ディレクション講座08【ユーザー(消費者)の行動パターンはシナリオにできる!?】

投稿者:Webマーケティング部

2010/04/28 16:39

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『Web サイトは 本 のようなものです。』

 

だから、『ユーザーシナリオ』を描きましょう!!

 

唐突に宣言しましたが、Webサイトにはシナリオが必要で す。

シナリオ、つまり脚本です。

 

その脚本家は、ディレクターです。

 

この「シナリオ」がないと、Webサイト のターゲティングが合っていても、ゴールが設定されていても、ゴールまでの道筋が見えないため、誰もそのゴールには辿りつけないかもしれません。

 

例えるなら、R.P.G.(ロール・プレイング・ゲーム)。

いわゆるFFとか、DQとか、その類だと考えていただければ問題ないと思いますが、予定されたシナリオがなければ、地図もアイテムもヒントも手に入らず、何 処に向かえばいいのか、さっぱりですよね?

それではゲームは進行しません。間もなく、リセットボタンが押されるでしょう。

 

Webサイトで言うと「直帰」「離脱」というやつです。一番悲しいやつです。。。。

 

ストーリーの展開そのものを、 ユーザー任せにしては、本末転倒になってしまいます。そのストーリーは、Webサイトを作る側が決める、決められるものです。

Web サイトを形作っているHTMLの歴史を辿れば、そもそもWebは「本」の代わりに、「本」よりも優れたモノとして作られたと言っても過言ではありません。 ですので、全体が「構文」として作られており、構造がほとんど「本」と同じです。

表紙があって、目次があって、コンテンツが あって、見出しがあって、段落があって、文章があって、その流れが あって、結論がある。

Webサイトが 本と異なるところは、各コンテンツに強弱がつけられるため、全部読まなくても大体わかり、場合によってはトップページだけでほとんどわかり、読ませたい箇所だけを短編の脚本にして提示することができる、ところです。

その意図的に仕組まれたストーリーを、ここでは、ユーザーシナリオと 呼称します。

前回までに、


Webマーケティング
ヒアリング
・3C分析
・ 4P分析
・SWOT分析
・ターゲティング(ペルソナ
・ ゴール設定

 

このようなことをやってきました。いえ、特に思い出す必要はありません。今回の話から逆算すれ ば、そもそもヒアリングで何が必要だったのかは自ずとわかります。
ヒアリングの中で情報を引き出し、ゴール設定までできたら、


そこからは、得た情報を組み立てていく段階です。

例えば、ある建築関係の企業 が、自社の「リフォーム」分野に特化した「プロモーション」サイトを作りたい場合をシンプルに考えてみましょう。


ユー ザーシナリオを描くには、まずパーツが必要です。


■ 代表的なユーザーの「知りたいこと

・自分の目 的のリフォームは行っている?
・料金は?
・納期は?
・技術は?
・契約内容は?
・会社の場所は?
・サポート体制は?
・お問い合わ せの方法は?

■代表的 なある企業の「示せること」
・リフォームできる箇所
・料金表
・事例
・サポート体制
・リフォームの流れ
・契約の流れ

 

代表的なある企業の「主張
・うちは料金はちょっと高いが技術力は半端ない
・よって、事例 の数も半端ない
・価格で勝負するつもりはない
・納期も早い方ではない
・地域密着でアフターサポートは他社には負けない
・元々リピーターは多いので、規模拡大のために新規顧客が欲しい、予算はさほど問題ではない ので、顧客層は問わない
・リフォームは「見積もり」がと りにくいので、電話で状況を聞いた方が早い
・「無料見積 もり」は概算になるが可能
・電話をもらって近ければ、無 料で「見積もり」の下見に行くことが多い
・メールから発展させてやり取りするには常駐スタッフが少ないので、
今の営業スタイルは活かしたい

はい、これらのパーツは、当然、マーケティングとヒアリングから、得ていなければならない情報になります。

この細分化されたパーツ、ユーザーの知りたいことと、企業が提示できる内容から、必要なコンテンツを大きなカテゴリに括れます。


・リフォームの目的
・事例紹介
・料金提示
・契約関連

これに優先順位をつけます。

今回のような場合、ユーザーにとって「料金」は非常に重要な要素でありますが、「リフォー ム」で「新規顧客」になりますと、まず「直したい箇所がある=困っている」という状態であることが推定され、情報の優先度としては料金よりも優先される、 と考えられます。場合によっては、かなり急いでいることもあるでしょう。

よって、まずは、サイト訪問者 に「そのリフォームができるかどうか」を認識してもらう、ことが最も重要な要素として位置付けられます。

次に、料金と事例の優先度を考えた場合、
価格の安さや納期速度での勝負では分が悪いのは現実的、最大の強みである「技術」と「事例」の数を活 かす方が企業としてもやりやすいため、「事例と数とその技術力を見せる」ことが可能であれば、優先順位は料金よりも上げるべき。ただ、事例の見せ方には 工夫が必要。

地域性とサポート体制は明らかに秀でているので、信頼を得やすい。コンテンツとして挟むべ き要素。


はい、これで簡単なシナリオができました。

この企業がこれから作るWebサイトのユーザーシナリオは、

目的別リフォームの入り口→その目的に合致した事例の紹介(納期、工事費用もわかるように構成)→サポート体制→お問い合わせ(電話)

にしよう、と構成できる訳です。

もう少し慎重なユー ザーのための補足として、

・料金の相場
・リフォーム完成ま での流れ
・契約の流れ
・メールでのご相談・ご質問・お見積り

こちらはメインとなるシナリオからは外しましたが、ニーズがある以上、当然コンテンツとしては置いておかなければならないものになります。

メインのシナリオは、捨てるところはきっちりと捨てて、まずはこれくらい簡単に簡潔に構成すべき です。パー ツが多く ても、その全てを詰め込んでしまっては、結局何が言いたいのかわからなくなります。理想は3段階、多くても4段階く らいでしょうか。言いたいことが言い切れなくても、ここはぐっと我慢をするところです。

実際には、こんなに簡単ではありません。あくまでも例ということで。。。

もっと状況は複 雑で、キーワードマッチングや経営戦略、企業様のスタンス、イメージ、商品・サービスの特性、販売経路、営業手法、メインターゲットに据えたモチベーショ ンレベル(潜在層なのか、見込み層なのかなど)、企業・商品・サービスの認知レベル、実際に展開できる事例があるのか、などなど、加味していかなければな りません。

しかし、やるべきこと自体は変わりません。

1. メインターゲットのニーズの優先順位を推定する
2.企業側の強み・弱みの優先順位と比較する
3.妥協点と融合点を見い出し、幾つかシナリオを作る
4.一番強めたいシナリオに絞る

これだけです。

マーケティング全般に言えることではありますが、Web上の表現は、何処まで行ってもやはり最初は仮説でしかなく、実装して、検証をしないと結果は得られないものです。 とは言え、マーケティングとヒアリングの精度で、このシナリオの確度を限りなく高めておくことはできる訳です。

そんなこんなでユーザーシナリオができたら、当然、次に待っているのは演出ですよね?

次回は、いよいよ要件定義 と情報設計について考えて行きます。

【編集担当:吉田】

Webマーケティング