コンテンツマーケティングの起源~インテリジェンス・オブ・コンテンツマーケティング<2>~

投稿者:コンテンツ編集課

2014/08/22 12:59

この記事は約5分で読むことができます。

コンテンツマーケティング協会が2012年に発表したコンテンツマーケティングの歴史

既存および潜在的な顧客にとって価値のあるコンテンツを制作・配信することによって興味や関心を引き出し、最終的に購買につながる行動を起こさせるためのマーケティング手法――「コンテンツマーケティング」。

前回のコラムでは、コンテンツマーケティングが“プル型”のマーケティング手法であることと、そうした自ら情報を発信し、顧客を勝ち取る手法が現代において主流になりつつあることをご紹介しました。

“インテリジェンス・オブ・コンテンツマーケティング”第2回では、そもそもコンテンツマーケティングとはいつ、どのようにして生まれたのか、その起源について迫っていきたいと思います。

起源は6千年以上前という諸説も

2000年代初頭から注目を集めるようになったコンテンツマーケティングですが、その概念が誕生した時期は、太古の昔まで遡るという諸説もあります。米国のコンテンツマーケティング協会では、最も古いコンテンツマーケティングは紀元前4200年頃に洞窟内に描かれた壁画ではないかという仮説を立てています。

その壁画には「槍で熊から身を守る6つの方法」が描かれていたそうです。壁画に描かれていた内容が教育のためや、狩りに行く際のレッスンのために使用された可能性もありますが、槍を販売するための説明に使われたのではないかという説が有力。

「この槍があることで、熊に襲われたときでも大丈夫。あの大きな巨体に立ち向かうことができ、自分や仲間たちの身を守ることができます」とそんな解説がなされていたという確証はありませんが、槍職人が壁画の内容によって槍の必要性を説いていたとしたら、壁画という“コンテンツ”を通して潜在顧客の興味を引くという意味で、確かにそれはコンテンツマーケティングであると言えるかもしれません。

農機具の改良に尽力したジョン・ディアという名の男

洞窟内の壁画が最古のコンテンツマーケティングだったかは、明らかにはなっていません。それ以外で記録として残されているものに目を向けても、100年以上前の事例になります。そんな大昔にコンテンツマーケティングの概念を世の中に広めたと言われているのが、鍛冶屋の職人であったジョン・ディア(John Deere)という男です。

ジョン・ディアは米国・バーモンド州で鍛冶職人として働いていました。しかし、生活は貧しく、環境を変えるために1836年にイリノイ州グランド・ディーターに移住。そして、翌1837年にその地で鍛冶屋として独立を果たしました。後の世界最大の農機具メーカーとなるディア・アンド・カンパニー (Deere & Company)です。

ジョン・ディアが再スタートを切ったイリノイは、一面に草原が広がっており、湿気を含んだ粘着性のある土壌が特徴の土地でした。そのため、「この土地を鋤(すき)で耕すのは一苦労だ」と現地の農民たちは農地の開拓に日々苦労していました。

その状況を見かねたジョン・ディアは、農民たちの課題に対して耳を傾け、農具の改良に注力。そして、世界初となる刃を研磨した鋼製の鋤を開発したのです。鋼製の鋤は従来までの鉄製のものとは異なり、土が付かず、強度も優れていました。ジョン・ディアの開発した鋤は瞬く間にイリノイの農民たちに浸透。その後のディア・アンド・カンパニーの発展の礎を築くことになります。

農業の最新技術とトレンドを伝える「ファロウ」創刊

ジョン・ディアは1886年にこの世を去りましたが、その名は現在に至るまで農機具製品のブランド名として生き続けています。そして、顧客満足のために奔走し、課題解決への道を提案するというジョン・ディアの精神もまた同様です。1895年に創刊された「ファロウ(The Furrow)」はその集大成と言っても過言ではないでしょう。

ファロウは、農業の最新技術とトレンドを伝えることで、農家が必要とする情報を提供する農業情報誌。ジョン・ディアという農機具ブランドの製品の購買意欲を高めることが主目的ではなく、農業のノウハウを伝えることによって、農業経営者が成功を掴むことを支援することが狙いとなります。

つまり、コンテンツを通して信頼を勝ち取り、顧客を増やしていくというコンテンツマーケティングの手法を行っているのです。

ファロウは多くの農業経営者の間で愛読され、創刊から120年が経った現在では、12もの言語に翻訳されて40ヶ国で購読されています。単なる自社製品のカタログ誌ではなく、ダイレクトに自社の農機具を売り込むための雑誌でもないそのスタイルは、現在のコンテンツマーケティングの手本と言えます。

次回の第3回“インテリジェンス・オブ・コンテンツマーケティング”では、「コンテンツマーケティングの近代以降の歴史」についてご紹介していきます。

【関連特集ページ】
Webライティング「ALL Write!」| コンテンツマーケティングソリューション

【編集担当:石川】

Webライティング