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天野 斉之(セールスマーケティング課次長)

「エンドユーザー視点の把握」×「継続的な効果測定&改善」=「勝ちモデル」を構築

100サイトを超えるWebディレクション、20社以上の企業への総合Webコンサルティングなど、豊富な経験を誇り、特に美容業界を得意分野とする。プロモーションツールやブランディングツールとして、Webサイトや各種Web広告を機能させ、成果を生み出したいというニーズに対し、効果的なWeb戦略を提案。「エンドユーザー視点の把握」×「継続的な効果測定&改善」により「勝ちモデル」を構築している。

Webプロモーション戦略立案Webマーケティング

「便利」かどうかは、ユーザーが決めること

2010年06月10日 10:05 PM

 投稿者 天野 斉之

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Webコンサルティング


こんにちは。Webコンサルタントの天野です。
今回のコラムのテーマは『「便利」かどうかは、ユーザーが決めること』です。

つい先日、少し残念なニュースを目にしました。

 ANA(全日本空輸)が、成田-ニューヨーク間を飛ぶボーイング777-300ERのファースト/ビジネス両クラスで4月19日から始めた、『座席前のタッチパネルを使って食事や飲み物を自由に選び、好きな時間に注文できる』というサービスが休止となってしまった、というものです。
どうやら、タッチパネルの操作がやや難しいという乗客がいたり、ANA側も「メニューの種類が多い」ことでスピーディーに提供することができなかったり、という理由からのようです。

引用元1:ANA公式サイト
引用元2:ネタりか




本来であれば、ファースト/ビジネスクラスを利用するANAにとっての優良ユーザーに、もっと満足して頂きたいというホスピタリティの精神から生まれた取り組みだったとのだと思いますし、こういった取り組みが他社優位性として、競争力の一つになるはずだったと想定されます。


ANAという大企業の関係者の方々に申し上げるのは大変僭越ではありますが、今回のミステイクは『“便利さ”の認識ズレ』だと考えます。
きっと利用者(乗客)も便利だと言って使ってくれ、それを通じて満足感を得てくれるはずだと考えたのだと思いますが、一部の利用者にはむしろ「面倒」「煩わしい」「イライラ」などの感情を覚えさせてしまったのでしょう。


もちろんすべての利用者にとって”便利”であるということはなかなか難しいのですが、どれだけわかりやすいユーザーインターフェイス、簡易マニュアルなどが用意されていたのでしょうか。または、下手にデジタル化するくらいならアナログ化してしまえ、という判断もあります。
タッチパネルを利用したい方はタッチパネルで。なかなか電子機器の操作に慣れていない方であれば専用用紙に丸や数字を記載し、客室乗務員に渡す…など。


確かに、すべてをデジタル化すればそもそも情報が一元化され、二次利用もしやすいです。
アナログ方法と違って、ANA側で専用用紙に記載された情報をデータベースに反映(データ化)する人員も時間も要さず、よりスムーズにマーケティングデータとして活用し、メニューの最適化などに生かせます。この流れが取れれば、より良いサービスという形で利用者にスピーディーにフィードバックでき、人件費も抑えることができます。


ただ今回は裏目に出てしまったことで、本来の思い・狙いとはズレてしまい、一部のお客様を取りこぼしてしまったかもしれません。
利用者のことを考えての取り組みだったのに…非常に残念なことです。
(もちろんあのANAですので、今後さらに素晴らしいサービスの提供によって、再び利用者の支持を集め、高めていくことと思います!)


さて、ここで今回のこのニュースでの教訓を頭に入れて、Webに視点を移してみましょう。


言わずもがなですが、日々Webサイトも進化しており、様々なシステムが組み込まれ、インターネットユーザーもWeb上で多様なアクションを起こせるようになりました。
例えば、BtoCのオーダーメイド商品などにおいては、Web上で「好きな色、形、サイズ、数、素材、パーツ…」といったものを自由に選択し、「この組み合わせで宜しいですか」とビジュアル化された商品イメージまでも閲覧、購入まで済ますことができるシステムも散見されます。


言わば、商品提供側と細かなやり取りをする必要もなく、店舗に足を運んだり店員と対面したりという煩わしさもなく、事を運べるのです。
これは企業側からしても、情報整理のメリットや人件費的なメリットがあることは、先述の通りです。人件費を抑えることができれば、その分、良い商品を安くユーザーに提供することも可能でしょう。


ただ、PCの向こう側では、操作方法がいまいちわからずに欲しいのに買えない!抵抗がある!なんていうユーザーがいるかもしれません(アナログ寄りな方法を求めている…?)。そのために通常は、TELでの注文方法、FAXでの注文方法、メールでの問い合わせ方法なども用意されていることも多いでしょうが、


・「一応」載せている案内ではなく、誰もがわかりやすい位置・わかりやすい内容で案内されているか
・言わばメインの購入方法ではない場合に生まれる注意点、差分(受付時間、納期など)を案内し、ユーザー不安を抱かせない形をとれているか
・メインの購入方法ではないアクションが届いた際に、どれだけスムーズに対応できる体制を提供側は持てているか


など細かい点まで視野は行き届いているでしょうか。
Webサイトはもちろん、その先の商品提供フローにまで視野を広げて考えてみてください。


問合せの95%はシステムをうまく使ってくれているから大きな問題ではない、という判断もあるでしょう。
こんなご時世ですから、ムダな工数(購入・問合せの複数パターン化に対応するための人員教育、体制構築など)は避けたい、それも結構だと思います。
問合せもメールで受ければ事足りるので電話窓口は設けない、といった判断もちろん間違いではないでしょう。
無駄な紙も残らないし、地球に優しいエコな仕組みだ、という考えもあるでしょう。




ただもしかしたら、取りこぼしてしまった5%の中に、大口注文になりえたり、そこからリピートや口コミが発生したりと、価値の高い優良ユーザーが含まれている可能性もあるのです。

メインの購入方法ではない形での注文も可能にする代わりに、システムで捌けないためにどうしてもレスポンスが遅くなってしまことを、先に案内コンテンツとして「謝罪」しておけば良いだけのことかもしれません。

※なお、エコの観点からいっても、売上のわずが一部でも環境保全活動への寄付に回すなどで解消できる、という考え方もあるでしょう。


Webがいくら便利になったとしても、注文や問合せをするのは人であり、商品を提供するのは究極的には人のはずです。
どれだけWebサイトの向こう側の人のことを考えたWebサイトになっているでしょうか。
また、「便利」という概念は、提供側のものなのでしょうか、ユーザー側のものなのでしょうか。


私は、「便利」かどうかはユーザーが決めることだと考えます。ユーザー=お客様あっての商売です。
Webサイトにも、その本来素晴らしいはずの“思い”を反映させることができれば、より多くのユーザーと提供者が結ばれるはずです。


少しずつ景気が上向いてきた今だからこそ、そういった“思い”をもってして、Webサイトを活用することが必要だと思うのです。


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