小川 悟(取締役CS本部長)
観光が19世紀後半に発展する契機の一つは、イギリスのトーマス・クック(Thomas Cook)の旅行業の創設であった。
/『観光学入門』(岡本伸之著)
9月24日、自民党の麻生太郎総裁が首相に就任されることになりました。今月初めの福田前首相の突然の退任劇では驚いた人も多かったことと思います。何しろ国のトップが、それも2代も続けてきちんとした前準備や説明責任も果たさぬまま突然辞意を表明したわけですから、普通に会社に置き換えて考えてみると、単に呆れるとか不安や憤りといった感情だけでなく、日本国民として自信喪失にも繋がりかねません。自分が率いる部隊の士気を上げるリーダーであれば良いですが、不安を感じさせるのは良くないですね。
思わず対照的に連想してしまったのが、第32代合衆国大統領フランクリン・ルーズベルトです。以前、「インターネットがもたらす第三の開国の夜明け前 ~2009年、横浜開港150周年~」(cf.「歴史まちづくり法(地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律)」)のエントリーでも氏の政策エピソードについて少し触れましたが、世界大恐慌の煽りを受けて全ての銀行が業務を停止した1933年、氏は大統領に就任します。その後、アメリカ史上で唯一4選された大統領として、第二次世界大戦終戦間近の1945年4月に急死するまでの12年間、多くの難しい政治課題を解決してきました。そんな氏がビジネスシーンでもっとも引き合いに出されるエピソードが次のものでしょう。
大統領に就任する以前から急性灰白髄炎により下半身不随となって車椅子常用者であったにも関わらず、マスコミの前などでも車椅子姿を見られるのを嫌い、当時の米国民のほとんどは氏が障害を持つことを知らなかったそうですが、こういった不屈の精神に、強いリーダーシップを発揮して国民からの信頼を得たという見方ができます。
ところで先週の連休は、私は同僚の結婚式に参列するため、京都へ行って参りました。余った時間は観光に充てました。京都へ行くのは小学生のとき以来であるため、ほとんど初めて訪れた土地であるかのように新鮮に感じました。今年2008年は、紫式部の『源氏物語』が編まれたとされる1008年からちょうど1000年ということで、京都を中心として様々な関連イベントが縁の地で行われており、私も横浜美術館の展示は見に行って参りました。
cf.
・源氏物語千年紀委員会
http://www.2008genji.jp/
・宇治市源氏物語ミュージアム
http://www.uji-genji.jp/
・「源氏物語の1000年-あこがれの王朝ロマン-」(横浜美術館)
http://genji1000.jp/
「そうだ 京都、行こう。」のキャッチコピーが誕生したのは今からもう10年以上も前のことですが、今でも色褪せずにしっかりと消費者の中に生きている言葉として心が惹かれますね。このコピーが生んだ経済波及効果は計り知れません。
cf.『そうだ京都、行こう。』(淡交社)
鴨川沿いの、川床(納涼床)のあるお店で京料理を楽しんでいたとき、隣席にいた外国人グループに声を掛けられました。外国人の方からすれば、京都はとても興味深い都市に違いないと想像しました。
さて、そんな外国人観光客の訪日機会を増やすため、国の方でも今までに多くの試みが行われてきています。最近では国土交通省がメールマガジンの発行を始めたり、来月1日にはいよいよ国土交通省の外局として、「観光庁」の設置も予定されています。
cf.
・国土交通省総合政策局観光部門:観光庁の設置
http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/kanko/tyou.html
・VISIT JAPAN CAMPAIGN
http://www.jnto.go.jp/vjc/
・関東で「観光まちづくりコンサルティング事業」実施へ(国土交通省)|日本商工会議所
http://www.jcci.or.jp/cgi-news/jcci/news.pl?3%2020060213164503
・地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律(歴史まちづくり法)
http://www.mlit.go.jp/crd/rekimachi/rekimati_low.html
・観光集客地における顧客満足度(CS)の活用に関する調査研究報告書について(METI/経済産業省)
http://www.meti.go.jp/press/20080701006/20080701006.html
・日本政府観光局(JNTO)
http://www.jnto.go.jp/jpn/
・社団法人 日本観光協会
http://www.nihon-kankou.or.jp/home/
外国人観光客の訪日機会が増えれば、経済効果も得られることでしょう。また、口コミで評判を上げてゆくには、ホスト側としての対応が迫られます。真の観光立国を目指すのであれば、交通機関やホテルなどフロント側だけではなくて、地域の観光案内所や観光名所、飲食店まで含め、それなりの準備が必要かと思います。元々外国人観光客が多く訪れる京都の場合、飲食店のメニュー表などには英語表記が多かったのが印象的でした。場合によってはWebサイトもきれいに洗練されたものとなっていて、さらに英語版まで用意されているお店もありました。
いうまでもなくヴィトンは、十九世紀後半からの旅行ブームとともに社名を築きあげた、世界一名高いトランク商である。
/『ブランドの世紀』(山田登世子著)
政治や経済、社会の動向といった環境変化に対して、新たに生まれいずる経営課題や、また同時に商機などもあるかと思います。そういったときに押さえておきたいのが、自社の「USP(Unique Selling Proposition)」です。つまり独自の強みですね。
上記の例で言えば、従来旅行はお金がかかるのでなかなか行けなかったが、トーマス・クックによって団体旅行(今でいうパッケージツアー)の概念が登場すると、人々は安価で旅行へ行けるようになりました。そうして訪れた「グラン・トゥール(=グランド・ツアー、大旅行=バックパッカーズの観光形態)」(cf.『酒場の文化史』/海野弘著)の時代に、ルイ・ヴィトンは頑丈で容量のあるトランクを開発し、事業を軌道に乗せていったのです。
インターネットが普及した現在では、目的買いの消費者もだいぶ増えてきました。それが情報過多時代になり、自分に一番合った商品やサービスを探そうと、一層吟味して購入するようになりました。そうした中、企業の持つUSPは消費者から求められる要素となり、必然的に情報提供者であるべき企業側は、情報発信を余儀なくされてきたのかと思います。ところが、まだまだそうしたUSPをしっかりと謳っている企業ばかりではありません。特に比較的規模の小さな企業では取り組みが遅れているところもあり、アーリーアダプター(初期採用者)として先行導入している大手企業と比べるとどうしても遅れをとってしまいます。しかし、規模の小さな企業だからこそ小回りが利くことが多いので、そういった面では大手企業より有利な場合もあるかもしれません。
USP――、自社の強みは何か?
「土・日営業」、「深夜営業,24時間営業」、「配達可能」、「配達エリアが広い」、「特許技術を有する」、「著名な権威者の監修がある」、「立地が良い」、「スタッフが多い」、「隠れ家」、「おいしい」、「他ではあまり手に入らない商品を取り扱っている、品数が多い」etc...
仮にこうしたUSPを理解していても、それをWebサイトで表現し、狙ったターゲット層にピンポイントで情報配信をする技術や知識となるとまた別のものとなります。そこで私たちWebコンサルタントたちが、そういう現場でお客様との二人三脚でUSPを浮き彫りにしていきます。さらにそれを情報設計し、そのときどきのトレンドに合わせてSEO施策を行ったり、Webサイト改変のご提案をしていこうというのが当社の基本的なスタンスです。まだ一部発展途上なサービスもありますが、よりお客様の求められている品質に近づけられるように努力して参ります。
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「Web戦略立案シート」のご紹介 ~管理者合宿研修を終えて、情報共有(ナレッジ・マネジメント)の社内推進を心に決める~
2008年09月 8日 12:50 AM
投稿者 小川 悟
職場から生まれた知を、事業部全体で使えるような資源にしていくという、ナレッジマネジメントを本気で実現していくためには、一つのシステムを、いままである業務フローののなかにぽんと置けばよい、というものでは全然ない。事業のフロー自体を再構築して、ナレッジが無理なく共有され蓄積されていく組織風土をつくっていかなくてはいけない。それが私たちの得た結論です。システムというのは、結局、そのフローのなかで使いこなされる一つの道具だと思うんです。
/『リクルートのナレッジマネジメント―1998~2000年の実験』(リクルートナレッジマネジメントグループ著)
――「やっぱり、"ありがとう"って言われるのって、うれしいよね。最近そういうことって、ちょっと忘れられてない?」
かつて、そんな会話がやり取りされる職場がありました。
これは冒頭のエピグラムでもご紹介した、『リクルートのナレッジマネジメント―1998~2000年の実験』で語られる、元祖ベンチャー企業、リクルートの主任以下の社員たちが、独自の社内情報共有システム「ナレパラ(ナレッジ・パラダイス)」を必需によって生み出し、運用にまで至るエピソード中に出てくる登場人物たちの会話の一つです。今からもう、10年も前の出来事ですね。
「リクルートはもともと営業の強い会社なんですよ。役員や本部のE職たちもみんな営業現場からのたたきあげ。それも人並み以上の業績をあげてきたから今日の立場があるわけで、目に見えないところに大きな顧客の不満やアンチ・リクルートの芽があることなど実感がなかったのです」といったくだりもあり、私の前職時代、ちょうど社会人になって間もない頃の環境と酷似していたこともあり、バイブルのように読んでいた本です。
仕事のモチベーションは「契約と報酬」という関係だけでなく、「ボランティアと感謝」みたいなものも存在する。と登場人物たちが言います。リクルート出身で、現在、株式会社リンク アンド モチベーションの代表取締役社長を務められる小笹芳央氏は、これを発展させた、「経済的報酬」ではない「意味的報酬」といった概念で説明されています。社員一人一人のモチベーションを会社のモチベーションとして置き換えたとき、もちろん売上を上げて利益を残し、次への投資と充てることは企業活動の全うすべき使命だとは思いますが、この意味的報酬に対するモチベーションを全く感じなくなってしまってはいけないと常々考えていました。
社会人になってしばらくして、仕事に慣れてくる頃になり、担当顧客数や社員数が増え、売上が伸び、ステークホルダーが拡大し、仕事が複雑化してくると直面する問題に対し、何かと救いを求めるのが「システム化」でした。しかし、システムや論理的思考には今以上に疎かった当時の私は、業務フローに対する理解もないまま、それが全てを解決してくれるものだとずっと思い込んでいました。そんな折、本書で出会った言葉、「システムは一つの道具」――、当時の私はその言葉を反芻しながら、それが何を意味しているのか、少ない社会人経験の中で思い当たる節を探そうとしていたのかもしれません。
さて、話は変わりますが、先週の土・日は、当社創業以来初の合宿形式のセミナーがありました。取引先であるコンサルティング企業様から講師をお招きし、管理職を対象に実施されたものでした。管理者向け研修と言うと、今までにも何度か参加させて頂いたものですが、合宿形式というのは初めてのことでした。参加したメンバーは、皆一様に楽しかったと感想を述べ、週明け月曜日から早速実践に活かそうとして、習いたての言葉や行動習慣を実務に持ち込んでいました。
今回の合宿では、各部門で様々な自部署の課題を見つけることができ、各部門ごとに課題と解決策の発表を行いましたが、共通していた一つが、この「情報共有」でした。その重要性については誰もが理解しているのに、どうしても思うようにいかない。高度な組織力が求められていることを、何となく認識されられていました。
セミナーでは、デーヴィッド・A・ナドラーの組織論の説明から始まり、「3C分析」や「SWOT分析」などで自社や自部署の方針の確認をして「顧客」や「顧客の顧客」の理解をしました。そして後半は部門ごとに分かれて、自部署の掲げる今期のゴールビジョンに合わせた取るべき方針と優先順位付け、そして具体的なアクションプランについて話し合いました。
私たちCS部は、自社で展開するWebコンサルティングサービスのソリューションの提供にあたり、進化論の過程のように「必要とされてきた組織」を形成してきました。
1、営業(プロデューサー)
2、Webディレクター
3、ライター
4、デザイナー
5、コーダー
6、QC
7、SEO
8、コンタクトセンター
上記の2以降の組織をCS部でカバーしています。まさにお客様へ納品する成果物の品質を決定付ける組織である必要があり、求められるレベルのクォリティを満たすためにある程度分業化(専門化)をする必要がありました。各部門ごとにポリシー(方針)を決定し、当社独自のガイドラインの整備に勤しみ、品質保証のでき得るクォリティを達成する必要がありました。
これが私たちCS部の生命線でもある独自の生産ラインです。ところが、各部門がプロフェッショナルの仕事を全うしてくれるのは良いのですが、営業や管理部門など、各部門の連携が図れていなければせっかくの生産ラインも単なる意思疎通が難しくなった非効率な組織でしかありません。
そこで生まれたのが、当社がWebコンサルティングサービスを提供し始めた3年程前に考案され、今も社内全体で運用されている品質管理のためのツール、「Web戦略立案シート」です。

お客様への提案時に準備する、お作りする予定のWebサイトのラフ案(ワイヤーフレーム)とサイトマップ(ディレクトリマップ)、制作スケジュール(ガントチャート)以外に用いる社内専用の情報共有ツールの一つです。
先ほども挙げたCS部の生産ラインは、実に1クライアントにつき7部門に渡ります。言わば駅伝のように、各自持ち前の区間を全力疾走するのは良いのですが、タスキ(バトン)にあたるものがなければ、次の走者に情報を伝達することができないというのがボトルネックとなっていました。そもそも、こうした分業制の仕事において、初期の指示や方針を納品まで徹頭徹尾遵守するためには、ディレクターの存在も大きいですが、一貫した方針がなければ要件がぶれてしまいます。
そこで登場したのが、この「Web戦略立案シート」です。お客様との打ち合わせの際に用いることのあるヒアリングシートを元に、営業やディレクターがこのシートを埋めていきます。各工程でこのシートを確認しながら制作にあたるので、たとえ伝言ゲームのようになった情報伝達経路においても、初期の要件から外れた成果物を制作しないようにすることができると考えたのでした。
当社の行動指針には、「常に約束(顧客・仲間・社会)を守り続けます」というものがあります。
当たり前のことのようでありながら、昨今では社会との約束を守れない企業が多くニュースで報道されています。社会との約束が守れないような企業は、もちろん顧客との約束も守れないでしょうし、仲間との約束も守れないのだと思います。私たちは、これらステークホルダーは三位一体のものであり、すべてのステークホルダーとの約束を守ってこそ自身の品質方針を貫けるものだと考えています。
一つ一つの約束を守り、それを継続してゆくことが、やがて信頼に繋がり「商(あきない)」に繋がる――。これが商売の鉄則だと思います。今回は、当社で使用している「Web戦略立案シート」を一例として挙げましたが、私たちの考える「情報共有(ナレッジ・マネジメント)」の究極の目的は、もちろん社内の業務効率化などもありますが、お客様との約束を守るため、そして顧客満足度の追求のための一貫だということをお伝えできればと考えます。
正直、まだまだ改善の余地は十二分にあると思っています。顧客満足度向上のための取り組みは果てなく続けていきます。これが当社CS部のミッションステートメントに掲げた方針の一つであり、最優先に考えている取組み方針です。
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