小川 悟(取締役CS本部長)
進化論を唱えたダーウィンは、「この世に生き残る生き物は、最も力の強いものか。そうではない。最も頭のいいものか。そうでもない。それは、変化に対応できる生き物だ」という考えを示したと言われています。
/「第百五十三回国会における小泉内閣総理大臣所信表明演説」(「首相官邸」より抜粋)
つい先日の22日まで、上野にある国立科学博物館(以下、科博)にて「ダーウィン展」が開催されていましたが、ご覧になられた方はいらっしゃいますか?私は同僚を誘って今月に行って参りました。ニューヨークで開催されたものが日本に来た展覧会で、7月からは大阪でも行われるようです。私がこの科博に足を運ぶのは、2004年11月2日の新館グランドオープン以来のことでした。
『ビーグル号航海記』、『種の起源』等の著作や、進化論で有名なチャールズ・ダーウィンですが、このようにまとまった展示が博物館でされるのも珍しいのではないでしょうか。展示内容の方も、博物館であることを活かした構成となっており、見て楽しめる要素もふんだんにあり、子供連れの入館者も多かったです。
まずは、チャールズ・ダーウィンの人となりについて――、イギリスを代表する陶器メーカーであるウェッジウッド社を創設したジョサイア・ウェッジウッドの孫(母方)にあたり、また、父方の祖父は医師であるエラズマス・ダーウィンであり、両家の血統を引いた裕福な家庭に生まれました。そういった背景もあって、20代前半にして普通の人ではとても体験できないような大きなイベントに際することになります。それが1831年から5年間に渡って世界を周航したビーグル号による世界航海で、進化論の着想を得たと言われています。
さて、ここまではおそらく一般常識の範囲で、これ以上深堀りしようとしても私は自然科学の専門家ではないですし、進化論について詳しいところは分かりません。ただ、この"進化論"が組織を語る上で都合が良い内容なのか、今までにも多くが引用され、意味が派生していっているようにも見えて興味を持ちましたので今回のコラムでも採り上げてみたいと思います。
ダーウィンは自身の論に対して、別の解釈で適用されることは勧めていなかったようですが、今日では「自然選択説(自然淘汰説)」や適者生存の考え方が子孫を残す力を経由して、"生き残るために環境変化に強くなろう"といった意味にまで論理を飛躍して考えられるようになり、ビジネスシーンにおいても度々引用されてきました。特に冒頭に掲げた小泉元首相の所信表明があった後は、国のリーダーが発した言葉であることもあり、多くの方に影響を与えたのではないでしょうか。
『エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したのか?』(2005年)というドキュメンタリー映画では、2001年に破綻したアメリカの大企業エンロンのスキャンダルについてが描かれています。その中で、当時のCEOスキリング氏が、リチャード・ドーキンスの『利己的な遺伝子』を愛読していたエピソードが語られます。ダーウィンの進化論以降に世に登場するDNAの概念ですが、この"DNA"についてもビジネスシーンではよく採り上げられることが多いです(cf.『リクルートのDNA――起業家精神とは何か』等)。
繰り返して言いますが、私はこれらの学説や学術的な部分における是非について問うわけでなく、なぜ多くのビジネスマンやリーダーが同じように感銘を受け、語り継がれる魅力を持っているのかについて興味がわきました。思うに「組織」と言っても、進化論のように生物の体系そのものもそうですし、皮膚組織や細胞といったような人体を形成する組織もイメージでき、仕事上で組織を抱えるリーダーにとって共通のイメージを抱きやすく、また他者へ対する説明時においても例えやすいテーマ性を帯びていることも理由にあるのかもしれません。
では、この「変化に対応できる生き物」について。強引に例えて言えば、当社に今残って頑張っている人は、今までに職場を離れていった人たちと比べてみて、「最も力の強いもの」であるわけでも「最も頭のいいもの」であるわけでもありません。当社が今のような組織になるまでにたどった道のりの中で、求められる人材のタイプも微妙に変わってきているのかとは思いますが、いずれにしても会社の成長等の環境変化に合わせて柔軟に自身も変化、成長させてきた人が残っているのかと思います。
ここで視点を変えて、新卒入社者について。当社が新卒を受け入れたのは、今年で3期目になります。退職者を含めなければ累計60人くらいが入社しているわけで、当社の全体の3割を占めます。当然私の見るCS部にも新卒入社者が多く配属されています。私自身、新卒で社員として入社した経験がないため、当初は新卒の受け入れに対して不安も多かったのですが、親の期待を背負って学業を修了して自立し、苦労して就職活動を勝ち抜いて、ようやく初めて入社した会社がその人にとって最良の選択だったと思われるために努力できることはしていきたいと思ったものでした。人事部門の方で入社前の意思確認でマッチングした人材が入社したのであれば、いくら社会が厳しいとは言っても本来は弱音を吐いて、自身の選んだ道を簡単に捨て去ることはないと思うのですが、「五月病」という言葉もあるくらいで、ときに初めて体験するようなプレッシャーなどにぶつかると解決のしようがないこともあるのではないかと考えたこともありました。学生から社会への進出というのは一つの大きな環境変化だと思います。今まではどちらかというと「お金を払って物を買ったり、サービスを受けていた側」ですが、社会に出た途端、「お金を頂いて物を売ったり、サービスを提供する側」というようにまったく逆の立場になるわけですので、そのギャップが小さいわけがありません。まだ社会を知らず、恐いもの知らずだった学生時代までは、他人のアラを見つけては文句を言うことに長けていたとしても、社会に進出した瞬間、サービスを提供する者としては一年生になるわけで、いかに自分が求めていたことが、実現することの難しいことだったかに気付かされるわけですから、人生の大きな転機とも言えるでしょう。ともすると、そうした大きな環境変化に対応できず、今までは見られなかった心身の変調をきたす場合もあるでしょう。それを俗に「適応障害」などと呼ぶときもあります。
私なりに、そうした環境変化を楽しむコツとして自ら意識していることが、「アイカンパニー」「自分株式会社」の考え方です。株式会社リンクアンドモチベーションの小笹芳央社長がセミナーや、著書(cf.『モチベーション・リーダーシップ 組織を率いるための30の原則』等)の中でも繰り返しお話されている考え方です。他にも「自分戦略」といった言葉もありますね。
cf.参考サイト
・モチベーションエンジニアリング(Wisdom)
http://www.blwisdom.com/motivation/
・自分戦略研究所(@IT)
http://jibun.atmarkit.co.jp/
こうした発想や考え方を伸ばすために、自社でも関連した社内向けセミナーを企画したことがありましたが、そのお話についてはまた別の機会でしようと思います。
社会や組織に依存して、自ら何も決定しない、リスクをとろうとしない、いつも何か問題があると環境や他人のせいにする、そんな人材は絶対にリーダーシップを発揮できない。自己責任意識のないリーダーにメンバーは決してついてこないからだ。
/『モチベーション・リーダーシップ 組織を率いるための30の原則』(小笹芳央著)
耳の痛い文章です。私も前職時代はよく会社や環境のせいにしてばかりいたものでした。幸い私の場合、当社へ入社したときは「唯一のCS部員」としての待遇で入社したため、責任をなすりつける対象がなく、すべて自己責任であることを日々痛感できていたので環境に恵まれたかもしれません(汗)。裏を返せば、現在200名体制となった当社ですが、今から入社してくる人の場合は、入社当初から頼れる対象があるため、自分の中に少しの弱みや甘さがあれば、すぐに依存できてしまう体制にあると言えます。そういった環境の中で、いかに自分力を発揮して他者依存型にならないよう自律の精神を持って仕事に取り組めるかが、一つの大事な要素となってくるのではないかと考えています。
今年3月に、財団法人社会経済生産性本部が、恒例となった「(今年の)新入社員のタイプ」を発表しました。
cf.平成20年度・新入社員のタイプは「カーリング型」(財団法人社会経済生産性本部)
http://activity.jpc-sed.or.jp/detail/lrw/activity000857.html
06新卒より「ブログ型」」「デイトレーダー型」、そして「カーリング型」ときています。個人的には、昨今流行している血液型関連の書籍のように、演繹的に「○○型の人はこういうタイプが多い」と列挙されてもあまり興味がわかないのですが、社員の行動パターンや仕事の成果を統計的に見て、帰納的にグルーピングした上で群ごとに傾向と対策を講じる考え方は面白いと思います。この新入社員のタイプに対する命名に関しても、同じ類の仕組みで集計した統計結果を元に作られているようです。上記サイト内で紹介されている詳細のPDF資料には、「氷河期入社組の先輩との意識のギャップが懸念される」とありました。私も一応、氷河期時代に就職活動をしていた世代ですので、多様性を受け入れつつ、そうした世代とのコミュニケーションもしっかりとっていきたいと思いました。そう言いながら、一言だけ言わせて頂ければ「変化は楽しい」です。変化を恐れるのではなくて、楽しめるくらいの方が人生得だと思います。今期もドラスティックに変化できる年にしたいです。結びに代えて。
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自らに受け入れやすい情報のみをとり入れるこの「カプセル」は、外界とを区分する壁になっているのみでなく、情報の処理において(1)外界からの明確な境界を形づくるバリアー、(2)フィルターの二つの機能をもっているということができる。そして単に情報を受け取るのみでなく、カプセル自身が情報を発信する機能をもっている。
/『若者論を読む』(小谷敏著,1993年) ※『コピー体験の文化』(平野秀秋、中野収共著,1975年)に触れて。
今月8日に秋葉原で起こった無差別殺傷事件は、本当に悲惨な事件でした。お亡くなりになられた方々のことや遺族の方をニュースで見る度に悲しい気分になります。心からお悔やみ申し上げます。
事件当日は、奇しくもあの7年前の池田小児童殺傷事件と同日のことでした。また、逮捕された加藤容疑者は、1997年に起こった神戸小学生殺害事件の酒鬼薔薇聖斗と同年代です。生まれた年代だけで一くくりにしようとするのは無理がありますが、神戸の事件との共通点を挙げるとするならば、共に"メディア"を介した屈折した自己主張を行い、無差別に凶行に及んでいる点かと思います。加藤容疑者はインターネットを介した予告の書き込み、酒鬼薔薇聖斗は地元新聞社に対する声明文を送り付ける行為により自身の透明な存在をアピールしました。こうした犯罪のことを「劇場型犯罪」と呼ぶそうです。
cf.【衝撃事件の核心】未熟、心の砂漠、軽さ、教育…秋葉原通り魔事件 識者はこう見る(下)(MSN産経ニュース,2008年6月22日)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080620/crm0806201821028-n1.htm
この事件以降、同じようにインターネット上の掲示板などに犯行予告をして、実際に逮捕に至ったケースが増えているそうです。「予告.in」という、インターネット上で書き込みされたテキストの中から特定キーワードを収集する機能で、犯行予告と思われる書き込みを見つけたユーザが通報できる仕組みを有したWebサイトがありますが、このサイト内の「逮捕者の記録」というコンテンツを参照すると、事件当日以降で既に30余名の逮捕者が出ていることが分かります。
インターネット特有の性質である匿名性や群集心理が、こうした後続の事件を誘発している可能性があると言われます。先の「劇場型犯罪」ではないですが、普段は目立たない人がネット上でハンドルネームを名乗った瞬間から、もう一人の自分になれるわけです。もちろんプロバイダを経由してインターネットに接続しているわけですから、基本的には接続元のIPを判別することは可能です。しかし、こうしたことをしてしまう人が後を絶たないのはどういうわけでしょう。携帯電話というウェアラブルな機器が普及することで情報のやり取りはより便利に、そして一層個人としてのメディア空間が形成されたわけですが、その分、個々を社会というネットワークから疎外し、孤独へと陥れる懸念要素も増えたのではないでしょうか。
インターネットや携帯電話(モバイル通信)を介して行われるコミュニケーションすべてが悪の元凶というわけではなく、あくまでもこうした事例はマイノリティなものではありますが、こうした便利な情報インフラ機器の普及と所有者の低年齢化、教育の不徹底とインターネット・リテラシーの低下、ときに"劇場"となり得ることもあるマスメディアなど、アフォーダンスが揃ってくると、第二、第三の事件を誘発する可能性がないとも限りません。
インターネット上のコミュニケーションは、元来高度なリテラシーが要されると思います。メールの文章表現一つとってみても、伝えたい意図とは裏腹に、相手に不快な念や不明瞭な印象を与えてしまうことだってあります。インターネットほど複雑な表現、多様なコミュニケーションが可能な手段、メディアは他にないと個人的には思うのですが、利用する人によってはそうしたツールを使いこなせずに、多くの情報伝達のための表現を「バカにされた」「いじめにあった」といったように、根源的な意味にまで単純化された記号として読み取っては不用意に傷ついたり、逆に相手を傷つけてしまうことがあるのかもしれません。
コミュニケーションが取れているようで実は全く取れていないということは、特に不特定多数の人同士が擬似的に結ばれる掲示板などでは大いにあり得るのではないでしょうか。それが日常のストレスや、情報機器を取り扱う上でのテクノストレスと合わさって、一層思い通りにいかない自分、理想の自分とはかけ離れた自分の存在を確認し、さらには他者からの忠告が届かなくなるという、マルチメディアであるにも関わらず、それだけに極端なワンウェイ・コミュニケーションが成立するという情報化社会特有の二律背反が発生する瞬間のように思います。
今月11日には、「青少年ネット規制法(青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律案)」が参議院本会議で可決、成立しました。4月に「モバイルコンテンツ審査・運用監視機構」が設立した矢先のことでした。青少年ネット規制法を巡っては可決までに賛否があり、ヤフー、楽天、マイクロソフト、ディー・エヌ・エー(DeNA)、ネットスターなどインターネット系5社をはじめ、日本新聞協会なども表現の自由が阻害されると懸念を表明しているようですが、例えばディー・エヌ・エーで言えば、今では数百万人の会員を抱える「モバゲータウン」がこの法律をまともに受けたら影響は必至でしょう。今までのインターネット上の歴史を見てきても、悪意を持った匿名ユーザからの妨害を阻止することは難しそうです。既に24時間365日の体制で書き込みの監視をしているとのことですが、いつ誰がどこからやってくるか分からない個人ユーザをすべて監視し尽くすのは至難の業です。
また、 昨年の「Yahoo! JAPAN パートナーカンファレンス」でヤフーが公表した3つの方針――、すなわち「ソーシャルメディア化」、「エブリウェア化」、「オープン化」の中で、「ソーシャルメディア化」に関しては既にニュースページに「みんなの感想」などのコンテンツが設けられ、CGM(Consumer Generated Media)サイトのようにユーザが書き込んだコメントを共有することができる仕組みとなっています。ヤフーに限らず、先行して新聞社のWebサイトなどでは既に採り入れられていた手法で、今後外部サイトや個人ユーザとの連携を図っていこうと方針を打ち出していた企業にとっても懸念される話題かと思われました。
cf.【レポート】オープン化するYahoo!JAPAN (1) Yahoo!だけではもう無理だ(マイコミジャーナル,2007年6月16日)
http://journal.mycom.co.jp/articles/2007/06/16/yahoo/
プロバイダー責任制限法(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の概要)施行開始から数年、プライバシーや著作権保護のみならず、今度は有害サイトの閲覧制限のための法律まで成立する世の中で、思わず人間はどれだけ規約や制限がなければ生きてゆけない欲望の権化なのだろうかと悲観的になってしまいます。教育よりも規則が先行され、罰せられる側も「何故してはいけないか?」について理解するよりも前に社会から抹殺されてしまう統制的な社会が築かれていっているようにも感じます。
もちろん、先ほどから強調して述べている"教育"をおろそかに考えている人ばかりではないと思います。私の中学生の頃の担任教師が朝礼時に話した雑談で、いまだに鮮明に覚えていることがあります。
「よく試験前に、ゲーム機を持っていると遊んでしまうから捨てたといったようなことを自慢げに話す人がいるが、本当に優秀な人はたとえゲーム機が目の前にあったとしても、大事な場面では自分で状況を判断して触ろうとしないものだ」
――という内容です。当時の自分にとっては身近な話題でしたし、その後の人生の局面で迎える様々な場面でときどき思い返してきた言葉でもあります。
私たちはこうしたインターネットの世界に日々関わり、それを仕事としているわけですから、自ら研鑽に勤しむことはもちろんのこと、厚かましい表現となり恐縮ではございますが、当社サービスをご利用頂くお客様にとっても利用前には有していなかった何かしらの発見を得て頂きたいと常々考えております。
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/M&M研究所 三石玲子氏のコラム(2000年10月)より。
5月30日、「迷惑メール法(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律)」の改正案が、参議院本会議にて全会一致で可決されたそうですね。
昨今日増しに増えてくる迷惑メール、スパムメールには目に余るものがあります。適切なソリューションの導入なしでは、削除に要する手間もバカになりません。本案の現行案では、ユーザーの承諾を得ずに広告メールを送る際にメールの件名には「未承諾広告※」を入れる、また、以降のメールを受信をしないよう解除手続きができる措置(オプトアウト方式)を図る等が義務付けられていましたが、改正後は、送信前にユーザーから承諾を得る「オプトイン方式」が採用され、ユーザーから事前承諾を得ていない広告メールの送信は違法になるとのことです。ですから、「未承諾広告※」という広告メール自体が禁止となります。罰金額も、最高100万円から3,000万円に引き上げられています。本改正の最大の目的は悪質な業者に対する取締り強化が主なようですが、企業に課せられた社会的責任を考慮するのならば頭の片隅にでも入れておいた方が良いニュースだと感じました。
迷惑メールに関する問題は今に始まったわけではなく、オンラインショッピングやダイレクトマーケティング、データベースマーケティング、Eメールマーケティング等が流行し始めてくる1995年以降、インターネット利用者の増加に伴って法改正も何度か行われてきました。今に至るまで自己利益の追求、あるいは他者の不利益のために法の合間をくぐり抜ける者と、それを規制する法律との間のいたちごっこは延々に繰り返されてきました。
cf.
・cf.「特定電子メール法の平成20年改正について」(「特定電子メール等送信適正化業務」/総務省)
http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/d_syohi/h20kaisei.html
・総務・経産省、「!広告!」マークを「未承諾広告」に改定へ(「japan.internet.com」,2002年6月6日)
http://japan.internet.com/public/news/20020606/1.html
ところで、私は前職時代に中小企業のネットショップ構築を支援する仕事に携わっていました。ちょうど2000年頃の話ですが、2000年というと「楽天市場」開設3年が経ち、「Amazon.co.jp」がサービスを開始した頃です。「ブロードバンド」以前の時代で、大半の企業のWebサイトがまだテキストベースで構築されていました。私の主な仕事内容は、ネットショップの構築をするためのASP(Application Service Provider)サービスの利用方法のレクチャーのための訪問業務とコールセンター業務でした。今と同じように、直接会話をするのが中小・ベンチャー企業の社長様かWeb担当社様がほとんどでしたので、電子商取引(Eコマース)のみならず商取引そのものについて多くのことを学ばせて頂いたような気がします。
とは言いながら、当時の私はEコマースどころかインターネットやパソコンの操作そのものがまだ初心者でしたので、お客様から質問を受けた内容を解決できずにいろいろ苦心していました。手がかりとなるキーワードを得た後はネットや書籍で調べて何とか相手が理解できるように説明できるようになり、そうした経験を繰り返す内に少しずつ自分の知識となっていったように記憶しています。さらに私は忘れやすいタイプでしたので、仕事で覚えた内容を備忘録代わりに自宅のパソコンにメールで送るなどしていました。
また、お客様から「さすがプロですね、よく知ってますね」と言われることに悦びを覚え、逆に「プロなのにそんなことも知らないの?」と言われることを極端に恐れるあまり、その後メールマガジンやPC専門誌の定期購読を始めたり、IT系のニュースサイトを定期的に巡回したり、オンラインブックマークサービスやブログの開設、Webサイト制作やMovable Type構築の練習用としてプライベートで独自ドメインを取得し自身のWebサイトを構築、後年はRSS配信やSNSの利用など、ありとあるWeb上のサービスを活用しようとしていました。
そうした動きの中、当時の同僚が自分にもニュースを送って欲しいと言ってきたため、前日のネットサーフィンで見つけた仕事に役立ちそうな業界ニュースのリンクを仕事の合間に送っていました。やがて、自分の勉強のための自宅パソコンへのメール配信は、社内のナレッジ・マネジメントを活性化させるための社内向けメールマガジンの配信へと発展していったのですが、同僚や上司、役員を含む最高100人を超える購読者を対象に退職間際の429回目の配信号まで、最初は日刊、途中から週刊でニュースを編集して配信していました。仕事とは別に毎日ネタを探さなくてはなりませんから、その日以降、社内外のニュースにはますます敏感になっていき、記号やアスキーアートを利用したひな型の作成や、試験的にフリーのJavaアプレット素材を用いたHTMLメールなども実際に作成して配信しました。学生時代から興味を持っていた「編集・執筆」、「広告」、「広報(社内報も兼ねていたため)」を行うことができていました。また、「情報収集」と「情報発信」というビジネス上のコミュニケーションの基礎をそのとき学んだような気もします。
その頃、購読していたメールマガジンに「週刊e-Report」というものがあり(現在も配信されています)、毎月第2木曜日に配信されていた連載企画「三石玲子が注目する3つのECニュース」のコーナーが好きで、今も自宅のパソコンには受信していたメールのバックアップデータが入っています(Web上にもバックナンバーがあります)。
三石玲子氏と言えば、先に触れた2000年には、『Eメールマーケティング―顧客は価値ある情報を待っている』の翻訳や『中小・中堅企業のためのインターネットビジネス戦略』などを刊行され、Webマーケティング業界でもとても著名な方でした。残念ながら2003年7月4日にまだ若くしてお亡くなりになられて随分と話題になったものですが、当時は私もその訃報に衝撃を受けたものでした。
■M&M研究所(三石玲子氏主宰)
http://www.m-m.co.jp/
cf.
・eメールマーケティングは両刃の剣(「japan.internet.com」,2000年11月10日)
http://www.japan.internet.com/wmnews/20001110/print5.html
・eメールの名文を書く(「japan.internet.com」,2001年12月28日)
http://www.japan.internet.com/wmnews/20011228/print1.html
三石氏の説くEMM(Eメールマーケティング)は、今もWeb上に生き続けています。法改正などにより、現在では適用されない内容も一部含まれているかもしれませんが、原理原則は何も変わっていません。
重要なことは、「顧客と適切なコミュニケーション活動を行う」ことです。一方的にメッセージを伝えるだけでは適切なコミュニケーションとは言えませんね。顔の見えない同士で商取引を行うわけですし、ましてやEメールを介しての商行為は、コンバージョン(成約)にも絡む重要な接点です。こうした法改正の影響は、インターネットに詳しい詳しくないは関係なく適用されます。また、それ以前にユーザー心理に立って考えればどのような措置を取るのが望ましいかはある程度は知ることができます。
私たちも「Webコンサルタント.jp」という媒体を介したメールを通して、未来のお客様とのコミュニケーションを図ることがあります。Webコンサルティングを掲げる企業として、まだ至らない点も多くあるかと思います。本件のような環境変化課題に対して今後もより一層柔軟に対応し、制作ガイドラインの整備を急ぐ等、私たちが提供するWebコンサルティングの領域においても、ご利用されるお客様の知識や習慣にとらわれない提案型のソリューションを構築していけるように努力していきたいと思います。
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