デザイナーの小さな工夫~写真の切り方=トリミング~

投稿者:制作部

2013/08/09 21:49

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皆様が普段何気なく目にする広告やWebサイトにおいて「デザイン」と聞くと、装飾的なグラフィックやイラスト、加工処理された写真など、目にわかりやすい「大きな工夫」を思い浮かべるのではないでしょうか。

デザイナーはそういった「大きな工夫」はもちろんのこと、デザイン知識があまりない方には見えづらい「小さな工夫」を積み重ねることで、よりよいものを作る努力をしています。

そんな目に見えにくい「小さな工夫」を、例を交えていくつかご紹介していきたいと思います。

今回は、写真(画像)の切り方=トリミングの工夫についてご紹介します。

以下のデパートのバーゲン(アパレルメイン)告知の仮広告を例にしましょう。

シンプルな文字構成で、キャッチコピーと左半面を隙間なく使った写真で訴求していきます。右の文字要素はそのままに、写真の切り方の工夫だけで、どのような意味合いが出せるのか検証してみましょう。

1.写真をそのまま配置

制作事例01

最も基本のパターンです。日常的に食料品などを買いに来た女性が、ふと夏の海への期待感に思いを膨らませる瞬間を切り取っています。

このパターンは、写真の「狙い」となる部分がなく、良くも悪くも無難な印象を受けます。場合によっては、キャッチコピーが変わっても使えそうなトリミング方法ですね。

2.ビジュアルを絞る~上半身~

制作事例02

1よりも上半身をクローズアップしました。このパターンにおけるポイントは、ワンピースとモデルの顔にスポットをあて、他の情報(背景や買い物袋など)を極力見せないようにしていることです。

写真における視点を「かわいいワンピース」と「素敵なモデルさん」という情報に絞り、「かわいい」「素敵」といった印象を店の印象としてイメージさせることが狙いです。

3.ビジュアルを絞る~下半身~

制作事例03

2のパターンに対し、下半身をクローズアップしています。このパターンにおけるポイントは、買い物袋にスポットをあてたことです。

顔の表情をまったく入れないことで、写真からその前後の「ストーリー」を想像させることが狙いです。私の場合は、普段家事に忙しい若いママが新しい水着で友達と海に繰り出す楽しそうな風景を想像しました。

4.目線を隠す

制作事例04

日常の1ページを切り取りたいのに、モデルの写真では「日常感」がない・・・と感じたことはありませんか。

そんな時は、目から上を隠すだけでも、モデルのイメージが薄くなり、素人のスナップ写真のような「日常感」を演出できます。

5.顔のアップ

制作事例05

4とは逆に、モデルの個性を前面に押し出す場合もあります。人気モデルなど、訴求力の高い人物の場合に効果的です。

今回の例はバーゲンに行く前の人という設定があるので、あえて服を写さないという狙いもあります。

6.番外編~切り抜き写真を織り交ぜる~

制作事例06

左半面を隙間なく使うという固定観念から離れると、表現の幅が広がります。四角く縁取った背景からはみ出すように人物の上下を切り抜きました。

写真を切り抜きにすることは、見た目に躍動感を出したいときに効果的です。人物がより前に出た印象になり、「買いに行こう!」という思いがより強調されています。

いかがでしたでしょうか。

同じレイアウトでも、写真の切り方の違いだけでこんなにも意味合いの違うものに仕上がります。

実際にお客様がデザインを発注される際は、「店の印象を伝えたい」「日常的な雰囲気を出したい」など、打ち合わせで伝えたい方向性を詰めていくことが何より重要です。
それを受け、日々研究を重ねたデザイナーが「小さな工夫」を集めて、ご要望に最適なビジュアルをご提案をさせていただきます。

【編集担当:石黒】

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