWebコンサルティングのような労働集約型ビジネスにおいては、"人材力"が業績に大きく影響してくると考えていました。そんな折、以下のような記事をネットで見つけました。

■「やる気と業績、深い関係=中小企業の実態調査 法政大など」(時事ドットコム,2009年2月16日)
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2009021500095

■「1月の企業倒産15.8%増、6年ぶりの高水準、負債総額は44.3%増、商工リサーチ」〈日経BPネット,2009年2月9日〉
http://www.nikkeibp.co.jp/article/news/20090209/130775/

このような外部環境が激しく変化する厳しい冬の時代にあって、「業績」と聞くと思わず過敏に反応してしまいます。少しでも高い目標を掲げて、その目標達成のために最適な目標設定と行動計画を立てて外部環境に左右されない、今風の言葉で言えば、「サバイバビリティ」(日経新聞,2009年1月1日「世界この先」より)――この「サバイバビリティ」(生き残る力)は、昨今、様々な要因で、また様々な変化形態によって、人の人生よりも短命な企業が増えてきた時代の代名詞ともなった「サスティナビリティ」(持続可能性)をうけた言葉ですね――を付けていきたいと感じました。

ところが、そうかっこいいことを言っても、現実的には人材育成にかける時間もお金もない――。中小・ベンチャー企業の多くで、自社で試行錯誤したり、人材育成を外部コンサルティングに頼ったり、自社にはマッチングしにくい人材育成・評価制度を導入してはなかなか思うように成果に繋がらない、といったジレンマに駆られるケースがあることは、自分たちの今までを振り返ると想像できるような気がします。

しかし、先にも引き合いに出したように、私たちは元々小さな組織体からスタートしていたので、生き残るために社員全員が一丸となってたゆまぬ努力を続けざるを得なかったのです。さらに言えば、後年になって、自社の成長フェーズに合わせて大きく立ちはだかる壁を前に、「ただ闇雲に努力を続けるだけでもダメだ」といった大きな挫折を経験することが必要だったわけです。そうした力技から論理的思考への転換など、すべてが必然によってもたらされた試練であるかのように感じていました。

もちろん、そうした「サバイバビリティ」はあくまでも方法論であって、目的としては当社企業理念の実現のために必要な行為でした。念のために補足しておきますと、現在のようにステークホルダーを広く意識した企業理念が定まる前までは、そこに自己実現などの要素も多分に含んでいたように思い返します。ですので今のフェーズであれば、「お客様のために」「会社のために」「自分たちのために」生き残らなくてはならないわけです。もう一段成長フェーズが上がってくれば、「社会のために」「株主のために」といった「企業の社会的責任(CSR)」を果たすための目的もプラスされてくるのだと想像しています。

 

以上のような背景をもって、当社自体とともに私たちCS部も少しずつ大きな組織へと成長していきました。ところが、組織が大きくなってくると今までは起こり得なかった新しい問題が浮上してきます。

1、各自目的は同じであっても、手段にバラつきが生まれることで意志決定が遅れ、推進力・生産力が低下する。

2、他者依存型な習慣(cf.「大企業病」)が生まれ、当事者意識が欠如し、リーダー不在の組織が続くことでロールモデル創出や結果創出がしにくくなり、人材が育ちにくくなる。

3、個々の役割や存在意義が不明確に(確立が難しく)なり、組織内にモチベーションの差異や作用・反作用が生まれ、上下間で干渉し合うことでプラス方向への進路が妨害される等、健全でない風土が生まれる。

こうした諸問題の発生リスクを抱え、一言で言えば「コミュニケーション力や問題解決力に不足があり、物事をうまく進めることができずに人任せになり、挙句自分で何も得るものがなくなってモチベーションが下がり、スタンダードを"自分"にすることで協働できていると錯覚する」ような悪いスパイラルが生み出されるかどうかの転換期でもあった2006年の上半期頃、私たちCS部の管理職メンバーはある一つの方向性を示しました。この「コミュニケーション力」や「問題解決力」といったようなスキルは、職務能力として求められると息が詰まってしまいそうですが、職場よりももっと難しい問題と直面するであろう「人生」をうまく渡り歩いてゆくために持っていて損はない能力だと思うので、是非みんなで身に付けたい!という思いで意見をぶつけ合いました――。

「コンサルティングと言うくらいだから、まず問題解決ができないとね」

「他者の問題解決をする前に、そもそも自分の問題の解決ができないと始まらないよ」

「自分の問題解決って言っても、今まで体系的に蓄積されてきたノウハウなんて社内になくない?」

「だとすると、問題解決の仕方が分からない人にやり方を伝えるのって難しいよね……」

「だからその問題を解決するための方法を僕らが考えるんだよ、最初から簡単だからやろうなんて一言も言ってない」

「おーし、見えてきた!みんな目的をぶらさないでよ。KJ法とか使って一つひとつ整理して、組み立てていこう!」 

――およそこのような会話の末に生み出されたのが以下のシートです。

■「CS部成長のあゆみ」と「自己育成シート」

 

成長のあゆみ.jpg 上記、「CS部 成長のあゆみ」は、言ってみれば上司と部下のコミュニケーションツールです。また、自社の企業理念やゴールビジョンと個々人のそれとをミッションリンクさせてモチベーションの源泉とするとともに、目標管理の精度を向上させ、その実現のための戦略性を養うことを目的としています。使い方としては、月に1回、月末月初にかけて個人が記入し、そちらを元に担当上司との面談時に使用します。KPT法などを用いて先月のふりかえりができる仕組みになっています。ゴールビジョン(cf.CS部が今期期初に掲げたゴールビジョン)は課ごとに用意されているので、分業化・専門化が進んだ今の組織でもそれほど苦労することなく、自身の目標設定や行動計画を立てることができるかと思います。経済産業省で配布している「社会人基礎力」育成のためのシートにも似ていますが、これはスピード重視の当社オリジナル仕様。もっと必要最低限まで項目を絞り込み、ブレイクダウンされて簡易にできています。ある程度フレームワーク化されてコーチングの観点からも意識しつつ、個性や自主性を見抜くために自由記述欄も残しています。また、実は今月からマイナーチェンジしています。当初は2006年の9月から運用を開始していましたが、昨今の外部環境の変化、それから当社の求める基準や社員のレベルアップに応じて、過去のフォーマットではいろいろと適さない部分も増えてきたためです。

一方、「自己育成シート」は四半期に一度、「CS部 成長のあゆみ」と同じタイミングで提出し、やはり面談時に使用します。当社で求められる「コンピテンシー」に関する項目が、各カテゴリ毎に分かれて数十項目あります。この項目はCS部の管理職メンバーがKJ法によるブレーンストーミングを重ねて絞り込んだ内容となっています。はじめに個人で記入し、後から担当上司が記入してギャップを確認し合います。こちらは「CS部 成長のあゆみ」と比べると、どちらかと言えばもっと基本的な内容が並んでおり、中長期的視野での人材育成を考慮した設計となっています。

 

特にこの「自己育成シート」に関しては、何もないところからアイデアを出し合うことに大変苦労をしました。そもそも、社会通念上における「コンピテンシー」についての理解もままならない中、当社で求める基準を定めてゆくのだから楽ではなかったです。しかしながら、この「コンピテンシー」については、職務に携わる皆が同じ内容理解(コンテクスト)、意識で取り組まなければ会社の成長も個人の成長もないだろうし、これからの変化に対応してゆくことも難しくなってくる筈なので「自己育成シート」の完成は避けられない運命にありました。

「コンピテンシー」という言葉についてネット上で調べてみると、語源も古く、たくさんのページで使われていることが分かります。『7つの習慣』(スティーブン・R・コヴィー著)のような考え方かな?くらいの気持ちで調べていきました。もともとはハーバード大学の心理学者、D・C・マクレランド教授が提唱し始めた概念のようです。人材育成をするにあたり、もっとも指導が難しい要素は個々人の職務能力ではなく、信念や価値観、使命感や動機付けといった、いわゆる「氷山モデル」で見えない部分とされる本人の性格や資質の部分(潜在能力)であり、私たち管理職メンバーもこの部分については、いわゆる「背中を見せる」以外の手段でどうやって指導してゆくかについてかなり悩んだものでした。

■「人材開発の動向を概観できるサイト1/2」(日経BP社の人材開発支援サイト ヒューマンキャピタル Online)
http://blog.nikkeibp.co.jp/hcl/archives/2005/11/2_1.html

http://blog.nikkeibp.co.jp/hcl/archives/2006/01/3_2.html

上記のページでも紹介されている「ASTD(American Society for Training and Development,アメリカ人材開発協会)」は、職場における人材開発の方法論について研究する世界最大の組織と言われます。このASTDが掲げる「21世紀のコンピテンシー」には、例えば以下のような記述があります。

1、同業界と自社のことをよく知っている

同業界と自社のビジョン、戦略、目標、文化を理解し、人の業績を組織目標につなぐ。

4、問題解決能力

業績の現実とあるべき姿の差を埋められる。また他人がギャップを見つけ知識を使ってギャップを埋めることを助ける。

7、業績の理解

行動と結果を区別する。成果を認識する。

14、大局観

目先の障害にとらわれず、前方の目標と結果を見通す。

/『アメリカを救った人事革命 コンピテンシー』(太田隆次著) 

ざっと一部を引用しただけでも、職務遂行上における理想とも言える考え方が述べられていますが、こういった内容も自社に見合った表現に変えて、先の「自己育成シート」に含められています。あとはこうしたシートを活用する上で、マンネリ化や形骸化することを避けるために私たち管理職メンバーもコーチングスキルを磨かなくてはならないし、必要に応じてシートそのものや運用ルールの見直しを図ってゆく必要も出てくることかと思います。

なにはともあれ、こうした指導の元で形成される人材がお客様の元へお伺いし、お客様が各々抱える経営課題をWebを用いて解決するための手段を講じなくてはならないわけですから、先に述べたように単に「(能力を)身に付けたい」という個人の希望的観測ではなく、「身に付ける」といった責務として今後もしっかりと運用を続けていきたいと思います。

 

それでは、何かご相談等ございましたら、こちらのフォームからお気軽にお問い合わせ下さい。

この記事に関連するテーマ